久遠の神話
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第九十九話 四人の決断その十
「それが彼です」
「僕はそこまではですね」
「戦っていませんね」
「自分でもそう思います」
こう上城に話す。
「とてもあの人までは」
「そうですね、これもまた努力です」
「あの人の場合もですか」
「そうです」
「強くなる為に努力しているんですね」
「本人にそのつもりはなくとも」
戦いを経て強くなってきているというのだ。
「そうなっています」
「そしてその加藤さんに勝つことは」
「今の君では難しいです」
そうだというのだ、そしてそれ故にというのだ。
「ですから」
「今以上にですね」
「彼に勝ちたければ」
強くなれというのだ。
「そうなって下さい」
「わかりました」
確かな顔で頷いた上城だった、そのうえでカレーを食べる。カレーは確かな日本のカレーだ、当然マガバーンもそれを食べている。
そしてだ、マガバーンはそのカレーを食べながら上城にこうも尋ねた。
「それでなのですが」
「はい、今度は何でしょうか」
「私はこの戦いから降りれば日常に戻ります」
その生活にだというのだ。
「そうしますが」
「僕は、ですか」
「どうされますか」
「僕はもう決めています」
マガバーンの今の問いにすぐにだった、上城ははっきりとした声で答えた。
「戦いが終わったら戻ります」
「日常の生活にですね」
「これまで通り高校生としての生活を送ります」
「そうですか。お金はかなり手に入れていますね」
「お金は九割位寄付していますが」
「残り一割はですか」
「置いています」
自分のところにだというのだ。
「そうしていますので」
「その一割を自分のところに置いてある理由は」
「己が手に入れたものは全て寄付することはないと」
「誰かに言われたのですか」
「お金は健全な方法で手に入れてです」
そしてだというのだ。
「そうして手に入れたお金は望むなら九割は寄付してもいいが」
「一割はですね」
「自分が持っていていいと教えてもらいました」
「貴方は最初は全て寄付していましたね」
「そうしていました」
最初は倒した怪物が残した金塊は全て慈善団体等に寄付をしていた、勿論確かな団体だけだ。こうした団体の中にも悪質な者達はいるから彼も注意しているのだ。
「かつては。ですが」
「どなたに教えてもらったのでしょうか」
「父方の祖父に」
彼にだというのだ。
「正当ならばです」
「この戦いは法律の、通常の人間の世界にはないですが」
「それでもですね」
「そうです、正当な戦いですので」
金もだ、健全な手の入れ方だというのだ。
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