ソードアート・オンライン ~生きる少年~
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第一章 護れなかった少年
第二十七話 悪夢 (前編)
前書き
やっと投稿できるぅッ!!
大変長らくお待たせしましたホントすみません......。
~数日後~
「......ふむふむ......」
みんなのレベルを眺めながら呟く。
周囲では『月読』のみんなが固唾を呑んで見ている。
全員レベルは45~49か......。
「うん。これなら大丈夫そう。合格!!」
「「「「「「ッシャァァァァァァアアアア!!!」」」」」」
「と言いたいところだけど、まずは最前線の一層下でもうちょい頑張ろうか」
「「「「「「......えー」」」」」」
さっきから見事なまでに全員でシンクロしてるんだけど。
......正直、レベル的にはトップギルドに並ぶだろう。僕自身のレベルだって58だし。
でも、やっぱり『何か』が足りない。
......僕自身、その『何か』が分からないんだけどさ。
このまま最前線送ると、危ない気がするからまずは最前線に近い一層下で肩慣らしをしよう、という訳です。
「今日は先約があるからついて行けないけど、危なくなったら即脱出な!!」
「「「「「「はーい......」」」」」」
「じゃ、僕はこれで出かけます」
そう言いながら今までいたギルドホームから出て、待ち合わせである32層、現在の最前線に向かった。
―☆―☆―☆―
「あ、ヤッホー」
「ヤッホー」
転移門の所で、待ち合わせの相手であるリズを発見する。
いつもの地味な服装の上に部分的な、肩当てなどをつけている。
そして手にはメイスと呼ばれる武器を持っている。
......リズって戦闘できたんだ......。
「一応ね。これでもアンタに頼む前は自力で鉱石を取りに行ってたんだから」
お願いしてレベルを見せて貰うと、Lv.39と言うことがわかった。
ふむふむ......。まぁ、妥当だろう。
まぁ、本来なら「数層下に行こうか」とか言うけど、そうも行かないらしい。
「で、どういうことなの? 32層にいる裏ボスって」
そう、いるらしいのだ。裏ボスが。
事前の説明によると、パーティーに鍛冶スキルを持っている人がいると、良質なハンマーや、鉱石を落とすらしい。
尚、聞いた話によると、条件として、鍛冶スキル持ちと、刀スキル持ちの二人で行かなければ行けないらしい。
「まぁ、事前に説明した通りね。付け加える点は特に無いわ。ボスの情報も少ないし」
「なるほど、了解。取り敢えず準備は終わってるからボスの所まで行こうか」
そういいながら歩き出す。
―☆―☆―☆―
「ここか......」
敵をバッタバッタなぎ倒しながらリズに案内された場所に着くと、そこは一見何も無い部屋だった。
「こっちよ」
リズに手招きされ、ついて行くと、そこには窪みが二つあった。
「なるほど。ここに手を当てろと」
「そういうこと」
せーの、と二人でいいながら同時に手を置くと、窪みが光った。
「ぅあっ!?」
とっさに眼を腕で庇いながら眼を瞑る。
そして光量が徐々に少なくなっていくのを感じ、目を開く。
「わお......」
「これは......」
リズと二人で呟く。
目の前には既に壁は無く、漆黒の扉があった。
「行くよ!!」
リズにそう言いながら覚悟を決め、走り出した。
―☆―☆―☆―
あのあと、扉の中に入ったものの、直ぐにボスフロアというわけでは無いらしく、数十m走ったのだが、そこでまた扉を見つけ、入るとそこはいつものボスフロアだった。
しばらくと言うか29層以降攻略に加わってないので、結構久しぶりかな?
遅れてリズが入ってくる。
「ここ......だよね......?」
「その......はず、だけど......」
僕が聞いた理由は簡単。29層の時のように、何もいないのだ。
......すっごい嫌な予感しかしないんだけど。
29層の事を思い出しながら一人、警戒を強める。
辺りを見渡しながら奥へ進んでいく。
見た感じ、円状の場所のようだ。とりあえず、真ん中に玉座っぽい何か置いてあるし調べよ。
そう思いながら玉座に近づき、調べる。
お、面白い。何か背もたれの部分にハンマーみたいなのが――
「ソラ、上、上!!」
瞬間的にバックステップで下がると、さっき調べようと近づいた玉座の真上に何かが振ってきて、玉座が下敷きになり、壊れる。
あ、危なっ、あと少しで僕までぺちゃんこにされるとこだった。
「ありがと、リズ」
お礼を言い、再度前を向く。
恐らくさっき落っこちてきたのがボスだろう。
となると、一瞬の油断も出来ない。
そう思いながら前を向くと、そこには体長2m、横幅3mほどもあるプルプルした存在がいた。
......プルプル?
それはバウンドしながら反転している。
そして表面がこっちを向いたのか、動きを止めた。
......わからないけどね。どっちが前か。眼とか鼻とかないし。正直何処見ても一緒だし。
改めて観察してみると、地面にちゃんと接地されるように崩れた丸い形というか三角形というか......。正直凄え微妙。
と、そこでカーソルが現れた。
『《The nigthmare slime》』
日本語訳だと《悪夢のスライム》、ねぇ......。
HPゲージは少なく2本分。
カーソルは少し濃い赤。
所謂『強いけど普通に倒せる』レベルだ。
「リズ下がって」
そう言いながら居合いの構えを取る。
相手は腐ってもボスだ。油断はしちゃダメだ、絶対に。
と瞬間、
『ピギィッ!!』
スライムの身体から一部が分裂、そのまま弾丸のように飛んできた。
「なっ――!」
完璧に予想していなかった攻撃に反応仕切れず、躱そうとしたが、腕を掠った。
あたった弾丸のようなスライムの一部は、僕の身体に一瞬張り付いたかと思うと、直ぐに離れてスライムの身体に戻っていった。
慌ててHPを確認すると、ほとんどダメージを受けていない。
どうやら早いだけで、威力はかなり低いようだ。
と、今度は20個近くの弾がスライムの周囲を浮いている。
......え、あれ連射とかしてこないよね?
『ピピゥッ!!』
......何故かします、って聞こえたんだけど......。
そう思った瞬間、20発全てが一斉に発射される。
「ックソッ!!」
とっさに横に飛び、地面をごろりと転がりながら避ける。
弾が全て自分の横を通っていくのを確認、そのまま体勢を直そうとすると――
「う、嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!?」
なんと、通り過ぎていった弾が空中で急停止、そして僕に向かってまた飛んできた。
「追尾機能つきかよっ......!」
愚痴りながらもう一度横に飛んで転がりながら逃げる。
追尾型なら、逃げてボスにぶつける?
いや、ダメだ、その前に被弾する。
なら避けながらは?
左右にジグザグした走りをするならその分スピードが落ち、捕まる。
くっそ......どうしよ......。
そんなことを考えながら回避は継続している。
もう十回近く転がり続けているんだけどね......。
と、通算12回避けた所で、弾丸があさってな方向に飛んでいった。
一瞬助かった......と思ったがそれは違った。
「クッソ卑怯な手を使いやがって!!」
弾丸は明後日な方向に行ったわけじゃ無かった。
ただ単に的を僕からリズに変えただけだった。
「《閃》ッ!!」
咄嗟に突進スキルでリズの前に出る。
いくら、一発一発のダメージが少なくても20発も同時に喰らうと少しヤバい。
リズも同様、いやもっとヤバいかも。
となると、撃ち落とす、ってなるんだけど、それも不可能だ。
そして今からリズを連れて回避行動......間に合わない。
色々なパターンを頭でシミュレーションし、そして全てダメだ。無傷でここを乗り切る方法が無い。
なら......。
リズの前でバッと手を広げる。
所謂仁王立ちだ。
ちなみに顔はリズの方に向けている。
何故かというと、人間は背中の方が急所が少ない。中学の頃、背中でよく蹴りやらパンチを食らっていたから実証済みだ。普通の打撃程度なら背中で受けた方がダメージは少ない!!
「ちょ、ソラ!!」
「大丈夫!!」
リズの狼狽した声に答えながら着弾の瞬間に備える。
「ぐ......う.......ぅあ......!」
歯を食いしばっていたが、それでも声にならない音が口から漏れる。
それをリズが心配そうに見てたので、背中の痛みを無視しながら、少しニコッと笑う。『大丈夫だよ』と言うメッセージを込めているのだが、もしかしたら引きつった笑みになっているかも知れない。
(クッソ......! 何故か若干痛いぞちくしょう......!)
本来なら痛覚働いていないハズなんだけどな......。
ガン! ガン!!
という衝撃を耐える。それと同時に減っていく僕のHP。
もう既に半分を割っている。
いや、今レッドゾーンに入った。
「ぐ......あ......あ.......ぅう......が......」
それでも耐える。耐え続ける。
少しずつ嬲られて減っていく僕のHPを見て段々リズの顔が青くなっていく。
と、そこでようやく衝撃が途切れた。
自分のHPゲージを見ると、もう既に残っているのか怪しいレベルまで減っていた。
「ちくしょ......次はこっちの反撃だぞ......」
「ちょ、大丈夫!?」
リズが心配してくれてるが、一瞥するだけにしておく。
若干ふらつきながら立ち上がり、HPポーションを一気に煽る。
結構上等な奴を使ったので回復は早いはず。
一気に地面を踏み込み、走る。
と、同時に額に一つ当たる。
そこまで痛くは無かったが腐ってもヘッドショット。
普通よりも多く削られる。 まぁ、死なないからいいけどさ――ッ!?
何かを吸われる感覚。一瞬で、頭にあの子が浮かび消えていく。
幸い、あの子の記憶が消えている訳では無いことを直ぐに確認した。
そして僕の身体に張り付いていた弾と一緒に額に付いた物も剥がれ、スライムの元に戻っていく。
そしてそれを追うように止めてしまっていた足を再度動かす。
そしてそこで《躱》を発動する。
躱を選択した理由はあの弾が来ても避けられるようにだ。
幸いなことに弾が一発も来ないまま、スライムが間合いに入る。
「仕返しだっ!!」
そう言いながら居合いをお見舞いする。
そして抜かれた刀身は、見事スライムを断ち切った......て、え?
何故かスライムの身体が崩れ始めた。
頭上のスライムのHPを見ると、凄い勢いで減っていく。あ、今二本目に入った。
なんだ......あのHPは見せかけだけか......。
何となくやるせない気持ちのまま刀を鞘に収める......!?
再度驚く。
今度はスライムのHPがグングン減っていく中、崩れたスライムの残骸が動き出し、何かを形作っているのだ。
「おぉ......まさかの第二形態か......」
段々人型に整っていく。
......線が細い......女性型か......?
と、段々顔が出来ていく。
......おかしい......。顔の造形があの子に似ている......。
まぁ、色が全部青色なので、まだ分からないが、造形は完全に似ている。
と、段々顔が色づいていく。
と、同時に僕の顔が段々真っ青になっていくのが自分でも分かる。
「詩......音......」
それは、昔の幼なじみと同じ姿形をしていた。
後書き
今回も前編後編でわかれます。
感想、アドバイス等々、凄く欲しいですw
これからもよろしくです!!
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