獣退治
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第二章
「まだルフトパッフェがいるからな」
「迎撃機もですか」
「いますか」
「数は減ったがな」
それでもだ、まだ彼等もいるというのだ。言うまでもなく攻撃任務の際は最も厄介な敵となる存在である。
「まだいるからな」
「連中にも気をつける」
「見付からない様にですね」
「そうだ、見付かれば厄介だからな」
それでだとだ、クレイドルは部下達に真剣な顔のまま話していく。
「あいつ等にも気をつけてだ」
「獲物までいってですね」
「攻撃ですね」
「そうだ、しかもだ」
まだあった、クレイドルが部下達に言わねばならないことは。
「高射砲や対空砲座の陣地は少し前の偵察でわかったことだ」
「今は、ですね」
「陣地が変わっている可能性もありますか」
「増えている可能性もな」
高射砲や対空砲座がだというのだ。
「あるからな」
「油断出来ませんね」
「安全と思われている場所でも」
「そうだ、だからだ」
それでだというのだ。
「この任務はだ」
「危険ですね」
「相当に」
「昼には行かない」
クレイドルはこのことを断言した。
「絶対にな」
「はい、夜ですね」
「夜間攻撃ですね」
「それで行くと、いつものことだがな」
「俺達はモスキート乗りですからね」
「だからですね」
「そうだ、モスキートだからな」
彼等の乗るモスキートは本来は爆撃機として開発された双発の航空機だ、だが基本性能が高いので様々な任務に使われているのだ。偵察もすれば戦闘機としても使われる。様々な敵への攻撃にも使われる。夜間戦闘や攻撃にも使われているのだ。
だからだ、クレイドルも部下達もこう話すのだ。
「虫は夜に出るものだ」
「特にモスキートは」
「そういうことですね」
「そうだ、だからだ」
それでだというのだ。
「今回もな」
「夜ですね」
「夜に攻撃ですね」
「我々はアメリカ軍と違うんだ」
クレイドルはこのことは苦々しい顔で言った。
「連中は昼に堂々と数でいっても平気だがな」
「フォートレスやムスタングですからね」
「ライトニングやサンダーボルトもあって」
そうした爆撃機や戦闘機の性能はというのだ。
「連中の攻撃機にしても」
「性能がいいですから」
「だから昼にわんさといっても平気だ」
それこそ陣地ごと爆撃しても平気だ。
「しかしだ」
「はい、連中にばかり活躍してもらったら」
「俺達の立場がないですからね」
「こうして俺達も働かないと」
「何の為にいるかわからないですよ」
「ずっとやられっぱなしだったんだ」
こうも言うクレイドルだった。
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