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VONGOLA TAIL

作者:メテオ
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第6話 DEAR KABY

「こ、これは一体………どういう事ですかな?私は確か破棄してほしいと依頼したはずです」

「破棄するのは簡単です。カービィさんにだって出来る」

「だったら私が焼却します。こんな本……見たくもない!」

そう言うとルーシィが持っていた本を乱暴に奪い取る。

「カービィさん。貴方がなぜこの本の存在が許せないのか解りました。父親の誇りを守る為………貴方はケム・ザレオンの息子ですね」

「うおっ!」

「パパーーーーーーーー!?」

ルーシィの言葉にナツとハッピーが驚く。

「なぜ………それを……」

「この本を読んだ事は?」

「いえ……父から聞いただけで読んだ事は………しかし読むまでもありません。駄作だ……父が言っていた」

「つまんねぇから燃やすだと!?そりゃあんまりじゃねぇのか!?父ちゃんが書いた本だろ!?お?」

「お、落ち着けよナツ!」

「言ったでしょ!誇りを守る為だって」

カービィに怒鳴るナツを武が止める。

「えぇ………デイ・ブレイクを書いた事を恥じていました」

「しかし年月が経つにつれ、憎しみは後悔へと変わっていった。私があんな事を言わなければ、父は死ななかったかもしれない………と」

父親の昔話を語ったカービィに誰も声を出せない。

「だからね………せめてもの償いに父の遺作となったこの駄作を………父の名誉の為この世から消し去りたいと思ったんです」

マッチを取り出して火をつけてだんだん本に近づける。

「これできっと父も………」

「待って!!」

ルーシィがカービィを止めようと声をかけたのと同時に本が光り出す。

「え?」

「な、何だ……これは………!!」

突然の出来事にカービィは驚く。

「文字が浮かんだーーーっ!」

「ケム・ザレオン………いいえ、本名はゼクア・メロン。彼はこの本に魔法をかけた」

「ま、魔法!?」

ルーシィが説明していると本のタイトルの名前から変わっていく。



「 DEAR………KABY…!?」

「そう。彼がかけた魔法は本のタイトルも中身の文字も全て入れ替わる魔法」

ルーシィがそう説明すると本の中身の文字が宙に浮いた。

「おおっ!」

「きれー!」

「すげぇな!」

「彼が作家を辞めた理由は……最低な本を書いてしまった事の他に……最高の本を書いてしまったことかもしれません………」

中身の文字が全て入れ替わると本は閉じた。

「それがケム・ザレオンが本当に残したかった本です」

「父さん……私は父を………理解できてなかったようだ」

「当然です。作家の頭の中が理解できたら、本を読む楽しみが無くなっちゃう」

「ありがとう。この本は燃やせませんね………」

「じゃあ俺達も報酬いらねぇな」

「だね」

「そうだな」

「え?」

「はい?」

ナツとハッピーと山本の声にルーシィとカービィが驚く。

「依頼は『本の破棄』だ。達成してねーし」

「い、いや………しかし……そういう訳には……」

「えぇ………」

「そ、そうよ………せっかくの好意なんだし……いただいておきましょ」

「あー、ルーシィがめつー!さっきまで結構いい事言ってたのに全部チャラだ」

「それはそれ!」

「ですが・・・」

「いいって。依頼達成してないのに報酬貰ったら、ギルドの名折れだ」

山本がそう言うとナツが笑いながら家の出口に向かう。

「かーえろっ。メロンも早く帰れよ、自分家」

「「!?」」

「え?」

最後にナツが言った言葉にナツカービィ夫妻は驚きルーシィが意味のわからないというような感じで聞き返した。









「信じらんなーい!普通200万Jチャラにするかしらー!」

「依頼達成してねーのに金貰ったら、 フェアリーテイルの名折れだろ」

「あい」

「全部上手くいったんだからいいじゃないのよ!!てか、何で帰りは歩きなの」

帰り道にルーシィは依頼料がもらえなかった事に愚痴を言う。

「はぁー………あの人達、お金持ちじゃなかったのかぁ……作家の息子のくせに何でよ。あの家も見栄を張る為に友人に借りたって言ってたし……そんな事しなくても、依頼引き受けてあげたのにね」

「どうかな?」

「引き受けたわよっ!多分ね」

「てゆーかアンタどうして家が違うって気づいたの?」

「ん?アイツらの匂いと家の匂いが違った。普通気づくだろ」

「あたしは獣じゃないからっ!」

「あの小説家……実はスゲェ魔導士だったんだな」

「あい………30年も昔の魔法が消えてないなんて相当の魔力だよ」

山本とハッピーがゼクア・メロンを褒める。

「そこでの冒険の数々を小説にしたの。憧れちゃうなぁ……」

「やっぱりな」

ナツが意地悪そうな笑みを浮かべて言った。

「前………ルーシィが隠したアレ。自分で書いた小説だろ」

「やたら本の事詳しい訳だぁ!」

「あぁ、この仕事いく前に見つけた紙の束か……」

3人の言葉を聞いたルーシィは顔を赤くしていく。

「ぜ……絶対他の人には言わないでよ!」

「何で?」

「そういうのって結構かわいいと思うけどな」

「ま、まだヘタクソなの!読まれたら恥ずかしいでしょ!……可愛いって……」
「いや………誰も読まねーから」

「それはそれでちょっぴり悲しいわっ!」

「あははっ!」


そんなコントのようなものをしながら4人は歩いて行った。










次の日

「ふわぁ、暇だな………」

ナツ達と仕事に行って、その日の夜に帰ってきた山本は、次の日の昼まで寝て、今は目覚ましのために街をブラブラしている。

「ツナ達もいねぇしどうするかな……家に帰って素振りでもするか」

そう言って山本は家へと歩き出そうとする。

「山本ー!!」

後ろから名前を呼ばれ振り返ってみるとツナがこっちに走って来ていた。

「あれ、ツナ。仕事じゃなかったっけ?」」

「そんなに時間かかるじゃなかったんだ。ってそれどころじゃないんだ。何かリボーンから呼び出しがあって守護者全員集まれって」

「小僧が?何のようなんだ?」

「わからない。とにかく俺の家に今すぐ来てくれない?」

「おう、わかった!」

そう言って2人はツナの家に向かった。









沢田綱吉の家

「ただい『遅えぞ、ツナ!』グフゥ!!」

家の扉を開けた瞬間、ツナはいきなり飛び蹴りをくらって倒れた。

「痛え!!いきなり何すんだよ、リボーン!」

「守護者を呼びかけて20分もかかった罰だな」

リボーン。呪われた赤ん坊『アルコバレーノ』と呼ばれる7人の1人。かつては伝説の殺し屋だったらしい。

「仕方ないだろ!これでも20分でマグノリア全部走り回ったんだからな!」

「言い訳すんな!」

「へぶっ!」

起き上がったツナがもう1度蹴られる。

「あいつを除いて全員集まってるからさっさとツナの部屋に行くぞ」

そう言ってリボーンは階段を上がっていく。

「大丈夫か、ツナ」

山本がツナを引っ張り起こす、

「ありがとう、山本」

「気にすんな。俺達も早く上がろうぜ」

ツナと山本も家に入り階段を上がっていく。部屋にはリボーンも合わせて5人いる。……うち2人は何故か寝込んでいた。

「………獄寺、先輩。一体どうしたんすか?」

寝込んでいるのはボンゴレ嵐の守護者の獄寺隼人とフェアリーテイルの魔導士でボンゴレ晴の守護者の笹川了平だった。

「うるせぇよ、山本。こっちにも色々あるんだ……」

「きょ、極限に……へっちゃらだ」

山本に言い返す獄寺と了平。

「俺達、朝から仕事行ってたんだけどさ」

ツナが寝込んでる2人を見ながら説明を始めだす。

「その依頼が『幻の珍味、羽魚を釣れ!』って依頼があったんだ。お腹も空いてたしこれでいいやって思って俺達3人で受けたんだ」

「へぇ……それで?」

「うん。その羽魚を釣ること自体はそんな時間はかからなくて、その後、依頼人に調理してもらったんだけど……」

ツナは1度言葉を詰まらせる。

「正直言ってあれは食えるもんじゃないほどに不味かったんだ」

「ツナがそこまで落ち込んで言うほど不味かったのか……」

「ただ、獄寺君とお兄さんは羽魚が口にあったんだろうね。俺達が釣った魚合計40匹を2人で全部食べちゃったんだ」

「……つまり、これはただの腹痛ってことか?」

ツナは頷く。山本はもう1度2人を見る。2人は腹痛で今だに苦しんでる。

「なんつうーか、ドンマイだな」

苦しんでる2人に今度は部屋にいた小さい牛見たいな奴が近づく。

「ぎゃはは!やい、アホ寺!俺っちと遊ぶんだもんね!」

そう言って何かの細い棒で獄寺をつつく。

「てめぇ、アホ牛…いつか、絶対殺す」

「べー、やってみろだもんね!」

アホ牛…ではなく、ランボ。ボンゴレ雷の守護者で殺し屋とも言われている。年齢は5歳だが……

そして最後に……

「ボス……」

「あっ、クロームも来てくれてありがとう。犬とかに怒られなかった?」

「少し……でも、大丈夫だと思う」

クローム髑髏。フェアリーテイル所属の魔導士でボンゴレ霧の守護者代理として活動している魔導士。

「とりあえずこれで雲雀以外は全員揃ったな」

リボーンがツナの机の上に乗りそう言う。

雲雀恭弥。フェアリーテイルS級魔道士でボンゴレ雲の守護者。フェアリーテイル最強候補の1人である。

「うん。雲雀さんがどこ探しても見当たらなかった」

「じゅ、10代目。雲雀の野郎は……ジジィと一緒に……定例会に行きましたよ」

獄寺が腹痛で苦しみながらも言う。

「えぇ!?あの群れる事を嫌う雲雀さんが!!」

「はい。何かジジィに無理矢理…」

「じゃあ仕方ねえな。この6人で話を進めるか」

リボーンの表情が変わって真剣な表情になる。

「実は今日9代目からラクリマから通じて連絡があってな」

「きゅ、9代目!?」

ボンゴレ9代目。初代のジョットから続いてきたボンゴレファミリーのボス。ちなみにツナは10代目候補だ。

「でも、どうして……」

「9代目からの仕事の依頼だ。お前達は『ララバイ』って魔法を知ってるか?」

「ララバイ?」

聞いた事のない魔法に聞き直すツナ。ツナが他の5人を見るとみんな知らないという感じで首を横に振る。

「ララバイって言うのは禁止されてる魔法、『呪殺』の1つでな」

呪殺。その名の通り対象者に呪い。
死を与える黒魔法のこと。

「だが、そのララバイって言うのはもっと恐ろしい魔法らしく、その笛の音色聞いた者全てを呪殺する『集団呪殺魔法』って言うらしいんだ」

「集団呪殺魔法!!?」

ツナが驚きいきなり立ち上がる。

「そんな危ない物なら封印とかされてるんじゃないのかよ!」

「仕事だって言っただろ。ツナの言う通りララバイは封印されていた。だが、9代目が言うにその封印は今日の朝に何者かが解いてしまったらしい」

「そんな………」

「小僧、俺達はどうしたらいいんだ?」

「9代目が言うには明日には盗んだ奴の身元がわかるはずと言っていた。お前達の仕事その犯人とララバイの回収だ」

「無理だよ!そんな封印を解く相手に俺が敵うわけがないよ!!」

「泣き言言ってんじゃねぇ。お前が
動かなきゃたくさんの人が死ぬことになるかもしれねぇんだぞ。お前はそれでもいいのか?」

「つっ………」

リボーンに言われて下を向いて黙る。

「ただ、いつものようにランボは頼りになんねぇし、獄寺と了平はこの調子だ。まともに動けんのはツナと山本とクロームだけだ。厳しい戦いになるかもしんねぇな」

「リボーンさん……俺なら大丈夫っす」

「そうだぞ…こんなもの極限に……直してやる」

2人が立ち上がろうとする。

ぎゅるるる

「やべっ、腹が……10代目、トイレお借りします」

「待て、タコヘッド。俺が先だ」

2人は苦しみながらも部屋を出て行った。

(あの2人頼りねぇ!!)

ツナが心の中で叫ぶ。

「なっ。明日までにあの2人が治れば大丈夫だが、それはおそらく不可能に近いだろ」

リボーンがツナ達を見て言う。

「話はそんだけだ。明日、この家に集合な」

それだけ言うとリボーンは自分がいつも寝てるハンモックの上に寝転んだ。

「んじゃ、俺は寝るから」

「おい、待てよ!リボーン」

「スピー……スピー……」

「本当に寝ちまいやがった……」

「何かとんでもない事になっちまったな」

山本がジュースを飲みながら言う。

「本当だよ。そんな封印解ける魔道士なんて中々いないはずなのに……そんな魔道士の相手を俺達がするなんて……」

「心配すんな。俺やクロームだっているんだからよ」

「うん。私も頑張るから……」

山本とクロームがツナを励ます。

「ありがとう、2人とも」










「あ、もうこんな時間だ。クロームはそろそろ帰った方がいいんじゃないの?」

しばらく喋っていると夕方くらいになっていた。

「うん。じゃあ私はそろそろ帰るね」

「あ、送ってくよ。ごめん、山本。
3人の世話を任せてもいいかな?」

「おう、任せてとけ」

ツナとクロームは家を出てしばらく歩く。

(話すことが何も思いつかねぇ!)

「ボス……どうしたの?」

「いやいや、なんでもないよ!」

「……そういえば、クロームって本名がクローム髑髏なの?最初に名前を聞いていた時から少し気になっていたんだけど……」

ツナがあははと少し笑いながら聞くとクロームはいきなり立ち止まった。

「あれ?クローム……?」

「ボスには……いつか私の名前を言える時が来ると思うから。また、その時が来れば話すと思う」

「……そっか。じゃあその時をゆっくり待つよ」

ツナがそう返すと2人はまたしばらく歩いて行った。

「ボス、もうこの辺で大丈夫だから」

「そう?じゃあここで。明日はよろしく頼むね」

「うん。それじゃ……」

お互いに手を振りあって2人は別れた。

「さてと……明日のために今日はゆっくり寝ないとな」

そう言ってツナは自分の家へと戻って行った。 
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