dark of exorcist ~穢れた聖職者~
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第16話「クリス・フランペア 不意打ち」
前書き
投稿遅れてすみません。
忙しい時期に差し掛かり、投稿する時間が……
本当にすみませんm(__)m
―――深夜 1:14
―――【廃ビル・屋上】
クリスとフランは、廃ビルの屋上で悪魔を待ち伏せていた。
廃ビルの屋上から見えるニューヨークは、深夜にも関わらず明るかった。
「もうこんな時間なのに、電飾とか車のライトで随分明るいんですね」
「そうだねぇ~、これだけ明るければ悪魔も見つけやすいねぇ~」
屋上まで光は届かないものの、ビルの無い場所は薄明るい。ビルの上で何かが動けば気が付く。
クリスとフランの2人は、悪魔に感知されないように、身を屈めて屋上で待機していた。
待機しつつ、常に周囲を見回し、警戒する。
その時
「!? ……………フランさん」
「見えたよぉ~」
ビルからビルの間を、何かが飛び越えた。
一瞬だったが、それは筋肉質の人間のようにも見えた。
しかし、人間がビルからビルへ飛べるはずがない。
「今回のターゲットの"バフォメット"である可能性が高いですね」
「う~ん、だとしたら連れのゴブリンはどこかなぁ~?」
クリスとフランが様子を探っていると………
とあるビルの屋上に、山羊の頭で筋肉質な化け物が降り立った。
その姿を見た瞬間、クリスとフランは身を屈めた状態から一気に立ち上がる。
「確定です。相手は"バフォメット"で間違いありません」
「さて、Let's お仕事~♪」
「オオォォォオォオオォォ……………」
山羊頭で筋肉質の悪魔"バフォメット"は、山羊の口から不気味な唸りと蒸気を上げていた。
そしてその周りには、取り巻きのゴブリンが3体。
「不意打ち失礼します」
ゴキャッ メキメキ
バフォメットの前に突然現れたクリスが、バフォメットの顔を殴り潰した。
殴られたバフォメットは派手に吹き飛び、そのままビルのフェンスに叩きつけられた。
「グゥッ………!?」
バフォメットがクリスの方を見ると………クリスの後ろのビル。その屋上から土煙が見えた。
そのビルは、さっきまでクリスとフランがいた廃ビルだ。
クリスは廃ビルからバフォメットのいるビルまで"飛んだ"のだ。
細胞・筋肉の構造が悪魔に近い"フォールマン"だからこそ出来た行動。
「あぁ、痛てて………着地のこと考えておけばよかった……」
クリスはバフォメットを殴った直後、受け身を上手くとれず肩から落ちた。
普通の人間なら間違いなく骨折か脱臼する勢いで。
しかし、フォールマンであるクリスは「痛てて……」で済んだ。
「グオォォォオォオオォオォ……………」
眼、口、そして全身から蒸気を上げてゆっくりと立ち上がった。
「…………顔を潰したはずですが……」
クリスの一撃を真正面から受け、潰れたはずのバフォメットの顔は、元に戻っていた。
口や鼻から血を垂らし、左の眼球が潰れている以外は、殴られる前の状態に戻っている。
「(下位の悪魔でも、強力になれば再生能力も違ってくるんでしょうか……)」
そんなことを考えていると、突然バフォメットが走り出した。
「オオォォォォォォオオォオオオォオ!!!」
それと同時に、取り巻きのゴブリン達もクリスに向かって走り出した。
「全員で来ますか………ほら、こっちです………よ!!」
クリスは即座に廃ビルの方に振り向き、再び飛んだ。
それを見たバフォメットとゴブリン達も、一斉に廃ビルに向かって跳躍した。
「ん? 来たねぇ~」
廃ビルにいたフランが見たのは、こちらに飛んでくるクリスと悪魔達。
「さぁさぁ、いつでもいらっしゃ~い♪」
フランは完全に臨戦態勢に入っているが、フランの手には武器が握られていない。
にも関わらず、フランは身構えている。
「……………っと! フランさん、来ますよ!!」
クリスがフランの真横に着地した。
そしてすぐにクリスを追って飛んできた悪魔達が見えた。
バフォメットはフランを殴り潰そうと拳を構えている。
バフォメットが着地し、フランに殴りかかり…………
ベシャッ
バフォメットの拳が切り落とされた。
「グウゥッ!?」
「わたしに不用意に触ろうとするからこうなるのさぁ~」
フランの大きめな黒服の袖からは、袖とほぼ同じサイズの刃が出ていた。
フランの武器は服の袖に隠した"仕込み刃"だった。
「相変わらず鮮やかな不意打ちですね」
「わたしは力が無いから、セコい手を使わなきゃ勝てないのだよ~」
笑いながらフランは、袖に仕込み刃をスライドさせ戻した。
「ギャハハハハァ!!」
取り巻きのゴブリン達も着地し、フランに襲いかかる。
ジャキッ
「わたしの仕込みは一つじゃないのさぁ~♪」
両腕の袖。両足のブーツの裏。
それらから仕込み刃を出し、向かってきたゴブリン達をまるで舞うように切り刻んだ。
「♪ ~♪ ♪♪♪~」
フランは上機嫌でバレエに近い踊りを舞いながら歌っていた。
そんなフランの足元には、切り刻まれたゴブリンの死骸。そして血の海。
クリスが見ても異様な光景だった。
「(…………よく、血の海の真ん中で踊れますね)」
「さて、残りは~…………」
「…………手負いとは言え、油断は禁物です」
片腕を失ったバフォメットが、眼や口から蒸気を発しながら歩み寄ってくる。
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