ロザリオとバンパイア 時空の狭間で
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第9話 覚醒と死
「ど、どうなっているのこれ……? なんでお母さんが血だらけなの?」
戦いのさ中なぜか、モカがそこにいた
「!」
この場に聞こえるはずのない声の主がそこにいた
「モカ…」
「ちっ!あの馬鹿!」
「どうして戻ってきたの!? 来ちゃだめっ!」
苦虫を噛み潰す俺を余所に、アカーシャが叫ぶ。
「なんなのこれ! もしかして、姉さんがやったの!? ひどいよ!」
モカの一言に天を仰ぎ苦悩の表情を見せる亞愛。
「お母さん!」
母の元に駆け寄るモカ、俺もそちらに向かおうした、その時。
「――!? 兄さんっ!!」
鈍い音を立てて、血塗れの手が俺の胸を貫く
「な? な…に?」
背後には亞愛が しかも気配を消して… あのときのように
「ミナトは自分であの目を引っ込めた なら気配すら消せばなんとかなるってね」
油断した
偉そうに言ったおれだが背中を簡単に見せた俺もまだまだだな
いてぇ… 痛すぎる… くっ 意識が
ちゃんと、あいつらに仲直りしてほしかったな
今にも泣きそうな顔で表情を歪ませている亞愛が小さく呟いた。
「さよなら… ミナト…」
首を手刀で切断される。胴体から離れた首が床に落下した。
「ミナトっ!」
「「ミナトォーーーーー!!」」
切られてもちゃんときこえるんだな…
アカーシャ、モカ、美優がかけよる
兄さんの首が目の前で斬り落とされた。あまりの現実に私の脳が認識を拒むが、視界に映る光景はこれが現実だと突きつけてくる。
「ミナ….…ト… ミナ、ト」
隣では母さんと美優姉さんが涙を流しながら兄のようにしたっていた名前を口にしていた。
震える足で兄さんの元に近づくと、亞愛姉さんが目の前に立ち塞がる。
「こないでモカ… 見ない方がいい…」
涙を流しながら震える私を姉さんは目を逸らしながら口を開いた
「……なんで……どうして…………」
涙を流しながら震える私を姉さんは目を逸らしながら口を開いた。
「ごめんね、これが本当の私なの……。昨日見せたでしょう、地下に眠る真祖のアルカードの姿を。人間を憎み、世界を憎み、その全てを破壊することで運命に抗おうとした、哀れな吸血鬼を。私はね、その意思を継ぐアルカードの血族なのよ」
「………」
私の中で何か弾ける音がした ガラスが、割れたような
なにもかもがなくなった
こみ上げる私の感情が力を解放しようとする
私はそれに答えた 手を出したように
「…………け」
「うん?」
そこをどけぇぇえええええ――――――!!」
姉さんの側頭部に回し蹴りを叩きつける。兄さんに教わった蹴り……。
「がふっ……!?」
「ミナト……ミナ、ト…………う、うう…………うわぁぁぁあああああああああ!!!」
膨大な妖気が身体から溢れる。それに疑問を持つことなく、私はただ慟哭の悲鳴を上げた。
モカの強烈な蹴りを受けた私はふらつく足を叱咤しながら立ち上がる。
「なっ……こ、これは、なんて凄まじい妖気……っ。まるで漆黒の闇が溢れて来るかのよう――ま、まさか、あなたが真祖……!?」
真祖は遺伝ではない… なぜ?モカが?
アカーシャさんも驚いた顔で萌香を見つめているけど、それは萌香が真祖ということに対してではなく、ここで発現したことに対してのようだ。
ミナトの首を抱きしめたモカは悲しみの悲鳴を叫びながら泣さじゃくる
そのとき、凄まじい地鳴りが私たちをおそった
「なに?地震?」
凄まじい揺れが屋敷を襲い、壁に亀裂が窓が割れて行く
「どうしてだ…姉さん…」
「モカ……」
そっとミナトの首を床に置いたモカは幽鬼のように覚束ない足取りで歩み寄ると、次の瞬間には私の目の前に立っていた。
足取りとは裏腹に表情は悲しみと怒りに満ちた鬼のような顔
「どうしてミナトを殺したぁあああああ――――――ッッ!!」
「くぅっ」
紙一重でモカの拳を回避する。分厚い城壁が一撃で粉々に砕けた。
「この力、やはり真祖の……!」
しかしなぜ?アカーシャ(母さん)の血は遺伝しても、真祖はしないはず…
なのに… なぜモカが? まさか限界を超え覚醒した?
再び凄まじい揺れが襲ってくる。まるで、強大な生き物が地下で蠢いているような。
その時、足元にピシッと罅が入る音がすると、轟音を立てて床が崩れた。
「なっ?なんなの?これは」
足元にヒビがはいり、床はもろくも崩れる
床から――いや、屋敷の地下から巨大な触手のようなものが何本も現れ、館を破壊する。衝撃の余波により、私たちは家の外へ吹き飛ばされた。
幸い瓦礫に埋もれることも傷を負うことも無かった。視線の先にはいくつもの触手がウヨウヨとうねっている。
「あ、アルカード……? まさか生きていたなんて……」
――これは完全に予想外だ。モカが真祖の血に目覚めたから? 限界覚醒にしてはおかしい…まるで二つが同調しているかのよう……。一体何が起きているというの……?
「う……うぅ……」
モカのすすり泣く声が聞こえた。慌てて顔を上げると、視線の先には巨大な掌の上に触手によって雁字搦めにされたモカの姿があった。
「モカ!」
咄嗟に叫び私はかけよった
だがその瞬間新たな真祖の力をかんじた アカーシャではない妖気…
まさか
「返せ…」
「美優?」
「妹を返せぇぇーーーーー!!」
美優が、遺伝とも同調ともない覚醒をした
そのまま突進し暴れている妹
その瞬間にも私を襲う触手
次元刀で難を逃れるがたちまち再生する
こいつ…!
拉致があかない!そう思ったとき
横から襲ってきた職種が爆散した
「気を付けて亞愛。この触手に掴まると血も肉もアルカードに吸収されるわ」
「母さん?」
私を助けたのは私が殺そうとした真祖、母だった
「なぜ…わたしを?」
私は腹に一物を抱えてあなたたちに近づいたのに、何故助ける? ミナトを殺した私を…
「――あなたがミナトを手に掛けたことは、今は何も言わないわ。これが終わったら、ちゃんと話し合いましょう」
そう言って歩み寄ったアカーシャさんは私を正面から抱きしめた。
「さっきはごめんなさい。あなたのことをちゃんと受け止めてあげられなくて……」
信じられない… あんなことした私を許すと…?
愕然とした気持ちで動けないでいると、アカーシャさんはそのまま言葉を続けた。
「二百年の眠りでアイツは腹を空かせているわ。下手に妖気を出すと餌として認識されてしまう、モカのようにね。このままだとモカがアルカードに吸収される、同調してないとはいえ、美優もあぶないわ、今は協力し合いましょう」
抱擁を解いたアカーシャさんは捕らわれた萌香を見上げる。
「待ってなさいモカ、今助けてあげるわ 、美優あなたは下がりなさい!」
「母さん…!」
その言葉に美優は動きはとまりひとまずさがる
「おかぁさん……!」
泣きそうな声のモカ。そんな妹の首筋に無情にも触手が喰らいついた。
――萌香の血を吸っている? いけない……っ!
「モカ!!」
バチチチチチチチ!!
「な?」
娘の名前を叫び駆け出した瞬間、モカの居る場所が
雷鳴が轟き、そこにある人がモカをかかえていた
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