戦国異伝
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第百五十九話 巨寺その十二
「目立つしのう」
「だからあの者達はですか」
「はぐれじゃ」
それになるというのだ。
「忍の中のはぐれ者達じゃ」
「それがあの者達ですか」
「大きい、あの者達がおるのはな」
雑賀はここでは守護を話に入れなかった、しかしすぐにこう言い加えた。
「織田家にとってな」
「織田家は多くの人材がいますが」
「あの者達もですか」
「その人材のうちだと」
「そう仰るのですか」
「そうじゃ」
その通りだというのだ。
「織田家に人は多いがな」
「ですか、ではあの者達が出てくれば」
「その時は」
「滝川一益もおる」
甲賀を束ね今は織田家の重臣であるその者もだというのだ。
「だからじゃ。忍との戦もじゃ」
「考えてですか」
「今は」
「うむ、戦うのじゃ」
そうしろというのだ。
「よいな。そして勝てぬとわかれば」
「その時はですな」
「我等は」
「退くのじゃ」
そうするというのだ。
「よいな」
「ですな、紀伊まで」
「そうしましょうぞ」
「最悪の場合は」
その場合はというと。
「紀伊にもおられなくなったらな」
「その時はですな」
「海からですな」
「石山に入りますか」
「そうしますか」
「うむ、海もな」
そこはというと。
「織田家の水軍に固められておるがな」
「そこは何とかですね」
「夜の闇に紛れて」
「そうして」
「そうじゃ、そうしてじゃ」
何とかというのだ。
「石山に入るぞ」
「わかりました、では」
「そうしてですな」
「最悪の時も」
「石山に入り」
そうして戦うというのだった、雑賀はこのことまで決めてだった。
天王寺の砦を攻めるのだった、早速鉄砲隊が前に出てそのうえで砦を攻めんとする。雑賀もその鉄砲を出す。
だがここでだ、砦の扉が開き。
長可が原田と共に兵を率いて出る、原田は長可に言う。
「では今からじゃな」
「はい、ここぞとばかりにです」
長可もここで言う。
「攻めましょうぞ」
「そうじゃな、そうすればな」
「砦を攻める動きが弱まります」
それが邪魔されてだ。
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