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インフィニット・ストラトス 自由の翼

作者:ren sagiri
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春奈、庶務就任……です。

○Noside

セシリアと一夏の試合から遡ること5時間前。

ここはRCI(リボンズ・クリス・インダストリー)が社長室に幹部役員の青年が飛び込んできた。

「社長!一大事です!」

IS界のレタスヘッド(もしくはキャベツ)ことリボンズは役員に鋭い視線を浴びせる。

「騒々しいよ。少し落ち着いたらどうだい?」

「余裕かましてる場合でじゃあないですよ![G]に侵入者が!」

「システム中枢に侵入したのかい?」

「ファイアウォールは壊滅状態です!現在もアドレスの逆探知をしていますが全世界サーバーを経由していて尻尾が掴めませんっ!」

「……強固なあれを突破するとはね。いいだろう。僕が直々に指示を出す。第3会議室にできるだけオペレーターを集めてくれるかい?」

「分かりました!失礼します!」

幹部はドアを蹴破る勢いで社長室から飛び出していった。

「……やれやれ。君はそうまでして世界に混乱と破壊を呼び込みたいのかい?―――ル・コボル!」

椅子を反転させてリボンズは高層ビルから見える晴々と蒼い空の先を鋭く睨めつける。

その瞳は正確に[敵]を見据えて離さない。

「リボくん。どうかしたのかな?」

「篠ノ之束かい?今日はどいう用件だい?此方は取り込み中で忙しいんだけどね。」

半開きの社長室のドアからひょっこりと顔を出す束。

リボンズはデスクに向き直ると端末から投影ディスプレイと投影キーボードを呼び出す。

ボードに指を走らせながら特注の端末も脳量子波を使って起動する。

次々とプランを上げてファイアウォールを強化、更新するリボンズの手腕は束に匹敵する。

束もその処理速度に少しだけ驚いた。

「……また例のやつ?」

「クソッ!電脳生命体風情が!……篠ノ之束、僕も非常に不本意ではあるがプロテクトシーケンスの作成を手伝ってくれないかい?」

「いいよ~。素直なリボくんの頼みとあれば束さんも手伝ってあげちゃいまーす。ぶいぶい♪」

無邪気な束の笑顔に脱力しつつリボンズは端末の回線をアンロックする。

「チャンネルは509だよ。」

「ほいほーい。……む?回線から引き上げて行ってるみたいだけど?」

「なに?……ッ!こっ、これはまずいぞっ!」

普段とは違うリボンズの様子に驚きながらも束はダウンロードされていくファイルの名称と一部をスキャニングする。

「ファイル名[ニューロ/アリー・アル・サーシェス][アルケーガンダム設計書][GNドライヴτ構造と設計書]……その他諸々―――1200ファイル?」

「それらが流出したら大変なことになってしまう!ニューロとτのデータだけでも……!」

ボムッと煙を上げるリボンズの端末。それと同時に脳量子波制御の端末も煙を上げる。

「ぐあぁぁぁぁ!あ、頭が……割れ……ぐ―――。」

「りっリボくん!?って!?ギュムウ~―――」

突如、リボンズが頭を抱えながら暴れてデスクを蹴っ飛ばし床にのたうち回る。

束も蹴り飛ばされた机の下敷きになった時に後頭部を強打して―――2人はほぼ同じタイミングで気絶したのであった。




○side???

[ワレノ道ヲハバムナ……]

電脳から引き下がる彼の手には膨大なデータが握られている。

不正アクセスの実行犯はRCIサーバーの深部からの離脱に成功した。

彼が脳量子波制御の端末を攻撃した際にリボンズの脳波は干渉されて頭の割れそうな激痛を引き起こしたのだ。

[モロイナ……。イノベイドナドコノ程度カ。]

彼は[G]―――ジェネレーションシステムから奪った[悪意のニューロ]が欠けていないかを確認した。

悪意のニューロは彼の手駒、兵士へとなりうる存在であるのだ。

[ワレガ悲願ノ成就ニマタヒトツ近ヅケタ。……[欠片]モ十分ニ集マッタ。……[クリスタルハート]ヲウチクダクタメノ[クリシュナ]ハ何処ニアル……?]

彼は探し求める。

―――自らの体を取り戻すために。

[……探セバイイダケカ。]

その言葉を最後に彼は電脳から忽然と姿を消した。




○side春奈

「……はぁ……はぁ―――死ぬかと思いました。笑い死にですけど!」

「あははっ。春菜ちゃんって可愛い反応するわねぇ。」

私をくすぐって満足したのかとてもいい笑顔の楯無さん。対する私は息も絶え絶えに文句を言うクタクタな私……どうしてこうなった。―――ですよ。

胸元は軽くはだけてスカートも絶対領域?が丸見えもよろしく少々捲れています。

とりあえず弱々しいポーズで―――想像は任せます。by作者

「モウ、オヨメニイケナイ(棒)」

「棒読みで言われても説得力無いわよ?て、地の文……あれでいいの?」

……ごもっともです。あとメタには触れません。

私は乱れた着衣を整えてベットに腰掛ける楯無さんに向き直ります。

相変わらずニコニコとしていて何を考えているのかがわからない人……人に自分が見えないようにしている女性ですね。

因みにカスタム可能なIS学園の制服。私の制服は肩と袖が切り離されていてそれをツイスト・ナノケプラーと言う極細の繊維で軽くとめて肩が見えるようになってます。

いわゆる肩出しルックですね。スカートは股下5センチのミニスカートに黒のニーソックスを合わせています。

靴は焦げ茶のブーツですね。

腰にはカスタマイザー[RCI社製・投影ディスプレイ/投影キー搭載携帯端末]を提げています。

この格好で通学してます。寮から50メートルない距離で通学というのもおかしい気もしますが。

私の容姿は精霊の十香にそっくりで髪の長さも同じ位です。黒い髪と言うより闇色の髪ですから特異な目でよく見られがちですね。

長さも腰近くまであるので頭頂部から赤いリボンで結っています。

髪型だけSAOのアスナみたいな感じですね。そろそろ呼吸も落ち着いてきましたし用件を聞きましょうか。

「―――ふぅ。で、楯無さん。なんの要件でしたっけ?」

急須で淹れた緑茶(玉露)をそっと差し出します。楯無さんは「どうも」と一言。

「温すぎず熱すぎず。いい仕事するわね~。これは玉露ね?」

飲んでからそう言ってくる楯無さん。まぁ悪い気はしませんが。

「お茶は好きですからね。紅茶もいいですが日本人たるもの緑茶が一番なのです。」

「淹れ方も様になってるし春菜ちゃんを嫁に迎える男子は幸せだろうね~美人で性格もいいというのもなんかずるいね。」

「楯無さんがそれをいいますか。説得力無いですよ?」

「あはっバレちゃった?」

……それから少し和菓子とお茶を肴に会話をしていたらいつの間にか夕暮れとなっていました。

「あら?もうこんな時間。そろそろ戻らないと虚にお小言貰っちゃうわね。」

「……あ、生徒会のお仕事ですか?」

「そうなの。……あ、今思い出した。私の用件。」

「忘れてたの!?」なんて言えません。

「用件て……なんでしょう?」

「春菜ちゃん。生徒会(うち)のメンバーにならない?」

……メンバー勧誘ですか。確かに生徒会はまだ規定の人数の上限5人が揃っていないと聞いていましたし。どこぞのめだかボックスだ。

「私でいいんですか?」

「借りをチャラにできるよ?もちろんそれなりの待遇もさせてもらうし。どうかな?」

「分かりました。引き受けましょう。借りを返せるのなら喜んで。」

借りとは一夏の特訓に付き合ってもらったことです。と言っても私が一夏の特訓を見ている時に楯無さんはひょっこり現れた人でした。

この人のアドバイスに従って一夏を鍛えたらセシリアを圧倒するほどの急成長です。ホントに驚きました。

しかし、原作との差異がどこまで起こっているのかが分からないハンデ。―――やっぱり手探りで行くしかないのかなぁ?……まぁ今考えても仕方ない気もしますが。

「じゃあ、春菜ちゃんには庶務を頼むわね。」

「了解です。」

まさかの善吉ポジション……あんな濃い面々じゃないか。

「明日の放課後にでも生徒会に来てくれる?」

「場所はどこに?」

「後で端末にデータ送っとくから。迷子にはならないわよね?」

「なりません!」

「あはははっ、じゃあ明日ね。お邪魔しました。」

そう言って楯無さんはバッと扇子を開き口元を隠します。[同盟]と達筆な文字。どうやって変えてるんだろ?

颯爽と去っていく姿を少し見送って私も部屋にに戻りました。

生徒会……杞憂であってほしい。球磨川禊みたいな人がいるとは思えませんが。




○Noside

「くっ……やつめ……やってくれたね……。」

気がついたリボンズは起きるなりそう呟いた。

「リボくん、どったの?いきなり荒ぶるなんてらしくないよ?」

リボンズよりも先に意識を取り戻していた束は彼を心配したのかいつになく真剣な表情である。

「……そんなことより流出してしまったデータの方が気がかりだよ。」

「……途中で幾つかのファイルを落としていったみたいだね。それと、ファイルの一部がコアネットワークに紛れ込んじゃったみたいだよ?」

「……マズイな。……それは非常にまずいよ篠ノ之束。ISに悪意のニューロがとり憑くと……」

「それはないね。ISの深層意識に入り込むことができるのは操縦者だけだからね。」

「ISがニューロを取り込めばどうなる?」

「束さんにもわからないね~。月であれを見つけた時に実験したほうが良かったかもねぇ。」

「……嫌な予感がするが、気にしてもいられないか。そう言えば今日の用件はなんだったんだい?」

それを聞いた束は思いだしたかのように用件を口にする。

「天災の束さんはついにやっちゃったぜ♪」

「字が間違ってるよ。」

「リボくん。地の文を読まないでよ~」

「メタ発言ヤメロ。面倒だよ。」

「それもそうだね。束さん、GNドライヴを作っちゃったよ。作り出しちゃったよ。」

「……ゑ?」

「ツインドライヴも2基の同調に成功。安定領域まで行けたけど今の状態じゃあTRANS-AMは無理。支援サポートメカがいるよ~。開発に着手はしてるけどね。」

そう言いながら束はデータチップをリボンズに渡す。

「君はほんとに……天災だね。」

「むふふ。束さんに不可能はないのだよリボくん!と言うわけで天地くんに専用機として作ったOOを渡しといてね。」

「七ノ瀬天地だったね。敷地内でトレーニング中だろうから後で渡しておくよ。」

「束さんが拾ったもう一人(・・・・)の男性IS操縦者だしねぇ。」

そう言いながらエプロンのポケットから仄かに輝く緑色の結晶体をはめ込んだチョーカーをだす束。

「またひと波乱起きるかもねぇ……」

無邪気な笑みを浮かべる束は夕暮れに染まる空を高層ビルから仰いでいた。 
 

 
後書き
春奈は忙しい生徒会の業務に追われながら日常を過ごしていた。しかし、4月のこの時期に珍しい編入生の噂を聞いた春奈は―――

「七ノ瀬天地……男性操縦者?」

次回インフィニット・ストラトス 自由の翼

転校生は幼なじみともうひとりの転生者

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