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Angel Beats! the after story

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彼女が歌う希望の歌

ちょっとした騒動で一時中止した開会式だがすぐに始まった。だが、そこには俺たちの姿がなかった。

「ほんと〜〜〜は殺したいほどなんだけど、ユイたちが気絶してたおかげで音合わせの時間が迫ってきてるから、後で絞ってあげる」
ユイたちを気絶させたのはお前だろ!とは恐れ多くて言えない。

「じゃあ早速やりましょうか!ゆりっぺ先輩」

復活したユイが張り切っている。まぁ、憧れの岩沢と同じ会場ですぐ近くで演奏できるんだ気持ちは分からなくもない。

「分かったわ。そうそう、直井くんライブで邪魔が入らないように学園長に釘を刺しといて頂戴」

「何故僕がお前の……「音無くんの頼みよ」了解した!僕の権力をちらつかせよう」

政治家がこれほどまでに遠慮なく権力を使うとかダメじゃね?
「じゃあ早速始めるわよ!みんな楽器の準備よ!」

「「「おう!!」」」

えっ?TKがいないって?バックダンサーは、いらないと一同賛成したから照明係にクラスアップしたので、照明をいじっている。

みんなで音合わせを始める。

ユイはともかく、俺や日向、ゆりもこの短い期間で相当腕が上がったと思う。一応、曲も全て弾けるようになったし首尾は上々。
後は本番を残すのみ。

俺がガルデモの曲を初めて聴いたのは、オペレーショントルネードの時だったな。橋の上で、かなでに銃を構えている時に聴こえてきた『Crow Song』あんまり耳に入ってこなかったが、あとあと聴いてみて心が盛り上がる…そういう曲だった。

今、その曲を超える曲をあいつらに聴かせてやるよ!








体育館にはたくさんの生徒や一般人がひしめき合っていた。
私もあっちの世界で大勢の生徒の注目を浴びながら歌っていたから、この程度なんでもないです。

「緊張してるかユイ?」

私の彼氏のひなっち先輩が優しい笑顔で聞いてくる。毎回この人の笑顔を見ると勇気づけられます。まぁ、そう思うのは私だけかもしれませんけどね、テヘヘ。

「い〜え、逆ですよ。楽しみです。私の音楽がずっと憧れてた岩沢先輩に聴いてもらえるですから」

「そうかい、よかったなユイ」

そう言って、私の頭の上に手を乗せるひなっち先輩。少し照れますがとっても気持ちいいです。

マイクに電源が入る音が聞こえてくる。
「長らくお待たせしました。これより、特別ゲスト!Girls Dead Monsterの皆様のライブです!」

言い終わると同時に割れんばかりの歓声が鳴り響く。

今、私たちが隠れている場所はステージ脇の左側の倉庫。

タイミングを見計らって登場する手はずとのことで。

「みなさんこんにちわ!Girls Dead Monsterのボーカル&リズムギターを担当する岩沢だ!よろしく」

「同じくリードギターのひさ子だ!よろしくな!」

「同じくドラム担当の入江です!よろしくお願いします」

「同じく!ベース担当の関根です!よろしく〜」

自己紹介だけですごい歓声さすが先輩たち、ますます燃えてきます。
「じゃあ、みんな準備はいい?」

ゆりっぺ先輩の言葉にみんなが黙って頷く。
「じゃあ、オペレーションスタート!!」

暗い会場で唯一、光輝いているステージに私たちは歩みだす。




「ちょーーーとまっーーたーーー!!!」

弾き始めようとする先輩たちにストップをかける。

会場もざわつき、岩沢先輩たちも少し驚いている。

「なんで!?お前らがここに!?」
最初に声を出したのはひさ子先輩だった、

「ん?ひさ子知ってるのか?」

「え!?いや、そう!あいつらは私たちの敵!悪バンドSSSだ!」

そんな設定入れてないのに、どうしたんだろう?頭のネジが外れたのですかね?
バンド名も決めてませんでしたし、まぁ結果オーライってやつですね。

それに、先生の邪魔もこない直井先輩がうまくやったんですね。開会式の時はバカだと思いましたけど、やるときはやる人ですね。

「ふ〜ん。面白そうだね。じゃあ一丁、派手にやりますか!!」
ノリノリの岩沢先輩に反対するメンバーがでず、早速一曲目が始まった。

会場に響くは……Crow Songあっちの世界でも最初にこれを演奏して場を盛り上げる。

さすが岩沢先輩ものすごくうまい。私なんかよりも……

「シャキとしろ。お前は岩沢が消えた後、ずっと演奏してたんだ。勇気を持て!お前にならできるよ」

ひなっち先輩が背中をポンと押す。勇気を注入してもらったかのように体に力が入ってくる。

「分かりました!みなさんよろしくお願いします。」

「任せなさい」

「おう」

「やってやろうぜ」

そして、岩沢先輩たちの一曲目が終わり、私たちがすぐに演奏を始める。

私たちが弾くのは……Last Song

あんまりメジャーな曲じゃないけど、ガルデモの曲は名曲ばかりです。

そして演奏が終わり

「案外やるじゃん!楽しくなってきたよ」

岩沢先輩は満面の笑みで言う。

「私たちもです!」

それから交互に演奏し続けて、盛り上がりもピークに到達した時に

Alchemyの演奏が始まる。会場の盛り上がりが限界を超える。

本当にすごい!まるで…音が生きているみたいに私も含め、会場の人たちの心を掴んでいく。
本当に楽しそうに弾く岩沢先輩たちを見てヤキモチを焼いちゃいます。
「ふぅ〜。やっぱり楽しいね」

「ああ、久々に燃えてきたよ」

「私も楽しいです」

「私もですよ〜」
ガルデモのみんなが感想を口にする。

「まだやる?」

挑発的な言葉に私……

「上等よ!やってやるわよ!」

「そうだ!まだ負けてねぇーよ!」

「日向の言う通りだ!続けてやるよ!」

「さすがです!うぉぉとぉなぁぁしぃさん!!!」

若干一名変人が紛れてましたけど、みなさんすぐに挑発に乗るなんてバカですね。

でも、私も同じ気持ちです。やってやりますよ!!

私たちは弾き始める。

「おい、これってHot Mealか?」

「えっ?でもちょっと違くない?」

「いや、そうだろ」
会場から、色々と声が聞こえてくる。

「これって、あたしたちのHot Mealの替え歌か?」

「いいえ!!正真正銘の私の曲です!名前は……Thousand Enemiesです!!」

少し見栄を張っちゃいました。私はただ、岩沢先輩が作っていた楽譜に歌詞をつけただけでしたけど、Thousand Enemiesは歴とした私の曲です!!

「おれ、こっちの方が好きだな」

「おれは本物のほうがいいな」

会場の人たちの意見は分かれていた。多分、会場の人たちには認めてもらった……後は……



「もう、あたしたちの曲を全部弾き終わったんじゃないか?」

岩沢先輩の言うとおり、ガルデモの曲は二つのバンドによって弾き終わりました。だけど……

「そうですね……でも、もう一曲だけあります」

「初耳だな、あんたの曲か?」

「違います。あなたの曲です」
そう言って私は、ギターをしっかりと持ち直す。
ひなっち先輩やゆりっぺ先輩、音無先輩は私に全て任せると言っているように、楽器をその場に置いていた。照明係のTK先輩は私に照明をすべて向けてくれている。

「聴いてください……」

バンドの練習を始める前にゆりっぺ先輩に言われていた、私に弾かせたい曲。
その曲はこの世界でCD化もされてない、歌っていた本人さえも今は知らない曲。でも、私たちの記憶には焼き付いているその曲は……


「My Song」



私が死後の世界に来た時、死んだのに生きているということよりも体が自分の思うがままに動かせることができる。その嬉しさでいっぱいでした。

ゆりっぺ先輩たちが言っているNPCの生徒さんたちと楽しい日常を過ごしてましたけど、時が流れるに連れて刺激がなくなってきました。そんな時です、私が岩沢先輩、ガルデモに出会ったのは……

同じ女子学生には思えないほどの力強い演奏、頭にに流れ込んでくる歌詞、心が掴まれるような歌声、すべてが刺激的で一瞬でファンになって、その日から岩沢先輩たちガルデモが所属しているSSSという戦線に入って、憧れの岩沢先輩のガルデモに入るために毎日の雑用をこなしつつ、これまでガルデモが演奏した曲の歌詞と楽譜を必死で覚えました。

ギターを手に入れるために何度もギルドにお願いしました。10回を越えたあたりにギルドのリーダーのチャーさんが私のためにギターを作ってくれて、練習ができるようになりました。

そこから、時間が経ってようやく岩沢先輩に追いつけると思いましたが、私の尊敬するそして目標としていた岩沢先輩が突然消えました……

最初は何が起きたか分かりませんでした。現実を受け入れた時には、ギターを私は手放していました。
ただ何もしないでボ〜〜としている日々が数日続いた時に、頭に一曲の歌が流れてきたんです。そう、岩沢先輩が最後に歌ったバラードが……
あの曲はガルデモ初のバラードで頭に鮮明に焼き付いてました。

その歌から私はもう一度立ち上がる勇気をもらいました。そして、念願のガルデモにも入れました。

だから……今度は私があなたに、岩沢先輩にその恩返しを……





会場は物音一つしない静かな空間。ひなっち先輩たちは温かく見守っていて、ひさ子先輩たちは目が潤んでました。
まるで、岩沢先輩が消えたあの日を思い出しているかのように……

そして、岩沢先輩はまばたきすらしないで、必死に私の演奏を全身で聴くように動いてませんでした。

「だから手を伸ばすよ……」

歌も二番のサビにろうとしたところで….プツーンと嫌な音が静かな空間に響き渡る。

「弦が……切れ……た…」

突然の事態で私はパニックになる。
どうしよどうしよどうしよどうしよ!?!?!?!?

そんな時……
「挫けた君にはもう一度戦える強さと自信とこの歌を……」

中断された歌の続きが歌われる。

声の主の方を見るとギター持ち、優しい笑顔を私に向けている。感謝しているかのように……

「い……わ….さわ…….せん….ぱい…」

まるで私に語りかけるように、歌の続きを歌う岩沢先輩。そのおかげでパニックも治り、ギターがないまま岩沢先輩と歌う。

「「落とした涙がこう言うよこんなにも汚れて醜い世界で出会えた奇跡に……」」

この歌を私と岩沢先輩はガルデモ、ひなっち先輩たち戦線メンバーにすべての思いを伝えるように……
自分たちが一番伝えたかったことを伝えるように、優しく、力強く、歌に合わせて言葉にする。

「「ありがとう」」



歌い終わると会場からの盛大な拍手が起こる。

そんな中、私と岩沢先輩はお互い向き合う。

「あんたがあたしが消えた後のガルデモのボーカルかい?」

「はい!そうです」

「やっぱりね…あたしも、うかうかしてられないな、こんなすごいモンスターが現れていたなんてな。ユイって言ったけ?あんたがガルデモを継いでくれてよかったよ」

その言葉だけで、今までの努力が報われた気がした。

憧れの岩沢先輩に認めてもらった、それだけで満足です。

「ゆりっぺたちもありがとう」

ゆりっぺ先輩たちは安堵の息を漏らしながら

「記憶が戻ったのね。よかったわ」

「礼なんていらないからな」

「そうだぜ、俺たち戦線の仲だろ」

岩沢先輩の記憶が戻った後……

「おい、岩沢!この声が聞こえないのか?」

「そうですよ岩沢先輩。ものすごいです」

「みゆきちの言う通りですよ!このデカさは!」

ひさ子先輩たちの意味が分かった。

会場はアンコールの嵐だった。誰もが私たちの演奏に感動して、アンコールに答えない限り止みそうにもないほどだった。

「日向たちも準備しろよ」

「ユイちゃん、切れた弦、直しといたよ」

「はやくはやく!」

アンコールに答える気満々のひさ子先輩たち。あれ?なんで私たちの名前を?

「ひさ子先輩たち記憶g……」

言い切る前に岩沢先輩に声をかけられる。

「今は、細かいことはどうでもいいだろ。ファンのアンコールにも全力で答えるのがガルデモの役目だろ?」

どうでもよくないんですけど、まぁ今はこの時間を全力で楽しみます。

「分かりました!!ゆりっぺ先輩たちもラストのラストまで頑張りますよ!!」

「「いくぞ!!」」

「「「「「「おう!!!!」」」」」」



その日のライブ……

暗闇の中からの希望照らす光の歌を私たちは観客に届けた。


 
 

 
後書き
ようやく、岩沢先輩の記憶が!!戻った!!やったーー!!
今回はガルデモの歌の歌詞を少し使いましたが歌が分からない方はネットで調べてくださいね。ちなみに、歌詞が出てきた歌はMy SongとCrow Song(ラストのほう)です。次回は音無くんと誰かとのムフフです!!誰にするかって?そんなの決まってるじゃないですか!!次回をお楽しみに!
では、あらためまして読んでくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いしまします。
(意見・感想・評価おねがいします) 
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