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インフィニット・ストラトス 自由の翼

作者:ren sagiri
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クラス代表決定戦 前編……です。

 
前書き
前後話になってしまった……でも悔いはないぞ。 

 
○Aピットside

「いよいよだな。」

「うん、そうだね。」

「織斑くん。カタパルトの準備が出来ました。」

「了解です。」

一夏はピットのカタパルトに脚部を固定して待機する。

彼のハイパーセンサーには明確に[敵]が見えていた。

「箒、春奈。」

「うん。」

「勝ってこい!」

「ああ。―――やってやるぜ!」

『進路クリア。発進どうぞ。』

「織斑一夏。白式、でる!」

二人の期待と後押しを胸に、一夏はカタパルトを起動してアリーナに飛び立った。




○Noside

「まずは、逃げなかったことを褒めて差し上げますわ。」

悠々として目の前に浮遊する対戦相手のセシリアは左手に長大な銃を握っている。

一夏が意識すると白式がその武器―――特殊レーザーライフル[スターライトMk.Ⅲ]の性能などのデータを表示する。

「逃げて舐められるのは癪だからな。」

「ふん、余裕ですわね。―――貴方に最後のチャンスをあげますわ。」

「……チャンスだと?」

セシリアは余裕の笑みを浮かべて腰に手を当てていた右手で一夏を指差しながら挑発する。

「このまま戦えば貴方にはボロボロの敗北が待っているだけ。そんな醜態を晒す前にわたくしに謝罪すれば今回の事はなかったことにしてあげますわ。」

「―――フン。」

一夏はその提案を嘲笑を込めて鼻で笑い、一蹴した。

「やる前から自分が勝つ前提か……自意識過剰に加えてうぬ溺れか?―――俺の答えはノーサンキューだバカ野郎。」

「バカとはなんですか!……そう。バカですか。では―――」

セシリアはライフルの安全装置(セーフティー)を解除する。

「さよならですわ!」

(―――来るっ!)

一夏は相手が構えると同時に仙花を呼び出す(コール)

相手が射撃特化型ISであるのは火を見るより明らかである。

(撃ち合いは分が悪そうだな。―――近接格闘に持ち込めば勝てるか?)

相手が近接装備を展開していないのか、積んでいないのかは現状ではわからない。故に一夏は慎重に戦うことを選んだ。

(肩の非固定浮遊部位は特殊兵装だな。―――どう潰す?)

一夏は思案しながら策略を考え始めた。春奈に教わって2日でものにした[秘策]を披露するのはここぞの場面だと考えた。

舞闘は両者の発砲を合図に幕を開けた。






一夏は相手の初撃を接近しながらの高速ロールで回避。報復に仙花の一発を撃ち込んだ。

しかし、セシリアはそれを滑らかで優雅な動きをもって回避する。

避けながらセシリアは空いている右手でパチンッと指を鳴らす。

キュインッ……

「っ!?」

一夏は突然の後ろからの射撃に驚いた。紙一重で躱したが、それは右足装甲を掠めた。

当然シールドエネルギーも減少する。

ハイパーセンサーの意識が後ろに集中した時にできた隙をセシリアが逃すはずはなかった。

射撃を撃ち込む。その射撃を一夏は―――回避できなかった。

再び指を鳴らすセシリア。すると、一夏が回避したレーザーがUの字を描きながら曲がった(・・・・)。レーザーは白式の肩装甲を抉り貫いた。

「何だと!?」

したり顔のセシリアは上機嫌になる。

「どうですか?偏光制御射撃(フレキシブル・ショット)は。さぁ、わたくしとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)に踊り、酔いしれなさい!」

「種明かしご苦労さん。曲がるならアクションの前に受け止めればいいだけだ。」

そう言いながら後付装備(イコライザ)の耐ビーム物理シールドを展開(オープン)する一夏。

(慎重に行くか……短期決戦なら零落白夜でケリをつけるのが一番だが。)

偏光制御射撃(フレキシブル・ショット)はティアーズ社のBIT兵器に搭載された特殊能力。

PICの干渉でエネルギーを曲げている物と考えられている。詳細までは一夏の知る由もない。

(よし、大振りな武器だし近接での取り回しが悪い。あれであいつの懐に飛び込んで零落白夜の連撃を浴びせて一気にケリをつけるか。)

一夏は相手の射撃を誘うように見え見えの隙を作る。すると、予想したポイントにピンポイントでレーザーが飛来する。

一夏はそれを焦ることなく盾で防いだ。

しかし、セシリアもただ待つということを是とはしない。一夏に穴を穿たんと執拗に攻撃を仕掛ける。

一夏は回避しながら仙花を収納(クローズ)して右手の武器を展開(オープン)した不知火に持ち換える。

一夏は盾を構えるとダメージ無視でセシリアに突撃する。

その途中でスラスターにエネルギーをチャージしながらタイミングを計る。

散蒔くだけの粗末で不規則な弾幕を張る一夏。しかし、セシリアは慌てながら迫る弾丸を回避する。

相手の装備を把握せずとも勝てるという慢心と過剰な自信がこの状況を作り出した。

墓穴を掘って醜態を晒したのはセシリアだった。

加えて不知火の弾が切れにくくなっているのも大きな原因だろう。

通常のマガジンは30発装填できる。しかし、現在のマガジンはボックスマジガンを使用している。

ボックスは50発装填できるので。対人戦であれば弾幕も張れるというわけだ。

「な、なんて乱暴な打ち方ですの!?(避けにくいですわ……っ!?)」

「どうした?―――代表候補生さんよぉ!?」

回避に専念するセシリア。攻撃の手が緩んだのをいい事に一夏は動く。

シールドを収納して仙花を呼び出す一夏。

二丁撃ちでセシリアを攻め立てる。

ガキンッガキンッ!

「おっと?」

……が、弾は切れる。実砲火器の弱点―――弾切れを起こした。

しかし、一夏は慌てなかった。

マガジンをパージして下に落とす一夏。そのままバック宙で落下するマガジン2つをセシリア目がけて勢いよく蹴り飛ばす。

さらに、呼び出しておいた不知火と仙花のマガジンをタイミングを合わせて装填する。

この挙動に泡を食ったセシリアはすぐに目前に迫ったマガジンを打ち落とす。

ガガガガガガッ!

隙を逃さず一夏はセシリアの右非固定浮遊部位に55口径アサルトライフル弾を6発撃ち込む。

止めに超加速された30mmリニア弾が非固定部位を貫く。

間を開けて破片を撒き散らしながら浮遊部位は爆散した。

「なっ!?」

「悪いけど特殊兵装を先に潰させてもらった。残しとくと後々厄介そうだからな。」

「……は?」

セシリアのBITは浮遊部位に纏められている。一夏はそれらを纏めて壊したのだ。

つまり、ビット3、4に加えて弾道ビット6を損失したことになるのだ。

そして、セシリアが戦力を大きく削がれたことに違いはなかった。

「俺のことを甘く見たツケを先払いしてもらったぜ?敵の過小評価は命取りになるんだよな。」

「な、なんですって!?」

「俺みたいな素人に押されてる時点で代表候補性の名前が聞いて呆れるよ。そんなもんなのかよってな。」

「~~~~っ!」

顔を真っ赤に染めて逆ギレ状態のセシリア。

「男の癖にわたくしを辱めるなんて許せませんわっ!」

「言ってろ。俺はお前にも誰にも媚を売るつもりはない。これはお前の自意識過剰と慢心が原因で墓穴を掘ったんだろうが。」

「キィィィ~ッ!うるさいですわっ!土下座して謝っても、無様に命乞いしても許しませんわっ!―――行きなさい!ブルー・ティアーズ!」

(……安い挑発に乗りやすいんだなコイツ―――覚えとくか。)

一夏はそんなことを考えながら戦闘を継続したのだった。

後半へ続く。 
 

 
後書き
佳境に入る二人の対決。果たして勝者は?

次回インフィニット・ストラトス 自由の翼

クラス代表決定戦 後編

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