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美しき異形達

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第五話 二人目の持ち主その四

「絶対に」
「そこもですよ」
「女の子よ」
「そうなのかね」
「あとスパッツも穿きますよね」
 伸子の指摘は続く、このことについても言うのだった。
「普段」
「見えたら嫌だからさ」
「そこもですよ、見えない様に気を使うのも」
「女の子か」
「先輩は確かに活発ですけれど」
 そのうえでアクションも派手だ、短いスカートだと必然的になのだ。
「そこで気を使うのが」
「女の子か」
「はい、そうです」
 まさにそれだというのだ。
「先輩はボーイッシュな女の子ですよ」
「そうなるんだな」
「そうです、だからそのジャンルでもてますよ」
 この話もするのだった。
「彼氏とかも」
「いや、彼氏はさ」
「彼氏は?」
「といいますと」
「特にさ」
 こうだ、薊は苦笑いで二人に言うのだった。
「今はいいかなって思うんだよ」
「あれっ、そうなの」
「先輩彼氏には興味ないんですか」
「何かさ」
 どうかとだ、自分で言うのだった。
「そういうのはさ」
「興味の外なのね」
「そうなんですか」
「どうも興味が湧かないんだよ」
 彼氏、つまり恋愛に対してだというのだ。
「どうもさ」
「そうなのね、まあね」
 朱美は薊のその言葉を聞いてこう言った。
「普通科で寮生だとあまり彼氏出来ないけれどね」
「そうですよね、そうした傾向ありますよね」
 伸子も薊のその言葉に応えて言う。
「寮生ですと」
「しかも普通科だとね」
「それが商業科だと違いますけれど」
「普通科はね」
「何で普通科で寮生だと彼氏出来ないんだよ」
 薊は寮に入りたてでその理屈がわからなかった、それで目を瞬かせてそのうえで二人にその理由を尋ねた。
「作ろうと思えば作れるもんじゃないのか?」
「まあそうだけれどね」
「そうなんですけれど」
 普通科の寮生でも作ろうと思えば作れることはだ、二人も否定しなかった。
「何かこうして寮生同士で賑やかにやるから」
「そっちの方に力がいきまして」
「それでなのよ」
「彼氏まではなんですよ」
「しかも彼氏出来たら皆から囃されて」
「大変ですから」
 そうもなるからだというのだ。
「寮にいて彼氏作るのはね」
「ちょっと難しいところがあるんですよ」
「秘密の交際とか無理か」
 ここでこうも言った薊だった。
「そういうのは」
「ばれるわよ、隠しても」
「遅かれ早かれそうなりますよ」
 二人はすぐに薊にこう返した。 
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