美しき異形達
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第五話 二人目の持ち主その三
「筋肉のつき方も」
「筋肉ねえ」
「男と女じゃ筋肉のつき方も違いますから」
このことはどうしても出ることだ、これは性によって身体の構造が根本から違うのでどうしても出るものだ。如何に薊がボーイッシュでもだ。
「お髭も生えないですし」
「というか生えたら怖いだろ」
「ロシアだと生えたりしますよ」
これは寒いからだ、ロシアの寒さは女性に髭さえはやさせるのだ。
「それに髪の毛も多いですから」
「禿げかよ、今度は」
「男性ホルモンですから、それは」
禿げるということはというのだ。
「母親似の人でもきますから」
「イギリスの王子様みたいにか」
「ウィリアム王子はまさにそうですね」
十代の頃は母親の血を受け継いだ見事な美少年で髪の毛も安泰かと思われた。しかし三十になると顔立ちは端正なままだが髪の毛は父親以上になってしまった。
「あの人は。弟さんも危ない感じですね」
「だよな、とにかく髪の毛もかよ」
「はい、先輩多いですから」
その見事な赤毛を見ての言葉だ。癖のある、どうにもガンガゼを思わせるヘアスタイルも見て言っているのだ。
「髪の毛相当多いですよね」
「だから伸ばしたらさ」
「どうなるんですか?」
「何か壮絶な、あちこちに飛んで重力で下がってさ」
「想像しにくいですね」
「あたしの髪の毛って多くて固くて癖が強いんだよ」
自分でこう言うのだった。
「だから短くしてるんだよ」
「そうなんですね」
「そこが難しいんだよな」
「とにかく先輩はそうしたところも」
「髪の毛もか」
「はい、薄くなることは考えられませんから」
「ボーイッシュなんだな」
薊は自分で聞いて納得した。
「そういうことか」
「ボーイッシュも魅力ですよ」
伸子は微笑んで薊にこうも言った。
「先輩の場合は」
「胸ないけれどな」
「普通位ですよ」
「そうかね」
「はい、普通位ですよ」
これは伸子の見立てだ。
「あと下着も」
「下着?」
「先輩結構可愛い下着好きですよね」
伸子はこのことはにこにことして薊に話した。
「赤系統で」
「げっ、あたしの下着もチェック済みかよ」
「というか一緒の部屋に住んでますから」
「普通に見るわよ」
ここで朱美も伸子に合流してにこにことして言ってきた。
「それはね」
「そうですよね、お互いに」
「伸子ちゃんは黄色とかベージュの女の子らしい下着よね」
「朱美先輩はピンクとか白のお嬢様な感じで」
「女の子同士だしね」
「下着は見ますよね」
「まあさ。あたしはさ」
薊は腕を組んで考える、観念も入れて答えた。
「下着は色は赤系統でさ」
「ショーツのデザインは可愛い感じですね」
「ブラはショーツに色を合わせてよね」
「ショーツ集めるの好きだしさ」
薊の意外な趣味の一つだ。
「流石にキャラクターものの下着は子供だろって思ってもう穿かないけれど」
「赤系統でデザインは大人しめで」
「可愛い感じよね」
「そういうのが好きだよ。スポーティーな感じじゃなくてさ」
「あくまで女の子らしく」
「そうした下着よね、薊ちゃんは」
「間違ってもボクサーとかトランクスみたいなのは穿かないよ」
男ものの下着を穿く女性もいるらしい、真相は不明だが。
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