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ドリトル先生と京都の狐

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第四幕その八

 お酒も飲みます、先生は一杯飲んで満足して言いました。
「いやあ、僕もすっかりね」
「日本酒に馴染んできたよね」
「そうなってきたね」
「なってきたよ、凄く美味しいよ」
 お酒ですっかり赤くなった満面の笑顔でのお顔で動物達に応えるのでした。
「お米のお酒もいいね」
「最近ウイスキーよりもこっちだよね、先生」
「日本酒飲むことが多くなったよね」
「ワインとかよりもね」
「そっちだね」
「そうなんだ、和食を食べているとね」
 それならというのです、お酒は。
「日本酒を飲みたくなるから」
「だからなんだね」
「それでなんだ」
「日本酒飲んでるんだ」
「最近は」
「そうなってきたよ、ただ日本酒は美味しいけれど」
 それでもだとです、先生は飲みながら皆にお話します。見れば王子もトミーも日本酒を飲んでいます。お水と同じ透き通った日本のお酒を。
「飲み過ぎるとよくないんだよね」
「お酒はどれでもそうですけれど」
 トミーがこう先生に言います。
「ウイスキーにしても」
「いや、日本酒はアルコールに加えてね」
「糖分ですね」
「そう、それが多いからね」
 だからなのです、糖分が多いからこそ。
「飲み過ぎると糖尿病になるから」
「それですね」
「うん、だからね」
 それでだというのです。
「日本酒もあまり飲み過ぎると駄目なんだよ」
「そういうことですね」
「そう、アルコール度はウイスキーより低いけれどね」
「ビールよりは高いですね」
「そうだよ、ビールはパンだからね」
 イギリスやドイツでは飲むパンと呼ばれています、ドイツでは朝食欲がない時にビールに卵を入れて飲んで朝御飯にすることもあります。
 だからです、先生もビールについてはこう言うのです。
「そんなに気にならないけれど」
「いえいえ、ビールも痛風が」
 これはエールも同じです、
「それが怖いですよ」
「ああ、そうだったね」
 ビールにはこの病気が付きものです、足の親指の付け根がとても痛くなってからはじまる病気でとても怖いものです。
「それがあったね」
「ですからお酒自体が」
「よくないんだね」
「一番いいのはワインですね」
 トミーは医学部の学生らしく言いました。
「その辺りは先生も」
「うん、僕にしてもね」
 先生もお医者さんです、ですから言うまでもなくお酒のことはよく知っています。ですからこのことについては本当によくわかっています。
 それで、です。お酒はです。
 今ある分で止めてです、こう言いました。
「それでは後はね」
「はい、お風呂ですね」
「それに入って身体を温めてね」
「寝るんですね」
「そうしよう、それで明日は」
「はい、狐さんのお母さんの結核を治す為に」
 トミーは笑顔で先生の言葉に応えました。
「日本中を回って」
「そうしてですね」
「お薬の素を集めて回ろう」
「わかりました」
 こうお話してでした、そのうえで。
 旅館のお風呂に入りました、そしてお風呂の中でなのでした。
 先生は檜のお風呂の湯船に身体をゆっくりと浸してふう、と大きな息を吐きました。それでお風呂の椅子に座って身体を洗っているトミーに言うのでした。王子はそのトミーの横で頭を洗っています。 
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