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緋弾のアリアGS  Genius Scientist

作者:白崎黒絵
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イ・ウー編
武偵殺し
  18弾 偶然の遭遇

 結局アリアとはあのままケンカ別れ――――のようなものに、なってしまった。

 これで、よかったんだろうか。

 これは……ついこの間まで、俺が望んでいた通りの結果。

 俺はあのバスジャックで、何もできない自分を見せた。

 それでアリアは俺に失望し、解放してくれた。

 おかげで、俺は強襲科(アサルト)を出ていける。あとは装備科(アムド)で文と一緒に研究したり、作ったものを売っぱらったりして今まで通りに過ごす。

 それで、いいじゃないか。

 なのに……なんなんだ、このモヤモヤした気分は。

 俺はあの日から、なんだかよくわからない、イラつくような感情を引きずりながら週末を過ごしている。

 パッチン……パチン。

 アニメを見ても、ゲームをしても、ラノベを読んでも、ネットを巡回しても。あのパッチン留めの音が頭から離れない。

 アリアが退院する予定と聞いていた日曜の朝――――今朝なんかは、アリアのことを考えないように、いつもは録画しているプリキュアを見たり、自室でとある作業を行ったりしていた。

 だが、そのせいで――――俺はその日の昼過ぎ、退院したアリアを偶然、意外なところで見かけてしまったのだ。

 学園島の片隅にある、美容院で、だ。

 いつもは録画して、昼から見ているアニメをリアルタイムで見てしまった俺は、ちょうど作業の方も一段落ついたので、ドクペを買いに美容院の隣にある自販機(学園島ではこの自販機にしかドクペが売っていない)まで行った帰りにアリアを見つけた俺は、彼女のあまりの変貌っぷりについ足を止めてしまった。

 向こうはこっちに気付いていなかったから、また、盗み見のような感じになってしまったのだが……

「……」

 少し重い表情をしていたアリアは、長いツインテールはそのままに、少し髪型を変えていた。

 前髪を、作っていたのだ。

 それはそれで恐ろしいほどよく似合っていて可愛いのだが、あれは――――聞くまでもない。額の傷跡を隠すための処置だろう。

 そう思った俺の胸の奥に、また、チクリと鋭い痛みが走った。そう、キンジが死んだことを聞いた白雪やカナを見た時のような。そんな痛みだった。

 白いさくらんぼみたいなファーのついたミュールを鳴らして、アリアはモノレールの駅へと歩き出す。

 その服装は――――私服だ。

 制服姿かC装備ぐらいしか見たことがなかったので、こういう普通の女の子っぽい姿は逆に新鮮だった。

 白地に薄いピンクの柄が入った清楚なワンピースを着たアリアは、まるでファッション誌から抜け出してきたかのように今風だ。

 今のアリアの写真を表紙にすれば、雑誌とあの服が飛ぶように売れるだろう。

 だが……アリアは普段から身だしなみには気を遣う方ではあったが、ここまでしっかりオシャレした姿を見たことは無い。

 どこへ行くのだろうか。

(デート、か?)

 いやいやいや。ないない。アリアがデートなんて……そもそもあいつと付き合おうなんて男はいないだろう。

 でも。

 もしかしたら、いるのかもしれない。アリアは容姿は抜群で、性格も多少……いやかなりキツいが、根はいい奴だ。そんなあいつを見つけて、認めて、受け容れた奴が。いるのかもしれない。

 ……アリアの彼氏、か。

 どんな奴なんだろう。

 そう思った俺は――――なぜかはわからなかったが、つい。

 アリアを、尾け始めてしまっていた。

 アリアはモノレールで新橋に出て、そこからJRで神田を経由し……新宿で降りた。

 少し後ろからついていくと、街の男たちがアリアをチラチラ見ているのが分かる。

 そりゃそうだ。あんな可愛い女の子はめったにいない。それが隅々まで気合いを入れてオシャレをしているんだから、注目しない方がおかしい。

 アリアは西口から高層ビル街の方へ、カツカツとミュールを鳴らしつつ歩いて行く。

 これも、ちょっと意外な方向だ。

 こっちはオフィスビルぐらいしか無かったはずだが……となると、アリアの彼氏は社会人なのか?アリアと、一般的な社会人男性が恋人っぽいことをしているところを想像してみる……うん、軽く犯罪臭がするな。

 そんなことを考えながら尾行を続けていると――――

 アリアは、ある意外な建物の前で足を止めた。

 新宿警察署、である。

 でも、何だってこんなところに?アリアの彼氏は警察官なのか?それはただ単に犯罪度が増すだけな気がするが。

 考えてる間にも、アリアは警察署の中に入って行こうとしている。

 ええい、ここまで来たら、もう後はどうとでもなりやがれ!どうせ、ここで引き返したところで気になりまくるだろうしな!

 半ばヤケっぱちになった俺は、即座にアリアの背後まで近づき……頭の上にチョップをかましてやった。

「はぐっ!」

 アリアはどうやら俺の接近に気付いていなかったらしく、まともにチョップをくらい、体勢を崩じ珍妙な声を出して転んだ。

 やりすぎたか?

「おーい、アリアー。大丈夫かー」

 転んだまま動かないアリアを心配して俺が手をさし伸ばすと……いきなりアリアが殴りかかってきた。

「あぶなっ!」

 慌てて避けた。

「チッ。何で避けるのよ」

「当たったら痛いからに決まってんだろうが!」

「チッ。何でここにいるのよ」

「おまえを尾けてきたからだよ」

「チッ。私に何の用よ」

「いや、特に用はないんだが……おまえこそ、どうしてこんなところに?」

「チッ。何でそれをあんたなんかに教えなきゃいけないのよ」

「別に教えなきゃいけないってわけじゃないが……というか、さっきから言葉の前に挟まる舌打ちはいったいいつまで続くんだ!?」

 できれば早急にやめてほしい。睨みつけるような視線と合わせて、かなり怖い。

 アリアはしばらく考えるようにしていたが、やがて決心したように口を開いた。

「……そうよね。あんたも『武偵殺し』の被害者の一人なんだもんね。いいわ、教えてあげる。ついてきて」

 そう言ってアリアは署内に入っていく。俺は慌ててついていく。

「ああ、そうだ。さっきのチョップのお返しは、後で百万倍にして返すから」

 できればそんな言葉は、聞かなかったことにしたかった。 
 

 
後書き
お久しぶりです!白崎黒絵です!
何を語るにしてもまず先に、やっておかなければならないことがあります。それは……謝罪です!すみませんでした!こんなに更新が遅れてしまって!
最近、北海道に旅行に行ってメルブラやったり、新学期が始まって学校でラノベ読みまくったり、春になって新しく始まったアニメを見たり、と色々やっていたら更新が遅れました。本当にすみません。今、PCの前で土下座しました。マジで。

まあ、世間話はこのくらいにして。今回の内容の話に移りましょう。
今回は特に何事もない、ちょっとした息抜きみたいな話ですね。最後の方にミズキの死亡フラグが建ってますけど。それ以外は本当に特に何もない、軽い説明回みたいなものです。しかし、次回ではアリアファンなら誰でも知ってる驚愕の事実が明らかになったりするのでご期待をば。

それでは久しぶりのあれ、やりますか!
「GS!今日の一言誰でShow!(ああ、このフレーズ入力するのも久しぶりだなあ……)」
今回は趣向を変えましてクイズ形式です。ヒント:今回は次の次の回から大活躍する予定の大泥棒さんです!誰かわかるかな?

「更新遅れちゃってごめんね♪でも、これからもGSを読んでくれると、理子りんとーっても嬉しいな♪」

ああ!ちょっと理子さん!名前言っちゃダメじゃないですか!クイズにならないでしょ!

それでは皆様、今回はこの辺で。次回のGSは明日か明後日あたりに投稿する予定ですので、お楽しみに!
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