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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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desire 1 花見

 
前書き
桜の花が綺麗なので息抜きを兼ねて書きました。
パラレル話ですね。
アレックスとナオト、シンとステラが恋人設定。
一応レイ←クレア。 

 
舞い散る桜の山道を進む賑やかな一団がいた。

アーサー「花見だ!!桜だ弁当だ酒…酒だーーーっ!!!!」

レイ「何をわけの分からないことを…それから俺達の大半は地球では未成年です。20歳に満たない者の飲酒は法律で禁止されています。」

クレア「後、うるさいよ」

シン「本当に副長はステラの教育に悪いな。艦長、お願いします」

タリア「ええ、艦長である私の前で飲酒を仄めかす発言をするなど言語道断。ミネルバに戻り次第、あなたはトイレ掃除三回よ。」

アーサー「フォンドゥヴァオゥ!!?」

ステラ「副長、面白い…」

ルナマリア「ステラ、あんなのになっちゃ駄目よ。あれは駄目人間の典型なんだから。」

ハイネ「きっついな~」

その集団を中心に、辺り一面に笑い声が響き渡る。

ナオト「副長って馬鹿だよね。何であれでミネルバの副長に選ばれたんだろ?」

アレックス「おいおい、そう邪険にしてやるな。それが副長のいいところでもある。」

シン「まあ、確かにそうですね。これで趣味がアレじゃなければ…」

シンが溜め息を吐きながら呟いた。












































そして宴は賑やか楽しげに、かつ派手に行われた。

アーサー「はーっはっはっは!!皆して俺を馬鹿にして…俺は副長なんだよ馬鹿やろおおおおおおお!!!!」

レイ「………」

でかい声を上げるアーサーの隣で、耳栓を着けながら無言で卵焼きを口にするレイ。

クレア「…あ、このミートボール美味しい」

耳栓をつけ、アーサーの存在を無視してミートボールを咀嚼するクレア。

ステラ「……うるさい」

ボソリと呟くステラ。

シン「そうだね。よし、今はオフだから殴ろう」

シンが叫び続けるアーサーに近づき、殴り飛ばす。

アーサー「フォンドゥヴァオゥ!!!!」

殴り飛ばされたアーサーは見事な放物線を描いて吹き飛ばされた。

ナオト「おお!!」

アレックス「見事な放物線だな」

シン「ところでステラ、さっきから気になってたんだけどそれって何?」

アーサーを殴り飛ばし、桜の下に一緒に座って一息吐いたシンはステラの隣に置いてある荷物を見ながら尋ねる。
ミネルバを出る時から何なのか気に掛かっていたがステラは微笑むだけで教えてくれなかったそれ。
それを聞かれたステラはまた微笑んだ。

ステラ「お弁当…だよ」

シン「え?」

彼女がゆっくりとその荷物を広げると中には可愛らしい弁当箱と水筒に入ったお茶。
そのことだけでも驚いたシンだったが、箱の中身に更に紅い瞳を瞬かせた。

シン「凄い…」

シンの瞳に映ったのは卵サンド、それから唐揚げに卵焼き、たこの様に模られたウインナーとデザートにフルーツも入っていた。

ステラ「ナオトに教えてもらった…あんまり、上手に…出来なかったけど…シン食べてくれる?」

感動で何にも言えないシンにステラは不安そうに呟く。

シン「も、もちろんだよ!!これステラが全部作ったの?」

ステラ「…うん」

頷くステラを見れば彼女の白く細い指先は所々傷が残っている。
きっと、料理中にそうなったのだろう。
自分のために…。
シンはそのことを幸せに思いながらもあえて触れずに彼女に笑いかけた。

シン「いただきます」

ステラ「うん…」

シンが手に取ったのはサンドイッチ。
ステラの期待と不安の入り混じった眼差しを受けながらそれを口に運んだ。

シン「ん、美味しい…」

ステラ「本当?」

シン「うんっ、凄く美味しいよ!!」

未だ不安げなステラの前でシンはそのサンドイッチを一気に平らげた。
その表情にステラにも笑顔が戻る。

ステラ「じゃあ、今度はステラが…食べさせてあげるね?はい、シン。あ~ん」

シン「え?ええええ!?」

さっきまでの和やかな空気はどこへやら。
おもむろにステラがフォークでウインナーを自分の口元へと近付け“あ~ん”とするこの光景にシンは顔を真っ赤にした。

ヴィーノ「あ~、いいなあシンばっかり」

ヨウラン「赤服でエースパイロットで可愛い彼女持ち!!この人生の勝利者めええええええ!!!!」

ヴィーノはからかうように、ヨウランは嫉妬全開で叫んだ。

レイ「……………」

耳栓着けながら黙々とサンドイッチを口に運ぶレイ。

クレア「……」

耳栓つけながらお茶を飲むクレア。

ルナマリア「シン!!男を見せなさいよ情けないわね!!」

シン「うるさい!!」

ハイネ「新曲、行くぜ!!vestige-ヴェスティージ-!!」






































酔い、日頃の鬱憤を晴らすかのように絶叫するアーサー。
終始変わらぬ表情で黙々と箸を進めるレイ。
ちゃっかりレイの隣に陣取り、しきたりのままに舞い桜を見つめるクレア。
周囲からのからかいに頭を抱えるシン。
今だにシンにあ~んをしようとしているステラ。
滝の如き涙を流しながら叫ぶヨウラン。
友人の恋模様を見守りながらからかうヴィーノ。
マイクを片手に歌うハイネ。
あそこだけ異様にド派手なのはなんでだ?

ナオト「こりゃあ収集つかないね。ね、アレックス…?」

ナオトはアレックスの変化に気づき、首を傾げる。

ナオト「どうしたの?悩み事?」

アレックス「ん?いや…ナオト。実は俺は桜はあまり好きじゃないんだ。いや、綺麗だとは俺も思う。満開に咲いて…それなのにすぐ散ってしまう。実際この桜もハイネが見つけなければ、どうなっていただろうな?きっと誰にも気づかれないで…」

この桜はハイネが哨戒任務中で偶然発見したのだ。
もしハイネが発見しなければ誰にも気づかれずに散っていたに違いない。

ナオト「…アレックス、一緒に散歩しない?」

アレックス「え?」

ナオト「いいでしょ?」

アレックス「あ、ああ…分かった。行こう」

アレックスとナオトは立ち上がるとその場から離れた。
喧騒の中、レイとルナマリアとクレアはそれに気づいていたが、無粋な真似はすまいと、自身の花見を満喫する。



































アレックス「…やっぱり、シンとステラは仲がいいな。何か完敗、いや乾杯したい気分だ…俺達もああいう風に仲良くやれたら…」

ナオト「別にいいじゃない。シンとステラの恋と私達の恋は違うんだから、私達は私達の恋をってね」

アレックス「…そうだな」

舞い散る桜を見つめながらアレックスとナオトは歩き続けた。












































おまけ

アレックス「で?何でいつの間にギルがここにいるんだ?」

ナオト「知らないよ。私に聞かないで」

そう。
何故が議長がここにいるのだ。
仕事はどうしたのだろうか?

タリア「さて、そろそろ港に帰るわよ。明日からはまた厳しい職務の連続…キャア!?」

シン「艦長!?」

やはり相当酔っていたのだろう。
踵を返そうとした瞬間、がくりとバランスを崩した。
酔い潰れたアーサーを投げ捨てたシンが駆け寄ろうとするが間に合わない。
しかし彼女は倒れなかった。
議長が彼女を抱き留めたから。

タリア「ぎ、議長…お手を…」

デュランダル「構わんさ、タリア。今日は随分と呑んでいたからね。たまには君も私を頼ってくれたまえ」

ナオト「わあ」

議長は艦長を抱き抱え、そのまま悠然と歩きだした。
艦長は最初は何やら言っていたが次第に沈黙した。

デュランダル「総員ご苦労。これより帰還する」

全員【了解!!】

花見を楽しんだ一団が歩きだした。
明日からの厳しい職務に表情を引き締めながら。















































おまけ

ヴィーノ「あれ?何か俺達、何か忘れてるような…」

酔い潰れたヨウランを背負いながらヴィーノが首を傾げながら言う。

ハイネ「ん?お前もそう思うか?実は俺も何か忘れてるような…呑みすぎたか?」

メイリン「気のせいじゃないですか?」

クレア「全員いるよね?」

ステラ「……副長」

全員【え?】

ステラ「副長が…いない」

シン「へ?あ、俺が投げ捨てたんだった」

全員【あ~、忘れてたよ】

忘れ去られ、放置されていた酔い潰れたアーサーであった。
多分明日には回収される……と思う。 
 

 
後書き
花見話ですね。
アーサーはギャグでは扱いやすいですね 
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