インフィニット・ストラトス 自由の翼
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空翔ける翼……です。
前書き
春奈の初陣です。では、がんばっていきまっしょい!!
飛来する銃弾を左手のシールドで受けます。
反撃にビームライフルを撃ちますが、直線的なので避けられてしまいます。
……強い。山田真耶さんは強いです。
戦闘の合間に不謹慎だとは思いますが初期化と最適化の進行状況を確認します。
初期化……60%
最適化……50%
まだまだかかりそうですね。
私はとにかく避ける、隙があれば反撃する事を心がけながら動きます。
「春奈。躊躇うな。お前の瞳の力を使え!それなしでは勝てんぞ!」
千冬姉が私にアドバイスしてくれるので、瞳の力を……越界の瞳を発動します。
視覚が加速してハイパーセンサーの感度が、反応速度も格段に上がります。
感覚が澄んで研ぎ澄まされる様な気分になります。
一瞬無防備になる私の隙を付いて山田さんがアサルトライフルを乱射しますが……。
「無駄です。」
飛来する弾丸を紙一重で躱します。直撃コースの物と当たらないものを瞬時に理解して避け続けます。私を掠めるようにして放たれる弾丸。しかし、どれも私に傷はおろか当たることもありません。
反射予測も段違いの状態ですね。これなら……!
ハイマットモードの機動性を活かして高速で飛び回り続けます。
「せーのっ!!(近距離武装がないなら……機体が武器だ!!)」
私は飛行しながらウイングバインダーの間にエネルギーを圧縮していました。そして、高速で突貫―――体当たりを実行します。
山田さんの顔に驚きの表情が見えます。バインダーの間の圧縮したエネルギーを一瞬にして開放して急加速します。
これは瞬間加速です。
ISでまさかの体当たりなので虚をつかれた山田さんが弾き飛ばされます。
しかし、さすがです機体制御をすぐに取り返して滞空しています。
「ま、まさか体当たりをされるとは思いませんでした。」
「生憎ですが初期化中で武器が出せないんです。」
「……は?」
不意にポカンとした顔をする山田さん……なして?
「……と言うことは春奈さんはずっと初期設定だけで?戦闘を!?」
「え?あ、はい。」
雷に撃たれたように硬直する山田さん。何故?
「初期設定の段階で瞬間加速を使えたんですか!?」
「何かおかしかったですか?」
「いえ、別に……はい。(これは本気で戦ったほうがいいですね……。)」
山田さんの目つきが変わり鋭いものに変わります。
「春奈さん。行きますよ!!」
私はその言葉を尻目にもう一度数値の確認。
初期化……80%
最適化……75%
もう少しですね、時間を稼ぎますか。
●
○side真耶
流石は織斑先生の妹さんです。
技能的には単純。でも制御できない一直線の動きの瞬間加速を使って体当たりとは……びっくりしました。
教師としては不謹慎にもワクワクしてきました。どこまでできるのか試してみましょう!
私はレッドバレットを乱射して牽制。誘導します。
近接ナイフ《インパルス・エッジ》を呼び出して腰部にマウント。相手の突貫に備えます。……まぁ同じことをしてくるとは思いませんが、念のためにです。
もう一丁のレッドバレットを呼び出して二丁撃ちで攻め直します。
春奈さんは、さも当たり前のように高機動かつ無駄のない動きで飛来する銃弾を避け続けます。
「クッ……」
……?
春奈さんの動きが鈍くなったような気がしますが……気のせいでしょうか?
私はその一瞬を見逃さずに光学手榴弾《クレイモア》を投擲します。
「チッ)!!」
春奈さんがシールドを構えて直撃に備えます。
直後に轟音と閃光が辺りを包みます。煙も絶えない中その姿を彼女が表します。
「試験でクレイモアを使うなんて……なにやってんの!?」
一瞬春奈さんと某木馬の艦長が被って見えました。
どうやら耐ビーム装甲のシールドのようです。ただ、余波を防ぐことができなかったようで彼女のシールドエネルギーは大きく減っています。
私はその言葉を無視して、インパルス・エッジを引き抜いて彼女に近接戦を持ちかけます。
「こっちは近接装備がないって言わなかったですか!?」
……私は無慈悲に実体ナイフで彼女に切りかかります。これが世の道理なのです!!
●
○side春奈
格闘戦では分が悪い私。ここは、距離をとるしかありません。
が……。
「逃がしません!!」
至近距離で飛んでくる銃弾に手を焼いています。バックを取られたら残りのシールドエネルギーも吹き飛ぶでしょう。
私は被弾覚悟で上へと逃れます。
「……チェックメイトです!!」
……冗談キツイですね。逃れた先には安全ピンの抜かれた手榴弾。
[詰み]。この単語がしっくりきますね。
ドカァァァン!!
私の視界が紅蓮の炎で真っ赤に染まりました。
●
○side千冬
む?今、私のことを[空気]と言ったのはどこのどいつだ?
……まぁ、冗談はこの辺にしておこう。
「終わったか。初期化、最適化が。」
……束。貴様が何故今更、春奈に接触したのかは知らん。あいつに[越界の瞳]を施したのも気がかりではあるが。
紅蓮の炎が晴れるとそこには進化した[翼]を携えた春奈がいた。
「機体に救われたな。」
蒼く凛々しい翼を持つ……真の姿を。
●
○side春奈
〈初期化と最適化が終わりました。確認ボタンを押してください。〉
(う……なに?)
意識の中に浮かぶ[確認]のボタン。訳もわかりませんがそれを押します。
そして意識に流れ込んでくる情報。でもそれは、整理されていて……。
変わっていく。全てが、武器が、私が……!
キィィィィン……
フリーダムがその装甲を一度霧散させて私の周りに粒子となってまとわりつく。
高い周波数の音は何処か心地がいい気がする。まるで、フリーダムの鼓動のように。
そして、閃光が爆ぜる。
私の姿は劇的に変わっていた。
「これがホントの[フリーダム]なの?」
滑らかで、全体的に線の細い両手足の装甲。それは、リアル・ロボットに分類されるガンダムの特徴を捉えている。
肩の装甲もサイズが落ちてより、鋭くシャープになっている。
胸部装甲は黒くつま先は青い。あとは全体的に白で統一されている。
額のブレードアンテナ。そして、背部で存在感を放つ青い10枚の翼のようなウイングバインダー。
うん。フリーダムガンダムだよ。
「な……このタイミングで一次移行ですか!?」
これで、フリーダムは私の専用機になった。と言う事ですね。
ただ、この状況はキツイですね。私は[越界の瞳]を完全に使いこなしてはいません。連続使用可能時間は180秒。3分です。
それから再発動には2時間のインターバルが必要なんです。
「いや、頼るのもダメ。やってやろうじゃん!」
私は翼を広げてハイマットモードに移行。さらに……
「行って!ドラグーン!」
翼部からドラグーンユニットを8機射出します。
「えぇぇぇ!?なんでbit兵器を積載してるんですか!?」
「知りません!」
「ですよね!」
オールレンジの射撃を躱す山田さん。しかし、ジリジリと射撃密度が増していきます。
加えて私はリア・アーマーの超電磁砲《クスィフィアス》を展開。さらに第一翼の高出力プラズマ収束ビームキャノン《バラエーナ》も起動します。
「行っけぇぇぇ!!」
ビームライフル《ルプス》を両手持ちで構えて、一斉射撃です!!
……と、行きたかったのですがここでハプニングが起こりました。
「……あ……れ?―――なに……こ……れ?」
私はそこで意識を失いました。
●
○
「調子に乗るからだ。この馬鹿者め。」
私は現在医務室のベットの上で正座させられています。
これが一夏だったらこの下のリノニュームの硬い床で正座をさせられることでしょう。
「返す言葉あもありません。ごめんなさい。」
「ふんっ。お前の機体。フリーダムには特殊な機関が装備されているようだ。山田先生。」
傍らに立つ山田さんに千冬姉が振ります。
「は、はい。えっと、春奈さんの専用機[RCI-00XG フリーダム]は単一仕様能力が発現しているみたいなんです。」
「えっと……ISの第二形態で起動する特殊能力ですよね?」
「はい。よく知ってますね。」
「……ええ。まぁ、勉強しましたから。」
ISの操縦者を目指す以上は勉強は必須であるのです。
「普通は第二形態からなんですけど、一次移行で単一仕様能力が現れるのが初めてのケースですから。」
前代未聞といったところかな?
「そして、単一仕様能力の名前が《クリスタル・ハート》。」
……どっかで聞いたことがある名前だけど―――なんだっけ?
「人の精神力をエネルギーに換える特殊機関。それが《クリスタル・ハート》だ。」
あ、思い出した。スーパーロボット大戦の何かは忘れたけど……オリジナル機体の動力だった。
「フリーダムは理論的な永久機関を保有していることになるのだ。ただし、燃料は搭乗者の精神力。体力といってもいいか。」
私が意識を失った理由。なんとなくわかった気がする。
「春奈。お前の専用機は確かに強力だ。ただし、クリスタル・ハートの発動のタイミングには気をつけるのだぞ?」
「……ゑ?」
千冬姉は私に告げます。
「本日。実技試験は合格という事だ。筆記も主席に近い位置にいるしな。」
「合格おめでとうございます。それから、代表候補性先輩として祝福しちゃいます。」
「……え!?」
私は聞きなれない単語が耳に残ります。
代表候補性……?
「鈍いな。お前を政府が代表候補性に選んだのだ。胸を張れ。日本代表候補性なのだからな。」
「えええええぇぇぇぇぇ!?」
この日私はISを手に入れました。そして……自由を軽く縛られました。
でも、悪い気はしない……かな?
後書き
晴れて入学した春奈と一夏。自己紹介の後彼女と再開する。
「「久しぶり。箒(ちゃん)。」」
そして、休み時間に起きるイベント。
「わ、わたくしを知らない?このセシリア・オルコットを?イギリスの代表候補性にして、入試主席のこの私を?」
「ごめん、知らない。」
そして……
「決闘ですわ!」
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