インフィニット・ストラトス 自由の翼
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与えられる力……です。
前書き
主人公に専用機が……。
では行きましょう。
あれからまた時が経ち3年後の2月中頃。私は受験の為に4駅離れた試験会場に来ていました。もちろん受験先はIS学園です。
傍らには一夏がいます。試験会場が一緒だったのです。弟は私立藍越学園を受けるようです。
まぁ……このあとの転末はお察しください。
私は筆記試験を受けて実技訓練を受けます。猛勉強した甲斐がありました。
「じゃあ、そこの[打鉄]を起動……」
……あれ?試験官が固まってる。
「お、男がIS動かしてるぅぅぅ~!!」
あ、それって……一夏のことですね。
私も野次馬よろしく見に行くと……[打鉄]を纏った一夏がそこにいました。
このあとは私も実技を受けてまぁ、教官が自爆して勝利です。壁に突っ込んでいって自滅していました……教官殿。これでいいのですか?
まぁ、[越界の瞳]は使ってませんがね。簡易ISランクがSだったとかは気のせいでしょうね。
●
○
「ちょっと。そこのおじょうさん。少しお話が―――ちょ、まってまって!!」
「素通りさせてもらえないのでしょうか……て、束さん―――ムグッ!?」
「はるちゃん声が大きいよ。ちょっとお話があってね。」
IS学園への入試の帰り道に出会ったのは、アリスの服装に白うさぎの耳がついたカチューシャをした美女でした。……否、天災でした。
私も女の子ですから彼女の格好は可愛いとは思います。ですが……
「束さん。その服、サイズあってるんですか?」
「む~?似合ってないっていうの!?」
「いや、そういうことじゃなくて。その……」
嫉妬すら覚える大きな存在感を示す胸。ブラウスのボタンが弾け飛びそうです。
「あ~そういうことねん。」
ポンと手を打って納得する束さん。
「ちょっとはしたないかなこれは?」
「……はい。ちょっとどころではありませんけど。」
むしろ同年代の男子の目には毒ですね。
「みみっちいことは気にしないでね。今日は君に渡したいものがあってきたんだ。」
「渡したい物ですか。なんでしょうか?」
束さんはエプロンに手を突っ込んで何かを出します。これは……首飾り?
「はるちゃん専用機の[フリーダム]だよぉ!!」
……専用機?はて、どういうことでしょうか?
「う~んと、ね。神のお告げってやつなのかな?いきなり思い浮かんで1年くらい前に作り出した機体だったんだよね。で、一昨日完成したものだよぉ!!」
……ゑ
いまいち理解ができません。なぜ、彼女が私に専用機を?
「まぁ、神のお告げじゃなくてリボンズて会社に頼まれたからなんだけどね。」
「リボンズ……あ、2年前に創設されたISの開発企業でしたよね。」
「そーそー。」
「でもあなたは興味のある人間にしか接触しないのでは?」
私は確信を探るために直接に聞きます。
「そこの会社に、技術に興味を持ったのだよ。まぁ、君にも興味があるんだけどね。」
世界で4人しか興味がないこの人には珍しいことですが。
因みに4人とは私、一夏、千冬姉、箒ちゃんだそうです。……[狡猾な羊]の言葉に信頼性を持つのも良策ではありませんが。
「と言うわけで私からの用はこれまで。はるちゃん、じゃあね~」
手早いことに彼女は近場のマンホールをこじ開けて飛び込んで行きました。
「……半ば押し付けられたような気もしなくもないですが……頂けるのであればもらっておきますか。うん、それが一番ですね。」
とは言うものの、どうしようこれ……重要手配人に接触されて、IS渡されて……監視の目がつくのは明らかですよね……ホントにどうしましょうか……。
私はすぐに携帯で千冬姉に連絡します。
『……なんだ?春奈。私はまだ勤務中だぞ?』
「千冬姉。緊急事態です。束さんに接触しました。」
『! なんだと!?』
「もう退散していきましたが……で、私にISを渡して逃走しました。」
『そうか。なら、私のところに来い。それは色々と問題になりかねん。』
「りょーかいです」
携帯を切ると私は千冬姉の職場のIS学園へと向かいます。
「[フリーダム]―――まさか、ね。」
●
○
私は千冬姉の指示に従ってIS学園アリーナに向かいます。生徒ではないので来賓のタグを首に下げています。
「よし、春奈。ここで着替えろ。」
「わかりました。」
アリーナ内の更衣室で私は着替えます。千冬姉から受け取った旧式スク水(紺色)に似たISスーツに。少々きついですね……これ。着れないわけではないんですが、胸のあたりがなんと言うか。
「サイズは合っているな?」
「うん。胸の辺りがキツいけど、許容範囲です。」
「そうか。(うん。さすが私の妹だ。似合っているな。)」
……千冬姉が若干興奮しているように見えるのは何故でしょうか。
「―――ここはスルーですね(ボソッ。」
「何か言ったか?」
「なんでもないです。」
私は千冬姉の先導のもとピットに移動しました。
「今回は特別に学園長の許可をもらって起動を行う。この機体は春奈。お前に合わせて設計されているようだ。」
私に合わされた設計……ですか。ますますわかりませんね。
「それに、機体の設計は束博士が行ったようなのだが、技術面では新興企業[リボンズ]の物も盛り込まれている。束からのメッセージによるとこの機体を製造したのはその新興企業と偽りの申請をしたらしい。」
「つまり、この機体は第3世代後期の機体になる?」
「いや。この機体は、信じがたいが第4世代だ。」
「……そうですか。」
千冬姉はピットの奥に待機している灰色に近い機体を指差して私に告げます。
「これより、織斑春奈専用機[フリーダム]の起動試験と先の実技試験の続きを並行して執り行う。ことをここに宣言する。」
「……え?私の専用機!?」
「……そう登録されているんだ。春奈、腹を括れ。束の意図がわからんがお前の専用機なのだ、お前がこの機体の主となればいい。」
……まぁ転生時の専用機がこれなんでしょうね。
「分かりました。やってやろうじゃん!」
私は覚悟を決めてISに触れます。
仄かな青いスパークと共に私の思考領域にいろいろな情報が流れ込んできます。
このISの基本動作、操縦方法、性能……その他の情報も一気に流れ込んできます。
機体識別名RCI-00XG [フリーダム]
これは……試験会場で起動した[打鉄]とは全く違う感覚。
私に馴染むただただ馴染むんです。
無重力感を感じて私は自分の今の姿をハイパーセンサーで確認します。
額にはガンダムの象徴のシャープなブレードアンテナ。胸部を覆う黒い装甲、灰色のリアアーマー。
左右の肩には腕の可動範囲を阻害しない大きさの装甲が装備されています。
両手両足には工業的な凹凸の残るISアーマーが展開されています。
その背中には翼のようなウイングが装備されています。
「起動は成功だな。[初期化]と[最適化]を待っている暇はない。時間も押しているしな。春奈、感覚は実戦で物にしろ。」
「はい。」
私は浮遊してピットに備えられているカタパルトに脚部を固定します。
〈カウント開始…9…8―――〉
センサー内のタイマーが起動します。
「春奈。試験官はさっきとは違う。気を引き締めろよ?」
「はい!」
〈―――…2…1…〉
「春奈、[フリーダム]。いきます!!」
私はアリーナ内へ勢い良く飛び立ちました。
私のセンサーに反応が出ます。相手の試験官は山田真耶教諭ですね。機体は[ラファール・リヴァイヴ]です。
装備している火器は五一口径アサルトライフル《レッドバレット》。アメリカのクラウス社製実弾銃器で実用性の高さから多くの国で正式採用されているIS用の機関銃です。
「織斑春奈さん。試験官を務めさせていただきます山田真耶です。」
「はい。よろしくお願いします。」
私は武装のビームライフル《ルプス》とラミネートシールドを呼び出します。
背部ウイングバインダーを展開してハイマットモードに切り替えます。
「(武装は現状ではこれらだけ……あとの武装は初期化中か。)」
私はとにかく、時間稼ぎに没頭することにします。
「初めての初戦……。やってやろうじゃん!!」
後書き
張り切って戦闘に入る春奈。しかし、春奈に敗北の兆しが見え始めたとき……
〈初期化と最適化が終わりました。確認ボタンを押してください。〉
「これがホントの[フリーダム]なの?」
次回インフィニット・ストラトス 自由の翼
空翔ける翼
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