SAO-銀ノ月-
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第九話
前書き
短いです。
「なあシリカ。風見鶏亭って、何かオススメの食べ物はあるか?」
「チーズケーキが結構イケるんですよ。」
SAOにとって、食事というのは現実と同じだ。
食わなきゃ腹は減るし、(餓死することは無いと思うが)食えば満腹感が生まれる。
ならば、出来るだけおいしいのを求めるのが、人間という生き物の素晴らしい本能だ。
NPCレストランは、階層ごと、店ごとにきちんと味が違うため、新しい階層に行ったら、食事が楽しみになる。
俺の中では、性格の悪い奴ランキングぶっちぎりのトップである茅場も、たまには良いこともしてくれる。
「ケーキか…久し振りに食べるな。」
「ショウキさんも、きっと気に入りますよ。」
ショウキさん『も』
シリカもお気に入りなのな。
「そいつは楽しみにしておくよ。」
そんな感じで俺たちは、シリカの泊まっている宿屋、風見鶏亭に向かっていた。
「あ、着きましたよ。」
風見鶏亭。
他の建物より一際大きい二階建ての建物だ。
「んじゃ、さっさと飯を食おう。飯を。」
「ショウキさん、さっきから食べることしか言ってませんよ…」
二人で宿屋に入ろうとした時、隣の道具屋からぞろぞろと四、五人の集団が出てきた。
そのギルドは、先程まで探していたギルド、《ミッシングリンク》だった。
今更来るなよ…
この場所での狩りも終わったのだろう、三々五々に解散していく。
…解散?
ロザリアは、あのギルドを襲わなかったのだろうか…
それとも、また後日に襲うつもりなのだろうか。
そんなことを考えていると、そのロザリアがシリカに話しかけて来た。
…知り合いなのか?
「あら、シリカじゃない。」
「…どうも。」
知り合いであることは確かなようだ。
仲は悪そうだが。
「でも、今更帰って来ても遅いわよ。ついさっき、アイテムの分配は終わっちゃったから。」
「いらないって言った筈です!…急ぎますから。」
会話を切って、風見鶏亭に入ろうとするシリカだが、ロザリアはシリカを解放する気はないようだ。
「あら?あのトカゲ、どうしちゃったの?」
使い魔モンスターは、原則飼い主の元から離れることは無い。
アイテムストレージに入れることも出来ないので、飼い主の近くにいない理由は一つしかない。
それが分かっていて言ったいるロザリアに、俺とシリカは唇を噛む。
「あらら、もしかしてぇ…?」
薄ら笑いを浮かべてわざとらしく言うロザリアに、流石に我慢が出来なくなった。
「もしかして、死」
「黙れよ。」
ロザリアが口を開く前に、シリカを庇うように割って入る。
「ピナは必ず生き返らせる。お前は黙れ。」
「へえ。じゃあ、《思い出の丘》に」
「黙れって言ってるのが聞こえないか?」
睨み付けている俺が流石に怖かったのか。
「ハイハイ。じゃ、せいぜい頑張ってね。」
ロザリアは立ち去っていく。
口元を、ニヤニヤと笑わせながら。
――ホランド。もしかしたら、手早く済むかも知れん。
心内で友人に報告し、シリカの方を向く。
「さーてと、腹が減ったから飯にしようぜ。」
「あ、は、はい!」
風見鶏亭の中に入り、適当な席にシリカを座らせ、宿にチェックインする。
宿に泊まるのは慣れているので、手早くチェックインを済ませてシリカの向かい側の席に座った。
「ショウキさん…なんで、ロザリアさんはあんなに酷いことを言うんでしょう…」
「ま、こういうゲームは性格が変わる奴もいるって話だしな。…そうだな、自分に正直に生きてるんだよ。」
シリカは首を傾げる。
「例えば俺なんかも、さっき会ったあいつ…ロザリア…と同類さ。自分が楽しいと思うことを追い求める。やってることは変わらん。」
「それは違います!」
…少し驚いた。
シリカは、そんなに強く人を否定出来る、強い奴だったらしい。
じゃなかったら、こんな年で中層まで来ないか。
「ショウキさんは…上手く言えないけど、ロザリアさんとは違うと思います!」
「へえ、どして?」
面白そうだったので、つい聞き返してしまっていた。
「だって、ショウキさんは良い人です…私を、助けてくれたもん。」
言葉を探しながら、どう言えば分からなさそうにしているシリカ。
そんな動作が可愛くて、頭の上に手を置いてしまった。
「え…」
「良く言ってくれた。ありがとな。てか、あんな奴と一緒じゃないな、俺は。」
話が一段落ついたところで、NPCのウェイターが飲み物を持ってくる。
手を頭の上から離すと。
「あ…」
シリカは一瞬、残念そうな顔をした。
…何が残念なんだ?
「…シリカ?」
「あ、あのそのえっと…なんでもありません…」
なんやねん。
「じゃ、ピナの蘇生が成功することを祈って。」
コップを一杯、手に取る。
シリカも俺が何をしようとしているか分かったようで、コップを手に持つ。
「「乾杯。」」
……追記しておくと、久々に食ったチーズケーキはおいしかった。
後書き
この作品は、出来るだけ原作沿いを予定していますので、キリトとショウキの違いを見て欲しいと思います。
感想・アドバイス待ってます!
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