SAO-銀ノ月-
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第八話
前書き
…むしろ、テスト中の方が早く更新出来ると思う今日この頃。
シリカをおんぶして走って、ちょうど一分ぐらいで俺たちはサブダンジョン|《迷いの森》を抜け出すことに成功した。
なんだ、地図なんて無くても結構簡単じゃないか…
「ショウキさん!」
自分の背中に乗っているシリカが、非難の声を上げる。
「ん?どした?」
「どした、じゃありません!…怖がったです…!」
そう言うシリカは、苦手な絶叫マシンに乗った後のようになっていた。
…シリカから言えば、ショウキの背中はまさしく苦手な絶叫マシンだったのだが…
「ハハ、悪い悪い。つい楽しくてさ。」
「むー…」
文句を言いたいが、助けられた手前、強くでれない、といったところか。
「でもこれで、緊張ほぐれたろう?」
「あ…」
さっきまで、変に緊張してたからな。
…無理もないのだが。
「確かに、初対面の男と一緒に歩いてんだから、緊張する気持ちも分かるけどさ。やるからには、楽しく行こうぜ。」
やるからには、楽しく。
俺の持論でもある。
「…そうですね…ありがとうございます。」
うん。
「やっぱり、笑ってた方が可愛いな。」
「えええエッ!?」
顔を赤くして変な声を出すシリカは面白かったが、もう夜遅くなる。
「さあ、さっさと俺の背中から降りろ。それとも、このまま主街区に行きたいか。」
「降ります!」
何だ、降りなくても良かったのに。
面白いことになるだろうなぁ…
「それじゃあ、行きましょうショウキさん。」
「はいはい。」
サブダンジョン|《迷いの森》から離れて行き、俺とシリカは第三十五層市街区へ向かった。
…ちょっと進んだら、なんだか男達に囲まれた。
何だこりゃ。
犯罪者というわけではない。
男たちは全員、俺やシリカと同じくきちんとした《グリーンプレイヤー》だし、自分たちの武器も抜いていない。
と、なると…
「シリカさん。」
背の高い剣士がシリカの名を呼ぶ。
当たりをつけた通り、シリカの知り合いのようだった。
まあ、シリカの表情を見る限りあまり仲の良い知り合いとは思えないが。
「シリカさん、フリーになったんだって聞いたよ。だったらどうだい?俺たちのところに入らないかい?」
なるほど、アイドル(シリカ)の勧誘か。
俺は確かに傭兵だが、あまり低層には来ない。
理由?
ナイスな展開にならないからさ。
それはともかく、俺がまったく見覚えの無いギルドということは、下層ギルドだな。
「あの、すいませんが…しばらくこの人と一緒に組むことになったので…」
俺に視線が集中する。
ま、そうなるわな。
「おい、あんた。」
シリカに話しかけていた、リーダー格の剣士が話しかけて…いや、脅そうとしてくる。
「見ない顔だけど、抜け駆けは止めて欲しいな。俺たちは、ずっと前からシリカさんに声をかけていたんだ。」
「…ずっと前から断られてたのか。ご愁傷様。」
「違う!」
え?違うの?
…ちょっと面白そうだ。
「すいません!私の方から頼んだんです!」
俺の手をとり、その場から離れようとするが、力を込めて踏みとどまる。
「ちょっと…ショウキさん…?」
「そう、つまりは、シリカはお前たちより俺を選んだんだよ。自分の意志でな。」
ピクリと、リーダー格の剣士が反応する。
「今、シリカが言ったろ?『私の方から頼んだんです』、と。…つまり、そういうことだ。」
「ちょ、ちょっと…!」
いやあ、二人の反応が面白い。
血管に青筋をたてて唇を噛む剣士と、顔を赤くして手を引っ張るシリカ。
一粒で二度おいしい。
「シリカさん、本当に自分から頼んだの?」
「ええっと…はい。」
自分から頼んだのは事実だ。
「そんなわけだ。シリカのことは任せてくれ。さようなら!」
シリカの手を引き、走って主街区行きの転移門へ走る。
そして、ライトエフェクトと共に、俺とシリカは《迷いの森》から姿を消した。
第三十五層市街区は、白い壁に赤い屋根の建物が並ぶ牧歌的な農村だった。
それほど大きい街ではないが、今は中層プレイヤーたちの主戦場として賑わっていた。
「ほうほう。」
珍しくて色々な場所を眺めている俺の後ろには、すっかり疲れ果ててうなだれるシリカがいた。
「…私、ショウキさんのこと、最初は怖い人だと思ったんですけど…」
「あ〜。いきなり怒鳴りつけちゃったからね。」
「今は…楽しそうな人です。」
楽しそうな人。
「ありがとう。最高の褒め言葉だ。」
「ふふ…」
二人して笑いあう。
何だ、シリカも意外と楽しんでたんじゃないか。
「俺も、今日はここに泊まろうと思ってるんだ。シリカの宿屋どこ?」
「あ、そうなんですか?それならこっちです。《風見鶏亭》って言うんですよ。」
シリカに先導され、俺たちは宿屋《風見鶏亭》に歩きだした。
後書き
やっぱり、一話一話が短いですね…
今度からもうちょっと長くしたいです。
感想・アドバイス待ってます!
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