機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~
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第十七話 蘇る記憶
前書き
フリーダムとAAの介入により、事態が悪化。
辺りはさっきまでの爆音が嘘のように静まり返っていた。
一瞬にして現れた1体のMSによって、戦場の動きが止まっていた。
そしてそれを待っていたかのように後方の雲から戦艦が姿を現した。
戦艦のハッチが開き薄ピンクにカラーリングされ右肩に白百合のエンブレムの入った1機のMS…ストライクルージュが出てきた。
カガリ『私はオーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ!!』
シン「え!?」
アレックス「アスハ代表!?何故!!?」
ナオト「何で彼女が!?」
カガリ『現在わけあって国元を離れてはいるが、このウズミ・ナラ・アスハの子、カガリ・ユラ・アスハが、オーブ連合首長国代表首長であることに変わりはない!!その名において命ずる。オーブ軍はその理念にそぐわぬこの戦闘をただちに停止し、軍を退けっ!!』
シン「何を言ってるんだアスハは!?今更何を…」
アレックス「落ち着け、シン。グラディス艦長、大丈夫ですか?」
タリア『こちらは大丈夫よ。こちらはね………何がどうなってるんだか。まさか、このままオーブが退くなんてことは……』
アレックス「オーブ軍が退くことなどまず無いでしょうね」
ハイネ『だな、俺もアレックスに同意見だ。艦長、動きがあったら俺達も出ますよ。いいですね?』
すぐに出撃出来るように準備を始めるハイネ。
タリア『ええ、お願い』
アレックス達は機体を静止させ、オーブの出方を待つ。
『上空の不明機、ならびに所属不明艦に警告する。』
全チャンネルで回線が開かれ、コクピットにもオーブからの返答が響き渡った。
『貴艦らを、我が国の国家元首を名乗り、戦線を撹乱しようとするものと見なす。速やかに当海域を立ち去れ。さもなくば敵勢力として排除する』
オーブからの答えはYESではなくN0だった。
オーブはこの戦闘から退かない。
それが確定してしまった。
やっぱりこんなところで叫んだところで止められるはずがない。
結局彼らの介入は失敗して戦闘は継続される。
彼らの行動も、そしてそれによって失われた命も無意味になった。
砲撃の音と共にオーブ艦隊から無防備な状態のアスハ代表の機体であるストライクルージュに向かって無数のミサイルが発射された。
警告のとおり敵とみなして攻撃を開始したんだろう。
しかしその攻撃は全てあのフリーダムによってあっという間に相殺されてしまった。
カガリ『オーブ軍何をする!?私は……』
それと同時に横合いから地球軍がミネルバを狙いにやってくる。
タリア『MS隊、全機発進せよ!!』
ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルス、グフ。行くぜ!!」
ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」
ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」
レイ「レイ・ザ・バレル、グフ。発進する!!」
残りのミネルバのMS隊も迎撃のために全機発進する。
ナオト「皆!!充分に連携して戦って!!オーブ軍は攻められない限りまだこちらから手を出さないで!!最後に各員、アークエンジェルとフリーダムがオーブ代表を拉致して逃走したことは知っているね?もしあの勢力のスタンスが前大戦と変わっていないなら奴らは、こちらを殺そうとはしない。無視しても構わない!!けど、武装を破壊されること及びミネルバの武装付近にいる人員達は二次災害に充分注意して。以上!!」
全員【了解!!】
前大戦のアークエンジェルを知っているナオトは指示を出す。
それまで動きを止めていたはずのムラサメやアストレイがこちらに向かって攻撃を再開し始めた。
アレックス「来るぞ!!」
シン「はい!!」
ハイネ「いいか、何としてもミネルバを守りきるぞ!!」
ナオト「言われなくても!!ステラも気をつけて」
ステラ「うん」
ガイアとハイネのグフも加わり、敵MS隊に突っ込んでいく。
もう混戦もいいところで、ごちゃごちゃでもう訳が分からなくなりそうだった。
次から次へと敵が向かって来て今どこの勢力の機体を倒してるのか分からないくらい色んな機体が入り乱れる。
ステラ「シン!!」
シン「ステラ!!連携して、カオスを捕獲しよう!!」
ステラ「うん!!」
ステラの知り合いが乗るカオスにインパルスとガイアが向かっていく。
インパルスとガイアがまずカオスの武装を破壊しようとするが、カオスもそう簡単にはやられてくれない。
ムラサメがフリーダムとストライクルージュに向かうが、フリーダムの攻撃により、腕を失い、推力を失い、海へと落ちていく。
分かっているのだろうか。
宇宙と違い、地球上には重力がある。
この高度で落ちれば、海は硬質な大地と同等の衝撃をMSに与えるということに。
アビスは海中からセイバーに向かってビームを放つ。
アレックス「ちっ!!」
何とか回避したが、それを見たナオトはミネルバに戻り、アナザートライアルソードストライカーに換装すると水中のアビスの元に向かう。
ストライクEの換装形態で一番水中戦に適しているのはこの形態だ。
アウル「ああ?強奪された機体かよ。お前なんかが来たところで!!」
MA形態のアビスがストライクEに魚雷を発射するが、ストライクEはそれを回避するとシュベルトゲーベルで切り掛かる。
VPS装甲のアビスにはダメージは無かったが、その衝撃はかなりの物だろう。
アウル「ぐっ、てめえ!!」
ナオト「グフとは違うんだよグフとはね!!」
不敵な笑みを浮かべながら再びアビスに向かっていく。
ハイネ「ちょこまかと!!」
ハイネのグフがスレイヤーウィップを振るい、ムラサメの腕に絡みつかせ、ビームソードで切り裂く。
レイ「アレックス!!ミネルバに4機向かいました!!そちらに追い込みます!!」
アレックス「頼む!!」
レイが追い込んだ敵をセイバーがビームサーベルとビームクローで切り刻んだ。
ムラサメはMA形態、MS形態と頻繁に変形する。
変形機構を有してるためかウィンダムより遥かに墜としにくい。
インパルスとガイアもカオスにのみ集中出来なくなったのか、ムラサメとウィンダムに攻撃対象を切り替えた。
ガイアがビームサーベルでアストレイを切り裂いた直後。
フリーダムがビームサーベルを抜き、凄まじい機動でガイアに向かっていく。
ステラ「!?」
ステラは反射的にガイアのビームサーベルを振るうが、ガイアの右腕が逆に切り落とされてしまう。
ステラ「きゃあああああ!!」
シン「ステラ!!うわあ!!」
腕を切り落とされたガイアに気を取られたシンもライフルを破壊される。
アレックス「シン!!ステラ!!」
ナオト「何あれ、手当たり次第!?」
レイ「ぐっ!!」
ムラサメをスレイヤーウィップで拘束していたレイのグフも両腕をライフルで撃ち抜かれてしまう。
ハイネ「ちっ!!この野郎、生意気な!!」
ハイネのグフがフリーダムにビームガンを繰り出すが、フリーダムはそれを回避し、すれ違いざまにグフの右腕を切り落とした。
ハイネ「何!?」
アレックス「なっ!?」
ナオト「ハイネ!!よくも、ミネルバ!!エールストライカーを射出!!」
ミネルバからエールストライカーが射出され、両腕のパンツァーアイゼンをそのままに、エールストライカーを装着する。
キラ「あの機体…ストライク!?改良型!?」
ナオト「あんた達は何がしたいの!!?」
フリーダムとストライクEが交差する。
ストライクEの右腕が切り落とされた。
ナオト「この…っ!!」
余った左腕でビームサーベルを抜こうとするが、その前に左腕をライフルで撃ち抜かれた。
スティング「貰ったぜストライク!!」
MA形態のカオスがストライクEに向けてカリドゥス改復相ビーム砲を放った。
ナオト「あ…」
アレックス「避けろナオト!!」
突然のことに対処出来ないナオトは硬直する。
シン「ナオトさん!!」
ステラ「ナオト!!」
間に合わない…。
誰もがそう思った時。
ハイネ「全く世話が焼けるぜ」
ハイネのグフがストライクEに体当たりし、ストライクEを吹き飛ばすと、シールドを構えた。
そしてハイネのグフはビームに飲み込まれた。
ナオト「あ…」
ビームの奔流が収まった頃、胴体だけを残し、海をに落下していくグフ…。
ナオト「ハ、ハイネ…」
ハイネ「へっ…何だよナオト…その情けない面は…」
ノイズ混じりの言葉が聞こえたがナオトの耳には入らなかった。
グフは海に落下し、爆発した。
ナオト「ハイネーーーーーっ!!!!」
アレックス「あ、ああ…」
まさか…死んだ?
前にも…前にもこんなことがあった?
赤を着込み、緑色の髪をした柔らかい表情を浮かべた少年。
そして緑を着込み、不敵な笑みを浮かべた青年。
アレックス「ミ、ゲル…ニコ…ル…」
ミゲル『死ぬなよ…』
ニコル『アスラン、逃げて……………』
次々と蘇る過去の記憶。
やったのは誰?
ハイネを墜としたのは…。
アレックスがカオスを認識した途端、種が弾けた。
アレックス「うわあああああ!!」
セイバーのバーニアを吹かしてカオスに接近するとカオスを切り刻んだ。
胴体のみ残されたカオス。
最早カオスは使い物にならないだろう。
セイバーのライフルを落下していくカオスに向ける。
キラ「アスラン!!」
止めなければ、そう思い、キラはライフルをセイバーに向けて放つ。
アレックス「ち…っ」
アレックスは舌打ちしながらそれを回避し、敵MS隊に向かっていく。
キラ「待つんだ!!」
フリーダムもそれを追い掛ける。
今のアレックスは敵に対する容赦がない。
本気のアレックスが相手ではオーブ軍に勝ち目はない。
ルナマリア「な、何なの…?」
レイ「ミネルバ、ハイネのグフが落ちた場所の特定を、特定が終わり次第ザクへ転送してください。 ルナマリア。データが来たら急いでコックピットだけでも回収するんだ。間に合わせろ」
ルナマリア「で、でも……」
レイ「連合はアレックスに任せるしかない!!」
ルナマリア「っ…分かった」
ルナマリアはMS隊に向かって行ったセイバーを心配そうに見つめた。
タリアは夢を見ているのではないかと錯覚させられた。
セイバーが擦れ違った途端に何機ものウィンダムが墜ちていく。
アストレイとムラサメも抵抗出来ずに墜ちていく。
フリーダムの射撃も逆に利用して敵MSを墜としていく。
タリア「これが戦争を生き抜いたザフトレッドということなの……?」
それともクルーゼ隊だからなのか。
かつてザフトで任務完遂率が最も高かったと言われるクルーゼ隊。
隊長であるラウ・ル・クルーゼが戦犯の1人とされたため、ザフトではクルーゼ隊の名を口にすることはタブーとなっているが、それでも、彼らの任務完遂率、それに伴う奇抜な戦術は今もザフト内では話に上る。
セイバーとフリーダム相手に余裕がなくなったのだろう。
ミネルバへの攻撃が次第に減っていく。
このままでは全滅しかねないと判断したのか、連合側から帰還信号が放たれMSが撤退し始めた。
タリア「単独で撤退させたわね」
アーサー「すっごいですねぇ。アレックス」
ふっと息を抜いたタリアとアーサーの言葉にブリッジ内の空気が緩む。
メイリン「ザクからの通信です」
ルナマリア『ハイネのグフを発見しました。今から帰還します』
タリア「そう、ドッグに医療班をお願い」
ルナマリアからの通信が朗報かどうかは医療班の腕にかかっているだろう。
あれだけの爆発を身に受け、さらには海に叩きつけられている。
タリア「アレックスの帰還次第、近い軍港へ向かうわ」
アーサー「了解しました」
アレックスはセイバーを帰還すると、足早に医務室へ向かった。
そして、タンホイザー起動時に受けた攻撃に巻き込まれた技術スタッフ達も予断を許さない状況ということだった。
後書き
アレックスの記憶が蘇る。
しかし、怒りのままにSEEDを発動させたアレックスは連合軍に致命的な打撃を与え、撤退させた。
次回はオリキャラを追加しようと思います。
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