機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~
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第十六話 蒼天の剣
前書き
オーブ軍との戦闘。
そして…。
ディオキアでの休暇を終えたアレックス達は新たに仲間になったハイネを迎えていた。
ヴィーノ「オレンジ色のグフかあ」
ヨウラン「また機体が増えたなあ……まあ、整備に慣れた機体で助かったけど…また手間がかかる…」
ハイネ「…ま、そう言わずに。俺の機体の整備、しっかり頼むぜ!!」
ぼやくヨウランの肩に手を置きながら言うハイネ。
ヨウラン「あ、はい!!」
ヴィーノ「…あの人もFAITHなんだよな?」
ハイネがアレックスとナオトと一緒にMSデッキを後にするのを見ながらヴィーノが呟く。
ヨウラン「ああ、ナオトさん、艦長、アレックスさんに続いて4人目だぜ?」
ヴィーノ「アレックスさんやナオトさんと大分雰囲気違うよな~。あれ?じゃあどっちが指揮するんだろ?」
ヴィーノが思わず疑問符を浮かべた。
FAITHであるアレックスとナオトとハイネのうち、誰が戦闘指揮を執るのだろうか?
そして談話室に入室すると、まだ挨拶をしていないレイがハイネに敬礼する。
レイ「レイ・ザ・バレルであります」
ハイネ「ああ、グフイグナイテッドね。ハイネ・ヴェステンフルスだ。よろしく。しっかし、流石に最新鋭だなあミネルバは。なあ?ナスカ級とは大違いだよなアレックス、ナオト」
アレックス「え?ああ、そうだな」
ナオト「ん?まあ…そうだね。うん」
アレックスとナオトは苦笑交じりにそう答える。
シン達はそんなアレックス達を見てキョトンとしていた。
ルナマリアやシン、レイは最初からミネルバに配属されたから他の戦艦のことはそんなに詳しくは知らない。
乗ったことはあっても、実習で数回しかないから当たり前と言えば当たり前。
元連合のステラなど論外だろう。
ナオトは2年前の大戦でナスカ級にいたし、アレックスはザフトに入隊するために訓練でナスカ級に何度か乗ったことがある。
確かにハイネが言うように、ミネルバはナスカ級とは全然異なった戦艦だ。
新造艦だから、艦内の設備においてはナスカ級などより1つ上を行っている。
ブリッジが可動式だったり陽電子砲が装備されたり、ナスカ級にはない多くの技術がミネルバには詰められていた。
ルナマリア「ヴェステンフルス隊長は今まではナスカ級に?」
ハイネ「ハイネでいいよ。そんな堅っ苦しい。ザフトのパイロットはそれが基本だろ?君はルナマリアだったね?」
ルナマリア「あぁはい」
ハイネ「俺は今まで軍本部だよ。この間の開戦時の防衛戦にも出たぜ?」
シン「あの、アレックスさん。俺達は?」
アレックス「ああ、ハイネの方が先任だ。シン」
シンが言いたかったのは、これから自分達が誰に従うべきなのか?ということだろう。
確かに言われて見れば、これから独自に戦闘指揮を出すことの出来るパイロットが3人いることとなる。
つまり隊長が3人いるということ。
指示を出してくれるのがどちらかを決めてもらわないと、指示に従って動くシン達は困ることになる。
ハイネ「あれ?アレックスにナオト。お前らさん付けされてんの?」
アレックス「え?ああ、そうだが?」
ナオト「何?文句あるの?」
ハイネ「いかんなあ、俺達ザフトのMSパイロットは戦場に出ればみんな同じだろ?FAITHだろうが、赤服だろうが緑だろうが…」
確かにハイネの言う通りではある……。
ザフトは服の色の違いはあれど、階級は存在しない。
それは1人1人、個人を大切にしているからだ。
ステラ「皆…同じ…?」
ハイネ「そう。命令通りにワーワー群れなきゃ戦えない地球軍のアホ共とは違うだろ?」
シン「あ、はい……」
ハイネ「だから、そんな堅っ苦しい関係は俺達には必要ないんだよ。お前らもお前らだなアレックス、ナオト。何で呼び捨てしろって言わないの!?」
アレックス「す、すまない…」
ナオト「皆が皆、ハイネみたく失礼な奴じゃないんだよ」
苦笑しながら謝罪するアレックスとムスッとしながら言うナオト。
ハイネ「ま、今日からこのメンバーが仲間ってことだ。息合わせて、ばっちり行こうぜっ!!」
ハイネはアレックス達の顔を確認して、どこかキザっぽいウインク付きで鼓舞する。
ナオトの隣のアレックスから小さな溜め息が聞こえてきた。
アレックス「俺もああいう風にやれたらいいんだけどね……ちょっと中々…」
ナオト「別にいいんじゃないかな?アレックスはアレックス。馬鹿ハイネは馬鹿ハイネ。君は君らしくしてればいいの」
アレックス「ありがとうナオト。」
ハイネ「おーい、何イチャついてんの、アレックス!!ナオト!!お前らが案内してんだろうがっ!!」
アレックス「イチャついてって…」
ナオト「でかい声で言わないでよね!!」
アレックスとナオトが急いでハイネ達に駆け寄る。
するとハイネがナオトに耳打ちする。
ハイネ「ナオト。後で甲板に来い」
ナオト「?分かった…」
ハイネの言葉にナオトは疑問符を浮かべながら頷いた。
ハイネと共に甲板に来たナオトは、早速とばかりに尋ねる。
ナオト「で?何の用なのハイネ。」
ハイネ「実は地球軍は黒海へ増援を出したらしい。多分、スエズラインの陸路を立て直したいんだろう…。んで、ディオキア周辺の全部隊に地球軍侵攻阻止の命令がもうすぐ出る…ナオト。アレックスに次の作戦外れてくれるよう説得してくれないか?」
ナオト「え!?」
思わずナオトはハイネの言葉に目を見開いた。
ナオト「ど、どうして?アレックスに何か問題が?」
ハイネ「地球軍が増援として送ったのはオーブ軍だ…」
ナオト「オーブ!?」
ハイネ「今はあれも地球軍だからな。アレックスの大体の事情は議長から聞いている。あいつの正体もな。俺がミネルバに配属されたのもアレックスが無理して出撃しなくてもいいようにってことだろ。オーブと戦えば、戻るかもしれないだろ?記憶。」
ナオト「…そう、だね……」
自分は出来ることならアレックスに戦って欲しくない。
あの辛い過去を思い出す可能性があるから…。
だが…。
ナオト「アレックスは…それでも……戦うよ。守る物があるから……」
ハイネ「………けど、オーブはお前にとっても…」
ナオト「……それは過去の話。私がアレックスを全力でサポートする。アレックスは私が守る。」
ハイネ「そうか…」
ナオトの言葉にハイネは笑みを浮かべながら腕組みをする。
ハイネ「正直、アレックスが出てくれるのは有り難いよ。あのひよっ子達どう扱ったらいいか分かんなくって…ほら、あの金髪カタそうだし、黒髪の方は気難しそうだし…もう一人の金髪は何考えてるのか分かんないし。それにあの赤毛のミニスカートは何?あれ制服じゃないだろ?」
ナオト「…………」
ナオトは苦笑しながらハイネの話を聞くのだった。
確かにルナマリアのあのミニスカートは何だろう?
制服の改造は有りだっただろうか?
パイロットスーツに着替えたアレックスとシンはアラートに入るとアレックスはシンの態度が気になり、尋ねる。
アレックス「シン。どうした?」
シン「…別にどうもしませんよ。オーブって言ったって、今はもう地球軍なんでしょ!?何なんですかあの国は…!!この前は同盟結んだ途端に掌返して攻撃してくるし!!今度はこんなとこまで艦隊送ってきて…本当に何考えてんだか…」
アレックス「仕方ないさ。一度連合に付くと決めたからには…。でないと、オーブが攻められる。実体験もあるしな」
シン「………」
アレックス「ナオトもお前のことを気にしていたぞ」
シン「え?」
アレックス「ナオトもお前と同じオーブ出身だからな」
シン「ナオトさんが!?」
今まで知らなかったナオトの出身にシンは目を見開いた。
アレックス「ナオトは幼い頃にオーブで起こったブルーコスモスのテロで家族を失ったらしい。家族の他に身寄りのないナオトはプラントに移住し、力のない自分を嫌悪してザフトに入ったんだ」
シン「ナオトさんが…」
アレックス「シン、割り切れ。でないとお前が死ぬ…。仲間が死ぬのは見たくない」
シン「……分かってます」
アレックス達はそれぞれの搭乗機に乗り込む。
着々と戦闘準備が進められている。
ハイネ「アレックス」
アレックス「ハイネか?」
ハイネ「どんな感じだった?」
アレックス「前にオーブ軍、後ろに地球軍の配置だった。数は…まぁ、何時も通りに多対一であることに変わりはない」
ハイネ「オーブにプラントを撃たせる、か」
アレックス「地球軍はオーブ軍を盾にするつもりなんだろうな」
オーブは地球連合に国民の命を握られている。
だから守るために前に進むしかないのだ。
ハイネ「アレックス、死ぬなよ」
アレックス「ああ、ハイネもな」
今回の戦いは最初、対空戦の出来るシン、アレックス、ナオトの3人で攻める。
次に残りのメンバーが出撃。
最初から全力でいってエネルギー切れはしたくないというアレックスとハイネ、ナオトの意見で、ハイネはステラとルナマリア、レイと共に後続として出撃することになった。
戦闘前に言っておきたいことは言った。
後は全力を出すだけだ。
メイリン『コンディションレッドに移行。パイロットは搭乗し、インパルス、セイバー、ストライクは発進準備をしてください』
メイリンのアナウンスが艦内に響き渡る。
オーブ軍との戦闘が始まる。
シン「シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」
アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」
ナオト「ナオト・フジワラ、ストライク。出るよ!!」
インパルス、セイバー、ストライクEが空へと駆け出した。
シン「どんだけいるんだよ」
通信越しのシンの悪態にアレックスとナオトは苦笑してしまった。
オーブ軍の主力を集めてきたのだろうか。
次々と母艦からMSが飛び出してくる。
限りというものがあるのか疑わしくなってしまう。
切り被ってくるムラサメを反射でよけ、ビームクローで切りつける。
更にビームサーベルを逆手に持ち後ろのMSを貫いた。
そして、そのままMSの群れに突っ込んでいく。
そんなアレックスの戦法を敵と切り結びながらもシンはその光景に魅入っていた。
きっと敵もそう思っている。
セイバーが傍を通り抜けたと思ったら多くのMSが同時に爆散するのだ。
ナオトのストライクEも高機動を活かして、次々とオーブ軍のMSを墜としていく。
これが、前大戦を生き残ったエースの力。
ギリッ…とシンのグリップを握る手に力が入る。
その時、ミネルバから通信が入った。
メイリン『タンホイザー起動。パイロットは軌道から退避してください』
タンホイザーが放たれたら少しはこの状況を打破出来るか。
照準が合わされ、放たれようとした瞬間。
空から一条の光が放たれ、タンホイザーに吸い込まれたと思ったら爆発した。
ナオト「え!?」
アレックス「何だ!?」
シン「何だ?どこから攻撃が!?」
一瞬見えたビームの線を追って上空を見上げると、太陽に照らされた10枚の翼を持つ機体が視界に入りこんできた。
シン「何だ…?」
アレックス「あの機体…俺はあれを知っている…?」
ナオト「…フリーダム!?」
ナオトが蒼天から舞い降りた機体に驚愕しながら叫んだのであった。
後書き
フリーダムとAA介入です。
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