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万華鏡

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第六十話 ハロウィンの前にその十一

「絶対にな」
「為せば成るなんだな」
「だからこっちの日本一記念ライブもな」 
 既に日本一となることが決まっていた、彼の中では。
「絶対に成功させるぜ」
「頑張れよ、気合入れてな」
「ああ、そっちもな」
「ハロウィンのライブだな」
「やれよ、それで成功させろよ」
 声で美優の背中を押しての言葉だ。
「やるんならな」
「ああ、やれるからだよな」
「やれるんだからな」
 それならばだというのだ。
「絶対にやれよ」
「そうだよな、本当に」
 こうした話もした、軽音楽部の男女はそれぞれ仲がよかった。そしてそうした話をしてそれからであった。
 プラネッツの五人はこの日の部活を最後まで楽しんだ、それで下校をしてだった。
 美優は家に帰ってだ、自分の兄にこう言った。まだ制服姿で鞄をテーブルの自分の席に置いたうえでだ。
「いや、最近ずっと何か」
「何かってどうしたんだよ」
 ゲームをしながらだ、兄は妹に応えた。顔は画面の方にある。
「忙しいってか?」
「充実してるんだよ」
 こう言うのだった。
「本当にさ」
「部活楽しいみたいだな」
「学校の生活自体がさ、友達もいるし」
「それはいいな、俺もな」
 やはりゲームをしつつ言う兄だった。
「充実してるぜ、最近」
「ゲームでだよな、兄貴は」
「面白いアニメも多いからな」
 ゲームだけでなくこちらもいいからだというのだ。
「充実してるぜ」
「そっちでなんだな」
「サークルの方もな」 
 大学のそちらもだというのだ。
「最近楽しいぜ」
「確かRPG同好会だよな」
「そっちもな」
 これもだというのだ。
「最近同人ゲームを探して回っててな」
「へえ、同人ゲームなあ」
「それがいいんだよ」
「そっちの世界はよく知らないけれどな」
「面白いゲームが多いぜ、そっちも」
 こう妹に話すのだった。
「こうしたメーカーが出しているゲームもいいけれどな」
「そうなんだな、ただな」
「ただ?何だよ」
「普通のゲームだよな、そのやってるゲームって」
 美優は怪訝な顔になって兄に問うた。
「それって」
「どういう意味だよ」
「いや、最近うちのクラスの男連中がゲームをさ」
「十八禁か」
 兄はすぐに察した、そうしたジャンルのゲームのことだとだ。
「エロゲだな」
「わかるんだな」
「高一でしていいのか?」
「いや、本当は駄目だけれどな」
 この辺りは内密にだ、とりあえずばれてはいけない相手にばれないといいのだ。この十八禁というのは実際微妙なものだ。 
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