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ハイスクールD×D 力ある者

作者:遠山 龍介
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零章 原作前のプロタゴニスト
  少年で会います?

オーフィスが居候し始めて三年が経った。

俺――遠山 龍介は、今公園で遊んでいる。といっても、精神が大人なんだ。小さい子を相手にすると、つい優しく接してしまうんだよな。そして何より……。

「龍介、これ乗る」

『龍神様』ことオーフィスが、興味津々に目の前にある『ブランコ』を見て言ってきた。

「あ~、乗ればいいじゃん。……てか、乗り方知らないんだっけ?」

「ん。我、初めて乗る」

「そうか……わかったよ。そこに腰かけて」

「ん、こう?」

オーフィスはひょいと、ブランコの上に腰を下ろす。

あっ!言い忘れてたけど、あの黒ゴスロリは外出時使用禁止にした。だって、色々危ないもん。

そのかわり、何着か洋服と下着を買ってあげた。店員さんに頼んで仕立ててもらったりしたぞ。俺は会計のみだ。

今は、ボーイッシュな服装をしているオーフィス。

「いくぞ」

「ん」

俺の掛け声に答えたオーフィス。

「それ!」

手加減して押してやると、ギーコギーコ漕ぎ始めた(オーフィスはジッとしてるけど)。

何回か押していると、つい楽しくなってきてしまい……。

「えいっ!!」

俺は失態を犯してしまった。

スポッ――ひゅーん!!

そんな効果音が似合うほど、オーフィスは見事にブランコから飛んでいた。しかも、自由落下の原理で、弧を描いて落ちていくオーフィス。

「やべっ!調子にのりすぎたっ!」

スタッ!

時すでに遅し。オーフィスは着地し、両手を挙げていた。

おまえは体操選手かっ!!

いやいやいや!今は突っ込んでいる場合じゃねぇ。何とかこの状況を打破しねぇと!

俺はダッシュして、オーフィスのそばに駆けつける。本人のオーフィスは……。

「これ、面白い」

目を輝かせていた。

「待て待て待て!!さっきのは事故だ。うん、絶対事故なんだ!さっさとか――」

俺の言葉はある少年によって遮られた。

「ねーねー。おねえちゃん。もう一回さっきのやって!」

その少年は、目を輝かせてオーフィスを見ていた。

周りを見てみると、さっきまでいた親御さんたちがいない。……いや、目の前にいる少年しか残っていなかった。

あ~、やっちまったな、こりゃ。危ないものは子供に悪いってやつだな。

「(……でも何で?この子だけ残っていたのか?)」

「ん、我ももう一回する。龍介押して」

「えっ?いや、無――」

ズザザザザー――。

俺は容赦なくオーフィスに引きずられて、ブランコまで連れてこられた。

「すごい、すごい!」

少年は、危なくないように離れた場所で見ている。

何回目だろうか?こうやってオーフィスを飛ばしているのは。

「帰りたいなー」

俺は疲れてきて、そんなことをボヤいていた。

ちょうどその時――。

「イッセー!買物をして来たよー!」

公園の入り口からこっちへ向かって歩いてくる女性。

この少年の親御さんだろうか?

「あっ!カミュ!」

ん?姉弟か?全然似てないな~。

「帰るよ……なっ!何故こんなところに居る!オーフィス!」

「っ!!!」

え?何でこの人、……オーフィスを知っているんだ?

「……ん。我、龍介と遊んでるとこ」

そう言って、俺に指を向けたオーフィス。

「………」

「え~と……かえ――」

がしっ!

普通の人間と思えないほどの力で、俺の肩を掴んできた女性。

「……ねぇあなた、ただの人間じゃないわよね?」

そう言って女性は肩から手を放す。

うぅ……早速、正体バレちまった。

                    D×D

「――ということです」

俺は自宅にて、目の前の赤髪の女性に説明し終えたところ。

「なるほどね。私はイッセーに危害さえ出なければ、手伝ってあげないこともないよ?」

「ん。お願いする」

「ちょっと待ったぁ!!俺の意見はなしですか!?」

「ないよ?」

「ん。龍介、反論させない」

「うそん!俺また死ぬの?!」

「「大丈夫」」

「二人して言うなぁー!」

「ねーねー。何かしてあそぼー」

少年――イッセーがテレビ前からこっちに移動してきた。

「あ~、別にいいけど……その前に自己紹介しとこうよ。名前がわかんないし」

「そうですね……私はカミュ。(バーニ)(ング・ド)(ラゴン)です」

「ドラゴンだったの!?」

「何も驚くことないじゃないですか。そちらには、『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』がいるでしょ?」

「そういえば……そうだった」

「こっちは、兵藤 一誠。私の息子であり、弟です」

うそん!!原作の主人公だったの!?

「ほん……いや、訊かないでおくよ」

「……ありがとうございます。私も、イッセーも、立ち直るまで悲しみましたから」

うん。訊かなくてよかったよ。

「これからよろしくな」

「はい。こちらこそ」

俺とカミュは握手する。

「ぼくもー」

ちっこいイッセーとも握手をした。

「我、オーフィス。……忘れられていた」

「「あ!」」

地味に怒っているオーフィス。……感情が豊かになってきていないか?

「……ところでさ、どうやって生活しているんだ?」

「……二人の遺産で」

「どんくらい残ってんのさ?」

「……何とか切りつめても、二年が限界かな?」

「……」

「……」

それって、完全にアウトですよね!?

「……わかった。ここに住めばいいよ」

「なっ!そのようなこと、迷惑をかけてしまいます」

「いいよ。ドンとこいだ!二人より、四人のほうが楽しいだろ?」

「……では、お世話になります。イッセー、今日からここに住むことになったよ」

「……?前のおうちは?」

「別荘ってことにしておけばいいんじゃね?」

俺の提案に、カミュが頷く。

「それでは、再度よろしく」

「こちらこそ、よろしく」

「ん。よろしく」

ということで、カミュとイッセーが住むことになった。

……ていうか、いつからオーフィスがここの住人になったんだ?居候だったのに。

…また、大きな嵐が近づいてきそうだ。
 
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