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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?

作者:海戦型
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シャイン、名状しがたい宇宙生物を発見するの巻

 
前書き
作者やってると、読者の二重アカウントを疑う瞬間というものがあったりする。
俺の予想では投稿用と読む専でアカウントを使い分けている人は結構いると見ている・・・気持ちは分からないでもないけどね。

今回は大分前にふと思いついた内容。投稿するか迷ってたけど、しばらく投稿できないからせっかくなので公開する。 

 

俺は学校に行かず家でダラダラしながら、時たま思い出したようにフェイトの勉強みてやったりして過ごしている。特にやるべきこともないし、時々月子ちゃんが能力を暴走させるのであんまり忙しい事はできないのだ。やるのは専ら無限力内から抽出した面白そうなデータの閲覧とか。
が、流石に外宇宙からの侵略とかになると現人類じゃ手に負えないから駆り出されることもある訳で。

ある訳で・・・うん。


『D智ウシテ悧ルDルノ!?e#nh弖豫、ソコ{0\:通BV%凭$ー化物!!』
「・・・ハハハハッ、ほぼ何言ってるかわかんねーや!!」
『ウC;'0-----!!』

見るだけでSAN値減りそうな肉塊さんとか、名状しがたい感じの喋り方する肉塊さんとか、クトゥルクトゥルしい雰囲気を醸し出す肉塊さんを追い返したりする「地球圏の守護者」みたいな仕事もしなきゃならんわけだ。そういえば応龍皇も地球圏守護の為のスーパーロボットなのである種では俺の役割な訳だが、同僚欲しいなぁ・・・誰か宇宙に上がれる同僚いないかな。

というのも、地球外からくる侵略者を地球に降りて来てから迎撃するんじゃ遅いんで直接宇宙に出張らなきゃいけないのよ。サイコドライバーの力で生身宇宙空間も平気っちゃ平気だけどあんまり気持ちのいいもんじゃないしね。苗のやつなら宇宙上がっても平気かと思ったけど、長時間は無理らしい。クロエ君?無茶言うな。才人なら頑張ればいけるけど、あいつは自由人だからあてに出来ん。月子ちゃんにこんなのの相手やらせるのも色々不安だしね。

それはさておき、なぜ俺が宇宙空間で肉塊ちゃんと対面してるかというと、実はこの肉塊ちゃんを地球に召喚(ほぼ時空間転移に近い技術だった)しようとした馬鹿がいたのよ。次元力弄って止めたけど。ま、肉塊ちゃんと対面してんのはその影響です。
実は何言ってるかわかんねーといいつつも翻訳は試みている。何せクトゥル―的生物との会話となると普通は聞いただけで正気度がヤバいからデータが少なくて・・・おお、この沙耶(さや)郁紀(ふみのり)とかいう奴のデータは使えそうだな。

「あーマイクテステス。グロ肉スカルチノフさん聞こえますかー?」
『ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!人間が喋ったぁぁぁぁぁああああ!?』
「えー!?お前どんな驚き方してんだよ!?むしろ驚くの俺だからね!?」

取り敢えず、声は女の子だったと言っておく。喜べお前ら、この物語に女の子増えたぞ。



話し合い中・・・



『・・・アナタ何で私見ても平気そうな顔してるんすか?やっぱり化物なの?』
「ある種人間は超えてるけど。まーアレだ・・・ほれ、無限力って便利だね」
『ふぐぐぅ~・・・!私もどうせなら人の姿で生まれたかった・・・あの悪逆非道鬼畜司書め、よくもか弱い乙女を神話生物にしてくれたわねっ!!』
「ちなみに通訳のフィルター通さないとなんかぐちゅぐちゅ音立ててるようにしか聞こえないんだけどね」
『ヤメて下さい!!これ以上私を傷つけないで!!』

乙女も恥じらうなんとやら。触ったら手が大変なことになりそうな体液とか垂れてる肉塊さんは悲しんでいるらしいが、見た目ではうごうごしてるようにしか見えない。なにこれ抉りだされた心臓がクリーチャーになったって言うか、そんな風に見えなくもない。

いろいろ話し合った所、この名状しがたい肉塊ちゃんも転生者であることが判明しましたっ☆
残念ながら高度文明を築いた生物を乗っ取る寄生タイプの為戦闘能力や耐久力に難があり、直接戦闘は精々海鳴の平均的な小学生と同じくらい。・・・え?海鳴の小学生なら結構強いって?お前「結構強い」でこの世界生き残っていけると思ってんの?

でもまぁ、新型超機人(全部龍型なのがあれだが)に乗って戦うくらいは出来そうだね。

「なーあんたウチで働かない?今なら地球の守護者になれるよ?」
『・・・・・・ええっ!?私みたいなよく分かんない塊でも働けるんですか、地球の守護者って!?』
「給料でないけど要望に応じて現物支給。衣食住揃えるし仕事量もそんなに多くないよー」
『至れり尽くせりじゃないですか!就職します!!する!!させてっ!!』

よっしゃ、メンバー確保じゃい!!エイリアンを地球圏の守護者にって何か間違ってる気がするけど、この子は親生物から独立してる子生物だし大丈夫だろう。きっと力になってくれるさ。
・・・時々交渉次第でこんなふうに仲間をふやせていけたらいいなー(抱負)。

「って、それだ」
『え?何がですか?』

今まで何で考え付かなかったんだ。この世界には既にチート人間が結構いるって司書が言ってたじゃないか。なら―――チート共を集めて地球守護すればよくね?みんな自分の星が壊れるのは困るだろう?
人手が足りないなら、最初から探して組織を作ればよかったんだ!

「肉塊ちゃん!」
『ひゃいっ!?何ですか!』

戸惑っているらしいがうにょうにゅ動いているようにしか見えない肉塊ちゃんの手らしき触手を握って、俺はこう言ったのだ。


「俺は本日をもってこの星に地球圏の守護者(ガイアセイバーズ)の結成を宣言する!!」


『・・・シャインさん、その』
「ん?何?」
『シャインさんってひょっとしてだーくふれいむますたーみたいな感じの人なの?』
「・・・・・・・・・」

ともかくその日、たった2人のメンバーによってガイアセイバーズは結成されたのだ。
この組織のメンバーが果たして増えるのかは、彼らに掛かっている・・・多分。



 = =



泣く、という行為が出来ないこの身体では全く表現できないけれど、今私が人間ならば、泣いているんじゃないかと思います。初めて、事情を分かってくれる人間に会えたことに。


司書のせいでこんな体に転生させられ、転生先の私を作り出した母体―――言うまでもなくクトゥルクトゥルしい何か―――から同族を増やして来る使命を受け、実際に一つの星を・・・

本当に嫌なことでした。目の前に現れただけで殆どの人は発狂しちゃって・・・それが当たり前になってしまったって、納得するまでずいぶん時間がかかりました。あとは発狂した人を利用してちまちま人を洗脳・改造していって、何年かかけて知識の殆どを吸収して。

でも・・・私は本来の目的を果たさずに逃げました。

転生者でなければ持ち得ない、地球人としての確固たるメンタリティが拒絶したからです。
私には、それ以上続けることが出来ませんでした。

わたしは種族を学ぶために生命体の血肉を喰らいます。おぞましく狂気的に、しかし当然の如く。
それはその星の種を正しく理解し、正しい形で「改造」するために必要な知識の吸収で・・・必要な情報が揃った時に、私は『咲く』のです。

母体というタンポポから分離し、綿毛に乗って飛び、そこに根付く。その行為によって私の個としてのメンタリティは失われ、ただ単に星の命を改造するのに必要なモノを生産するプラントと成り果てる。

私は死に、星は私の子で・・・肉塊で溢れる―――耐えられませんでした。

それ以上人を改造することも、喰らう事も、役目を果たし「死」を迎えることも。だから私はピースをすべて揃える前に役目を捨てて、星の海に逃げ出したんです。


そして、気が付けば私は地球へ向かっていました。


 ―――集え、始まりのもとに―――


誰かが呼んでる、そう感じた時には私の身体は既に地球に引かれていました。私たちの種族は、種を広めるために知らない知的生命体の思念に引かれるよう出来ているのです。それは本能であり、遺伝子の奥底に刻み込まれた肉体を構成する要素でした。

同時に、私の魂も地球に惹かれました。

地球!青い星!美しい星!本当の母星(ははぼし)!私のいた所だ!!

もう、地球に行くことしか考えられなくなって―――そこに、彼が立ち塞がったのです。

それは子供でした。
それは3次元を超えた空間を飛んでいた私を宇宙空間で正確に止めました。
その子供は生身で宇宙空間を生きていました。
私を見ても眉を一瞬顰めただけでした。

私はこう思いました。この子供は、子供の姿をした化物だと。

化物なら、通してくれてもいいのに。地球に帰らせてくれてもいいのに!


『どうして私の邪魔をするの!?私を、私を通してよこの化物!!』
「・・・ハハハハ$、Hhp@ナニヲ怢瑠樺.:[ワカンネ*=O{堊!!」
『ウガァーーー!!』

その顔は絶対馬鹿にしてるでしょ!?馬鹿にして!人の気も知らない癖に!同じ化物のくせに!私がどんな気持ちで生きて来たか知らないでしょ!?どれほど自分を捨てたくなったか知らないでしょ!?そんな私のたった一つの願いをお前は・・・お前は・・・!!
私は地球に行くんだ。地球に行って・・・行って?

行って、どうするっていうの。

またあの星と同じように、この醜悪で吐き気を催す冒涜的な体を晒して地球の人を発狂させて、中途半端にいじくりまわして、それで地球からも逃げるの?それともここを最後の地にして、『咲く』の?

私は、厭だ。

厭だけど、厭なら、何で―――何をしようと―――


「あーマイクテステス。グロ肉スカルチノフさん聞こえますかー?」

・・・・・・・・・日本語?知らない筈の知識?―――あのヒトが?

『ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!人間が喋ったぁぁぁぁぁああああ!?』
「えー!?お前どんな驚き方してんだよ!?むしろ驚くの俺だからね!?」

それで、名前を聞いて。話をして。
言葉を使って話をしたのは、この世界に生まれてから初めてだった。
話を聞いてくれる人がいることがこんなに嬉しいとは思わなかった。
でも、泣きたいのに、この身体は人間のように泣けなくて。
嬉しさも全然伝わらなくて。でも、でも―――


「なーあんたウチで働かない?今なら地球の守護者になれるよ?」


まるでシャインさんは、私をヒトであるかのように扱った。

言ってることはよく分からなかったが、何のためらいもなく私の身体を素手で触った。

こんな醜い私でも、人として扱ってくれるんですね。

それだけで私は―――救われました。


その時、思ってしまったんです。

シャインさんの為なら―――




今、私はシャインさんの家、なのかな?ワープしてきたのでわからないけど、そこで座っている。シャインさん曰く今から私用の個室を作るらしいが、出来ればずっと人の隣にいたいという思いが強い。ずっと一緒がいい。
何やら難しい顔をしながら難しい漢字の沢山浮いた投影モニターのようなものを弄っているシャインさんに構ってほしくて、何か話すことが無いかと頭を捻る。・・・あ、一つあった。しかも結構重要なものだ。

「シャインさん。名前下さい」

私を個として見てくれた存在は今までに一人もいない。故に私には名前が無かった。ツンツン背中をつつくと、「わかったからやめい!くすぐったいわ!」と怒られてしまった。しょぼーん・・・

「確かに肉塊ちゃんのままはひでーしな。考えるわ・・・他人に名前つけんのもこれで2回目か」

何だかんだでちゃんと考える気があるらしく、名前図鑑なる物を炬燵から引っ張り出してページをめくり始める。ツンデレさんなのかな?足をバタバタさせながらシャインさんをじーっと見る。シャインさんに首ったけ。

「お前・・・身体問題ないか?」

ふと、そう聞かれた。心配してくれてるんだ。嬉しくて自然と顔がにやける。足のバタバタが速くなるくらいに嬉しい。女の子らしい行動がとれて、それを見てくれる人がいる。私の望む幸せだ。

「うん!見ての通り可愛い女の子の形になってるよ~?」
「自分でかわいいとか言うな」

呆れ顔をするシャインさんの顔も見ていて飽きない。人間の感情を当然のように私に向けてくれることが嬉しいから。今の私はきっと箸が転げても嬉しいと思う。

「あんまはしゃぎ過ぎんなよ?符で色々と補助してそれっぽく見せてるだけだからな。本質部分は元とそんなに変わってないし、力を使い過ぎるとうにょにょが見えちまうぞ」
「はーい!」

今の私は見た目だけはシャインさんと同じくらいの歳の女の子。シャインさんの力の一つである仙術を施した符で出来た白ワンピースによって、私は”人間もどき”と言える姿になっている。
私とシャインさんの目に移るワタシはヒトの姿で、私の内に秘める力とイメージ力でそれを保っている。だから私がイメージで人ならば他人から見て私は肉塊ではなくヒト。泣けば幻も泣くし、笑えば幻も笑う。

元の姿のままだと不便だって、シャインさんがこれを与えてくれた。

こんな醜くてひどい存在に成り下がった私に気を使ってくれる。

私が、本当は地球を滅ぼす存在だと分かっていて―――

「どうして、私を受け入れたんですか?」
「・・・流石に元ネタのまんまってのは・・・ん?何でってそりゃ・・・別に脅威にも感じなかったし」

今までに感じたことのないゾクゾクが背中を走る。
何ていうんだろうねこういうの。強者の余裕って感じ?呼吸をするようにサラッと言い切っちゃうシャインさんの底知れなさを感じちゃう。私みたいな肉塊なんて、気に食わなくなったらいつだって処理できるとでも言うようで・・・でも、シャインさんがそう思うのなら従ってもいいかな、とも思った。

「それだけなの?」

「あとは勘。侵略者だけど分かり合える子だって思ったから」

「―――っっ!!!」

何だろう、その言葉を聞いた時、今の私の知識では形容の出来ない電流のような甘美なモノが全身の細胞に駆け巡った。こみ上げてくる歓喜にも似た何かが全身を満たす。

分かってくれてる。
シャインさんは私の事を、化物としての見かけではなく心の形を理解してくれている。
あの星で誰も分かってくれなかった、この世界で私しか知らない”私を”。
シャインさんは、見てくれている。
一人の女の子を、一人のヒトとして。

私はその衝動のむくまま、この身体には存在しない筈の脳髄が蕩けるような熱い感情に従いシャインさんに飛びついた。

「シャインさんっ!!」
「どわっ!何なんだ急に!?」
「シャインさんシャインさんシャインさんっ!」
「おぉーい落ち着け人の胸に頬ずりすんなっつーかちょっと摩擦熱で熱いんだけど!?」

溢れる感情は抑えられない。怖いくらいに沢山のものを貰って、たった一人の理解者で、こんな私を人として扱ってくれる貴方に―――

がちゃっ
「シャインー!そろそろご飯の時間で・・・」



「私の全て、シャインさんに捧げます!!」


分かりました。私はもう死んじゃってもいいくらいあなたが好きです。大好きです。それは恋じゃないと言われようとも、誰が何と文句を付けようとも、もう決めました。

私はこの与えられた命で、貴方を―――愛します。


「・・・・・・・・・」
「・・・・・・えっと、その、まぁ何だ。リニスちょっとそんな深刻そうな顔で母さんと念話してんじゃねーよ!!」
『プププププレシア!!NTRですよこれは最早NTRです!テスタロッサ家に殴り込みのレベルです!!それともまさかこんな子供をお持ち帰りぃぃぃ!?』
「違ぇよ誘拐なんぞしてねーっつーの!!」
「シャインさんの為なら私はこの身体の全てを捧げて良い。『咲いて』いい・・・そう思えるんです!」
「いや咲いちゃ駄目だからね!?君も死ぬわ人類もあれになるわで大変なことに・・・ってあー!あー、背中!生えて来てるって何か生えて来てるってぇーーーー!!」
『プレシア!どうやら連れ込んだ女の子は宇宙生物です!!これはちょっと種族の差があれなのでは!?』
『おおおおおお落ち着きなさい。まずは料理の腕前を見てシャインに相応しい女性かどうかを―――』
『お兄ちゃん結婚しちゃうの!?駄目だよ小学生で結婚なんて・・・ってお兄ちゃんは学校通ってなかったぁぁーーー!!』
『ケッコンってなんだい?食える?美味い?』
「お・れ・の・は・な・し・を・聞けぇぇぇぇーーーーーーッ!!!」




ガイアセイバーズ隊員№1 『アヤノ・テスタロッサ』

地球外生命体であり、組織創設者のシャインに絶対の忠誠を誓う。その知識の吸収力と頭脳には目を見張るものがあり、機械工学から人体改造までありとあらゆる知識・技術に精通する何でも博士。実は軟体生物なので小さな隙間とかに入り込んだりできるのが特技。女の子の姿をしているが、本当の姿は常人が発狂するほどに恐ろしいものらしい。
本来の肉体が人間離れした形状をしている所為か羞恥心が薄く、何所か感性が人間と離れている。容姿を褒められるのを内心嫌っており、余りにも下心が見えていると無修正ボイスで発狂させようとする。 
 

 
後書き
設定はエロゲの「沙耶の唄」より。細かいところ違うかもしれんが。一応言っておくと沙耶っぽい見た目でも違う人です。名前はさやのうた→SAYANOUTAからアルファベット抜き出しました。
純愛話だけどR-18Gだから未成年の皆は買っちゃ駄目よ?
ちなみに苗っちやクロエ君が彼女の正体を見ると1D3/1D20の正気度を失います。シャインが彼女を見ても平気だったのは無限力の理解で精神のどこかが悟りを開いてる所為です。

前世は少々夢みがちな女子中学生14歳。死因は土砂崩れによる落石が睡眠中の彼女のベッドにピンポイントでぶつかった事による圧死、言うまでもなく即死だった。クロエと同じチートの成長途中で、これからもっと強くなる。年齢は実は15歳くらいだけど、やっぱり寿命は地球人並み。
転生者は肉体がどうなろうと寿命は人。前世の記憶に肉体が引っ張られているためである。 
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