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とある異世界の交差物語(クロスオーバー)

作者:鉄龍王
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第1話 誠の鬼、幕末の世界から飛ばされる

 
前書き
無謀な挑戦をしている鉄龍王です。なかなか指が進まず、やっと第1話を仕上げました。至らない所があるかもしれませんが、どうか読んでください


8月12日、打ち直しました。 

 
時は明治2年5月11日、函館戦争終結間近の日、元新選組副長“土方歳三”は奇襲を受けた仲間を救うため、部隊を率いて最後の戦場になる五稜郭へ出向き善戦したが、敵の銃弾を受け止む無く戦線を離脱。

史実では土方はこの銃弾によって命を落としたが、性別を偽り彼の小姓として仕え、共に過ごすうちに一人の女として土方を愛した少女……“雪村千鶴”の手当てによって一命を取り留める。本陣まで引き上げる最中(さなか)、美しい桜が咲き乱れる場所で千鶴を狙い、土方達新選組と何度も戦った強敵、西の鬼達を束ねる大将“風間千景”が姿を現した。自身の遺恨を断ち切る為に己の誇りを賭け、土方歳三と風間千景の最後の一騎打ちが幕を開く。

しかしこれは……世界を巻き込む新たな戦いの…ほんの序章に過ぎなかった。


土方side

函館戦争も間も無く終結しつつあるこの状況にワザワザ蝦夷まで追って来た鬼の大将、風間との一騎打ちは熾烈を極めた。
流石は鬼の大将。こっちが羅刹(らせつ)になってるにも関わらず、全然決定打を入れさせてくれねぇっ!だが…それでも俺は、お前に勝ちは譲れねぇっ!今の俺には、守るべき者がある!だから、たとえ相手が鬼であっても負けられねぇ……負けられねぇんだよっ!!


「土方さんっ!!」

眼に涙を滲ませながら見届ける美しい黒髪を高い位置に結ぶ少女……雪村千鶴は祈る様に手を合わせ、2人の戦いの行く末を…土方を見守っていた


千鶴…思えばお前との出会いのおかげで俺達は此処まで来れたのかも知れねぇな。あぁそんな今にも泣きそうな顔をするな。俺はお前を置いて逝かねえよ。惚れたお前を泣かせたまま逝けるか。



何度も剣をぶつけ合ったにも関わらず、息一つ乱しちゃいない。相変わらず憎たらしい野郎だ。



「ふんっ…羅刹などという紛い物の名は、貴様の生き様に相応しくないな」 
風間は不敵な笑みを浮かべながら呟いた。

「貴様はもう、一人の鬼だ。鬼としての名をくれてやろう…」

風間の“鬼”という言葉に反応したのか羅刹化している土方の眼は先ほどまで血の様に紅い色だったが、数刻前に千鶴が土方の傷を癒すために己の血を飲ませたた影響か、純粋な鬼達と同じ金色の瞳に変わっていた。

サァッ……

そしてほんの一瞬だが、微風(そよかぜ)が桜の花びらを舞い散らし、月明りに照らされ、傷だらけの土方に美しく色映えた。戦場での銃撃戦や風間との斬り合いで傷だらけになり、血が滲み、汚れているはずの土方の洋装がどんな装飾品よりも決して劣らない一種の美しさを感じさせた。それはまさに短い命を鮮やかに、美しく散らせる桜の如く。

「…薄桜鬼だ……」

―――薄桜鬼…それはまさに新選組………特に土方に相応しい二つ名かもしれなかった。己が追い求める理想の為にその命と魂を燃やし、戦うさまはまさに狂い咲く桜の様に…

薄桜鬼ね…悪くない名前だが……



「別に鬼として認められたくて戦ってきたわけじゃねぇ。もう長くは遊べねえが…それでいいだろ?」


俺が仕切り直しに刀を構えると風間も不敵な笑みを浮かべながら刀を構えた


「無論だ。一撃で仕留めてくれよう」




俺と風間が刀を構えて、最後の決着を着けようとしたその瞬間…!






『悪いがお前たちをこんな所で死なせる訳にはいかないな』






「「「っ!!!」」」



何処からか聞き覚えのない不気味な声が響きやがる!!誰だ!?新政府軍の刺客か!!?俺の疑問の答えはすぐに現れた。いきなりすさまじい旋風(つむじかぜ)が巻き上がった瞬間、妙な格好の女が現れた。炎のように紅い髪、純白の着物を着てその上に紺色の……まるで戦国時代の武将たちが好みそうな甲冑を纏い、腰に刀を一本差してるが、何より奇妙に感じるのは狐の面を着ける女だった。初めは新政府軍の刺客かと思ったが、風間の言葉でスグに否定された。



「貴様…何者だ?我ら鬼の決闘にくだらん茶々を入れるつもりなら即刻その首を斬り落とすぞ?」



だが狐の仮面を付けた女は風間の殺気に怖気付くどころか、笑いやがった……っ!




「クックックックッ……鬼ねぇ…たかが地上鬼(・・・)の分際で図に乗るなっ!」



すると俺と風間の周囲の空間がゆがみ、吸い込まれ始めた…っ!!やべぇっ!動けねぇっ!!


「土方さんっ!!」



千鶴が俺の腕を引っ張り何とか吸い込まれないように堪えようとするが、只でさえ小柄なこいつには無理があった。


「千鶴!?何してんだっ!早く放せ!!」

「嫌です!絶対放しません!土方さんを失うくらいなら、私は此処で死にます!!」


あぁ畜生っ!なんで江戸の女はこうも頑固なんだよっ!

俺の体も徐々に飲み込まれている。このままだとヤバイと感じた俺は千鶴を強く抱きしめた


「こうなったら一か八かだっ!絶対に放さねえからな!!」

「~~~っはい……っ!」

俺と千鶴が完全に飲まれた瞬間、俺たちの意識はここで途絶えた。


土方side end


???Side

土方達3人が謎の空間に飲み込まれ、辺りは恐ろしく静まり返った


狐の仮面の女は懐に入れていた携帯電話の様な物で何処かと連絡を入れていた


「私だ。今鬼の3人を“あの世界”へ飛ばした。そっちはどうだ?」




「………ん、そうか…解った。私もすぐ“あの世界”に行く。そちらに到着次第合流する。お前たちは引き続き連中の監視を続けろ」


携帯電話を切った後すぐに別の連絡が届く

「どうした?……何?」

狐の仮面の女は不快気な声を上げる


「戦死した新選組の幹部の魂の反応が突然消えてどこにも無いだと?馬鹿言えっ!奴らの殆どは羅刹になったのだから消滅してもおかしく…」



狐の仮面の女は今度こそ驚愕の声を上げる

「原田左之助と永倉新八、それに斉藤一の死体が無いだと!?奴らは変若水(おちみず)を飲んでいないのだぞ!?」

変若水(おちみず)とは新選組が幕府から受けた密命により、研究を続けていた赤い液状の薬。南蛮から渡来した薬で、西洋で言うエリクサー、中国では仙丹と呼ばれている。千鶴の父親、“雪村綱道”が幕府からの密命によって研究を進め、服用すればすぐさま羅刹へと変貌してしまう。

羅刹(らせつ)とは変若水を飲んだ者を指す総称。飲んだ者は眼が紅くなり、髪は白く染まる。日光に弱く、時折吸血衝動に苛まれるが、甲府の戦い時、研究を続けた綱道は日に当てられても活動可能な羅刹を作り出すことに成功している。超人的な身体能力と治癒能力を持つ羅刹だが、実際はこれから数十年間の長い時間をかけて消費していく分の生命力や治癒力を一気に消費しているに過ぎないため、それが尽きれば身体は灰と化して死亡する。寿命以外では心臓を貫かれたり、首を切り落とされない限り死ぬ事は無い。

そのため、新選組幹部の原田左之助、永倉新八、斉藤一の3人は変若水を飲んでいないため、戦死したのなら死体がないとおかしいのだ。


狐の仮面の女は舌打ちをしながら確認を取る

「ちっ……それで?新選組(れんちゅう)で死亡の確認が取れたのは打ち首された近藤勇だけということか?」



確認をとり、しばらく考える仕草をした後、連絡先の相手に新たな指示を出す

「お前はすぐに他の連中を連れて新選組の幹部連中が最後に確認できた戦場に行き、死体の確認をして来い!あっても無くてもだっ!奴ら(・・)が干渉した可能性が高くなった。何か手掛かりが残っているかもしれん。すぐに行けっ!!」



連絡を切った後、狐の仮面の女は夜空の美しく照らされた月を見上げながら一言呟いた


「全く……忙しくなるな…」 
 

 
後書き
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