トゥルース・サクリファイス
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1
前書き
しばらくはグロ回ないのでご安心を。
だいたい、三話目ぐらいに出てくると思います。
1352時。
バイクのエンジン音が辺りに響く。
荒野に響く。
周りには車もない。
偶に来るが、それは砂埃を巻き上げてくるせいで姿は見えない。
だが、目的地は見える。
ウエストハイドシティ。
そこに、秘密を解き明かすカギがある。
-三日前-
1421時。
「クソッ!手がかりは何もねえ・・・。意図的に消してるってことかよ!!」
先ずはスタンダートに新聞から調べようと思ったが、あの事件のことは影も形もない。
・・・だが、目撃者は多数いた。
しかし、どれもこれもこちらが知っていること以上のことは分からなかった。
「・・・衝動・・・増やす・・・。これはきっと、『衝動を増やす』ということが、今回の事件の鍵なんだ」
アレからその結論に至るのは容易かった。
先ず、ロズミアがなぜあのような行動をしたのか・・・。その点は容易に想像がつく。
ロズミアは『愛情』を求めていた。
ロズミアはどうやら、広い交友関係はなく、逆にほとんど皆無といっていい状況だった。
そんな中で、親という存在は大きかったのだろう。
現に、殺されてからおかしくなっている。
そのあたりは目撃情報からもしっかり裏はとれているし、何より、それまで一度もそんな殺人は耳にしなかった。
情報操作が行われる前の話だし、第一あんな殺し方だったら情報を隠蔽するのはかなり難しいのだろう。
・・・このあとは、人の記憶から消え失せるのを待つだけ・・・てか。
ふざけやがって。
だから、日記をつけることにした。
・・・この日記を置く場所はない。
だから、俺が肌身離さず持っておくことにした。
それが一番安全だろう。
「・・・だとすると・・・その『愛情がほしい』という欲望と、『殺してやる』という二つの欲望が暴走した結果・・・ってことだな・・・。だが、何故暴走した・・・?なんで、罪の意識を感じなかったんだ・・・?そこまで・・・あ・・・」
・・・そういうことか。
おそらく、ロズミアの最近の行動を調べればわかるはずだ。
「・・・また聞き込み・・・か・・・」
まあ、一からやり直しというのもたまには悪くないか。
1933時。
『ロズミアの最近の行動』だと予想以上に多く集まった。
やはり、美人だから人目を引くのだろう。
それに、最後にとんでもないことやらかしたからな。
おまけに、そのいともたやすく殺人を犯すところに惚れた奴もいたらしい。
正直、それはよくわからんが。
いずれにしろ、とても有意義だったといえる。
「先ずは、検証だ」
とりあえず、目撃情報を組み合わせて行って、ロズミアの最近の代替の行動を予測する。
一番古いので・・・五日前だな・・・。
まあ、それ以上となるとさすがに信用度も落ちるか。
このあたりが妥当だろう。
最初に、ロズミアは朝早く(時間は具体的には分からない)にゴミ捨てに家を出た。
そこで、近所の人・・・つまり、この情報をくれた人と五分ほど話をしたらしい。
その時は別段狂気一色に染まっているような雰囲気はなかったらしい。
次に学校に登校する時だった。
いつも通り、自分の席で本を読んでいたが、ローレンズという生徒を何度か見ていたらしい。
・・・学校でもロズミアはローレンズに惚れていると噂になっていたらしい。
余談だが、ローレンズもまんざらではなかったそうだ。
まあ、美人だしな。
この時はいつも通り、何ら異常はなかったらしい。
下校から後のことは何もないな。
どうやら、家からは出ていないらしい。
少なくともそのあとに外出していたという目撃情報はない。
次の日になっても何ら変わりはなかったらしい。
普通だったそうだ。
前の日と変わりはなかったが、途中で野良犬にかまれていたそうだ。
・・・場所は・・・路地裏・・・クレイ・アスカトルが殺された近くだな。
よし、明日寄ってみよう。
次の日。つまり、三日前になると、学校を休んだそうだ。
一度も家を出ていなかったらしく、犬に何か病気でももらったのだろう。
二日前。
ロズミアは学校に登校していて、周囲の生徒に原因を聞かれたが、風邪と答えたそうだ。
ただ、全快ではない様で、途中で一度倒れた後、早退したそうだ。
前日。
普通に登校していたらしい。
この時はもうなんともなく、なんの異常もなかったそうだ。
ただ、些細なことで起こっていたことが多かったらしい。
感情をあまり表に出さないロズミアにしては珍しいことだと思ったらしい。
で・・・事件当日・・・か・・・。
・・・思ったより良くなかったな。
だが、一応寄る先はできた。
そこに言ったらきっと何かわかるだろう。
0700時。
七時ピッタリについた。
少し気分がいい。
「・・・ここだな」
一応詳しく調べてみたが、特に何もなかった。
強いて言うなら微量の血痕だろうか。
まあ、それは『ここで犬にかまれました』ってことだろう。
・・・収穫なしかよ。
と、携帯が鳴る。
・・・ロズミアの携帯・・・そういえば借りたままだったな。
今思えば、こうなることを予測していたのかもしれないな。
「はい」
「・・・ロズミアではないな?」
中年の男性の声がする。
・・・誰だ?
叔父・・・か・・・?
「俺は・・・探偵だ。名前はハイエスト」
一応偽名と偽りの職業を名乗っておく。
「お前のことはどうでもいい。それより、ロズミアはどうした?」
「先ず、おたくのことを名乗ってもらおうか。そういうのは礼儀にかけると思うからな」
「ふん!まあ、いいだろう。名前はフルユエンス。職業は医者だ。ウイルス系が専門だ」
「ロズミアの主治医ってところか?」
「まあ、元だがな。今はウエストハイドシティというところにいる」
「で、そのお医者さんが何の用だ?」
「・・・ロズミアを出してくれ。お前では手に負えん」
「・・・死んだよ。毒物で逝った」
「・・・ロズミアに託されたか?」
「・・・伝言なら」
「なら、その事件のすべてを話そう。ウエストハイドシティというところに来てくれ。話はそれからする」
「は?え、っちょ!・・・切れた」
なんなんだ?
フルユエンスだと?
ふざけた名前だ。どうせ偽名だろう。
だが、とりあえず行く価値はあるだろう。
目的はできた。
あとは、そこに行くだけだ。
-現在-
「・・・ついたか」
ついたのは寂れた感じの町。
村の前にはアーチ状になった錆びた看板が立っている。
・・・見るかに田舎の村だな。
それに、地図にも載っていないような程だ。
「・・・おい、よそ者」
「ん?住人か?聞きたいことが・・・」
「帰れ」
そう言って、ショットガンを向けてくる。
「おいおいおい・・・落ち着けって・・・俺はすぐに帰る・・・ただ、ちょっと人に会いに来ただけだ・・・」
「・・・会いたいやつをいいな」
「医者のフルユエンスってやつだ」
「・・・ああ、あいつか。早く行け。あいつの場所ならすぐにわかる。オー精神病院ってところだ」
「ありがとう」
「・・・ッチ、はやく行け」
感じ悪いな・・・。
だが、そういう風の村なんだろう。
そう言うたぐいの村はたくさんあると聞いている。
ましてや、こんなド田舎だ。
まあ、わかる気がする。
「あった・・・。オー精神病院・・・ここだな・・・」
見た感じ寂れたような病院。
看板の金属も錆びていて、壁の木材も所々朽ちている。
穴も開いていて・・・およそ病院と呼べるような清潔な環境ではない。
「・・・フッ・・・予想外すぎる・・・」
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