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ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~

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DAO:ジ・アリス・レプリカ~神々の饗宴~
  第二十二話

 
前書き
 新年度最初の更新でございます。本作では消費税は上がらないよ☆

刹「ウザいです作者」

 どいひー!? 

 
「はじめましてっ!君たちが侵入者?」

 《六王の神殿》に辿り着いたセモン達を迎えたのは、長い金髪の幼女。魔法使いのローブ、と形容すべき服を身にまとい、身の丈ほどもある杖を所持する。背中には天使の翼。……《光の六王神》、《殲滅天使》リ・エリューラの無邪気な笑顔だった。かがやかんばかりの笑顔。だが、その中にセモンが感じた気配は――――

 ――――虚無。何もない。一切の感情が含まれていない、うわべだけの笑顔。だが、エリューラの表情は明るい以外の何者でもない。とてもではないが、その内に秘められた『虚無の感情』が真実だとは思えないほどの。

「……」

 その隣で、長く赤い前髪に顔を隠し、表情を読ませないのは《火の六王神》、《黄金の斜陽》オウエン。カズの物によく似た陣羽織を羽織っているが、その迫力はカズの物を何倍も凌駕する。ギラギラと輝く目でセモン達を睥睨し……

 にやり、と笑った。とたんに、セモンの背筋が寒くなる。圧倒的な殺意を感じる。

「なるほど。《六王の神殿》に侵入者が来るから撃退せよとの命だったが……少しは遊べそうだ」

 涼しげな笑顔を浮かべる長髪の男は《風の六王神》、《暁を守護する者》フェーレイ。なびく髪は紫色。纏う雰囲気は、どこかリーリュウにも似ていた。来ている服はやはりリーリュウのものによく似た陣羽織。しかし、リーリュウの物よりも涼しげな装飾が追加されている。

 だが、その涼しさは、嵐の前の静けさを予感する《ナニカ》。再びセモンに悪寒が走る。

「……気をつけろ。一筋縄ではいかない」
「わかってる」

 ラーヴェイの言葉に、頷く。よし、とラーヴェイが頷き返す。

「我らは《ボルボロ》の者だ!《主》陛下にお目通りしたく、参上した!そこを通してはいただけまいか!」
「だめだよ。ボク達はやってきた奴らを叩き潰せって命令されてるの。それにね……」

 ラーヴェイの頼みを一蹴したエリューラは、そこでさらに笑みの輝きを強くし、叫んだ。

「ボク達は今、退屈なの!!だから君たちを叩き潰すの!!おいで、《メタトロン》!!」

 エリューラの声に答え、彼女の背後に揺らめく巨大な魔方陣が出現する。そこから、何かが這い出してくる。召喚者の三倍近い伸長をもつ《ソレ》は、八枚の翼を展開すると、光の波動を放った。

「くぁっ!?」

 その光だけでも押し返されそうになる。ただの出現エフェクト以外の何者でもないはずなのに!!

 出現した四対八枚翼をもった大天使……《大天使アンダルギア=メタトロン》は、主であるエリューラを持ち上げると、自らの胸部に空いた、いわば《コクピット》に格納した。

「……闇、の、六門神……シーファルの、眷属……姉様の、敵……姉様の、敵!!殺す!殺す!!ぶっ殺す!いけ、《アークイフリート》!!奴らを、殺せぇぇェェェッ!!」

 絶叫するオウエン。髪が振り乱され、狂喜に彩られたその顔が明らかになる。どこかカタの外れた、狂人の表情であった。その右顔は黒いマスクに覆われている。しかしそのマスクに書かれた表情は、笑顔ではなく、泣き顔だった。

『グォォォォォ――――……ン』

 真紅の魔法陣から出現したのは、赤と黄金の鎧をまとった聖巨兵。ラーヴェイの《イフリート》を大きく凌駕するサイズのそれこそが、《火の六門神》カテゴリ最強の《ギア》、《アークイフリート・ネオ》。

 体中に備えられた、どこか蒸気機関車を思わせる機関から、黄金の炎がまき散らされる。特に背中のスラスターから延びる炎は、不死鳥(フェニックス)の翼を思い起こさせた。

「行くぞ!総員戦闘準備!!」
「「了解!!」」
 
 ラーヴェイの声に合わせて、各々の武器を抜く。セモンも獲得した《冥刀》、《雪牙律双(せつがりっそう)》を構える。武器の使い方自体は、かつてALOでシャノンに与えられたバグ武器、《救世天薙剣(メサイエイジ・ヘブンリィ)》と同じだ。だが、決定的に違うのはその内包するエネルギー量。シャノンの組み立てたデータとは比べ物にならないほどの《情報圧》が、《冥刀》の中から押し寄せてくる。

「……頼むぞ」

 セモンが呟くと、それに答えるように刀身がきらり、と光った。

「セモン、カズ、コクト!攻撃だ!!ハクガ、リーリュウ!支援頼む!」

 黄金のゴーレム、《イフリート》に乗ったラーヴェイが指示を出す。零との戦いのときはあれほど大きく見えた《イフリート》だが、《アーク(A)イフリート(E)ネオ(N)》の前では子どもほどの大きさしかないように見えてしまう。それほどまでに、《六王神》の操る聖巨兵は巨大だった。

「はらりはらりとまゐおりる、そははるよぶあはゆきぞ――――《冥刀・(イテツキ)》、《解放(アンバイト)》!!」

 コクトの刀が、ガシャン!!という音と共に氷の刀身を形成する。彼の《ギア》である《冥刀》、《(イテツキ)》の《解放》能力だ。切れ味は普段の倍近く。

「おっしゃぁ!久々の師匠との共闘だぜ!!来い、《ノートゥング》!!」

 やる気満々のカズが、虚空からカッターのような刀身の大剣をひき出す。カズが誇る《ギア》、《ノートゥング》の能力は、《再生する刃》。刃が折れても復活する。それだけでなく、《ノートゥング》は『水を切る』という本来ならば有り得ない能力も保有している。一時的な《次元断》を起こせるのだ。

「お願いしますよ、《ヘルメス》!《セレーネ》!」

 ハクガの描いた模様に呼応し、彼の足に翼をもった靴(ウイングブーツ)……《ヘルメス》が装着される。機動力を上げたハクガは、さらに師より受け継いだ大弓を構える。月光を讃えた弓身をきらめかせ、《セレーネ》に光の矢が装てんされた。

「来い!《エオス》!――――風よ!汝が主の声を聞け!」

 リーリュウが《エオス》を構えて吹き鳴らす。とたんに、セモン達の体の内から湧きあげる力。支援(バフ)がかかったのだ。


 ――――そして。その時を待っていたかのように、最後の一人が動いた。

「……《エオス》、か……名を騙っただけの偽物か、それともただの偶然か……どちらにしても、あまりにも非力」

 フェーレイだった。《風の六王神》、《暁を守護する者》は涼しげというよりは冷たい表情を浮かべ、リーリュウを見つめる。そして、《ソレ》を呼んだ。

「見せてやろう、これが『本物』の《暁を呼ぶ女神(エオス)》だ」

 そして―――大気が、ひび割れる。青かった筈の空が、夜明け近くのオレンジに変わる。《(夜明け)》が、やって来る。同時に、上空に開いたのは緑の魔法陣。そこから、何かが降下してくる。

 やはり、《大天使アンダルギア=メタトロン》や《AEN》と同じ《聖巨兵》だ。大きく異なることは、オルガンなどの楽器をモチーフにしていることか。背中の部分の騎乗部と思われるところには、鍵盤が作られている。どこか女性を思わせるその姿は、しかし圧倒的な存在感をもってセモン達の前に降臨した。

 フェーレイはふわり、と飛び上がると、その鍵盤の前に座った。そして指を置き――――その音を鳴らす。

 悲壮感、絶望感、罪悪感……あらゆる負の感情が、その音の中に込められているように思われた。同時に、セモン達の体の中から湧き上ってきていたはずのエネルギーが消失する。バフが無効化されたのだ。

 異変はそれだけにとどまらない。セモン達の武器が、心なしか元気をなくした様にも思える。纏っていたオーラは勢力を弱めている。

 もっとも被害が大きかったのはラーヴェイだ。彼の《ギア》である黄金のゴーレム《イフリート》は、体から吹き上がる黄金の炎を弱め、機動を止めかけていた。

「これは……」

 絶句するコクト。答えたのは、事象を引き起こした当の本人であるフェーレイ。

「我が《ギア》、《暁を呼ぶ女神(エオス)》だ。放ったのは《滅びの音》第四楽章、《絶望の協奏曲》……お前たちにかけられたあらゆる魔術的加護を消失させる。ゴーレムは動きを止め、支援魔術は打ち消される」

 リーリュウの《支援》に対して、《妨害》……。それが、彼のそれと全く同じ名をもつ《ギア》の能力。

「さぁ、フィールドは整ったぞ。……暴れるがいい」
「おっけー。やっちゃうぞ!やっちゃうぞ~!――――やっちゃえ、《メタトロン》!《殲滅の光(キリエ・セフィロトツリー)》」

 エリューラは放った。『世界を滅ぼす神の祝福』を。


 色が、消えた。 
 

 
後書き
 お久しぶりです、Askaです。早速のチートの連続。セモン君達はどうやって対抗するのでしょうか!!

刹「作者はあなたでしょう?」

 うん。そうだよ。けどこのあたりまで来るとそろそろキャラの方が勝手に動いて、自分じゃ先が分からなくなってくるんだよね。特に僕の場合直感的に話を組み立てるタイプだからさ。

刹「道理で矛盾とかあるわけですね……」

 伏線とかも「あ、これが伏線に改造できるかも」っていうのが多いしねぇ……許して。それでは次回もお楽しみに。 
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