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万華鏡

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第五十九話 ハロウィンの衣装その一

              第五十九話  ハロウィンの衣装
 ハロウィンのライブについてだ、部長は部活の後の部室でのミーティングにおいてこう部員達に言ったのだった。
「場所はそれぞれ決めたから」
「後はそこに行ってよね」
「それぞれのグループでライブをするのよね」
 二年生の部員達が部長に応えて問う。
「打ち合わせ通りね」
「そうするのよね」
「そうよ、ただね」
 ただライブをするだけではない、部長はこのことも指摘した。
「それだけじゃないから」
「衣装よ」
 副部長が部長の左横から言って来た。
「衣装をどうするかよ」
「あっ、ハロウィンだからね」
「ちゃんとそうした衣装でないとね」
「妖怪とかそういうのよね」
「魔女とか」
「衣装はあるから」
 それも用意が出来ているというのだ、今度は部長が言う。
「演劇部とか歌劇部とかコスプレ研究会のね」
「そこからなのね」
「借りるのね」
「そっちにも話はしたから」
 経験から得た知識からだ、部長は衣装のことも決めたというのだ。
「だからね」
「もう後はなのね」
「衣装を借りてそうして」
「ライブをすればいいのね」
「条件は二つよ」
 部長は小柄な身体を仁王立ちにさせて言った。
「お化けとか妖怪の格好をすること、そしてね」
「いいライブをすることよね」
「その二つよね」
「どっちも全力でやってね」 
 二年生達に応えつつだ、部長はこうも言った。
「いいわね」
「よし、それじゃあね」
「ハロウィンライブ決行ね」
「十月三十一日に」
「合言葉はトリックオアトリートよ」
 ハロウィンには欠かせない言葉だ。
「この言葉もね」
「忘れずによね」
「いくのね」
「そう、派手にやるわよ」
 こうも言う、しかしだった。 
 先輩の一人が右手を挙げてだ、部長にこう尋ねた。
「生徒会と衣装を貸してくれる部活には話をしてるのよね」
「ええ、そうよ」
「ゲリラ的なライブだっていうけれど」
「ゲリラはゲリラだけれどね」
 いきなり出て演奏をする、これがゲリラライブだ。
 今回のハロウィンのライブもそうなる、しかしだというのだ。
「厳密に言うとね」
「結構沢山の人が知っているのよね、もう」
「ええ、多分演劇部辺りからさらにね」
「話が広まるわね」
「多分ハロウィンの頃にはね」
 そのライブを実際に行う頃にはというのだ。
「もう皆知ってるわよ」
「学園の皆がね」
「だからゲリラだけれどね」
「あくまでゲリラ的なのね」
「いきなりじゃないから」
 ゲリラの戦術は奇襲、不意打ちだ。しかも正規の軍服を着ていない軍人や本来は非戦闘員の者がそうしてくる。それだけに効果がある戦術だ。ただし正規の軍服を着ていない軍人による攻撃ではないので国際法違反であり捕虜にはなれない。 
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