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ヘタリア大帝国

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TURN137 議会の腐敗その五

「絶対にね」
「無論ならず者達にも」
「ええ、近衛軍は負けないわ」
 勝つというのだ、そうした言葉だった。
「だからね」
「非常時には港まで逃げてそれからか」
「ええ、そうならないことを祈るけれど」
 それでもだとだ、エリザはイギリスに応えて言う。
「この状況だとね」
「正直そうなるだろうな」
「ええ、間違いなくね」
 エイリス上層部も緊張の中にあった、セーラはその中で演説をはじめた。その演説は貴族達が予想した通りだった。
「最早我々に戦う意味はありません」
「植民地の放棄か」
「やはり」
「世界帝国である必要もありません」
 セーラは貴族達の呟きを聞きながら述べていく。
「枢軸諸国と講和すべきです」
「くっ、予想していたとはいえ」
「実際に宣言されるとな」
「こんなことは認められない」
「絶対にだ」
 こう言うのが彼等だった、そして。
 彼等はだ、セーラの演説が終わってから問うた。
「陛下、それではです」
「植民地なしで国家経営をされるおつもりですか」
「そうです」
 その通りだとだ、セーラは貴族達に毅然として答えた。
「これからのエイリスは貿易によって成り立っていくべきです」
「馬鹿な、植民地からの富がなければ」
「エイリスは成り立ちませんぞ!」
 彼等はエイリスを完全に私物として主張する。
「その様なことは出来ません!」
「断じて!」
「その通り!」
 ここでだ、クロムウェルが席を立って叫んだ。
「エイリスの栄華は植民地によってもたらされたものですぞ」
「そうです、クロムウェル卿の仰る通りです!」
「エイリスに植民地は絶対に必要です!」
「それを放棄するなぞ!」
「有り得ませんぞ!」
「許されることではありません!」
 他の貴族達もクロムウェルに続く、そして。  
 セーラに対してだ、一斉に言うのだった。
「植民地を放棄してもやっていけるというのですか!」
「女王陛下、その根拠は!」
「根拠はおありですか!」
「植民地を放棄出来るという根拠が!」
「このエイリスが!」
「世界帝国の座も放棄されると!」
「世界の盟主からも降りられると!」
 彼等は口々に言う、だが。
 セーラの毅然とした態度は変わらない、女王として。
 そのうえでだ、こう言うのだった。
「植民地の富は搾取に過ぎません」
「搾取!?」
「それだと」
「何も生み出さず奪うだけです、生み出さないものは何時かは枯渇します、それに」
 セーラは再び演説をはじめた。
「現地民達を虐げるだけです、我々だげが肥え太り」
「あの様な連中なぞ我等に奉仕するだけの存在ですぞ」
「その様な者達のことなぞ気にすることはありません」
「左様、生かしてもらえるだけでも感謝せねばなりません」
「所詮は」
「この連中本音出してやがるな」
 イギリスは彼等の主張を聞きながら苦々しげに呟いた。
「あからさまにな」
「そうですね、私も長い間植民地の実態には気付きませんでしたが」
 イギリス妹も兄に苦い顔で応える。
「今まさにですね」
「その実態を出してくれているな」
「全くです」
 イギリス兄妹はこれまで以上に彼等への不快感を増した、そして。
 セーラの演説は続く、その演説はというと。
「エイリスの腐敗を招いています、植民地への治安維持、叛乱鎮圧の為に駐留させている軍の予算も無視出来ません」
「だから植民地を放棄すると」
「それも全て」
「植民地からのただ奪うだけの搾取や巨大な軍の維持よりも」
 それよりもというのだ。 
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