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深く、罪深い衝動

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7

 
前書き
なんか、早くも十話目ぐらいで完結しそうな予感がしてきました。

今回のヤンデレ。

「好き。ただひたすらに好き。貴方のこと以外考えたくない。…愛して…?」

 ・・・今回は若干違いますね。
 まあ、あとでヤンデレに言っておきます。
 というか、これ一回考えさせるたびに五分ほど撫でなければいけない作者であった。 

 
 -警察サイド-

 
 1203時。


 「アァ、ソぼぉン♪ヨお・・・」


 「ああ、いいぜ。こっちに来いよ」


 先ずは、こいつをここからどこかへ連れ出さないと!!


 「アハハ・・・おとーさん一緒に遊ぶー・・・」


 ・・・さっきから言動が少しおかしい。
 まるで、幼い子供のようだ。


 取調室のときとは大違いだな・・・。
 いや、ただ単に猫をかぶっていただけか・・・?


 まあ、今はどうでもいいか。

 
 「こい!こっちだ!!」


 「ひぃ・・・!さ・・・殺人・・・」


 「きゃああああああああああああああ!?」


 っく・・・。
 進みながらも着々と斬首を忘れないロズミア。


 ・・・もはや尊敬できるほどだよ、それは。


 それより、部下は・・・。
 ああ、誰かに助けられてるな・・・。


 よか・・・った・・・?


 「・・・ありがとう。今度・・・今度必ず・・・うっ・・・っくぅ・・・」


 泣いちゃだめだ。
 あいつは・・・あいつのことはこれがすべて終わってからだ・・・。


 それまでは・・・少し待っててくれ・・・。


 -ロズミアサイド-


 1541時。


 うふふ♪
 パパとドライブ・・・。
 久しぶりに二人っきりの・・・。


 うふふふふふふふ、うふふふふふふふふ・・・。



 「ねえ、パパ♪」


 運転しているパパが頼もしくて、それでとっても格好良くて・・・だから、腕に抱き着いた。
 すると、私の頭をやさしくなでてくれた。


 「えへへ・・・パパだーいすき♪」


 そして、一層強く抱きしめる。
 ・・・もう二度とはなさないからね?


 -ロズウェルトサイド-


 1600時。


 腕時計のアラームが鳴る。
 ・・・午後4時。
 あたりは日も暮れて真っ赤だ。
 先ほどまではこの赤は血の赤だった。
 だが、今は・・・綺麗な夕日の赤だ。


 「っくぅ・・・」


 いや、部下のことは思い出していけない。
 思い出すのは・・・これが終わったらだ。
 今までそう何度も言い聞かせてきただろ?
 ・・・もう少しで終わるんだからな。


 「ねえ、パパ・・・泣いてるの・・・?だいじょーぶ・・・?」


 そして、ロズミアはあれから何故かこの調子だった。
 ・・・完全に幼児退行している。
 それに・・・これだと何かおかしく思われるかもしれないが、背もかなり縮んでいる・・・。
 ・・・どういうことなんだ?
 いや・・・今はどうでもいいか・・・。


 とにかく、合わせてやれば、別段被害はない。
 むしろ、愛くるしいぐらいだ。
 ・・・先ほどのことがなければ、普通にかわいがってやったのにな・・・。


 「ああ、大丈夫だ。それより、夕日がきれいだぞ」


 「本当だー・・・。血みたいに真っ赤・・・まっかっか・・・うふふ・・・アハハハ!!!」


 「ロズミア!ほら、海も見えるぞ!!」


 「え?あ、本当だー。おさかなさんいるかなー?」


 そう、こいつは『血』や『人間』、『殺人』などという単語に反応して元に戻ろうとする。
 先ほどは、『なんで、こんなことをするのか』と聞いたら『こんなことってなーに?』って聞きかえしてきたから答えてやったらこんな風になった。
 幸い、止め方は注意をそらすだけでいい。


 いたって簡単だ。


 「ああ、クジラさんもいるかもな」


 「え!?クジラさんも!?どこどこー!」


 必死になって探すロズミアは見ていてとてもかわいらしいもの。
 ・・・だが、俺は心を鬼にしなくてはならない。


 「そこだとよく見えないんじゃないか?ロズミア」


 「うーん・・・本当だー・・・全然クジラさん見えなーい・・・」


 「んじゃあ、あそこのところに行っておいで。あの崖のところなら海に近いから見えるかもしれないぞ」


 「本当だー!んじゃあ、行ってく」


 「ちょっと待て、ロズミア」


 「んー?なーにー?」


 その無邪気な笑顔に・・・俺は殺意がわかなかった。
 俺がこれからすることには必要なんだ・・・。
 純粋な殺意が必要なのに・・・こんな純粋な笑顔を向けられると・・・。


 「くぅ・・・」


 「・・・パパ!?泣いてるの!?大丈夫ー・・・?わたしがよしよしするから泣き止んでー・・・?」


 「いや・・・大丈夫だよ・・・。ただ、夕日がまぶしかっただけさ」


 「そお?ならいいの!あ、それでパパなんのよー?」


 「ん?ああ、崖は危ないからパパがついて行ってあげようってことだよ」


 「あーほんとーだー・・・。落ちたら危なそうだねー・・・。パパ凄い!気付くなんてすごい!!」


 そう言って、上機嫌で手をつないで崖まで歩いていくロズミア。


 ・・・すまない。
 自業自得とはいえ、これは立派な殺人になりえる行為だ。


 だが・・・だが、こうしないと・・・終わらないんだ・・・。
 こいつの殺意は絶対に終わらない・・・。
 今はこうして押さえつけれているが、それもいつまでも持つわけではないだろう・・・。


 だから・・・覚悟を決めるしかない。


 「どうしたの?パパ・・・。お手てつなごーよー・・・」


 俺を涙目で見上げるロズミア。
 ・・・見ていて心がとても痛む。


 「さようならだ」


 「え?パパ・・・それってどういう・・・」


 そう言い終わる前に俺はロズミアを崖から突き飛ばした。
 せめて痛くないようにやさしく押してあげた。


 きっと悲しいだろう。
 でも・・・痛くしないでやったから・・・だから・・・これで許してほしい・・・。


 「パパー!!助け・・・て・・・!?」


 ごめんな・・・。
 でも・・・楽しかったぜ・・・。


 -ロズミアサイド-


 私は落ちている。
 今堕ちている。


 お父さんが突き飛ばしたの?
 それとも・・・私が勝手に自分で落ちちゃったの?


 ねえ、お父さん・・・。
 お父さんじゃないよね・・・?
 違うよね・・・。


 そんなことない・・・よ・・・ね・・・?


 「なーに・・・?これ・・・」


 痛い・・・。
 見ると、肩に鉄棒が刺さってた。
 海に捨てられたゴミが・・・私に牙をむいている。


 海が・・・私を殺そうとしている。


 もう一度・・・もう一度お父さんのところに行くのに・・・。


 「こんなところで死ねない・・・」


 鉄棒を体から無理矢理引き抜こうとするが、抜けない。
 流石に無理ね・・・。


 なら、今度は体のほうを引き抜こうとする。
 ・・・抜けた。


 んじゃあ、今度は海岸まで・・・行かないと・・・。


 う・・・体が・・・重い・・・。
 血を・・・流しすぎたのね・・・。


 ダメ・・・ね・・・。


 こんな・・・こんな・・・ことで・・・。


 「ロズミア!!!」


 と、お父さんが海に飛び込んでくる。


 「お父さん、ここは危ないんだよ・・・?」


 「怪我・・・してるじゃないか・・・。大丈夫だったか・・・?」


 「うん・・・へいき・・・」


 「そうか・・・じゃあ、戻ろうか・・・」


 「ねえ、お父さん」


 「なんだ・・・?」


 「私って・・・生きてちゃダメ・・・?」


 ・・・だって、こんな海にさえも嫌われて・・・。
 それに、私は知っている。
 私を突き飛ばしたのはお父さん。
 助けに来てくれたけど、でも突き飛ばした。


 でも、怨んでいない。


 だって、私が生きてちゃダメなほど・・・いいこじゃなかったから・・・。


 そう思うと、涙があふれてきた。


 「・・・そうだな」


 「んじゃあ、死んだほうがいいの・・・?」


 「・・・ああ」


 「・・・お父さんも一緒に来てくれる?」


 「・・・わかった。だけど・・・まだ早い・・・」


 「・・・うん。わかったよ・・・」


 やっぱり・・・私ダメな子だったんだ・・・。
 もっと・・・もっといい子になるね・・・。


 
 

 
後書き
 ロズミアたん超いい子。
 あ、今日は多分これぐらいで潮時かな・・・?
 多分次回更新は明日か、今日の10時とかそれぐらい・・・? 
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