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聖夜に降る灰色の雪

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Episode 3 記憶


……痛い。

 体中に感じる無数の痛みで目を覚ます。ここは、どこだ?
 確か俺は、さっきまで講義を受けていたはず……。

 体を起こしゆっくりと辺りを見回す。

 なんだ……これは!?

 周りには同じ教室で講義を受けていた同級生、教授らが倒れている。窓ガラスは割れ、壁や天井には無数の罅や穴があいている。傷だらけの体を起こし、彼は歩いた。

 ここから脱出しなきゃ……

 そう決心した彼の動きを遮るように、轟音が鳴り響く。次の瞬間、彼の目の前は真っ暗になった……。



 「………はっ!」
 健は目を覚ます。そこは、彼の部屋だった。
 「おはようございます。兄さん。」
 そう聖は言った。

 あの後聖に何か食べさせるため、彼女を背負い家まで帰ってきた。料理が出来ない健の家には、当然食材などなく、あるのはカップ麺だけだった。
 「……これでいい?」
 「インスタントばっかり食べてるんですか、兄さんは?そんなんじゃ、すぐに体を壊しますよ?」
 「…すまん。」
 「謝る前に早く食べさせてください。3日間何も食べてないんです。」
 「3日!?」
 といったやりとりをしつつ、聖に食事を与えた健は、よほど疲れたのか、横になるとすぐにねいきをたててしまったのであった……。

 「疲れはとれました?」
 「まぁ、ほどほどには。」
 本当はまだ頭の中はごちゃごちゃしていたが、強がりを見せていた。
 「なら、いいのです。」
 「あ、でも変な夢は見ていたな……。」
 「夢……ですか?」聖はたずねた。
 
少しの沈黙の後、聖は決意したように彼を見つめ、ゆっくりと切り出した。

 「兄さん……『灰色の雪』って聞いたことありますか?」 
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