| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

十章
  一真隊の現状×鉄砲運用

「途中からいないと思ったら、お茶を淹れてたのか。まだ出陣の準備とかで仕事が残ってる。恋人を寂しがらせないように、出来るだけ近くにいる。結菜も何かあったら言ってくれよ?大事な恋人何だから」

「分かってるわよ、それに一真がそう言ってもらえると思ったし。いつでも待ってるからね、いってらっしゃい」

結菜に見送りを受けた後に、鞠達を連れて長屋に戻る。庭門を潜ると、長屋の中は出陣の準備で、夜なのにまるで祭みたいに騒いでいた。

「ほう、さすがだな。俺がいない間に物事が進んでいるとはな」

「えへへー!」

「頑張って準備してますから!」

「こっちの隊は任せっきりだが、助かる」

「いつでも頼ってくださいね!私達、お頭のためならどれだけ頑張れちゃいますから!」

「ところでお頭、その子は?」

「ああ、紹介する。一真隊の新しい仲間で、鞠と言う。皆で仲良くしてあげてくれ」

「うわーっ!かわいいー!」

「ホント、どこかのお姫様みたい。・・・・お頭、どこで攫ってきたんですか?」

「攫ってきてねえよ。鞠とは長久手で出会った。訳有の理由があってな、俺が面倒する事になった。鞠、このお二人に名乗れ」

「うん!あのね、鞠の名前は今川治部大輔氏真、通称は鞠って言うの!よろしくなの!」

「じぶのっ!?」

「だゆうさまっ!?」

鞠の名乗りを聞いた瞬間、ひよところの顔が青くなった。スライディング平伏か?砂埃が舞いそうな勢いで、鞠から距離をとって平伏しようとする二人。そんな二人の姿を見た鞠は慌てて平伏を止める。

「あぅあぅ、そういうのやめてほしいのー!」

「で、でも!」

「そ、そうですよ。今川治部大輔様と言えば、昨今、雨後の竹の子のように発生している自称官位ではなく、正式に任官されている、お貴族様!」

「私達のような、無位無冠な庶民が、直答を許される方ではありませんよぉ!」

おいおい、俺は神であるから普通に話してるだろうに。俺の横で鞠が、オロオロしながら助けを求めてくる。

「あぅぅ~・・・・どうしたらいいの?一真ぁ」

「今鞠が思っている事を、きちんと言葉で言えばいいよ」

「うん・・・・あのね。確かに鞠は治部大輔なの。だけど今はもうただの素浪人で、一真が見つけてくれなければ、お腹がペコペコで死んでいたと思うの。だから鞠は鞠なの。そう思ってくれると嬉しいなーって・・・・ダメ?」

「鞠は今川氏真だけど、事情があって駿府屋形から落ちてきたんだ。で、長久手で見つけて・・・・」

「駿府屋形が落ちたってどういう事です?」

ころの疑問に答える範囲で答えた。今、鞠がどういう状況かをね。

「なるほど。じゃあやっぱりこの方は、本物の氏真公なんですね」

「でも、こんなに小さな身体で、そんな体験をしたなんて・・・・可哀想だよぉ・・・・」

「うん・・・・」

「そう思うのなら、鞠の願いを聞け。身分とか関係無しで、一人の人間として、鞠と接してほしい」

「鞠からもお願いするの!あのね、鞠、別に偉くないんだから、普通に接してくれると嬉しいの!」

微笑みを浮かべた鞠は、その表情と同じくらいに真っ直ぐな言葉で、二人に望みを伝えた。

「ううっ!鞠ちゃんの事は、私達が守ってあげるからね!」

鞠の懇願に、感じるところがあったのかな。ひよは瞳を潤ませて、鞠を抱きしめる。

「わぶっ!」

「こんな小さな身体でたくさん頑張ったね!鞠ちゃん、これからは私達がついているから!」

「うんうん!一真隊にようこそだよ、鞠ちゃん!」

「あのね、私、木下藤吉郎ひよ子。皆、私の事はひよって呼んでくれてるよ!」

「そして私が、蜂須賀小六転子。ころって呼んでね」

「ひよ・・・・ころ・・・・ありがとうなの!」

「はぅ~、鞠ちゃんってば可愛いよぉ!」

「一真隊で分からない事があったら、いつでも私達に聞いてね?」

「うんなの♪」

すぐに仲良しになったようだな。

「さて、新人隊員との懇親も終わったところで、出陣部隊の把握を行いたいのですが・・・・」

「確かにそうだな。一真隊はお前らに任せてるから、俺も把握をしたい。なので一真隊の現状報告をせよ」

「はい!現在、一真隊の総勢は二百。内訳は、荷駄隊十、騎馬が十、槍が三十、工兵が三十、そして鉄砲が五十」

「ちょっと待って下さい!鉄砲が五十というのは私も初耳なのですが。一真様の知行を考えると、鉄砲が五十というのはかなり破格ですよ?」

「あ、鉄砲とある程度の玉薬は久遠様からの支給だよ。鉄砲錬磨のものを揃えろってご命令があったの」

「支給?という事は、黒鮫隊同様に一真隊も鉄砲運用の試験部隊にするおつもりなのでしょうか?」

「確かにこの時代と俺らのとは、余りにも違いすぎる。それに黒鮫隊は弾の問題はないが、一真隊ではどうなんだ。玉薬だっけ?それの調達は銭がかかりそうだが、そこの所はどうなんだ?ひよ」

「今の所は何とかなると思うけど・・・・お頭が頂いている知行と、一真隊の規模が大きく違っているから、先の事を考えるのは不安だよぉ」

「それはそうでしょうね」

「俺の知行って今、どれくらいなの?」

知行とは、現代で言う給料みたいなもんだ。その給料から、知行規模に合わせて、兵を揃えたり、武器食料を調達している訳だ。ちなみにブラック・シャーク隊の現状はタダだ。トレミーで衣食住を確保出来てるし、電気や水道とガスもだけど。それに例え今はタダでも拠点に戻ったら、働いた分の給料を一括で払うと約束をしている。それに金は拠点でもいくらでもある。

「お頭は今、五千石程貰っています。普通なら四十石で兵一人の負担ですから、百人ちょっと雇えば終わり何ですけど、お頭の命令で、一真隊は二百人雇っています。だからお財布はキツキツですよ」

ふむ。そういえばそんな事言ったな。でも金がないのなら創造して創っちゃえばいいのでは?

「金については、俺が創れば問題ないが。いくら神仏の類でも自分で稼がねばとは、思っているからあまり使いたくない。今は今ので凌ぐしかない。それでも俺に付いて来るか?」

「任せてください。お頭のためですもん、私、頑張っちゃいます!」

「だけど私達にも限度があります。先陣を仰せつかれば・・・・・たぶん破産しちゃいますよ、一真隊は」

「先陣は大丈夫だろう。何せ先陣は森一家だ。先陣を譲る気はないよ。俺個人で呼ばれたら行くけど」

「確かに。それに我ら一真隊は、接近戦を得意とする部隊ではありません。恐らく本陣か、後備えに配置される事になるでしょう。それに鉄砲の専門家もおりますし、何かあれば黒鮫隊の出番ですから」

「一真隊全体はそれでいいとして、俺ら個人はどこに配置するんだ?」

「荷駄と工兵をひよが担当し、後方に配置。長柄組はころが率いて先手。一真様、私、鞠さんで本陣を形成という所が妥当です。鉄砲隊はひとまず、一真様周辺に配置し、状況によって動かせるようにするのが良いかと。何かあれば一真様が何とかしてくれるでしょう」

「その配置がいいな。ただし、俺はこの時代に関しての鉄砲知識はないと思え。鞠は、兵を率いた事はある?」

「ないのー!」

「だよなー。じゃあ鞠は俺の・・・・そうだな?俺が戦闘する時は俺の背中を守ってほしい。鉄砲は詩乃で運用って事にするか」

「御意。ですがこれ程多くの鉄砲運用した経験は、私にはありません。如何致しましょうか?」

「そうだな。じゃあ、黒鮫隊から何人か来てもらって、この時代の鉄砲運用させるか。黒鮫隊は鉄砲集団とでも言ってもいいくらいだし」

「では、今からでもいいので連絡してもらいますか?黒鮫隊の隊員はこの時代の鉄砲運用を知らないといけないので」

俺は分かったと通信機でトレミーに入れる。この時代の鉄砲運用に詳しい奴か、興味がある者は連絡せよとな。そして数分も経たない内に、ケータイにメールが入った。全員日本人だったが10人だった。男性は翼・大和・隼人・拓海・誠の5名で女性は凛・美咲・楓・七海・明日香。一応アサルトライフルとスナイパーライフルを持ってきてから呼んだ。空間から現れた隊員が揃った所で、紹介した。

「こいつらは、この時代の鉄砲運用に詳しい者か興味のある者を選別してきた者だ。一応こちらの銃も持たせているけど。全員、こいつらは一真隊の主要の者達だ。仲良くしてもらいたい。全員一人ずつ名前を言え、ひよ達は本名と通称を言え」

と言った後に、まず黒鮫隊の者達から自己紹介を始めた。名前と歳と今持っている銃の事。アサルトライフルは中距離で、スナイパーライフルは遠中距離。今度はひよ達になってから自己紹介は終えた。

「さて。紹介が終わったところで、とりあえず出陣準備は完了かな?」

「そうですねー。あとは評定で細かいところを決めて」

「久遠様の号令一下で出陣!ですね。うーん、久しぶりの戦、楽しみだなぁ!」

武人らしく張り切っているころであったけど、鞠は眠そうだった。可愛らしい声と共に、大きな欠伸一つ。

「鞠、眠い?」

「うーん・・・・・そんなぁ事ぉ、ないよぉ~」

「あははっ、きっと旅の疲れが出たんですよ。鞠ちゃん、お部屋に案内するから、今日はもうお休みしよ」

「・・・・・ぅん」

「じゃあお頭。私とひよは、鞠ちゃんを部屋に連れて行きますね」

「頼むな。じゃあ二人共、お疲れ様。おやすみ」

と言ったら三人ともお休みと言ってから行った。今回は、紹介だけだったから隊員達をトレミーに戻した。鉄砲運用については、トレミーでも調べられるし詳しい者から聞けばいい。

「さて詩乃。もう疲れたろ?だからもう寝てていいよ」

「ですが・・・・」

「俺の事は大丈夫だから安心しろ。しっかり休んで、これからの大戦の時は頼む。明日からでいいからアイツらに鉄砲運用を教えてほしい」

「・・・・御意。ではお言葉に甘えまして、休ませて頂きましょう。それと明日は任されましょう。はふ・・・・」

「おやすみ詩乃」

「おやすみなさい、我が主」

小さく、可愛らしい欠伸をして部屋に戻って行く詩乃。詩乃も長旅で疲れたろうから、明日の朝食は何か元気が出る物にしようかな?なので早速トレミーに行き、元気が出る物を作り出した。やっぱウナギかなと思って人数分を作った後にラップを巻いてから空間にしまった。朝食からうな重は、豪華だと思うけど。まあいいやと思い、風呂に入った後、久々に自分の部屋で寝たのであった。早朝に起きた後、皆が起きる前に長屋に戻ったから大丈夫。うな重もいつでも温められるから心配。皆が起きた後、朝食を見せたら美味しく食べる皆の姿があった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧