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モンスターハンター ~厄災の狩人達~

作者:島原
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黒蝕の陰、天廻の陽
  未知の中の見慣れた竜

 
前書き
バルバレでの準備が終わり、船を作るために素晴らしい技術を持った土竜族という民族が住まうナグリ村への移動を決めた一行。

その途中にはアルフレッドが興味を寄せる未知の樹海なる地域があるのであった。 

 
「お、おはようございます…。」

少しかすれた声と共にアルフレッドが朝日を浴びるジャックスに挨拶をした。

「おう、おはよう!その様子だと…昨夜は存分に楽しんだようだな。ハッハッハ!」

「勘弁して下さいよ…昨日は何時にも増して凄かったんですから…。」

軽快に笑うジャックスに頭を押さえるアルフレッド

「っと、言い忘れてたがここが件の樹海だ。どうだ?お前さんから見たこの樹海は。」

こう告げられたアルフレッドは周囲を見渡した後、遠くを見やる。

「見た感じ、タレミシアにあったバテュバトム樹海とは全然違いますね…。」

バテュバトム樹海は読者の世界で言う「樹海」のことであり、ナルガクルガ・ヒプノックなどの主な生息域とされている地域のことを指す。

「ああ、俺もバテュバトム樹海には行った事があるがそことは異質な雰囲気を醸し出しているな。
バテュバトムの樹海は樹木や草本類が繁茂してたり、奇面族の集落があったりと自然的な繁栄を見て取れるが…。」

話しながらジャックスもアルフレッドと同じように遠くを見やり

「こっちの樹海は遺跡のような構造物の存在が報告されていたり、もっと言うとあえて構造物を使った壁のような物を築き、モンスターの侵攻を防いでいるように見えるとの報告から人工的な繁栄を聞いて取れる。ひょっとすると今もまだ何かの民族が住んでたりしてな。」

と、腕を組み関心する。

「にしても何故この樹海を通ることになったんです?」

観察を終えたアルフレッドが尋ねた。

「ああ、理由は単純だ。どうやらこの周辺地域にイャンクックが生息しているみたいだとの証言が入ってな。恐らくここにも来るだろうからついでに潰してしまおうというのが目的さ。」

「確証はあるんですか?」

「ああ、あるとも。我々が来る前にここを通りかかったキャラバンから『土が掘り起こされた後が多数見つかった』という証言と『掘り起こされた土の近くにクンチュウの甲殻の欠片と桃色の鱗が落ちていた』という証言の二つが寄せられていてな。」

「そこまで行くとこの地域にイャンクックが生息しているのはまず間違いないですね。」

「ああ。まぁ君達なら討伐は余裕だろう、ここを通る他のキャラバンのためにも危険を取り除いてくれ。」

「分かりました、でもその前に朝食を摂ってきます…。」

「ん?ああ、分かった。他のメンツは俺が様子を見に行ってこよう。」

「お願いします…。」

アルフレッドは気だるそうにマイハウスへと向かった。





「…ここの水は気持ちいいな。」

川で顔を洗っていたのはガートン

「そうですねぇ、こういう川がもっとあればいいんですけど。ええ。」

お嬢も顔を拭きながら一言

「…こういう川は…普通にある。」

タオルを持ちながら足を上げ坂道を登る。
登った先に腹を抱えながら震えるジャックスを見つけた。

「…どうしたジャックス…腹でも下したか?」

「…プックク!」

ガートンはジャックスの身を案じ傍に寄るが

「クッハハハハッハッハ!!」

突如として大笑いを始めた。

「ガートン、俺は今猛烈に嬉しいぞ!!そうだ、これは旅なんだ!
だとしてもこれほど楽しい旅は無い!なぁガートン、そうは思わないか!?」

両腕を目一杯広げガートンに嬉しさを訴えた。

「…ああジャックス…俺もそう思う。」

汗を一滴流し苦笑いでそれを拭うガートン









「あらおはようアナタ。もう着いたの?」

「ええ、外に出てみれば樹海の入り口であることが分かりますよ。」

アルマがベッドの上で体を起こした

「それは今私が裸だっていうことを知っての言葉?」

インナーすら着ていないようであった。

「そう言っている間に着替えられますよ。朝食作っておきますから見てない間に着替えて下さい。」

「ツレないわねぇ。目覚めの口づけくらい―」

「ほらほら着替える。」

先日の内に洗濯しておいたインナーをアルマに渡し、着替えるスペースへ押し込むと再び調理器具を振るい始めたアルフレッド。

「外の会話を聞いていたけれど、こんな所にもイャンクックって居るものなのね。」

「まだ確定したわけではありません。土が掘り起こされた箇所の発見と、桃色の鱗の回収という二種類の報告だけで間違いなくとは言えますが。」

着替えスペースで髪を下ろすアルマの話に調理器具を振るいながら応えるアルフレッド。

「イャンクックなんて何時ぶりかしら。ちょうど私がハンターになりたての頃かしら。」

「僕は調査狩猟で何度も対峙していますが…。正直この報告だけで原種・亜種の強個体・特異個体・覇種・烈種のいづれかを決定することは出来ないですから。」

インナーを着始めるアルマを尻目にリュウノテールをひっくり返して焼くアルフレッド。

「まあそう悲観的にならなくてもいいんじゃない?いざとなったらダイラスの馬鹿力もあるんだし。」

「そうですね…、出来上がりましたよ。」

インナーに着替え終わったアルマと共に食膳につき

「頂きます!」

「いただきます。」

「いっただきまーす!!」

「…頂きます。」

いつの間にか四人とも揃っていた。

「何時来たんだいラス…。」

「アルがフライパンでリュウノテールを焼いてる時かなー、ついでに言うと外でジャックスさん達も朝飯食べてるぜ。」

アルフレッドが外を覗くと料理長ネコが作る朝食をジャックス達が囲んでいた。

「まああまりお世話になるわけにもいかないし、こっちで食べておきましょう。」

各々が朝食に手を付け出した。





「よし、全員居るな。」

朝食を終えて全員がジャックスの前に集結した。

「今回は先遣キャラバンの報告にあった大怪鳥イャンクックの生息調査だ。
この辺はアルフレッドを始めとした学者や君たちハンターのお得意分野だから任せることしか出来ない。存分に調査してきてくれ。」

「分かりました。」

「それじゃ、出発我らの団!」

「おーっ!!」 
 

 
後書き
危ない、あとがきを書き忘れた。

皆さんもうお気づきでしょうけど実はこの作品、MH4のストーリー進行から若干変更してあります。

本来であればもっとバルバレでクエストをこなさなければなりません。
それとこのイャンクックの探索も本来なら竜人商人を引き入れたあとにバルバレで受けるクエです。

まあ完全に流用すると面白みがないのでこの辺にも二次的オリジナリティを組んであります。 
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