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魔法少女リリカルなのは~過去を捨て今を生きる者~

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ストライカーズ編!
  賭け

 
前書き
なんかPCの調子がおかしい。
そしてお腹の調子もおかしい。マジ腹痛。
フリーダムに脳漿炸○ガール歌ってみたが面白い。

それではっ
 

 
目が覚めてから数日。
オレは身体が動くためのリハビリと、魔法が使えるようになるためのリハビリを続けていた。
基本はストレッチとかシュートコントロールなんだけどな。
フォワードの訓練の最中、不規則なシュートを逃げ続けたりしてる。
これが以外と簡単すぎて、つまんないからスピード上げてたら傷が開いて倒れてなのはに怒られた。
他にも少し走っただけで傷が開いて廊下を血まみれにしたところをフェイトに見つかって泣かれたり。
訓練の後にシャワーを浴びてたらめっちゃしみてるところを慎吾に見つかって馬鹿にされたから後で焔火放った結果倒れて近くを歩いてたヴィータに踏まれたり・・・。
そんなことを何日も続けていると、破損した身体の修理に出ていたスバルが帰ってくる日になった。
特にすることのなかったから休憩がてらヤミの調整とか新技を考えていた時だった。
赤いアラートとモニターが現れる。
片方は六課で使っているものだが、モニターはスカリエッティからのもの。
オレ個人ではなく、各所に同時に出現しているのだろう。
中ではスカリエッティが声高らかに何かをほざいている。
そして背後には椅子に縛り付けられ、苦しさに叫ぶヴィヴィオの姿とフードをとった四人・・・悪しき忌み子たち(bad prohibition boys)の姿。
冬弥がモニターにむけ、一歩踏み出す。

「俺、神宮寺冬弥は浅賀陽龍に」
「鈴城夏希は浅賀アリシアに」
「紗月秋良と春香・ヴァレスティアは」
「浅賀美愛さんと内山慎吾さんに戦いを申し込みます」

近くにいないが、きっと名前を呼ばれたアイツらは驚いているだろう。
コイツらからの連絡だけでも驚くのに、オレたちは名指しで戦いを挑まれている。
しかも、数日前に戦い、負けた相手から。

「ちなみにこれは決定事項で、意見なんか聞いてないんですけどね。適当にバラけてくれたらわたしたちが勝手に向かいますから」

春香が確認のように言う。
てか、決定事項なら言うなよ。何のための連絡だよ。
従姉妹だとこの適当さも似るのだろうかとか本気で考えちゃったじゃないか。
しかもそれだけ言ってモニター消えるし。
でもまあ、やることは決まったな。

「さあ、戦争(わるあがき)の時間だ」

上着を羽織り、オレは部屋を後にした。


冬弥たちの宣戦布告?から数十分近くたった頃。
三つのグループに分かれて行動することに決定。
それとは別に名指しされたオレたちは住宅街から離れた広い場所へと移動した。
オレがいるのは障害物のない高原。
待機モードのヤミを持って冬弥を待っている。

「待たせた」

転移魔法を使って冬弥が現れた。
その姿は真っ黒いフードと同じく真っ黒いヘッドフォン。
前回は気がつかなかったが、その姿はバリアジャケットとは違い、普通より耐久力の強いだけの服だとわかった。
それにほとんど自滅に近い状態だったから相手がどんな魔法を使うのかもよくわからない。
それに対して冬弥はスカリエッティからの情報もあるだろうから、オレが圧倒的に不利な状況。
オレはその状況を打破するためにもできるだけ冬弥に魔法を使わせつつ体力を温存しつつ攻撃を与える。
・・・無理ゲーじゃね?
とりあえずセットアップする。
一応前回の戦いでわかったのは武器を自在に操っていたため、近距離と遠距離どちらもできるということ。
それはオレもだから対応はできる。
・・・はず。

「てか、お前はセットアップしないのか?」

転移してからずっとそのままな冬弥を見て、聞いてみる。

「俺たちはドクターからもらったアイテムで能力の制御をしている。だからデバイスの必要がない。ちなみに俺のアイテムはこのヘッドフォンで、能力は「音」」

そう言って冬弥はヘッドフォンを首にかけた。
つまり、戦う準備ができたということだろう。
現在オレと冬弥は五メートル以上も離れている。
ここから近づいて近接戦闘をするのは危険行為。
なら・・・。

炎龍(フレイムドラゴン)放出(レリース)、燃え尽きろッ!」

後ろに下がって距離を取り、遠距離魔法を放つ!
意表をつく、とまではいかなくても先制攻撃としては十分なものだろう。
攻撃が当たれば上々。当たらなくても多少の隙ができるかもしれない。
しかし、冬弥の反応は予想とは大きく違っていた。

「選択としてはナイスだが、その筋書きはありきたりだな」

まるでどんな攻撃をするか、わかっていかかのように避けた。
攻撃のしかたは分かっていても、どんな攻撃をするかなんてわかるはずもないのに。

「弾けろ(スピリッツオープン)」

指を鳴らしたかと思うと、瞬間頭の中でノイズが鳴る。
それはテレビなどで聞くようなものとは違い、脳をぐちゃぐちゃにかき回すようなものだった。
隙だらけになることを分かっていても、オレはその場で耳を押さえて蹲る。

「隙だらけだ」

以前のようにどこからか短刀を出現させ、魔力を込めてオレに向けて放つ。
蹲っているせいか背中に攻撃が集中し、バリアジャケットを破き、オレの肉を斬る。
短刀だからか傷は小さいが、何回も当たるせいでどんどんと痛みは積もっていく。
しかし、それ以上に脳をかき回すこの音がオレを混乱させる。
何か考えようとしても、その考えがほかの思考とごちゃ混ぜになり、何を考えているのかわからない。
本来の目的も。
何をしようとしていたのかも。
何のためにこの場にいるのかも。
全てが混ざり、全てが失われていく。
そんなことを脳内で繰り返していると、あることに気がついた。
このノイズがすべての原因。
だったら・・・。

「ヤ・・・ミ、遮断しろ!」
<了解です!>

ヤミが返事をすると、それ以降ノイズは聞こえなくなる。
そのおかげで今まで感じていた不快感もなくなり、背中に痛みは感じても立てるようになった。

「_____」

冬弥が口を開き、何かを言っているが、今のオレには何も聞こえない。
それは声に限らない。
遠くから聞こえていた誰かの戦う音も。
何も聞こえない。
なぜなら先ほど、全ての音を遮断したからだ。
ノイズという音が聞こえなくなるために、音を聞こえなくする。
そうすれば鳴り響くノイズの音がなくなり、平常な思考でいられる。
幸いこの戦いは一騎打ち。
行動を読み間違えなければ、音が聞こえなくて困るようなことはそうはない。
さあ、反撃だ。

___始源の炎、吹き行く風、纏いて炎の放流と為せ。火炎流(ファイアストーム)

高温の熱を放つ大量の炎が流れ出す。
それは多少うねりながら冬弥へと向かっていく。
立ち上がったことが予想外だったのか、すぐに反応できずにその場を離れられない。

「っ、____!」

瞬間、炎の波が弾けるように消え去る。

「__、______!」

冬弥が何かを叫ぶと、さっきまで聞こえなかった音がまた戻ってきた。
だいたい分かってきたぞ、冬弥の能力である「音」が。
最初の攻撃を避けたのはまだわからないが、そのあとのノイズ。
アレは膨大な音を集め、オレの頭にだけ流しているのだろう。
次にオレの攻撃を防いだ方法。
音がなかったからわかりにくいが、さっきの炎が出ていたとき、きっと燃える「音」がしたのだろう。
その音を操って消す。
そうすれば音の発生源だった炎も消える。
最後に戻ってきた音。
無理やりにでも脳に音を流しているのだろう。
つまり、冬弥の能力は全ての音を操るもの。
それを上手く応用することでこの戦闘を有利にしている。
・・・え、これどうやって倒すの?
なーんちゃって。

「冬弥、お前ってだいぶ小さなときにスカリエッティに拾われたんだって?」
「・・・ああ」

不機嫌そうな声で返事をする。
ちなみにこの情報はリインと美愛と慎吾が徹夜で調べ上げたもの。
情報源は禁則事項らしい。
まあ、それは置いておくとして・・・。

「大方その音の能力を知った両親に捨てられた、とでも思ってんだろ?」
「実際にその通りだからな。小さな頃からいろんなものが聞こえていたオレを両親は気味悪がり、暴力を振るった。ストレスが溜まりまくったオレは音が聞こえなくなり、両親はオレをいないものとして扱った」

自分の覚えている過去を淡々と語る。
もう自分の中である程度の整理はできているのだろう。
その表情はなんの感情も表さなかった。
両親に対し、何も思っていなかった。
でも。

「それ、違うぜ」
「てか、気づいてるだろ?スカリエッティの嘘に」

アイツは、四人にずっと嘘を教えてきた。
真実を隠し、偽りの過去をずっと・・・。

「お前の両親はずっと、お前のことを愛していた」

三人が徹夜で調べた情報では、既に冬弥の両親はなくなっていた。
家の中で母親は、ある部屋を守るように殺されていた。
その部屋は誰もいなかったが、捜索中に発見された母親の日記によって子供がいたことがわかった。

「今日、私に息子が出来た。」

その言葉から始まる、母親の日記。

「名前は冬弥。
あの人と私の宝物。
この日記はあの子の成長記録として使うことにした。
早速今日あったことを書こうと思う。
まず、冬弥くんはあまりご飯を食べない子ということがわかった。
用意したミルクの半分飲めばもう終わり。
こんなんじゃ将来、もやしっ子になってしまう。
しょうがないからよく運動させて筋肉つけさせないと!
あ、前に小説を読んでて知ったんだけど、もやしっ子って漢字で書くと萌やしっ子だから、褒め言葉なんだって。
不思議だねー。
いつか冬弥くんに話してあーげよっ」

「今日、ついに冬弥くんがつかまり立ちをした!
この調子だと、きっと将来は陸上選手ね。
普通に立てるようになったら走らせないと!」

「ななな、なんと!
冬弥くんが「まま」って呼んでくれた!
実際は「まぁーぁー」と、よくわからないものだったけど、私にはわかる!きっとママって呼んでくれたんだよねっ!
パパより先でよかった!
なんか昨日、テレビ見ながら「がっちゃまー!」とか言ってた気もするけど、最初はママに決まってるよね!
この調子でどんどん言葉を覚えていくんだ、冬弥くん!」

「最近わかったんだけど、どうやら冬弥くん・・・すっごく耳がいいみたい!
だいぶ離れた部屋にいてもあの人がテレビをつけるとすぐに「がっちゃまー!」と叫んでいたから間違いない。
冬弥くんのガッチ○マンへの愛は深いんだね!
でも心配しないで、ママの冬弥くんへの愛も深いから!」

「今日、ついに冬弥くんが幼稚園に入園した!
うぅ、子供の成長って早いなぁ・・・。
この調子だと、大人になって旅立ってしまうのもはやい気がするよ・・・ちょっと鼻かんでこよ。
よし、気を取り直してっと。
とりあえず明日からバスが送り迎えをしてくれるみたいだから、超絶キュートな冬弥くんが道端の変態さんに捕まる心配はないね。良かった良かった。
あ、あと連絡帳に冬弥くんの様子とか書かれるらしいから、しっかりチェックしないとね。
今度先生に冬弥くんにちょっかいを出す輩がいたら報告するようにお願いしとかなきゃ!
それじゃあ今日の結論。
幼稚園服の冬弥くんマジ可愛い!
お持ち帰りしたい!って、いつも帰ってきてくれるんだけどね!」

「誠に申し訳ございませんでした。
朝、珍しく早起きだったあの人と冬弥くんをお見送りしたときに先生にお願いしたら怒られた・・・。
別にこのくらいいいと思うのにな。
ちょっと心配性なだけだもん。
しょうがないからあの人のお弁当に入れる予定だったたこさんウィンナーを失敗したかにさんウィンナーにした。
明日の朝はきちんと成功させて冬弥くんに食べてもーらおっ」

「最近の連絡帳には、冬弥くんがあまり元気がないと書かれている。
でも、家ではいつも通りに笑って勉強をしている。
そう、冬弥くんは自分の耳が周りとは違うことに気がついて以来、幼稚園生なのに小学生の勉強を始めている。
優秀ないい子に育ってくれて嬉しいけど、それでも少し心配。
今度こっそり様子を見てみようと思う」

「幼稚園から帰ってすぐ、冬弥くんが部屋に引きこもってしまった。
家でも元気がなくなってきていたから、今日部屋を覗いてみた。
すると、冬弥くんは枕に顔を押し付けて、声を出さないようにして泣いていた。
耳のことがお友達にバレて、からかわれたのだろう。
いくら勉強ができても、冬弥くんはまだ幼稚園生。
心は成長し始めたばかり。
私は冬弥くんを抱きしめた。
冬弥くんが泣いちゃうくらい辛いのなら、幼稚園にいかなくてもいい。
無理やり行かせて冬弥くんの心に治らない傷を作るなんて真似、絶対にしたくない。
大丈夫。
冬弥くんは絶対に守ってあげるから」

「あれからもう数年。
もうすぐ冬弥くんは小学校に入る年だ。
けど冬弥くんはあまり部屋から出てこない。
ずっと閉じこもって勉強をしている。
私は今日、冬弥くんに小学校に行かないかと訪ねた。
でも、冬弥くんは気づかずにひたすら勉強をしている。
気になって肩に手をかけると、とても驚いていた。
どうやら、話しかけていたことに気づいていなかったらしい。
もう一度私は聞く。
冬弥くんは首をかしげる。
嫌な予感がした。
私が何を喋っても、冬弥くんは首をかしげるばかり。
あのよく聞こえていた耳は、ついになにも聞こえなくなってしまったらしい。
それを知った時、冬弥くんは涙を流した。
そして、また部屋に閉じこもった。
私は決めた。
あの子の耳を治してあげると。
普通の音が聞こえる、普通の男の子にしてあげようと。
早速今日からインターネットを繋いでネットサーフィンをはじめなきゃ」

「ネットサーフィンを始めて数日。
私はあるサイトを見つけた。
人工的に人の身体を作る技術が存在するらしい。
これを応用すれば、冬弥くんの耳は普通になるかもしれない。
明日はあの人に相談して、そしてやり方を調べよう。
待っててね、冬弥くん。
あともう少しの辛抱だよ。
絶対、また冬弥くんが笑顔になれるような未来を作ってあげるね。
大好き。
愛してるよ、冬弥くん」

「今日は朝から天気が悪い。
嫌な予感がする。
でも、今日は冬弥くんの耳を治すための方法を調べないと。
以前みつけたサイトの奥深くに入り込む。
そこで見つけたのは違法な研究。
ダメだと判断し、すぐにそのサイトから離れる。
でも、遅かった。
家の扉の開く音がする。
冬弥くんは部屋にいるはずだし、あの人の帰りはまだまだ先。
いったいだ_____」

彼女の日記はここで途切れていた。
文面から察するに、スカリエッティに襲われたのだろう。
そして、彼女は最後の最後までたった一人の息子を守ろうとしていた。
決して息子をいないもののように扱うような人ではなかった。

「・・・なん・・・で」

誰にきかせるでもなく、ただ呟く。
いくら知っていても、頭の中では理解できていたとしても。
それでも、自分を育ててくれていた人を恨むなんて、できなかったんだろう。
だからこんなに焦っている。

「いつまでもスカリエッティの傍にいると、お前だけでなく仲間の三人・・・夏希と秋良と春香の未来がどんどん酷いものになっていくぞ。いまなら、すぐに自由になれるはずだ」

なんとなくこの言い方はリンディさんを思い出したが、やっぱりこれが真実。
そして、今のオレにできる選択。

「・・・それ、でも・・・。それでも、俺はアイツらの家族だから!一番近くで、一番安全な道を選択しないといけないから・・・ッ!ドクターは俺たちを利用はしても、悪用はしたことがなかった!だから・・・!」

そういう冬弥の姿が、少し前のオレの姿とダブって見えた。
ほんと、リーダー的立場にいる人ってみんなこんな感じなのかと疑いたくなる。

「オレもさ、ずっと大切な人たちを守ろうとしてたんだ。実際に助けたこともあった」

頭に浮かんでくるのはなのはを庇ってオレが落とされたときのこと。

「でもアイツらは感謝こそするが、心の底から喜んではいなかった」

数日前、今までのオレの信念を否定された。
守られるだけでなく、一緒に守ると言ってくれた。
その言葉は今まで一回たりとも想像したことのないもので、どんな言葉より嬉しかった。

「お前たちとアイツらが同じ考えとは限らない!」
「確かにその通りだな。だから・・・賭けをしないか?」

オレは片手をあげ、そして指を立てる。

「三人が守られることを望むか、一緒に守ることを望むか」

とても簡単で、とても大切なこと。

「もしオレが負けたら、潔くお前たちを逃がす。それでもたりなければ、六課を裏切り、お前たちの味方になってやるよ。かわりに・・・」
「俺が負けたら、六課に入れ、か?わかった、その賭け、乗った」
「そんなわけで美愛、そっちの状況はどうだ?」
『はいはーい、呼ばれて飛び出せないけどじゃじゃじゃじゃーん☆コッチはアリシアたちと一緒にソッチに向かっている最中であります☆』
「了解。あとが詰まってるんだから、はやくこいよ」

そう言ってオレは念話を切る。
さあ、あとはアイツらの登場を待つだけ。
これが、最後の選択肢。
最後の分岐点。

「さあ、お前たちはどんな答えを出す・・・?」

お前たちが望む未来を、最高の状態で別れの選別としてプレゼントしてやるよ。
 
 

 
後書き
冬弥くんのお母さんはとても親バカ。
お父さんは親バカってほどではないにしろ、冬弥くんのことを愛し、そして心配しています。
あと日記は手書きじゃないよ。
たぶん考えてる事をそのままモニターとかに写せるんだよ。
これぞ科学(魔法?)の発達!
決してご都合主義ではないと言い張る!
まあ「これは流石にねーよ」とかありましたら連絡を宜しくお願いします。

それではっ
 
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