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魔法少女リリカルなのは~過去を捨て今を生きる者~

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ストライカーズ編!
  母さんだから

 
前書き
みなさんどうも、最近黒子○バスケの笠○先輩のキャラソンばっかり聴いてる作者です。
先輩マジ最高。
デルモ(笑)より先輩のが好き。
ガングロよりもどっせーいの人とは腹黒とか謝りキノコのが好き。
ズガ☆タカより僅差で薄い人の人のが好き。
ツンデレメガネよりホーク☆アイのが好き。
巨人兵・・・うん、あのイケメンより巨人兵のが好きだわ。
てか圧倒的に相棒の人が好きだな、作者。
はい、どうでもいいですね。

それではっ
 

 
時は遡って今朝のこと。
独特な消毒液の匂いと背中どころか全身に走る鈍い痛み。
そこから推測された答えは病院の一室。
今現在入院中ということだった。

「あーあ、また負けたのかよ」

口に出して言うと改めて心が抉られた。
しかし事実、オレは負けた。
せいぜい連れて行かれる時間を伸ばしただけで、止めることなんて出来もしない。
またオレは守れなかったんだ。

<ヒリュー、もう起きたんですね>

机の上に置いてあるだろうヤミの声が聞こえた。

「お前も起動(おき)てたんだな」
<それよりもヒリュー、イオリ様やボイル様、シャマル様に連絡を入れたほうがいいと思いますよ>
「それもそうだな。ヤミ、手が動かないから捜査よろしく」
<了解です>

ヤミはそう言ってオレも前にモニターを出す。
それからまず母さんに連絡をしようと思っていると、病室の扉が開いた音がし、誰かが中に入ってくる。

「「ハアァァァァアアァァァァ!?」」
「うるさっ!・・・て、美愛と慎吾?なら納得」
「しないでよ!なんで起きてんの!?わけわかんない、不死身かッ!!」

いつまでたってもうるさい事で有名な我が双子の妹と親友の姿がそこにあった。
そしてなにやら美愛が変なことを考えている予感。
さっきまでの会話から推測するに、人間やめてるとでも思ってるのか?

「失礼な。しっかり人間だよ」

オレが言うとなんとなく驚いた表情をする美愛。
やっぱり当たってたのか。

<ミアミア、とりあえず中に入ったら?シンゴもね>

適当なことで有名なヒカリに言われて渋々ながらに入ってくる。
壁に掛けてある折りたたみ式の椅子を置き、そこに座る二人。
パッと見だからよくわからないが、どこかしらを二人とも怪我をしているらしい。
少しだけ身体の動きに気をつけている節があった。

「二人とも、身体の調子はいいのか?」

オレが言うと二人して驚いた顔をする。
解せぬ。

「おにぃ、誰かに私たちのこと聞いてたの?」
「いや、二人して身体の動きに気をつけている気がしたから」
「物凄いね、その観察眼!」

本気で驚かれた。

「それより、なんで起きてるんだよ」

結局最初に戻った。
まあ、別に話そらしたかったわけじゃないからいいんだけど。

「目が覚めたから起きた。以上」
「「納得できない」」

デスヨネー。
でもそれ以外に言い様がない。
って、あ。

「母さんとボイルさんとシャマルに連絡しないといけないの忘れてた」

二人に一度断ってから母さんに連絡を始める。
とりあえずまた叫ばれた。
そろそろ鼓膜が破れそう。

『陽龍の規格外は今に始まったことじゃないからいいけど、身体は大丈夫なの?』

少しだけ母さんの言葉にぐさりと来た。
規格外は今に始まったことじゃないって、それは息子に言う言葉なのか?

『陽龍だから許されることよ』

母さんまで地の文を読み始めている件について。
結論。
母さんだから。
納得。

「ピクリとも動かないけど大丈夫。心配ない」
『むしろ心配しかないわ・・・。しっかりボイルとシャマルちゃんに連絡して容態をみてもらってから、あらためて連絡して頂戴』

そう言ってモニターから母さんの顔が消える。
ちなみに母さんがボイルさんのことを呼び捨てなのには理由があって、所謂近所のうるさいお爺さんらしい。
はっきり言って理由になってないと思う。
そしてシャマルをちゃんずけで呼んでいるけど、実はシグナムもちゃんずけ。
ザフィーラはオオカミくん。
多分母さん、ザフィーラ=だれ?
オオカミくん=はやてのとこの番犬だと思う。
とりあえずボイルさんとシャマルへの連絡は後回しでいっか。

「で、二人はどうしたんだ?」
「寝ているおにぃの顔に落書きしようかと思って」
「出て行け」

美愛が片手に油性マジック持って笑っているが、オレは笑えない。
油性マジックはやめてくれ。

「じゃあ水性?」
「なぜ持ってるし」

もう片方の手に水性持って笑う美愛。
流石に苦笑いもできなくなるオレ。

「ちなみに本当は仕事やり終わって暇になったから見舞いに来たってだけな」
「二人が仕事を真面目にした・・・だと?」

マジで驚いた。
どうせサボったんだろとか心底思ってたのに。

「ところで陽龍、はやてとかフェイトに連絡したのか?」

選択肢になのはとアリシアが入っていない件。
仮にも親友だろうが、とか思ったけどしっかり考えた結果だと思うから口には出さない。

「さっき起きたばっかなのにどうやって連絡しろと」

二人が入ってくる数分前に起きたんだしな。
でも二人に連絡するって選択肢はなかったな。

「ヤミ、やっぱもういっかいモニターだして」

オレが言うとまた目の前に連絡用のモニターが現れる。
あー、はやてとフェイトのどっちにかければいいんだろう。
とりあえず隊長ってことではやてだな。

「はやて?オレ、オレオレ」
『オレオレ詐欺は慎吾くんをどーぞ・・・って、ええ!?陽龍くん!?』

ノリツッコミなのか判断に困る。

「とりあえず起きたから報告しただけ。そゆことでヨロー」

それだけ言ってオレは連絡強制終了☆
ふぅ、いい仕事をした。

「ヤミ、次はフェイト」
<デバイス使いが荒いです、ヒリュー>

なんだかんだ言いながらもやってくれる。
オレの周りにはツンデレが多いようだ。

「フェイト?オレ、オレオレ」
『え、あ、あの、どちら様ですかっ!』
『フェイトー、オレオレ詐欺にその対応は間違ってると思うよー?』

どうやらフェイトの近くにはアリシアがいるらしい。
たぶん仕事中だな。書類の山でアリシアが画面から見えないし。

『てゆーかフェイト、相手って陽龍だと思うよー?』
『え?あ、画面を改めて見ると確かに・・・って、ええっ!?・・・あうっ』

慌てて椅子ごと後ろに倒れ、その結果近くにあった書類が降りかかる。
ああ、せっかく分けてあっただろうにごちゃ混ぜに・・・。

「大丈夫かーって、大丈夫じゃないがゆえの結果か」
『あーうあーうー、あーうあーうっ』
『レッツゴー☆って、そんな場合じゃないよっ!早く助けてよお姉ちゃん!』

ノリが良くなってきているフェイトだった。
あれ、小学校のときに友達だった子がカラオケで歌ってたんだよなぁ・・・。
あいつは所謂ロリコンわぁるどと、「ピー」からネギをぶっ刺すぞぉでマジ爆笑した。

『もしもしフェイトちゃん、今ちょっとええ?・・・って、よぉないか』

モニターの向こうにまたモニターが現れ、はやての顔が映る。

「やほー狸・・・もとい化け狸」

はやてがオレの声に気がついて首をロボットのようにギギギと動かしながら見る。
オレの近くってノリいい人多いよな。

『陽龍くん!?うわ、やっぱ起きとる!昨日の今日でおかしいやろ!不死身か!』

だから不死身じゃねえよ、普通の人間だよ。
ゾンビじゃないから日光も余裕、つんつんメガネの変態とも友達じゃないし、家に根暗マンサーも魔装少女も吸血忍者もいねぇよ。

『今から隊長陣とシャマルでそっち行くから、絶対動かんといてな!フェイトちゃんといるかどうかわかんないけどアリシアちゃんもやで!』

はやてはそう言ってモニターを消した。
アリシアがいるかどうかわからないって、つまりは小さすぎて視界に入らないってことか?

「んなわけで二人とも、また後でなー」

オレはそう言ってフェイトたちとのモニターを消す。
そして病室にいる美愛と慎吾と少し話をしながらメンバーが集まるのを待った。


十分ちかくたった頃、病室の扉が勢いよく開かれる。
そして中に入ってくるのははやてと守護騎士、なのはとフェイトとアリシアだった。
いや、ザフィーラだけがその場にはいなかった。

「さて陽龍くん、これから大量に質問するで?」
「だが、断る」

一瞬にしてその場の空気が氷点下まで下がった気がした。
シグナムからの視線がマジで冷てぇんだけど。

「まずはなんで起きてるのか。あの巫山戯た連絡。未だに寝っ転がってるその状態。顔の落書き。合計で四つ、答えてもらうで?」
「起きたもんは起きたんだからしょうがない。時間がなかった。動かない。美愛のせい」
「巫山戯とるん!?」
「え、超真面目なんだけど?」

目が覚めたのはオレの意思に関係ねぇし、巫山戯た連絡・・・他にもフェイトに連絡しなきゃいけなかった。
指一本も動かないんだからしょうがない。動かない状態で迫る水性マジックはよけられない。
うん、どれもオレのせいじゃないな。

「おにぃ、質問追加。怪我が完治してないってどういうこと?」
「完治もなにも、昨日した怪我が今日治ってたらおかしいだろ」

真面目な顔していう割に、美愛の質問は当然のことだった。
冬弥に付けられた怪我は多くはないが、それでも一日で治るようなものでもないしな。

「そうじゃない。昨日の怪我じゃなくて・・・」

九年前の事故の怪我。

美愛が言うと、一瞬だけ息が止まったような錯覚を覚えた。
なんのことだ。
なぜ知ってる。
教えた覚えはない。
わけがわからない。
アイツの言っている言葉の意味が、理解できない。

「・・・確かに、身体に痕が残ってるし、病院で看てもらってるけど、オレはどこも悪くなんてないぞ?」

嘘をついているようで心苦しいが、コレだけは言えない。
この事実を教えるわけには、いかない。
家族でも、親友でも、今はまだ言うわけにはいかないんだ。

「塗るタイプの薬をもらってるならまだ分かるけど、おにぃがもらってる薬って粉とかカプセルだよね?それ、おかしくない?」

普段のバカな態度からは想像もできない頭の回転。
ダメだ。
このままだったらはなさないといけなくなってしまう。
話したらもう、もとに戻れなくなる。

「それにさ、あの日以来、なんで前線から外れたの?今だって魔法の使用は最低限。ランクがAなんておかしい。不自然すぎる。ねえおにぃ、九年前のおにぃはなんで魔法が使えなかったの?」

一番聞かれたくない質問。
答えると、自然に結論が出てしまう。
聞いたら誰も、聞かなかったことにしてくれない。

「・・・身体が麻痺して、動かなかったんだよ」
「嘘。シャマルもおかーさんもそんな話はしてない。しかも魔力の源はリンカーコア。肉体は悪魔でも器だよ」

なんで止めてくれない。
誰かこいつの口を塞いでくれ。
これ以上事実を言わせるな。

「おにぃはあの時、リンカーコアも怪我をしたんじゃないの?だから魔法が使えなかったんじゃないの?」

周りの視線が集まる。
美愛も慎吾もフェイトもアリシアもはやてもシグナムもヴィータも、なのはも。
みんなしてオレを見る。
答えを求めている。
唯一答えを知っているシャマルは気まずそうな視線を向ける。
話していいのか、判断ができないんだろう。
なにも言わず、こいつらの記憶を消し去って欲しい。
そうすれば今までどおりでいられる。
でも、もう遅い。
たぶん言い逃れはできない。

「美愛の言うとおりだ。ガジェットの刃はリンカーコアを破損させた。闇の書事件でもわかっていると思うが、リンカーコアは、魔力があれば自動修復する。でも、オレのリンカーコアは治らなかった」


___あなたのリンカーコアは多分、もう使い物にはならないわ。


九年前、母さんに言われた言葉だった。
なんでも、オレのリンカーコアは治らないほどに砕けてしまったらしい。
でもなくなったわけじゃないから、一応は魔法も使えるようになった。
流石に今のようになるには時間がかかったし、痛みも伴う。
魔法を使うたびに砕けた欠片が内蔵付近で反応して痛いし、残ってる欠片でオレの魔力を抑えることもできない。
そのうえ使うたびに残ってる欠片がまた壊れていく。
いつか完全に壊れて使えなくなるか、それまで肉体が耐え切れずきオレが力尽きるか。
オレはどの結果も嫌だった。
魔法が使えなくなったら六課(ここ)にいる意味がなくなってしまう。
力尽きたら守れなくなってしまう。
結論としてオレは退院しても当分の間は通院。それが終わっても必ず薬を飲むことが決められた。
処方してもらった薬はリンカーコアの崩壊を抑えたり、痛み止めだったりいろんな効果を持っている。
でも薬にも限界はある。
いつか身体が慣れ、効かなくなる。
それまでずっと魔法を使い続ければ、嫌な結末が待っている。
だからオレは期限をつけた。
二十歳になるまでに春香・ヴァレスティアを助けられなかったら、完全に魔法とは縁を切る。
すべてを忘れ、海鳴りに戻って生活をすると。
助けられたら縁を切るまでは行かず、隠居生活のようなものになるだろう。
実技をほとんどしない教導官(ただのサボリ魔)にでもなろうと考えていたりする。

「とまあ、そんな感じだ」

ところどころ文脈がおかしかった気もするが、それが今まで隠していたもの。
どちらにせよ二十歳になれば話すつもりだったのに、こんな結果になるとはな・・・。

「で、陽龍、お前はどうするつもりなんだ?まだ諦めねえのか?」

慎吾が壁に寄っかかりながら言う。
オレはその言葉に、ほとんど間を開けずに当たり前だと答える。
それを聞いて周りのみんなが呆れたような声を出した。
予想はしてたけど流石に酷いな。

「陽龍、私たちに何か言うことは?」
「・・・隠しててごめんなさい?」

オレの言葉にまた呆れるフェイト。
え、なにか間違った?

「何か、して欲しいことはないの?」
「・・・許してください?」
「何を」
「戦うことを?」
「却下」

フェイトが鬼畜になった。
今までのフェイトはどこへミスディレったんだ!
カムバック!

「だーかーらー、ここにいるのはだれ!?」
「八神一家に一号と二号、ヘタレマダオキングにフェイトと魔王」
「呼び方が気に入らないけど、陽龍くんにとって私たちはなに!」
「親友?」
「どーして疑問形?で、親友はどーするもの?」

美愛、なのは、アリシアの順で聞いてくるが、全くもって意味がわからない。
マジでこいつらはなにが言いたいんだよ。

「闇の書事件、私たちはどうやって崩壊を食い止めたか、覚えとるか?」
「それぞれが力を合わせて、全力で戦った」
「それが答えや」

・・・?
全力?
とりあえず土下座すればおっけー?

「目ん玉抉っちゃうぞ、おにぃ☆」

違ったらしい。
最近の美愛が物騒。

「なら、力を合わせて・・・あ」

一致団結。協力して。
そっか。
これを言いたかったのか。

「守るのを、手伝ってくれ。オレ一人の力じゃなにもできないから」

この世に一人でなんでも出来る人なんて存在しない。
どこかで誰かが言っていたセリフ。
今となってはもう覚えてないけど、言葉自体はよく覚えていた。

「「「「「「「「「「もちろん!」」」」」」」」」」

大切な親友たちは笑顔で、元気よく頷いてくれた。


「そんなわけで作戦会議はまた今度、改めてな。それまでに陽龍くんは動けるようになっといてや?せめて車椅子やな」
「げ、三回目かよ」
「ちなみに陽龍くん、それまで私が訓練するから練習メニューは考えなくてもいいよっ!」
「ああ、大丈夫。それなら暇な美愛と慎吾に任せるから。よろしくなー」
「めんどくさいけど了解」
「データの管理とかは任せとけ。なのはに送る報告書は日が変わってからだったな?」
「あとオレにもよろしく。それ見て次回の注意点とか送るから」
「ひ、陽龍くんは安静にしてたほうがいいと思うの!」
「操作はヤミに任せっきりだから問題ない。動けるようになったら車椅子でも這ってでも見るから安心してくれ」
「なのは、諦めが悪いぞ?コイツには何を言っても聞かねー。そんなのとっくの昔っからわかってたことじゃねーか」
「ヴィータちゃん・・・うん、そのとおりなの」
「お二人共、いくら本当のことだからといってそんなことを言っては失礼ですよー!」
「リインちゃん、それ、わざと?」
「? リインにはシャマルの言っている言葉の意味がわからないです」
「流石は見た目は子供、頭脳も子供なリインだな」
「むぅー!シグナム、リインは子供じゃないですよー!」

昔から変わらない楽しげな会話。
オレはそれを聞きながら目を閉じた。
 
 

 
後書き
なんかここで終わると陽龍死んだみたいですよね(笑)
いや、死んでないけど。
めっちゃしぶといけど。
カサカサ動く黒光りする神出鬼没の悪魔のように。
もう本当にアレ嫌い。前に靴の中に入ってて家出るの嫌になった。

それではっ
 
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