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こんなチートでもありですかい?そうですかい。

作者:わいわい
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第42話。変人と変人。

「晋吾、大丈夫ですか?」
「傷はすぐに塞がるさかい。血を拭うだけや」

近場の公園にて流れた血を洗う。むぅ、少し服に血がついてる。

「私に任せてください。」

血が付いた箇所を眺めていたら、シオンが近づき、彼女は俺の服を掴む。

指で血のついた箇所をなぞると、血が雫となって指の腹に乗り、シオンはそれを舐める。

「何しとんねん。」
「んっ、錬金術で繊維に付着した血を集め、水滴に戻しました。」
「・・・・なんでも出来るんやな。」

舐めたことに対するツッコミだったのだが・・・・

頬を酔ったように赤く染め、嬉しそうにはにかむシオンに何も言えなくなる晋吾だった。

「タタリとなっていた彼とは知り合いだったようでしたが?」
「友人が化けて出たってとこやな。魔眼持ちやから、眼鏡かけてるか、かけてないかで判断や。」
「噂で聞きました。直死の魔眼を持った少年のことですね。今は埋葬機関の『弓』と行動しているようですが・・・・」
「今はどこにいるんやろうね」

携帯で時間を確かめると午後9時20分を示していた。近くのホテルは22時までチェックイン可能だったはずなのを思い出す。

しかし、外国人のシオンはともかく、俺は普通の中学生にしか見えん。止めてくれるか怪しいものだ。

聞かれたら観光とかで誤魔化すしかないな。英語で話しかければなんとかなるか?

まぁ、なるようになれだな。

「とりあえず、ホテル行くで?泊まるとこ確保しないとな」

シオンも頷いたので、俺も頷き歩き出す。公園から抜け出した所で

「あれ?晋吾?」
「おん?」

後ろから声をかけられた。

振り向く。すると、先ほどまで殺りあっていた顔にメガネをかけた男が・・・・つまりだ。

「シッキーやない!?戻ってきてたんか?」
「ああ、3日程前にね。晋吾も元気してた?」
「アホ。俺が元気でないわけ無いやろ」

シッキーに拳を作り向ける。彼は少しだけ戸惑った素振りを見せ

「ハハッ、そうだね。」

笑顔で自らの拳を合わせた。

「そう言えばさ。戻って来た時から感じてたけど、なんか街の様子が変なんだよね。晋吾がいるのと関係あるの?」
「あるって言えばあるな。まぁ、一番の当事者に聞いたほうがええんちゃう?」
「当事者?」

シオンに目を配り、挨拶を促す。

「シオン・エルトナム・アトラシアです。死徒二十七祖であるタタリを追っています」
「えっと・・遠野志貴です。また死徒か・・・・。そのタタリというのが?」
「おうよ。色々とややこしいんやけど、とりあえず『噂を現実にする程度の能力』を持ってるって考えてええよ。」
「えっ?最近噂が流行ってるのってそのせい?」
「お?なんか知ってるん?」
「・・・・坂のある洋館に、地下帝国があるらしい。」

お前ん家か・・・・

「残念やなシッキー。・・もう手遅れや。」
「手遅れ!?」
「俺の予想ではアンバー・グランドと化してるわ」
「アンバー?・・・・琥珀?ハハハ、まさかー」
「ハッハッハッハッハ」
「アハッハッハッハッハ。・・・・噂とか関係なく、ありえそうで笑えないよ。」

ご愁傷さまです。

「さて、俺らホテルのチェックインがあるからそろそろ行くで?」
「え?晋吾ホテルに泊まるの?」
「泊まらんと野宿になるやろが。」
「・・晋吾。よかったらだけど、うち泊まってく?」
「ほ?マジで?それは助かるねんけど、妹さん許してくれるん?」
「・・・・事情を伝えれば大丈夫だよ多分。きっと。余ってる部屋もいっぱいあるし。」

まぁ、なんだかんだ言って妹様は、シッキーLOVEだから、頼んだら泊めてくれるか。

「ほんじゃ、泊めてもらおうかのぉ」
「それじゃ、行こう。実は門限を軽く過ぎてて急いでたんだ。」
「そう言えばそうだったの。」

晋吾が時間を確認すると、もう9時40分になろうとしていた。

「・・・・けんど、後ろの奴が話したそうにしてるんやけどなぁ。どないする?」
「後ろ?」

志貴は後ろを振り向く。

「アレ??」
「今日は遠慮しとくわ。シッキー急いでるみたいやし。」
「悪いのぉ。そうさせてもらうわ。」
「つうかシッキーこんな時間まで何してたん?」
「あれや。噂の真相を摘むんだ!って活き込んでたとか」
「あ~たしかそんなんやったね」
「え?え?え?」

晋吾Aと晋吾Bが現れた!志貴は混乱している!!

「晋吾が二人!?」

そう志貴は二人の晋吾に挟まれて会話をされていたのだ。

「そう言えば、自分のせいでさっちんに犯人扱いされたわ。」
「そら俺のせいやないやろ。自分がケースをしっかり持っとらんのがわるいんやろ」
「やっぱあれなんか?俺の不安的なやつか?」
「まぁ、一応な。心当たりは?」
「あるに決まっとるやろ。せやけど不安とか、柄に合わへんな」
「俺が不安とか言っても、誰も信じてくれそうにないわな」
「ホンマや。」
「俺、不安でたまらないんだ。」
「ウソツケー」
「ホンマやって」

しゃべる度にアワアワする志貴。実はこいつら、シッキーの反応を楽しんでいる。

「しかし思った通りやな。しゃべれるやないか俺。」
「当たり前やないか。しゃべれない俺なんか俺やあらへん」
「確かに。」
「まぁ、ぶっちゃけ。こうやって、うだうだと話すの実は辛いんよ?俺、一応タタリやから。」
「なるほど。狂言垂れたくなるわけやな?」
「イエース。そこは俺の鉄の意志で、我慢我慢やがな。」
「マジかー。苦労してるんやね」
「さらに言うとな、人、殺したくてしかたないんや。これは我慢できへん。いらん奴見ると、ねちょっとしたくなるわ。」

急に彼から溢れ出る殺気に、志貴は固唾を飲み込む。

「ん?ああ。スマンなシッキー。溢れとったわ。」
「・・お前さんがなんで俺の前に来たか分かったわ。」
「流石やな俺。まぁ、俺と殺り合えっちゅうことや。劣化してる俺に、俺が負けるわけないしの」
「簡単に消えるのはプライドが許さんか」
「さりげにプライド高いのはわかっとるやろ?」
「ばらすなアホたれ。まぁ、ええよ。ケジメは俺がつけるさかい。」
「物と物の相違。区別。差別。道徳や規範に従って言動・態度に表す区別。まんまの意味やな。」
「卑下すんな」
「いや、所詮俺は別物よ。消える運命のな」

目を閉じ頭をかく。それを見て、俺も目を閉じた。

「明日の20時。川原の橋の下でええか?」
「かまへん。」

それだけ伝えると踵を返して歩き出す。

「・・・・なんだったんだ?」
「・・・・嵐の様でした。」

晋吾Ⅱの出現に、疲労感を隠せない志貴とシオン。

「さっ、行くでシッキー。もうすぐ10時やで?」
「ヤバッ!?走るよ晋吾!」
「大丈夫や。俺の方が速いから。」





「兄さん。今何時だとお思いですか?」
「10時過ぎだとお思いです。」
「あなたは黙ってなさい。」
「スイマセン。」

妹様に絶賛怒られ中のシッキー。ちょっと会話に参加したら怒られた。

お兄さんとの会話を邪魔してすみませんね~

「で?御使い様は何故こちらに?」
「シッキーにお泊りを誘われました。」

妹様に睨みつけられるシッキー。蛇に睨まれたカエルのようだ。

「ふぅ、まぁいいでしょう。1年前に恩もありますし、好きなだけ泊まっていきなさい。琥珀。」
「はいはーい。案内しますよ~」
「あっ、琥珀さん。」

思い出したかのように琥珀さんを呼び止める志貴。

「なんですか?志貴さん。」

笑顔を浮かべて答える琥珀さん。シッキーに話しかけられてとても嬉しそうだ。モテモテやなシッキー

「あのさ、地下で何か作ってるの?」
「ギクギクッ!そ・・そそそそんなことないですよ~」
「いや、お前らストレートすぎやろ。」

モロバレやがな。

「・・・・琥珀?」
「何言ってるんですか~。そんなことあるわけないじゃないですか~」

メチャメチャ怪しい。目がせわしなく動いている。

「今ならお泊り記念で地下の調査もするで?」
「そう?ならお願いしようかしら?」
「いけません!行ってはいけませんよ!!」
「行くなってことは、少なくとも地下があるってことやろ?」

うっかり!っと言いたげな表情をする琥珀さん。

俺の知り合いってうっかりさんが多いよな~ 
 

 
後書き
つなぎの話でした。あしからず。

とりあえず、W晋吾をどこまでしゃべらすかの判断に困った。
困った(;´Д`)もんだ。

>物と物の相違。区別。差別。道徳や規範に従って言動・態度に表す区別。
けじめの意味

琥珀さんのうっかり。久しぶりに帰ってきたシッキーに浮かれてたのさっ
ちなみにだけど、この琥珀さんはcv高野さん。
うっかりではない。 
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