赤城と烈風
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★改訂前
通商破壊艦の帰還
1940年1月13日、北海で『アドミラル・グラフ・シュペー』と軽巡洋艦が闘っている。
152ミリ砲弾の直撃、高温蒸気配管の損傷が通称ポケット戦艦を窮地に追い込んだ。
ディーゼル機関用燃料は暖め、液状化現象を励起しなければ使えない。
高温蒸気の循環が滞り、代替手段は無い。
中間タンク滞留の使用可能分、加熱済み燃料払底前に通商破壊艦は窮地を脱した。
翌14日ヘルゴランド湾に現れ、姉妹艦の弱点補強工事が進む。
2月11日『ザイトリッツ』『リュッツオウ』売却、食糧等700万トン獲得後に侵攻軍の動員数は急激に増した。
3月2日英仏連絡会議の際、フランス軍5万緊急派遣も提案されている。
スカンジナビア半島を義勇兵5万横断の際、ソ連軍が動く確率は高い。
3日ノルウェー、スウェーデン両政権は領内通過の黙認を避けた。
北部国境線ソ連軍が強襲、進撃を重ね首都陥落の悪夢を招きかねない。
6日フィンランド軍の戦闘停止、12日モスクワ講和条約調印締結を避ける術は無かった。
苦渋の決断は領土10%喪失、産業地帯20%譲渡も含む。
フォッカーD21戦闘機隊の潰滅は無差別爆撃の激化、防衛線の崩壊を意味する。
民間人拷問、虐殺、強制労働、荒地移住、数百万規模の落命は耐え難い。
翌13日、フィンランド派遣軍の乗船開始後に情報が届いた。
英国陸軍の将兵は輸送船を降り、新たな命令を待つ。
ヴェーザー演習作戦の艦船配置変更、役割分担は実戦経験者の影響が濃い。
潜水艦の艦橋は低く、視野が狭い。
42隻に指定海域で敵艦の待ち伏せ、雷撃は命じなかった。
推進機関不調も見込み、自由行動を認めている。
史上最高の戦果を挙げた元『U35』艦長、ロタール・フォン・アルノー中将の進言かもしれない。
元々前弩級戦艦で第一次大戦の後、掃海艇母艦改造の『プロイセン』も動員の準備が進む。
魚雷と機雷の実験に備え、船殻中央部63m海面下補強の為だ。
空軍の総帥には『ブルンマー』転用、鉄鉱石輸出港ナルヴィク戦闘機派遣の要望が届く。
二者択一、陸軍も連署の書類は無視できない。
荒波に弱い陸軍将兵『ハノーバー』輸送、船酔い軽減の提案も通る。
砲術練習艦2隻と軽巡洋艦1隻は第5群に廻し、1915年の再現を狙った。
31日『アトランティス』、『アドミラル・グラフ・シュペー』が動く。
デンマーク海峡に進み連合軍の攪乱、戦力分散を誘う無電が流れた。
4月9日朝、ドレーバグ水道の南側で第1群が停まる。
ベルゲン港では重巡洋艦210ミリ砲弾3発、150ミリ砲弾3発直撃の損害を蒙った。
応急修理を実施の為、英国空軍機行動圏に『ブリュッヒャー』が残留している。
ロフォーテン諸島沖海戦には悪天候、視界不良の影響が濃い。
マルシャル提督は『ヴァンガード』『レナウン』と遭遇、ユトランド沖海戦の再現を狙った。
『シャルンホルスト』級2隻の最大火器、3連装54.5口径280ミリ砲6基は計18門。
最大射程距離4万m前後、約20秒間隔の連続射撃も期待し得る。
英国製42口径381ミリ連装6基12門は最大射程距離、3万3380m前後に過ぎない。
射撃間隔30秒前後とすれば毎分24発、ドイツ側2隻の毎分54発が優る。
ホイットワース提督は射撃間隔短縮、15秒前後の連続射撃で事態打開を図った。
悪天候が視界を遮り、荒波も高速発揮を妨げる。
光学式ドイツ製の照準装置に戦場は厳しく、直撃は無い。
7発被弾の『グナイゼナウ』は射撃不能に陥り、マルシャル提督も焦る。
強敵を遠隔海域に誘い、第5群に通報を選ぶ。
『ケーニヒスベルク』は帰途、20時頃スカゲラック海峡で姿を消した。
潜水艦『トルーアント』の雷撃で浸水後、遭難した乗組員は無い。
自由行動の『U51』は敵艦と遭遇、21時頃ナルヴィク湾に無電が届く。
指揮官は厳重に射撃を禁じ、夜間戦闘に備えた。
1940年4月9日、ドイツ海軍の艦船配置
・スカゲラック海峡で停止、空軍機を誘導
標的艦『プロイセン』(『ブルンマー』通信機器を移設)
・第1群、オスロ湾(以下、揚陸支援)
軽巡洋艦『ライプツィヒ』『カールスルーエ』『エムデン』、標的艦『ヘッセン』、水雷艇5隻、掃海艇6隻、兵員輸送船『オイローパ』
・第2群、クリスチャンサン港
〃『ケーニヒスベルク』、水雷艇4隻、魚雷艇3隻
・第3群、ベルゲン港
重巡洋艦『ブリュッヒャー』、魚雷艇10隻
・第4群、トロンハイム港
〃『アドミラル・ヒッパー』、駆逐艦4隻
・第5群、ナルヴィク湾
戦艦『シャルンホルスト』級2隻、〃10隻、兵員輸送船『ハノーバー』、練習艦『ブレムゼ』(機雷250個)、『ブルンマー』(機雷450個、65口径105㍉高角砲4基8門、83口径37㍉機関砲2基4門、65口径20㍉機銃4挺)
・デンマーク海峡に進み、連合軍を攪乱
装甲艦『アドミラル・グラフ・シュペー』、仮装巡洋艦『アトランティス』『オリオン』
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