こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第38話。変人の異変。
無駄に熱い一成がクラスに居ない体育祭はとても平和に終わり、紅葉や夕焼けで秋を感じさせる9月下旬に入った。
「おー、ここがアルの新しい家かい」
「へ~いい家じゃない。」
日曜日、俺はシエルが用意したアルの新居に来ていた。家具も準備されており、今からでも暮らして行けそうである。
場所は新都から電車で5駅ほど先にある都市にある。駅から徒歩1分の高級マンションだ。
億ションって言うんですねわかります。
冬木からは電車で20分で行ける。なんとも行きやすくなったものだ。
「何から何まで悪いなシエル。」
「いえ、お役に立てて光栄です」
「こないに有能だとは思へんかったわ」
「・・・・どのように思われていたか気になるところですが、まぁいいでしょう」
ただのカレーだと思ってました。スイマセン。ただのカレーじゃなかったわ。ハウスには及ばんと思うがな
「そう言えばシッキー連れてくんだとな」
「ええ、一緒に働くことになりました」
嬉しそうに笑顔を浮かべるシエル。何故かアルはうんうん分かるよーっと頷いている。
「暫く日本から離れるんか?」
「そうですね。元々ロアの件が終わったらアジアを中心に回ろうと思っていましたので、しばらくは日本を拠点とするつもりです」
「そうか。それならそこまで間を開けずに会えるな。」
玄関までシエルを見送る。
「ホンマにありがとなシエル。また会おうや」
握手を求める。シエルは少し驚いたのち、笑顔を握ってくれた。
「ええ。あなた様もお元気で」
そして一礼してから廊下から飛び降りる。ちなみにここは60階建ての最上階である。
「わざわざ飛び降りなくてもええのに・・ベーターつかえばええやろが」
シエルさんはやはり高い所が好きなんだろう。よく電柱の上に居るしな
「晋吾~」
シエルが居なくなったとたん、背中に抱きつき甘えだすアルクェイド。
しかし、最早いつものことなので、無視してアルを背負ったまま玄関を締め、リビングに向かう。
「家具おろか、家電まで揃えたんかシエル。シスター服で電機屋にいってへんやろな?・・てかアルに使えんのか?」
「む~失礼ねっ。そのぐらい使えるわよ。」
冷蔵庫から掃除機、洗濯機に食器洗い機にetc。・・・・家事とかすんのか?
「でも正直いらないわ。」
「せんのかよ」
ビシッ!っと宙にツッコミを入れる。
「いやだってすっごい調子いいから、ついつい使っちゃうのよね~」
「何を?」
「ん?能力?」
「・・は?」
「うん。空想具現化能力。私の能力よ」
「知っとるけど何に使っとんのや」
「ん~、部屋の埃がつもらないようにしたりとか。後、んと・・私、あんまりお風呂って得意じゃないけど、晋吾と会うのに臭うのやだから臭い取りにとか」
なんという生活臭溢れる使い方。後、俺のためみたいな使い方してるからって、別に嬉しいわけなんてないからな。
「そう言えばふとおもうたんやけど、お前さん服ってどうしてるん?」
「服?これ一着よ?」
そう言って服を胸元で引っ張るアル。やめなはれ。
「よし。今日は服を買いに行くで」
ゲームではそれでいいかも知れんが、リアルではドン引きされるだけだ。
「だから1着のみとかダメなんや。最低でも4着で着回し。10着もっとれば余裕。」
「へー、そーなのかー」
今俺達は電車に乗り百貨店を目指している。
流石に能力使えば汚れないって言ったって、白のどう見ても冬用のハイネックに紫のロングスカートのみとかダメだ。
「あれや、日本人は季節感を感じないとダメなんよ。ここは郷に入れば郷に従う精神でやな・・」
「フフフッ」
「おん?どうしたん?」
「ごめんなさい。晋吾が一生懸命説得しようとしてるの見ておかしくなっちゃって。私、晋吾が着ろって言うなら・・何でも着るわよ?」
「・・・・さよけ」
「フフッ。素直に色々な服を着せてみたいって言えば良いのに」
「さて、なんのことかのぉ?」
そう言って誤魔化すように眼を閉じた。
百貨店の婦人服売り場に行って、俺もアルも服に詳しくないから店員さんに適当に見繕ってくれって言ったら
「なにこのスーパー美人!服の上からも分かる完璧なるスタイル!私の被服店販売員歴5年の力量が試される時がキタ━━━(゜∀゜)━━━!!」
少しおかしい人だった。同類では無い。奴は変態だ。
まぁ、その変態のおかげで服は買えた。結構な量を買ってしまったため。アルの家に送ってもらうことにした。
とりあえず、男の服の値段と女の服の値段の差に驚愕を抱いた。男の服は、中間層がないんや
アルも満足している様子。どうやら、被服店販売員歴5年は伊達じゃなかったようだ。
買い物が終わったらお昼を取ることにした。
「アル何食べたい?」
「ん~。まだ何が美味しいとかよくわからないから、晋吾が好きなのでいいわ」
「了解や」
ファミリーレストラン的なのが俺は苦手なので、普通に定食屋にしてもらった。
トンカツ定食。うまし
アルもマネして言ってた。うまし
帰り道やたらと街行く人の注目を集めていることに気づいた。
大衆の視線を追ってみた。アルがいた。I see.
「ん?どうしたの?」
「んや。なんでもないね」
まぁ、改めてよう見るとホンマに美人さんだのぉ
つい身長差に気を取られるのは男の子の証拠かね~
アルの家に再び戻ってゆっくりしてると、ちょっと待っててと言って奥に消えた。
「?どうしたんやろ」
暫くすると、魔力の流れを感じアルが戻って来る
「ど・・どうかな?」
アルがちっちゃくなってました。
でも胸はでかい。でも胸はでかい。非常に大切なことなので2回言いました。
立ち上がってみる。ちょうど俺の顎辺りが頭に来るみたいだ。
「晋吾、私の方が身長高いの気になってるみたいだし、こっちの方がいいかなーって」
もじもじと顔を赤めて、いじらしい表情を見せる。
あーもーこの姫さんは!
いじらしさに負けて優しく包むように抱きしめる。
「別に大丈夫やって。ほんの数年もすれば追いつくさかいに。せやから、アルはありのままでええんよ」
「・・・・そう?」
「おうよ。むしろアルの頭が俺の胸あたりまで成長したる」
「フフッ。楽しみにしてるわ」
とか言って、そのままクルクル周りながらベットにダイブした。
・・・・いやね。せっかくこんな格好してくれたのに勿体ないじゃないですか。
11月の中旬になり、コートを出さないか検討し始めた頃の朝。
「なんやこれ?腰と膝が超痛いんやけど?」
いきなりの痛みに動けなくなる晋吾。この体になってはじめてのじわじわとくる痛みに戸惑う。
「マスター。・・・・どうしたのだ?」
「おうセブか。・・わからへん。マジで痛い」
「ふむ。立てるか?」
「んー微妙。マジで痛い。肘も痛い」
「・・・・舞弥たちをよんでこよう。」
「おー頼むわー」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
頭のなかにず~っと痛いと思っていたらしばらくして(晋吾の体感時間。実際はすぐ)二人が、その後シロちゃんもやってきた。
「晋吾!どうしたの!?」
「姉ちゃんもちと静かにしてくれへん?体に響くわ」
「ご・・ごめん」
とりあえず病院に行くことにした。親父も世話になっている病院だ。
「ニイさん歩けるか?」
「歩けるけどマジで痛い。」
心配そうに付添うシロちゃんと、心配で俺とシロちゃんの後ろでオロオロしている姉ちゃん。
舞弥姉ちゃんは受付で手続きしている。
「はいはいどーしました?」
相変わらず外科のおっちゃんはやる気のない奴だと思う。マジで痛い。
「全身が痛いです。」
「んじゃーとりあえずレントゲンとりますかね?」
あ?とりあえずってなんだよおい。頼むから真面目にやってくれよマジで痛い。←痛みで不機嫌になっている。
そしてレントゲン写真が出来て外科のおっちゃんの一言がこれだ。
「んー成長痛だねー。両膝がオスグッドぽいね~。腰も来てるね~。運動はしばらく休んでね。とりあえず湿布と痛み止め出しときますよ」
もう・・・・ゴールしていいのね?マジで痛い。
結局、シロちゃんに連れて行かれて事なきを得た。シロちゃんに感謝するんだなおっちゃんマジで痛い。
4ヶ月後・・・・
「18cm伸びた・・・・」←感動している。
「なんでさ!」
現在、晋吾161cm。士郎148cm
同好会で、横に無駄に長いデジタル時計を作っていたとき、奴は来た。
「ニャ~」
「・・・・ニャー」
「何がにゃーよ」
「凛ちゃん言ってみ?」
「・・・・何を?」
「ニャー」
「ニャ~」
呼応するように猫さんも鳴く。
「いっ・・嫌に決まってるでしょ!?」
「ニャー」
「ニャ~」
「・・・・・・・・ニャー」
とりあえずサムズアップしておいた。凛ちゃんはめっちゃ顔を真っ赤にしている。
こっちゃこいと手招きしてやる。膝に飛び乗って来た。カワユス。
つかこいつどっから来ん?
「・・本当に先輩と遠坂先輩って仲がいいですね」
桜ちゃんがそんなことを言ってきた。
最近桜ちゃんの様子と言うか、雰囲気がだいぶ変わった。
なんつうの?・・・・・・色っぽい通り越してエロい?
「そりゃそうやろ。マブやからな」
「マブですか?」
「おうよ。」
「先輩達は付き合ってるんじゃないんですか?」
なんでそうなんねん。
「・・・・違うわ」
凛ちゃんが短く言い切る。そりゃそうだ。
「・・えーっと、もしかして別れたとか?」
「なんでそこまでして私と晋吾をくっつけたいのかしら?」
この会話の内容に、やたらと突っかかる凛ちゃんに驚いていると、桜ちゃんが爆弾を落としてきた。
「だって遠坂先輩。先輩のこと『あなた』って呼ぶじゃないですか。」
凛ちゃんはやっちまった~って表情。ごめんね凛ちゃん、俺気づいてたけど黙ってた。
まぁ、思春期って異性の呼び方って凄く重要だもんな。基本凛ちゃんは相手の名前をきちんと呼ぶしね
俺だけ『あなた』→俺だけ特別→じゃ付き合ってんじゃね?の理論。浅はかですな。
「じゃ、マブダチって言うのが真実なんですね?」
「おうよ。」
「・・・・所でマブダチって何?」
うえぇ~って表情で二人で凛ちゃんを見る。猫も一緒に向ける。
「それはないで親友。」
「親友?」
「ええ親友です。」
な・・なん・・・・だと?と言いたげな凛ちゃん。どうした?
「晋吾。いるか?」
「お?一成か。どないしたん?」
ドアがノックされたと思ったら一成がやってきた。
「むっ。校内に猫を上げたらいかんだろ。」
「一成堪忍やー。足は拭いてやったさかい」
ほらーと猫さんの足を見せてやる。
「はぁ、まぁいい。今大丈夫か?ちょっと生徒会室まで来て欲しいのだが」
「ほいほい。お呼ばれされましたか。」
猫さんを俺の椅子の上にのせ、ちょっと待っとれと言うと、首をコクりと頷かせる。
「じゃ、ちょっと俺行ってくるわ」
「あっ、わかりました」
こうして二人になった部室。
「・・・・先輩が言うマブってなんのことだと思ってました?」
「・・・・友達以上恋人未満のことかと思ってた」
ずーんと落ち込んだ様子の凛。これを見ればよほどの鈍感でなければ普通は気づく。
「それは、恋人関係になれればと思ってた。と言うことですか?」
「べっ、別にあいつとなら付き合ってもいいかなーって思わなくもあったりなかったり・・・・」
語末に行くほどに声が小さくなる凛。
「あったんですね?」
「別に・・」
「あったんですね?」
「・・はい有りました」
桜の謎の圧力に負ける凛。
「・・先輩がお姫様みたいな女の人と会っている話って知ってます?」
「なによそれ」
「逢い引きみたいだったと商店街では有名な話ですよ?」
「・・・・嘘」
「ほんとですよ」
にっこり笑う桜。艶があるその笑みに何故か負けた気がする凛。
「・・・・実はですね。私、恋をしてるんです」
「・・だからなによ?」
「遠坂先輩も知ってる人ですよ?士郎さん」
「士郎くん!?」
知ってるも何も昔からの知人の名前に驚く。はからずも弟である。あいつの。・・ふと頭に浮かんだ顔は無理やり消した
「賭けをしませんか?」
「賭け?」
「私と士郎さん。先輩達。どちらが早く付き合うか?」
またもや色のある笑みを浮かべる血のつながった妹に、なにやら負けた気がするも、この場は無視することに決めた凛であった。
「ニャ~」
空気を読んだように、黒猫は会話の切れ目で一つ、鳴いた。
「捨ててきなさい!!」
「そんな殺生な!?」
黒猫さんを連れて帰ったら姉ちゃんにメチャメチャ怒られた。なんでや。
「こないにかわええやないか。飼ってもええやないか」
「ちちち近づけないで!!」
フッー!と威嚇する姉ちゃん。お前が猫か。
どうやら姉ちゃんは猫嫌いな様子。あれか、同族嫌悪か。
「お前どないする?」
「ニャ~」
んー、一成のとこにするか、それとも野良っぽいし野に返すか。ムムム
おっ!いいとこあったわ。
「アル。猫飼わへん?」
「・・・・レン?」
「ニャ~」
知り合いらしい。
どうやらアルが言うにはこの猫さんはただの猫さんじゃなくて、猫の死骸に少女の死霊を降ろして作られた夢魔としての使い魔らしい。
猫ですらない。
アルはある意味受肉した自然霊なので、契約ができず困ってるらしい。
「ふ~ん」
「晋吾、契約してあげれば?」
優しい笑を浮かべながらアルがそんなことを言う。
「契約ってどないするん?」
って言ったら、黒猫さん改めレンが幼女になってキスされた。
「・・・・」
「・・・・」
ニコッって笑顔を見せてくれたレン。とりあえず頭をぐしぐしと撫でといた。
「こんなんでええん?」
「フフッ。いいんじゃない?」
それからと言うもの、レンが部室でちょくちょく見られるようになった。
もちろんのこと、猫モードである。
ところでだ、夢魔ってなによ?
3学期が終わる前に、進路相談的なのを受けた。
「本当に穂群原学園でいいのか?」
「問題ないです」
「ほんっとにいいんだな?」
「ええって言っとるがな」
担任は強く、灘とか西大和とか星光学院とか、兎に角、偏差値が高いところを進めてくる。
西大和とかどうやって通えって言うんや。
「所で凛ちゃんは高校どこにするん?」
「・・穂群原」
そういや管理者やるんなら冬木の外は無理か。
「奇遇やな。一緒や」
「・・・・ホント?」
「おうよ。」
凛ちゃんは何か嬉しそう。まぁ、見知った顔がいることは安心するよな。
あと、毎回思うんだけど、部室にレンがいた次の日の凛ちゃんって凄くよそよそしいっていうかなんていうか。
「マジで?遠坂さんも晋吾も穂群原学園にすんの!?」
「うっさいぞ上野。」
「俺も穂群原にしよっかな~」
「ほなら後1年で偏差10ほどあげなあかんね。自由を謳ってるガッコは『変な奴』いれとうないから、大抵高レベルやからのぉ」
「それを言うな!!」
マジ顔で言われた。スイマセン。
後書き
異変?ただの成長期です。まぁ、アーチャー的に考えると187までいくのでそこらへんの遺伝子は持ってると言うことですね。早いか遅いかは別にして。急激なる成長は、最高の体をもってしても痛みを伴うってことです。
図らずも流川になると言う。なんという偶然!
凛ちゃんがハーレム戦線に浮上したそうです。今回は、凛ちゃんにとって、晋吾が
特別な存在であることを確認させることをしました。
桜さんはなんばしよっと!?とお思いになるかとおもいますが、姉に対する劣等感から、賭けに乗る乗らないは別にして、優越感に浸りたい感情で動きました。
何か悪女過ぎるんですけど・・・・。どちらかと言うと、作者的に、凛より桜の方を魔女よりにしたい、という感情が働きすぎてんですかね~
ちなみにですが、レンは晋吾の魔術抵抗が高すぎて淫夢を送ることができません。変わりに凛ちゃんに送ってます。ご主人様と仲良くしてくれてありがとー的な。
無邪気って怖いっすね。
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