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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──

作者:なべさん
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SAO
~絶望と悲哀の小夜曲~
  パーティーと………地獄への切符

「かんぱぁーい!!」

「乾杯!」

「ふぁんはーい(乾杯)!!」

二十五層、主街区【ケイレック】中央広場前大通りにエギルの店はある。

今日、その店が晴れて開店するということで、店主のエギル主催の開店祝いパーティーが開かれることになった。

招かれたのは、元気よくグラスを突き上げているユウキ。乾杯よりも早く料理の大半を小さい口に詰め込んでいるレン。そして、エギルと交流が盛んだという黒衣の剣士、キリトの三人である。

「それにしても、よくお金集めたねー」

グラスに入っている黒エールを豪快に飲みながら、ユウキは店内を見回して言った。

それに釣られてレンも店内を見回す。口の中には食べ物が詰まっていたが。

確かにその通りだ。

二十畳はあろう店内にはクラシックを基調とした、アンティークなカウンターがでんと居座っている。ごちゃごちゃしたアイテム類が陳列していなかったら、バーでも開けそうな雰囲気だった。

「いっそパブでも開いたらどうだ?」

粛々と食べているキリトが、からかうように言う。

「冗談じゃねぇぜ。俺は飲食店を経営するつもりはねぇよ」

カウンターで、まさにその飲食物を作っていたスキンヘッドの巨漢が振り返った。

その時───

「おやおや、パーティーというのは本当のようだナ」

店の外から、語尾に特徴的な鼻音が被さる甲高い声が聞こえた。

続いて入り口からぴょこんと顔を出したのは、アインクラッド内で間違いなく最年少プレイヤーであるレンと、それほど背が違わない、小柄でいかにもすばしっこそうなプレイヤーだった。

防具は、ここにいる全員と同じく全身布と革。武器は左腰に小型のクローと右腰の投げ針。とうていこんな最前線まで来られそうもない装備だが、この人物の武器は別にある。

そんなクロー使いはレンをちらりと見て言った。

「レン坊、使い魔をゲットしたみたいだナ。おめでとサン」

「相変わらず情報早いね」

レンが皮肉気味に返すと、クロー使いはにやりと笑い、こほんと咳払いをして──

「ボスの情報入ったヨ。買うかイ?」

言った。

「「「 買う!! 」」」

レン、ユウキ、キリトが綺麗にユニゾンして叫ぶ。

「そうだナ。一千コル、と言いたいところだが、今日はここの料理で我慢しといてやるヨ」

にんまりと笑うその顔には、ひとつ大きな特徴がある。両のほっぺたに、メーキャップアイテムで、動物のヒゲを模した三本線がくっきりと描き込んであるのだ。短めな金褐色の巻き毛と相まって、その風貌はどうしてもある種の齧歯類を思い起こさずにはいられない。

三人が揃って黒人店主を見ると、スキンヘッドの巨漢は大きく溜め息をつき

「分かったよ。好きに食べろ」

「にひひ。良い心がけだナ」

ふてぶてしいにも程がある台詞を吐き、恐らくはアインクラッド内一の情報屋、通称《鼠のアルゴ》はけたけたと笑った。










──《鼠》と五分雑談すると、知らないうちに百コルぶんのネタを抜かれてるぞ。気をつけろ。

と、かつて誰かに忠告されたことがある。しかし当のアルゴに言わせると、真偽の怪しい情報を有料で売ったことは一度もないらしい。

価値がある、と判断した話のネタ元には必ずそれなりの情報料を払い、しかも極力裏を取ってから《商品》にしているのだそうだ。考えてみれば、一度でもガセネタを売ってしまえば情報屋としての信用は地に墜ちるわけで、商売としては、ダンジョンで素材アイテムを集めて街でNPCに売るのとはまた別種の危険や気苦労があるはずだ。

性差別的な疑問ではあるが、女性プレイヤーがなぜ敢えてそんなシゴトを……と、アルゴの顔を見るたびにどうしても考えてしまう。

しかしそれを訊ねても、金を要求されるのが関の山なので、レンは咳払いしてから先を促す。

「それで、ボスの情報って?」

エギルの料理ができる間に、カウンターの上にあったビスケットを両手で持ち、リスのようにカリコリとかじりながらアルゴは思い出したように言った。

「おぉ、そーだったナ。」

持っていたビスケットをかじり終わり、少しだけ真剣な面持ちでレン達に向き直る。

「……ボスの名前は『ジェネラル・ザ・デュアルジャイアント』。二つ頭、四つの手を持つ巨人だ。武器はそれぞれの手に持ったバカでっかいハンマー。攻撃パターンは、ハンマーによる降り下ろし、薙ぎ払い、さらに広範囲に渡る雷系ブレスだナ」

余りにも多くの情報をどうやって手に入れているか、という疑問は横に置いといて、全員─エギルも含む─が唸る。

「雷系かぁ……」

多くのモンスターが駆使する特殊攻撃スキルには、毒、炎、氷、そして雷ブレスがある。

ブレス攻撃の中で、もっとも直接攻撃力が高いのは火炎だが、雷も決して侮れるものではない。まず、異様に速い。発射された直後には、もう最大射程距離まで届いてしまう。

更に、喰らうとかなり高い確率で《行動不能(スタン)》する。

第二層のフロアボス戦では、フロアボスの『アステリオス・ザ・トーラスキング』の雷系ブレス攻撃で、戦線が壊滅(ワイプ)しかけた。

ユウキとキリトも同じことを思い出していたのか、溜め息をつく。

その横で、新たなビスケットに手を伸ばしつつ、アルゴは言う。

「今日、偵察隊がおくられるようだヨ」

偵察隊。普通、ボス戦は死者ゼロを目指して、慎重に作戦を練られる。もちろん、それをやるためにはボスの情報がなくては始まらない。

そのため、攻略組プレイヤー達から選りすぐりの壁仕様(タンク)が ボスを偵察し、情報を集める。これを二、三日かけて行う。

そんな根気を要する情報をなぜアルゴは知っているのか、とレン、ユウキ、キリト、ついでにエギルも思った時───

バタアァァーン!!

店の扉が破壊されるくらいの勢いで開いた。

全員がそちらへ目を向けると、そこには───

「偵察隊が………やられた」

肩で激しく呼吸をする、白と赤を基調とした騎士風の戦闘服に身を包ませるギルド【血盟騎士団】副団長《閃光》アスナだった。 
 

 
後書き
レン「あい、始まりましたー。そーどあーとがき☆おんらいんー(棒)」
なべさん「プログレッシブ 1 買ったよぉぉー!!」
レン「うるさいな~、何?」
なべさん「プログレッシブ 1 だよ!ほらぁ、第一層からSAO編を描いてくってやつ!」
レン「あぁ、この前発売されたアレ?」
なべさん「そうそれ!早速買っちまいましたよぉー!」
レン「で?どーだった?」
なべさん「もー、すっげーすっげー。最初、書店で何この分厚さわってビビったけど、めちゃくちゃおもろかった」
レン「この話で初登場のアルゴとかも出てきたしねー」
なべさん「そーそー、彼女が一番ビックリした」
レン「おや、なぜに?」
なべさん「プレイヤーネームから、男だと思ってた」
レン「なるほどね。こう、安くしとくぜダンナ、とか言う感じの?」
なべさん「そーそー………あっ、わかんない人は買ったほーがいいと思いますよ。マジで面白いから」
レン「あい、自作キャラや感想も送ってきてねー♪」
なべさん「キャラは他作でもおっけーですよー」
レン「……………それにしても今回、宣伝みたいじゃない?」
なべさん「……………………………………」
──To be continued── 
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