久遠の神話
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第八十八話 強くなる水その十二
「何が出て来るかわからないけれど」
「それでもよね」
「うん、もう神様みたいなね」
そえだけの力を持っている、というのだ。
「強い怪物ばかりだよ」
「そうよね」
「最初の頃に闘った怪物なんてね」
最早だとだ、上城は深く考える顔で樹里に話した。
「比べものにならないよ」
「神様だから」
「そう、だからね」
それでだというのだ。
「命だってね」
それもだというのだ。
「わからないよ」
「生きるか死ぬか」
「力を手に入れてもさらに強い怪物が出て来るから」
強さは相対的だ、例え強くなろうともそれに匹敵するかそれ以上に強い存在が出て来れば弱くなってしまうのだ。
「今の僕はね」
「強くないのね」
「どれだけの力を手に入れても」
例えだ、神を倒せるだけの力を手に入れてもだというのだ。
「弱いよ」
「それ以上の力の持ち主がいるかも知れないから」
「最強って言葉はないんだよ」
上城はその言葉を否定した。
「さらに強い相手がいるから」
「上には上がいるのね」
「そう、いるから」
だからだというのだ。
「そうしたものはないよ」
「だから力も」
「手に入れてもね」
例えそれがどれだけ強いものでもだというのだ。
「それは小さなことだし」
「溺れないのね」
「そう、絶対しないから」
その力もだというのだ。剣士の力も。
「若し溺れたらね」
「その時は終わりよね」
「この戦いを終わらせるなんて」
とても出来ないというのだ、力に溺れては。
「それで止まるからね」
「今上城君は止まれないしね」
「うん、止まったら」
それでだというのだ。
「それで終わりだよ」
「強くなることが終わるのよね」
「ここで止まるってことはね」
まさにそうなるというのだ。
「だから今は絶対になのね」
「止まれないよ」
それが今の上城だった。
「闘ってそしてね」
「強くなってね」
「死なずにね」
そうなるとだ、こう答えてだった。
上城は自分の昼食を食べ終えた、樹里も同時に。
そこで樹里はここで上城にこうも言った。
「食べることもよね」
「身体にいいものを沢山食べてよね」
「そう、そうすることもね」
強くなることになるというのだ。
「大事よね」
「そうだね、じゃあお野菜とかもね」
「食べないとね」
「そう、だからね」
それでだとだ、ここで樹里は自分が食べていた食器が入っている盆を手に取って立ち上がった。上城もその彼女に続いた。
そのうえで食べた後をなおしてからだ、樹里は彼に言った。
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