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真剣で英雄(えいゆう)と恋しなさい!

作者:deburu
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5・古の英雄(えいゆう)達


5・古の英雄(えいゆう)

 東西交流戦の親睦会を面倒だからという理由でサボる口実に義経の案内を買って出た元、そうとは知らず親切なのだなと感謝する義経。

 「それで、何処まで案内すれば良いんだ?」

 「義経は、大扇島ニある九鬼のビルで今は住んでいるぞ」

 「急いだほうがいいのか?」

 「時間は平気だが走ろう、鍛錬になる」

 「あいあい、んじゃ少し先行するぞ」

 「よろしく頼む」

 工場地帯を出ながらそんな会話をしつつ、走り出す、朝のランニングと同じ程度の速度だが、ちらりと義経を見ても問題なく付いて来れるようだ。

 「流石にあれだけの動きが出来るだけはあるな、足腰がしっかりしてる」

 「下半身は大事だからなしっかり修行してるぞ、八坂君も動きにぶれが無いしっかり修行しているな、義経は感心したぞ」

 「元でいいよ、苗字は呼びなれてないから」

 「わかったぞ、元君、元君…うむ、覚えた」

 そんな雑談をしながらすすむと少しして大扇島が見える。

 「此処らへんで大丈夫だぞ、此処からなら義経も判る」

 「ん、そうか…んじゃ、ほい」

 そういう義経に、腰につけていたポーチから一本のスポーツドリンクを放る。

 「とと、これは?」

 「助太刀の礼だ、そんなんしかねーけど」

 「そうか、ありがとう元君、義経は感謝する」

 「いいって、こっちも時間切れにならなくて助かったしな」

 「そういってもらえると義経も嬉しい」

 義経は微笑み、ペットボトルを持ったまま大扇島に見える大きなビルに歩いていく。

 「明日は学園であおう、元君、多分その頃には義経の事をもっと知っていると思うから」

 「ん、そいやS組なんだっけな、それじゃ明日な」

 「あぁ、それではおやすみなさい」

 「おやすみ」

 義経を見送り、元もきびすを返す…もちろん川神院までは走りながら帰った。



 六月八日(月) 川神院

 いつもの用にワン子とランニングを済ませ、この日はルー師範との模擬戦、結果はまぁ、しっかり負けで。
 で、朝食時に珍しく館長…川神鉄心、川神学園の学長でもあり、百代、ワン子の祖父、武術の腕は恐ろしく高い…がTVをつける。
 流れるのは九鬼財閥による武士道プランの報道だ。

 古の英雄である、源義経、武蔵坊弁慶、那須与一らを現在によみがえらせるという、トンデモない話。
 しかも鉄心の話しでは、皆川神学園に転入してくるらしい。

 「ふーん、なるほどねぇ…そのもの、か」

 「どうした、元?」

 「あぁ、昨日義経がそういってた理由がわかったな、と」

 呟く元に百代が問う

 「でも、強い人が増えるならいいじゃない、早速決闘申し込もうかしら?」

 「いいんじゃないか、義経も修行好きみたいだし」

 「そっかー、それじゃ後でS組いかないとね。あ、そうだ姉さま、元、今日アタシ朝からバイトだから先に行っててね」

 「「了解」」

 ワン子が決闘の話やバイトの話をしつつ、食事終了、元はそのまま学校へ出発、百代は朝から川神院に来た武芸者を数人相手にするようだ。



 歩いていると少し前に皆…風間ファミリー…を多馬川河川敷で発見、近づいて

 「おはようさ、TV見たか?」

 「あぁ、今もその話してたんだ」

 元の言葉に大和が答え

 「弁慶は男でパワータイプだろうな、とかな」

 ガクトが筋肉を主張しながらそういってくる。

 「ふぅん、まぁワン子も百代姉も楽しみそうだったしな」

 「そういえば、ワン子はどうしてるんだ?」

 元の一言にキャップが犬笛を取り出し

 「あ、ワン子は…」

 答えようとした瞬間には既に吹いていた。
 次の瞬間多馬川から、スク水(旧)を着たワン子が飛び出してきて

 「呼んだー?」

 と叫ぶ

 「うわ、川からとか新しいね」

 「あはは我ながらびしょびしょね、んー」

 モロの言葉に、プルプルと身体を揺らし水気を切るワン子。

 「というか、バイトって行ってたけど何で多馬川およいでんだ?」

 「川に入っても食いもんはおちてねーぞ」

 元の問いとガクトの言葉に

 「違うわよ鍛錬してるの。重り背負って多馬川くだりよ。かつ、水中にいる外来種の数を調べるバイトね」

 「そうか、環境にも優しい良い鍛錬だな、ワン子良い子良い子」

 ワン子の答えに大和が頭をなで

 「褒められたっ!、アタシもッと頑張るわね」

 ワン子が気合を入れる。

 「なんだか親子みたいですね」

 「あなた!来世でも!前世でもあなた!」

 「てか、そろそろ行かないと遅刻だよ」

 まゆっちが呟くと京が反応するが、それをスルーするようにモロがいえば

 「あぁ、そうだっわ、それじゃ私続きしてくるから…3,2,1、着水!」

 そういって、ワン子は再び多馬川の中へ。
 そして、次の瞬間

 「…ん、これは」

 元が何か気付いたように動きを止め…

 「天から美少女登場!」

 と、 下りてくる百代

 「この姉妹普通に登場しねぇ」

 と松風。

 「皆が見えたから大ジャンプして、合流しにきたぞ。安心しろ大和、元、皆に下着は見えない角度で飛んだんだ」

 「貞淑だね姉さん、おはよう」

 百代の台詞に苦笑で返す大和

 「いいけど、機嫌がいいね、朝からだけど」

 「あぁ、姉さん一寸ハイなんだ」

 「あぁ、義経たちかな?」

 「あぁ、美少女らしくぞくぞくしてきたぞ」

 元の問いに答える百代。

 「遠めで見てたけど義経は相当な使い手だよ」

 「だな、まゆっちと互角か…それ以上か」

 「いえいえ、わたしなんでまだまだで」

 京、元、まゆっちがそういうと

 「余計いいじゃないか、楽しみだナァ」

 百代は嬉しそうだ。
 そのまま、あるいていき、変態の橋へ…先日というか昨日見た西方十勇士の一人がまっていた。

 「がはははは、まっていたぞ川神百代!、俺は西方十勇士…」

 「てめぇ、南長万部!」

 「ちげぇ、長宗我部だ、チョーさんとでもよべ」

 名乗ろうとした長宗我部にガクトが突っ込み、訂正を入れる長宗我部。

 「交流戦では不本意なまけかたをしたんで、武神を倒して名誉挽回というわけだ」

 「勝負は応じるまでだ、あー生きてるって感じがする」

 百代が挑戦に応じ川原へ移動。
 勝負は指弾…百代は空気だけを弾きその威力で攻撃する…一発で長宗我部を打ち倒す。
 ギャラリーからの歓声と、幾つかの視線。

 「…九鬼従者部隊か、何かこの頃おおいよな」

 「だな、あいつら決闘応じないしなぁ」

 元と百代がそれに気付いて呟き。

 「よし、学校へいくぞう!」

 キャップが号令をかける。


 学校についてすぐ、全校集会、どうやら武士道プランのメンバーの転入の話しや紹介があるらしい。
 3年S組には、誰のクローンか不明の葉桜清楚、3年の男子からは歓声が上がっていた。

 2年S組みには源義経、武蔵坊弁慶…スタイルの良いけだるげな美少女で、川神水を飲んでいたが、実力4位以下だと退学という約束を取り付けているらしい…そして、那須与一…男子らしいが、集会をサボったらしく出てこなかった…が入る。
 1年S組は、九鬼紋白…九鬼家の次女で、飛び級で1年になったらしい…と、一人の老人、ヒューム・ヘルシング…今もなお現役という鉄心と同格かそれ以上の武術家で、紋白のお付の一人…だ。

 紹介の後、一瞬ヒュームが消え…その気配を追えば百代の後で何か囁いて、直ぐに戻っていった…その動きに気付いたのは少数だったが。

 ちなみに、挨拶の時に元と眼が合った義経が、軽く一礼して、廻りの男子から危険な眼で元が見られるなんてこともあったりしたが。



 各クラスで転校生の紹介や、新しい先生…カラカル・ゲイルとカラカル・ゲイツの二人…の紹介などがあったようだ、2年F組は特に変化無しだったが。
 で、放課後風間ファミリーでS組に挨拶へ移動。
 S組入り口で検問していたマルギッテをクリスが説得し、中へ入る。

 「よっ」

 「あっ」

 元の声に義経が反応し

 「東西交流戦ではありがとう」

 と大和がいうと

 「態々挨拶に来てくれたのか、ありがとう」

 と、義経が嬉しそうに微笑み、弁慶と与一を呼んで、皆も義経と自己紹介をしていく。
 その後で

 「そういえば、義経が世話になったそうでありがとう元」

 「いや、俺も面倒から逃げられたから気にしないでくれ」

 弁慶から礼をいわれたり

 「那須与一に質問だ、人生とは?」

 とキャップが質問

 「はっ、死ぬまでの暇つぶしだろうよ」

 と与一、それをみながかつて同じような事…厨二発言…をしていた大和がのたうちからかわれたりしていた。
 まぁ、その後与一が弁慶にプールに投げられたりしたので、タオルを持って義経が走って行くので

 「制服の換えもいるだろ保健室からもってくるわ」

 と元もS組を飛び出し、保健室からプールサイドへ。
 元がはしりだしてから百代が来たり色々とあったらしい。



 プールサイドでは濡れ鼠の与一に義経がタオルを渡し、与一が身体を拭いていた。

 「ほれ、時期的に平気だと思うけどこれ着替え」

 「あぁ、元君、ありがとう、義経は其処まで気が廻らなかった」

 「ふん、それに発信機をつけたのか、それで行動を監視使用って事だな」

 それに対する与一の反応に少し噴出しながら

 「いや、そんな事しねーし、てかいつもこうなのか義経?」

 「…すまない、でも与一は良い奴何だ本当に」

 「いや、面白いといえば面白いからいいんだが…とりあえず、そんな事してないから着替えとけよ、それとも…弁慶に頼むか?」

 「姐御に…ちっ、仕方ねぇな」

 与一の弱点をついて、着替えさせる。

 「てか、義経は今日から放課後は決闘だって?」

 「あぁ、たくさんの人が申し込んできている、義経は頑張るぞ」

 「そっか、ワン子もクリスも申し込んでたしな、頑張れよ」

 「あぁ、元君は、申し込まないのか?」

 「俺は少し落ち着いたらだな…しっかりと義経の剣を見せてもらうよ」

 「見せるほどの物か自信は無いが、義経は頑張るぞ」

 「ん…あぁ、そうだ、折角だし時間が会えば少し修行とか一緒にするか、無手相手とは少ないだろう?」

 「義経は構わない打、良いのか?」

 「俺も修行になるしな、ありがたいよ…んじゃ、携帯…赤外線通信わかるか?」

 「うむ、きちんと勉強してあるぞ」

 与一が着替える間にそんな話をして、アドレスを交換する。

 「ふぅ…服だけでも着替えられて少しほっとしたぜ、一応礼はいっておくが…テメェに気を許したわけじゃないからな」

 「はいはい、そろそろ行かないと拙いんじゃないか?」

 「あぁ、弁慶が待ってるし、帰らないと」

 「もう道は大丈夫だろうな?」

 「大丈夫だ義経はきちんと勉強したからな」

 「んじゃ、戻るか」

 軽い雑談をしながら戻る元と義経に、ぶちぶちいいながらも付いてくる与一。
 弁慶、風間ファミリーとそれぞれ合流し、お互い帰路に着く。
 どうやら百代は学外からの義経達に対する挑戦者選別をたのまれたのか、上機嫌だった。
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工場からの帰りと転校初日…まぁ、此処らへんからほぼオリ部分が増えます、メインの筋は変わりませんが。
次回は、六月九日(火)の話の予定です。

指摘があった部分を訂正、義経は改まって紹介するとき以外は男子には君付けでした。
 
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