真剣で英雄(えいゆう)と恋しなさい!
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4・東西交流戦
4・東西交流戦
六月七日(日) 川神市工場地帯
今日此処で、西の天神館…川神鉄心の高弟の1人、鍋島正が設立した決闘を許可している学校…との東西交流戦が行われている。
発表があったのが数日前、各学年200人を出し、勝敗は敵大将を討ち取ること以外はルール無用の実戦形式。
そして一昨日は1年生同士の戦い、だがこれは統率の取れた天神館1年の部隊に川神学園1年がばらばらで挑み比較的あっさりと敗北。
翌日は3年の対決、このとき天神館は多くの助っ人を用意…これを百代が認めた…し、妙技、天神合体…組体操のように人手作り上げた巨人となる技…を持って対抗するも、百代の星砕きによリ一撃で瓦解、残りも他の生徒が討ち取り、勝利。
迎えた最終日3日目、2年同士の戦だ、開始前に九鬼英雄の檄により2年は一致団結する、普段は犬猿の仲のF組とS組が主戦力となり戦を開始するが、現在は川神学園が不利な情勢だ。
「派手に焼夷弾ばらまいてるちっこいのがいるな、足止めしてるのはワン子か?」
「それだけじゃなくて、西方十勇士のせいで全体的に押され気味だな」
大和の隣にいる初めの言葉に答える大和。
「そうですね、なら私達のとる手は」
「十勇士の確固撃破か…よし、伝令送ったぞ」
軍師的立場の冬馬と大和が相談し、大和が指示を出す。
「んでおれは、行かなくて良いのか?」
「元は俺の護衛だから、俺が動くときは頼む」
「あいよ、了解」
大和の言葉に頷き、鋼色の籠手と脚甲を身につけた元が頷く、本気で戦う時のスタイルだ。
「大友家秘伝国崩し、でりゃー!」
一方その頃焼夷弾をばら撒く相手…大友焔、大砲を背負い其処から打ち出される大量の焼夷弾が脅威…を相手にワン子が時間を稼いでいる。
ワン子が爆風をさけ、飛び上がった瞬間弓鳴りと共に飛来する3本の矢、西の弓使い、毛利元親が放った3矢だ。
「ちょっ、かわしきれなっ」
それに驚くワン子だが、次の瞬間その3矢を1本の矢が叩き落す、着地して微笑むワン子
「助かったわ…こっちにも弓兵はいるのよ」
後方からの援護射撃は京によるものだそれに気付いた毛利は
「ふっ、こうして身を隠せば其処からは狙えまい、醜く慌てるがいい」
そういって近くの物陰に身を隠すが…京の番える矢を見て驚く、先端に爆薬が付いているのだ
「な、先端に爆薬?」
放たれた矢が毛利の1mほど隣で爆発、それに毛利が巻き込まれていく
「この美しいわたしがああああああアアアァァー!!」
とは、毛利の最後の言葉だ。
「椎名流弓術爆矢、相手容赦ないからこっちもね」
10GOODと書かれた看板を掲げながら、一人呟く。
その後も国崩しの広範囲爆発を何とか回避し続けるワン子、彼女は
「(そろそろ相手は弾切れを…)」
「一言教えてやるぞ東の、この大友に弾切れはない!」
そういうと大友の後から天神館生徒が弾薬を運んでくる
「ガーン、折角弾切れねらってたのにぃ」
「たわけ、補給戦を築いておくのは戦の初歩よ」
叫ぶ大共に
「その兵站を破壊するのも、戦の初歩と知りなさい」
声と共に現れる軍服の女性、マルギッテだ
「クリスお嬢様の部隊がお前の後方を撹乱中だ、弾はそれが最後としりなさい」
「はっ、何の為に場所を選んで戦っていると思っている」
マルギッテの言葉に焔は近くに隠してあった弾丸を取り出す
「こんな事もあろうかと、各所に弾は隠してあるっ」
「なるほど見事です、だがそれも撃つものが居なければ無意味っ」
叫び飛び掛るマルギッテ、対して焔は…
「やらせん、滞空国崩しっ!」
上空に向け大砲を放とうとするが
「トンファーシュートッ!」
投げられたトンファーが大砲の先端にはまり込み
「しまっ」
打ち出された砲弾が誘爆、焔を煙に包む
「トンファーを外せば私の負けでしたが、愛する武器を私が外すはずも無い」
言いながらマルギッテはトンファーを回収、した瞬間
「あぶないっ」
ワン子がマルギッテに体当たりし、一緒に横に転がる、そのすぐうえを砲弾が打ち抜いていく。
「何…」
「大友家…秘伝…国…崩し!」
怪我をした腕の代わりに歯などを使い大砲を放った焔
「決して攻撃をやめない気骨、見事だ」
その焔に対し、一気に距離をつめるマルギッテ、次弾を放とうとするも、痛みとなれぬ姿勢で一瞬動きが鈍る焔。
近づいたマルギッテの繰り出すトンファーにより一瞬で劣勢にたたされ
「トンファーマールストローム!」
両首をトンファーにより持ち上げられ、浮かんだ身体に空中で連撃を食らい
「無念だー」
と叫びながら、倒れる焔。
「何だか美味しい所持っていかれちゃったわ」
「大火力相手に足止めしただけでも十分と思いなさい」
それに呟くワン子に、マルギッテが声を掛ける…西方十勇士のうち二人が此処でリタイアした、ちなみにこの少し前に他の場所でも一人リタイヤしているので残り7人。
クリス率いる部隊が敵陣奥深くへ切り込んでいる、隣には準が副将としてつきながら。
「大した統率能力だクリス」
「お前も副将として奮迅の働き、感謝してるぞ」
準の言葉にそうかえした次の瞬間
「せいほうじゅうゆうし、あまごさんじょう」
小柄で中性的な褐色の少年…十勇士が一人、尼子晴だ…が、屈強な部隊を引き連れ現れる。
「っ!…此処は俺に任せて先に行けクリス」
「…お前」
「一寸はカッコつけさせろよ」
「判った借りておくぞ」
準の言葉に部隊を率い先へすすむクリス
「一見ショタだけど、俺には判るぜお約束が、実は女の子なんだろ、そうに決まってる」
「わたしは、おとこだー」
「いいねぇ、お約束だねぇ可愛いよまじ天使」
そんな事を言う準に襲い掛かる、尼子部隊、だが
「てめえらはじゃまだ、食らえ…芯竜ーーー拳!」
一撃で全員を吹き飛ばす
「さぁて、これ邪魔者は」
逃げようとする尼子をつかまえ、愕然とする準
「この余分な感覚は、お前本当に男なのか」
「だから」
「俺はショタじゃねぇ、そんな趣味はもちあわせてねー!」
理不尽な怒りで打ち倒される尼子である。
その後大将である英雄を狙い単身忍んできた鉢屋壱助…忍者…が、あずみにより返り討ちにあったり。
突撃部隊で本陣強襲した宇喜田秀美…似非関西弁のがめついパワーファイター…が、心に投げ飛ばされたり。
その後海から廻ってきた長宗我部宗男…オイルレスラー…が、被ったオイルに火をつけられ小雪の蹴り上げからの、エリアル(蹴り落とし)で海にたたきつけられたりなど十勇士がどんどんと負けて行く。
「大和、こちら前線のクリスなんだが、本陣に誰も居ないぞ?」
「そうか、判った知らせてくれてありがとう」
クリスの連絡にそう答え
「さて、できることが出来たみたいだいこう元」
「あいよ、大和」
「おや、気をつけてくださいね」
大和と元を送り出す冬馬。
その頃石田…石田三郎、十勇士のリーダー…と島…島右近、石田の副官、どうみてもおじさん…は工場の死角に隠れていた。
「よしこのエアポケットまでくれば安全だ、此処で時間切れまでまつ」
と石田。
「しかし、敵も予想以上にやりますな」
「あぁ、十勇士が壊滅だからな、俺一人でも戦局をひっくり返せなくは無いが」
「いけません、あの技は」
島の言葉に石田が呟くがそれをいさめる島。
「まぁ、このスポットは俺のようにこずるい保身に長けた男でなければ見つけられまいよ…まぁ、俺は他にも色々兼ね備えているがね」
といった次の瞬間、辺りに笛の音が鳴り響き
「こずるい保身か一寸耳がいたいが、見つけたぜ」
「なにやつ?」
大和の声に島が反応し
「此処が判るとは貴様何者だ」
石田が問いかける
「直江大和、したm「うちの軍師さまだ」おい、元」
答えようとする大和に、元が割り込み、駆け足の音と共に現れるワン子と一緒に大和の前に立つ
「アタシを信頼してよんでくれてありがとう大和、期待にこたえるわ」
薙刀を構えるワン子に槍を構える島が、籠手と脚甲以外無手の元に石田が相対する。
「よしそれじゃ任せるぞワン子、元」
「「おう(えぇ)」」
答え、お互いの相手へと踏み込む。
ワン子と島の長物対決はほぼ互角、隙を見せた方がやられるだろう。
そして元と石田は…
刀を抜いた石田が、右手にそれを持ち切り下ろす、その刀を左籠手で『弾き』、更に踏み込んで流された腕を取る元、そのまま流れるように一本背負いを放つ…が、石田はその勢いを利用し一回転、素早く体制を立て直す。
「出来るなお前、名は?」
「八坂流、八坂元だ」
「八坂流…なるほど納得だ、ならば俺も本気を見せてやる」
元の答えに気を集中する石田、そして次の瞬間全身に金色の気を纏い髪を逆立てた姿の石田
「奥義・光・龍・覚・醒!!!、斬新だろう東の!」
そういう石田に
「あぁ、髪が金色になるなんて見たこともねぇ」
答える見物の大和
「寿命を削る技だが仕方ない、そして光龍覚醒した俺に勝てるのは川神百代くらいだ!」
「…いってくれるな、ならやってみるか?」
再びの相対…次先に動いたのは元、踏み込みから右回し蹴り、それを刀で受け止める石田、そして…バチィッ、と音が響く
「くっ、痺れっ…」
その瞬間再び振り下ろされる刀を、軸足である左足で思い切り地面を蹴ることでぎりぎり避ける
「ほう避けたか」
「電撃属性…か、それ相性があんまよくねぇな」
一旦距離をとる元に余裕からか待ち構える石田…お互い構えなおした瞬間…垂直に近い壁から足音、誰かが駆け下りてくる。
「!?、名に奴!?」
駆け下りながら刀を抜いた川神学園の夏服を着たポニーテイルの少女が
「源義経、推参!」
叫びと共に、壁を蹴り峰を返した刀で石田を一閃。
「ぐっ、その名前お前も俺たちと同じ武士の名を告ぐ人間か…」
「違う。義経は武士道プランで生まれた者、血を受けつぐ者にあらず、そのものだ」
その言葉を聞きながら、倒れる石田。
そして、それを見た島の一瞬の隙…そこへ
「川神流…水穿ちっ!」
地面に薙刀の刃を滑らせながら駆け込んだワン子の一閃で、島も倒れる。
「義経は同じ学び舎の友として助太刀した」
微笑ながらそういう少女…義経…に
「あぁ…助かった、相性悪くて時間内に終わるか一寸心配だったんだ」
「助けになったなら良かった、一騎打ちの邪魔ではなかったか?」
苦笑しながら言う元に義経が聞いてくる
「今回のこれは戦だ、さっきも形は一騎打ちでも名乗りも何も無かったただの戦場での一戦にすぎない、だから問題ない、ありがとうな義経」
そういって右手の籠手を取って、手を差し出す
「これは、握手だな義経もわかるぞ」
そういって、その手を握り返す。
「八坂元だ、よろしくな」
「源義経だ、こちらこそ」
そう微笑しあうなか
「所で君はいったい…君みたいに目立つ子を俺はしらないんだけど?」
「無理も無い義経は今日から2−Sに編入された」
「そうか…ともあれ助かったよ」
大和の疑問に答える義経
「そうだ、勝鬨をあげなくては」
「あぁ、ワン子勝鬨だ」
「えぇ、アタシが?」
義経、元の言葉にワン子が驚くが
「最後の十勇士を討ったのはお前だ、だからお前にはその権利がある」
「義経も同じ意見だ」
「そ、それじゃ…敵将!、全て討ち取ったわー!!」
ワン子の叫びに
「「勝鬨を上げろ!」」
義経と元の声が更に響き
辺りから川神学園生徒の叫びが響く。
「自分たちの勝ちだ!、えい、えい、おー!」
中でもクリスの声は戦場のなか良く響いていた。
戦後処理を終えた頃英雄がやってくる
「フハハハハ、皆のもの大義であった」
みなにこえを掛ける英雄に
「なぁ、彼女は何者だ2−Sらしいけど」
と大和。
「武士道プランの申し子か、予定より早く投入されたな」
「義経は武士だ戦と聞いては、黙っていられない」
英雄の呟きに義経が答える。
「で、武士道プランってなんだ?」
元が問うが
「明日の朝、テレビを見よ、それが一番早い」
「ふむ、そうか」
英雄の答えに元が頷き
「これから、よろしく頼む…これからは、よろしく頼む」
義経が皆に2度そう言い
「大事なので2回いってみた、ではさらば」
そういうと綺麗に礼をして颯爽と掛け去る…のだが、直ぐに戻ってきて
「大変な事に気がついてしまった…ヘリから投下されたのが、帰り道が判らない」
「…地図とかは?」
そういう義経に元が聞けば
「義経だからそういうのも出来ねばとおいてきてしまった」
「…いや、理由が意味不明だが」
「義経はしきりに反省する」
そういいながら壁に手を付き、しばし
「反省したので道を教えてくれないだろうか?」
「んじゃさっきの礼にわかる所まで案内するわ、良いか英雄?」
そういう義経に元が提案する
「まぁよかろう、義経よ次からはこのようなことが無いようにな」
「了解した、では頼む」
「あいよ、んじゃ大和、冬馬、後よろしくな」
ほぼ同じくらいの身長の二人が工場の影に消えて行く
「よかったのですか英雄?」
「問題はあるまい、明日には全てわかることだ」
「いや、元は間違いなくこの後の親睦会を逃げる口実にしただけだぞ」
冬馬の問いに英雄が答え、大和が苦笑する。
「元って、そういうのは面倒臭いっていってでたがらないしね」
ワン子も苦笑
「なに、その程度我が居れば問題ない、よし西の者達も呼んで早速始めるぞ」
その声に再び皆が動きだす。
義経と元の出会いが、この先の物語に大きな影響を与えるとは誰も気付いていなかった。
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というわけで、東西交流戦です…十勇士全部描写は長くなりすぎるので数人はダイジェストでした。
そして、ヒロイン(予定)の義経と元が出会いました。
色々と考えていますが以下次回にて、ハーレムにはしない予定です。
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