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魔法少女リリカルなのは~過去を捨て今を生きる者~

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ストライカーズ編!
  ファミリーネームは不明

 
前書き
エ○ンとリヴ○イ兵長の声がカッコイイ。
どうしよう、もう本気で愛してる・・・。

それはっ
 

 
なんで、いつもオレは守れないんだろう。
大事な時になにもできない。
あとになって「こうすればよかった」
そう思うような毎日。
あの日もそうだった。
アイツらに付いて行っていたら。
あの子の傍にいられたら。
そんな思いが胸を埋め尽くす。
燃え盛る炎をその目に映しながら、オレは意識をなくした。


あの事件があった前日。
仕事内容の説明のため、美愛や慎吾を含めた六課のメンバーはブリーフィングルームにいた。

「というわけで、明日はいよいよ公開意見陳述会や。明日の会館に備え、警備はもう始まっとる。なのは隊長とヴィータ副隊長、アリシア執務官補佐とリイン曹長とフォワード四名はこれから出発。ナイトシフトで警備開始や」

はやてが今から出動するメンバーを説明する。
ナイトシフトってことは、徹夜か・・・。

「みんな、ちゃんと仮眠とった?」

フェイトがフォワードたちに向かって言う。
それに四人はしっかりと返事をし、またはやてが説明を始める。

「私とフェイト隊長、シグナム副隊長とお手伝いで美愛ちゃんと慎吾くんは明日の早朝にはいる。それまでみんな、よろしゅうな」
「ちなみにオレは明日の仕事には遅れて参加、もしくは不参加だから」

質問される前に先に答えておく。
あと数回で薬がなくなるから、それを補充しにオレは病院に行く予定なのだ。
はっきり言ってタイミングが悪いが、流石に薬がなくなるのは困るため、シャマルを通じてはやてに頼んだのだ。

「そんなわけで、全員しっかりと気合入れてけよ?特に美愛と慎吾は気をつけるように」
「なんで私と慎吾は名前で指摘するのかなっ!えこひいき!おーぼー!」
「・・・美愛、せめて横暴くらいは漢字で言えるようになろうな?」

慎吾に心配されてやんの。
ざまぁ。
とまあ、その日はそれで解散となった。


翌日。
午前のうちにオレは六課を出て病院まで車を走らせた。
そして着いたのは九年前、オレがお世話になった病院だ。
受付の人に予約していた浅賀ですと告げると、奥の病室まで案内される。
目の前にある真っ白な扉を開けると、六十代後半くらいの人を見つける。

「お久しぶりです、ボイルさん」

そこにいたのはこの病院の院長を務める、ボイル(ファミリーネームは不明)さんだ。
ボイルさんは椅子に座って何かのモニターを眺めていたのだが、オレが言うとモニターから目を離し、こちらをみる。

「ホホ、陽龍くんかい?久しぶりじゃのぉ」

ヒゲをこすりながら言う。

「年いってるジジイの真似なんかしてないで、さっさと薬出してください」
「むむ、陽龍くん、反抗期かい?」

そう言ってボイルさんは手を頭の後ろに回し、ヒゲを取る。
実はこの人、ドッキリとか超好きなタイプだったりする。
はっきり言って年を考えろ、年を。

「薬」
「まったく、遊び心が足りんねぇ・・・ほら、いつもの」

机の上に置いてあった紙袋をオレに手渡す。
それは普通の病院なんかで渡されるような数回分の袋ではなく、見ただけでもパンパンだとわかるほどだった。

「ん、ありがとうございます。それでは・・・ぐぇっ」

もらうものだけもらってすぐに戻ろうとしたらオレの服をもの凄い速さでボイルさんに引っ張られ、つい変な声が出た。

「なかなか来ないから、今日は頭っからつま先までけ・ん・さ♪」

オレは思った。
オッサンが語尾に♪つけながらウィンクとか、めっちゃキモイと。


そのあとオレは本気で全身くまなく検査され、終わったのがおやつの時間近くだった。
おい、これじゃあ会見行けねえんだけど。

「安心せい。どっちにしろ、今日は行かせるつもりなんざなかったわい」

軽くドヤ顔。
美愛や慎吾のように殴りたい。
しかし子供と女と老人には優しく、がオレのモットー(今決めた)。
深く深呼吸をして落ち着く。

「陽龍くん、いくら薬を使ったところでソレは気休め。実際の効果は痛み止めと変わらない。無茶を続けると・・・」
「わかってる。けど、ダメだ」

立ち止まるわけには行かない。
守りきれてない。
まだ、アイツを捕まえてない!

「今回の事件にアイツが絡んでいる可能性が高い今、オレは戦う」
「なら、今回の検査結果だけは伝えておこう。現状、変わらずじゃ。コレは陽龍くんの両親と六課とやらの医師であるシャマル先生にも通達するから、しっかり頼るのじゃぞ」
ボイルさんの言葉を聞いてから病室を出る。

「頼る、か」

オレは小さく呟く。

「頼れるわけ、ねぇだろ・・・」

胸のあたりの服を力強く握り締め、痛みを耐えるようにその場を離れた。


時を遡って朝。
会館の警備をしていると遅れてフェイトとはやてとシグナム、美愛と慎吾がやってきた。
そこで会館に入れる時間になるまで警備をし、時間になったらわたしと隊長二人、はやては会館の中に入ることになった。
よくわからないけど決まりで、中にデバイスを持ち込められないらしいのでレフェリアを美愛に預ける。

「美愛、なくしたら怒るよ」
「・・・真顔で言わないでよ。そんなに信用ないんだ、私・・・」

なんだか美愛が慎吾に慰められていたが、わたしは気にせずにフェイトたちと会館の中に入った。
そこでするわたしたちの仕事は、各自バラバラになって時間まで中のいたるところの警備をすることだった。

「お嬢ちゃん、此処は遊び場じゃないんだからお外で遊んでおいで?」

警備中、パッと見サラリーマンのように見える中年男性に言われた。
しかも膝立ちになって、優しそうな顔で。
一瞬ボディーブロー決めたくなったけど流石に堪える。

「・・・執務官補佐、浅賀アリシア。十九歳。つきまとうとほかの警備の人に突き出しますよ」

わたしがそう言うと一瞬戸惑ったように見えたが、気にせずにまだグダグダと何かを言う。

「あはは、それ、お母さんの役職?十九歳で子持ちとか大変だねぇ。キミ、お父さんはいるの?いないんだったら僕とかどう?」

馴れ馴れしくわたしの肩に手を置き、顔をにや付かせている。

「知ってますか?ほとんどの魔導士はデバイスがなくても威力の小さい魔法が使えることを」
「あ、もしかしてキミ、魔導士見習いとか?へぇ、こんなに小さいのに、えらいねぇ」

なにか関心したように首を振りながら頭をグリグリと撫でる。

「・・・でも、優秀な魔導士は人一人気絶させる程度の魔法、簡単に使えるんですよ」
「それにしたって、ここまで詳しいってことはお母さんも魔導士かい?だったら奇遇だな。実は僕も魔導士なんだよ」

少しシワのあるスーツをきながら少し胸を張る。

「そして、時空管理局にはデバイスなしで人にトラウマを植え付けられる魔導士がわたしの知る限り、六人もいるんです」
「あ、それは僕も聞いたことがあるな」
「二つ名、管理局の白い悪魔。金色の死神。歩くロストロギア。漆黒の堕天使。暴れん坊将軍。笑う般若」
「それに、走馬灯少女。たしか走馬灯少女って小学生くらいの子で、綺麗な金髪、血のように真っ赤な瞳で・・・ま、まさかっ!?」

ニコニコしていた表情から一片、目を大きく開いて少し後ずさる。

「普段は青いリボンで髪の毛を結んでいる女の子。ねえお兄さん、わたしの特徴、言ってみてくれない?」
「しょ、小学生くらいの身長で、金色の髪を青いリボンで結んでる・・・」
「瞳の色は?」
「血のように、真っ赤な目・・・う、うわぁ!?走馬灯少女!?」
「せーいかーい!見事正解したお兄さんには、ご褒美をあげる。すこーししびれるかもしれないけど・・・大丈夫だよね?」

地面に座り込んでいるお兄さんの肩に手を置き、魔力を込める。

「電磁砲」

流石に出力を抑えた電撃をわたしの手を通じて流す。
するとお兄さんは一度ビクッと大きく体を揺らし、それ以降ビクビクと痙攣する。
あとではやてに怒られるかもしれないけど、しょうがないよね?
だって・・・。

「女の子の気にしていることを笑いながら言う腐れ外道なんか永遠に痺れたまんま結婚せずに三十過ぎた頃から禿げてればいーんだよっ!」

だってわたしのこと、小学生みたいっていったんだもん!


そのあとは特に話しかけられることもなく、集合の時間になった。
そろそろ集合場所にでもいこっかな。
そう思ったとき、会館全域に伝わるほどの揺れと音、そして高度のAMFを感じた。
今の状況と前に聞いた地上本部の危機。
二つを考えると今はとても危険な状態だろう。
わたしはすぐになのはとフェイトと合流した。

「会議室や非常口への道は、完全にロックされてるね」
「外への連絡も繋がらない。あとエレベーターなんかも止まってるみたい」

なのはとフェイトが言う。
その場にはやてがいないのは、聖王協会の人達と一緒に行動していたからだと思う。

「しかーし!ここで救助を待ってる暇なんかないよね?」

わたしはそう言ってエレベーターのところに移動する。
そこでは男性が数名エレベーターの扉をこじ開けていた。

「んーと、この程度だったら大丈夫かな。二人とも、手に魔力をコーティングするくらいできるよね」

二人をみると、少しだけ顔を引きつらせて笑っていた。


「あはは、こんなの陸士訓練以来だね」

フェイトがエレベーターの紐を伝って高速で下りながら言う。
普通の人にできて、わたしたち魔導士にしかできないこと。
まずは両手と両足に魔力をコーティング。
それからエレベーターの上下運動をするために必要な頑丈な紐をしっかりと持つ。
最後に、降りる。
これを普通の人がしたらすぐに両手が摩擦で熱くなったり、手の皮がべろんべろんになってしまう。

「当時は必要ないだろうと思ってても、意外なところで必要になるもんだね」

訓練兵だったときに諦めずに練習しといてよかったと今頃感謝だよ。
てか、二人ともよくAMFの中普通に魔法使えるね。
さすがは悪魔と死神。

「お姉ちゃん、今変なこと考えなかった?」
「気のせいじゃないかな」

陽龍のせいか、最近フェイトが読心術を会得している気がする。
そして一番したまで辿りついた私たちは、予め決めていた集合場所に向かう。

「やっと来たか」

突然背後から声がした。
振り向くとそこには真っ黒いフードを来た人が立っていた。

「またあったな、オリジナル。それにコピーとエースオブエースだっけか」

わたしをオリジナルと呼ぶ彼は、初出動の時にみつけた人だろう。

「・・・フェイト、なのは、先に行ってみんなと合流して。わたしはあとから追いかける」

彼から目を離さずに言う。
それを聞いて二人は頷き、走っていった。

「見逃してくれるんだね」
「オレが頼まれたのはオリジナルの足止めだからな」

そう言って彼はフードを脱ぐ。
地下だから見にくいが、彼は赤茶色の髪に黄色い瞳。縁の黒いメガネを掛けていた。

「Bad prohibition children が一人、鈴城夏希。オリジナル・・・いや、浅賀アリシア、戦おうぜ」

彼、夏希はそう言ってニヤリと笑った。
 
 

 
後書き
堂々とした伏線をちょい回収と同時に張っておく。
うん、いろんな伏線たちをね。チマチマとね。
強引だなんて言わせない!

それではっ
 
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