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魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~

作者:白鳥才牙
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『第二十七話』~最善の方法と最良の行動~

 拓斗side

 クロノとジュエルシードを回収して数日。
 アースラに滞在して十日が経った。

 滞在してから回収したジュエルシードは三つ。
 それ以外に管理局側が発見しながらもフェイトに先を越されて、回収されたのが二つ。
 合計五つ、残りは六つといったところだ。


 そして現在俺は再びクロノと模擬戦をしている。
 だが、以前までの模擬戦とは少し違う。


「はぁっ!」

「踏み込みが遅い」


 魔法なしの模擬戦だ。
 こうなった理由は前回のジュエルシードの件にある。
 泥人形の戦闘時、俺は魔法なしでクロノと一緒に全てを倒した。
 その撃破数が俺の方がクロノより三倍以上の差で多かったそうだ。
 そのことからクロノは魔法なしでの戦いの重要さを知ったらしく、俺に教えを乞うてきたというわけだ。


「はっ!」

「足元がお留守だ」

「うわっ!?」


 足をかけられ倒れるクロノ眼前で拳を寸止めする。


「続けるか?」

「いや、少し休むよ。降参だ」


 クロノの宣言を聞き、拳を解く……ちなみに、ユーノも参加していたが早々と退場して今は模擬戦場の隅で絶賛気絶中である。


 その時


「エマージェンシー!! 捜索域の海上にて大型の魔力反応を感知!!」


 突如緊急事態を告げるアラートが鳴り響いた。
 フェイトが来たか? それともジュエルシードが動き出したか?
 ユーノとクロノを起こしてブリッジに向かった。ブリッジに入りモニターを見ると、海上にいくつもの竜巻と雷が荒れ狂っている映像が映し出されていた。


「今日の天気は晴れ、所によって雷、台風か? そんな予報は無かったはずだが……」


――ズコォオ


「どうした?」


 俺がそんなことを言うとみんながこけた。足腰弱いな~。もっと鍛えないと。


「た、拓斗君。じゅ、ジュエルシードが反応したんだよ?」

「月詠君。もう少し緊張感を持ってね」

「そうか、場を和ませようとしたんだがな……」


 それよりも、あの荒れ狂う場にフェイトがいた。


「あのバカ……」


 はぁ、あれほど怪我をさせるな、人に心配させるなといったのに早速これか。


「悪いが現状の説明を詳しく」

「えぇ。残り六つのジュエルシードが海にある可能性が高かったの。彼女達は魔力を繰りそれを半ば強制的に発動。そして今に至ると言うわけ」


 リンディもどうやらあきれた様子だ。確かにあれは一人で抑えるのは普通無理だ。俺でも奥の手(・・・)を使わないとキツイだろう。

 モニターの中で、フェイトが必死になって竜巻と雷を避けつつジュエルシードを封印しようとしている。アルフは雷に捉えられて身動きが取れていない。


「フェイトちゃん! アルフさん!」


 そんな二人を見て、なのはが声をあげる。


「私、今すぐ現場に!」

「その必要はないよ、直に彼女は力尽きる、その後で彼女とジュエルシードを保護すればいい」

「そんな……どうして!?」

「残酷かもしれないけど、私たちは常『最善』の方法を取らないといけないの」


 リンディの言う事は組織として正しい。最小限の犠牲で最大限の成果を得る。そこに個人の感情や意見を入れてはならない。組織でそんなことをする奴は愚者だ。


「……また無茶をして、今度は拳骨か? キツ~イお仕置きが必要かもな」


 俺はモニター内の二人を見る。疲弊しながらも動き回り、何とかして封印作業を行おうとしているフェイト。雷に拘束され苦しそうで、悔しそうな表情のアルフ。


「ソウル」

[いつでも行けるぜ、マスター]

「頼む」


 俺がそう言うとソウルは転移の準備を始める。


「おい拓斗! 何をしているんだ!?」

「いや、人に心配ばかりかけているあの娘に説教とお仕置きでもな……」

「なっ!? キミは僕の話を聞いていなかったのか!? その必要は……」

「確かに必要無いな……オマエ達にとっては」


 俺はクロノ達を見つめる。


「確かに、クロノの意見は組織としては『最善』の方法だ。だが、俺とアイツは何度も言葉を交わした仲だ。そんなヤツが傷ついていくのを黙って見ているのは俺個人としては我慢できないんだ」


「………」


「それに、彼女は俺にとって大切な人だ。それを護って何が悪い? 友を、仲間を護って何が悪い? 友や仲間を助けるのに理由が必要か? それを悪というのか? ジュエルシードなんて後回しだ。今はフェイトの安全確保、人の命を護る方が優先すべきことだと思うが?」


「………」


「お前等が組織にとっての『最善』の方法をとるのなら、俺は俺にとっての『最良』の行動をするだけだ」

「あなたは自分が何をしようとしているのかわかってるの?」

「悪いな、協力すると言っておきながらこんな事をして。だが、今回ばかりは譲れないな」

「拓斗君……」

「俺を止めたいのならやってみな……その場合、全力で抵抗させてもらう。命の保証はしないが」


 俺の魔力が体から滲みだし、ブリッジ内を荒れ狂う。リンディ達以外の局員達の顔が驚きに染まった。


「そう言えばクロノ、オマエにはほとんど力を使わず殴ってばかりだったな。どうだ? 今から体感してみるか?」


 クロノと視線を交わす。数秒後、クロノは溜息と共に首を横に振った。


「ふぅ……遠慮しておくよ。まだ死にたくないしな」

「そうか」


 すると、リンディがこちらを向いて、


「あなたはどうしてそこまでするの? 彼女は……」

「さっきも言っただろ。アイツは大切な人なんだ。なのはやユーノと同様に。それにリンディ・ハラオウン。アンタはなぜ管理局に入ったんだ? 人を助けるためじゃないのか?」

「っ!!」


 その顔を察するにあたったようだ。


「……そう、だったわね。歳は取りたくないものね」

「そうか? 俺から見れば十分若いと思うが?」

「そう? 嬉しい言葉ね。それより、月詠君。お願いしていいかしら。彼女の救出と保護を」

「当然。なのは、オマエはどうする?」

「いくよ! わたしも、フェイトちゃんを助けたい!」

「そうか。では、行こうか」

「うん! ユーノ君お願い」

「任せて」


 ユーノの転移魔法の準備が整ったのを確認して俺も転移を開始した。










 「行ったか……」

「女の子のために命令無視か~……ふふっ若いわね♪」

「艦長……今はそんな事言っている場合では……」

「びっくりした~、やっぱり拓斗君がオーバーSだったんだね~」

「そうねエイミィ、思い出すだけで冷汗が垂れるわ」


 リンディの言葉にブリッジ内の全員が頷くのだった。











 上空に転移したのはいいんだが……


「モニターで見たときより悪化してないか?」


 竜巻はさらに勢いを増し、魔力量も一つ一つが今までの比じゃなかった。



「なのは、行けるな?」

「うん。行くよ、レイジングハート!」


 この上空から地上に落ちていっているというのになのはには何の迷いも怯えもない。


「―――風は空に、星は天に。輝く光はこの腕に」


 なのはが軽やかにでもしっかりとした声で詠う。


「―――不屈の心はこの胸に!」


 初めて聞く、なのはの詩。
 
 その詩はなのはの覚悟の証のように力強い。


「―――レイジングハート、セーット・アーップ!」

[スタンバイ……レディ!!]


 その詩声に応え、強く光輝く赤い宝石。

 レイジングハートは光とともにバリアジャケットを展開させる。


「なのは! 俺が魔法を放つと同時にアルフとフェイトの救出を頼む。ユーノ。あの竜巻をどうにかするのを手伝ってくれ」

「うん!」

「分かった!」


 さて、始めるとするか。










 フェイトside

 いくら何でも残ったジュエルシード六つを相手に、同時に封印しようなんて無謀だった。でも、今更泣き言なんて言ってられない。無理だからやめようと注意してくれたアルフを強引に押し切ってまで始めたことなんだ。途中で投げ出すことなんて出来ない。
 今は全力でジュエルシードを封印する。それに集中しないと。

 竜巻が荒れ狂い、雷が降り注ぐ中、私は何とかして封印しようと動く。なのに体力が、魔力が持たない。疲労は焦りを生み、焦りは私の集中力を乱す。


「フェイト、後ろ!!」


 アルフの声が周囲の音に掻き消されそうになりながらも届く。振り向けば背後には既に巨大な竜巻が迫っている。回避は無理だ。眼前には一際巨大な竜巻、左は雷、右は竜巻、背後は雷で囲まれている。迎撃も不可能。こんな大きい竜巻相手に今の疲弊した状態の私じゃどうにも出来ない。アルフもさっきから雷に纏わり付かれて身動き出来ない。

 絶望的だった。せめて出来る抵抗といえば、全魔力を注いで防御魔法を展開すること。当然、これだけの規模の竜巻に巻き込まれたら無事では済まないのは分かっている。けど、私にはもうこれ以外打つ手が無い。


「ごめんなさい……」


 最期に出たのは謝罪の言葉。

 ごめんなさい母さん、期待を裏切ってしまって……

 ごめんなさいアルフ、今まで無理をさせてしまって……

 そして、最後に彼の顔を思い浮かべる。


「ごめんなさい拓斗、また約束破っちゃったね」


 もし目の前にいたら、また怒ってくれるのかな……

 眼前に迫った竜巻を見て、私は目を閉じた。


(もう一度……拓斗とお話ししたかったな……)


 覚悟を決めたその時。


「我求むは光! 白き矢の輝きをもって万物を浄化せよ! 『ホーリーレイ』!!」


 もう一度会いたいと思っていた彼の声が聞こえた。










 アルフside

 突如上空から大量の光の矢が降り注ぎ、フェイトに向かっていた竜巻や雷を消滅させていった。


「な、なんだい!?」

 
 光の矢が飛んできた方向を見ると。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 咆哮をあげ、鎌を構えながらこちらに向かって来る拓斗の姿が見えた。


「いいかげんアルフを離せぇぇぇぇぇぇ!!!」


 アタシを拘束していた雷が、拓斗に斬り裂かれ消滅した。そのままフェイトの下へ向かい、抱きかかえて離脱する。


「た、拓斗!? なんで……」


 フェイトが顔を赤くさせながら驚きの表情を浮かべる。無理もないね、拓斗が管理局からアタシ達を逃がしたあの日から全く会えなかったし、そんな相手に突然抱きかかえられれば慌てもする。


「フェイトちゃん、アルフさん!」

「早くこっちへ!!」


 なのはと知らない少年(だれだいあの少年は?)の誘導に従って移動する。そこへ拓斗達もやって来た。


「二人ともケガは?」

「だ、大丈夫……」

「アタシも大したことは無いよ」

「そうか、よかった……」


 フェイトの頭をなでる拓斗、それだけで笑みを浮かべるフェイト。全く……使い魔のアタシを差し置いてアンタってやつは……やっぱり大したもんだよ。


「これで終わり……じゃないよな」


 周りを見ると、さっき拓斗に消滅させられた筈の雷や竜巻が再び姿を現していた。


「これは……ジュエルシードをなんとかしないといけないね」


 少年が言う。ジュエルシードを知っているのかい?


「ああ、ユーノの言う通りだ」

「え?」


ユーノってなのはの使い魔でフェレットじゃなかったのかい? フェイトも驚いてる。


「さてと……」


 フェイトを離し、拓斗はアタシ達から距離をとる。


「拓斗、どうするの?」


「アレを無力化する。なのはとフェイトは封印の準備を頼む。ユーノ、アルフ、二人は全体防御魔法を展開させてくれ」

「う、うん」

「拓斗君、全体防御魔法って……」

「こんな状況は久しぶり初めてだからな。少しばかり本気を出す」


 そう言うやいなや、拓斗の体から凄まじい魔力が溢れ出す。今までも拓斗が力を使うところは見て来たけど、これはレベルが違う。


「だから、二人には俺の魔法の余波がなのはとフェイトを襲わないように全力で頼む」

「う、うん!」

「わ、わかったよ」


 アタシは頷くしかなかった。こんな魔力を使った魔法、余波だけでも相当なものになる。そんなものをフェイトに受けさせるわけにはいかないからね。


「なのはとフェイトは俺がアレを黙らせたらすぐに封印してくれ」

「は、はい!!」

「よし、じゃあ行ってくる」


 そう言ってさらに離れて行く拓斗。


「ど、どうするんだろう?」

「前も同じような事があったよね……その時は一個だったけど」

「でも、今回は六個……つまり」

「まさか……あの時より凄まじいものぶっ放す気かい!?」

「……多分」


 ユーノの言葉に全員の顔が青くなる。思い出すのはリニスと一つになった拓斗の姿、フェイトの放つものとは比べ物にならない激しい雷。それを上回るって……


「あはは、私達助かるのかな?」


 なのはの問いに答えられる者はいなかった。


「じょ、冗談じゃないよ! そんなもの防げるわけないじゃないかい!!!」

「お、落ち着いて! あくまで余波だから!!」

「よ、余波でも相当強力だと思うけど」

「や、やっぱりそうだよね……もう少し離れた方がいいかな?」

「同感だね。フェイト、もっと距離をとるよ。なのはもついといで」

「わかった」

「は、はい」


 全員で拓斗から離れる。


「どれくらい離れればいいのかな?」

「わからないけど……とにかく遠くへ行った方がいい」

「拓斗……大丈夫かな?」

「さすがに自分の攻撃で傷つくようなドジは踏まないと思うけどね」


 拓斗の姿がかなり小さく見える所までさがり、止まる。


「こ、ここまでくれば大丈夫かな?」

「(ああ、それだけ離れれば充分だ。後は全体に防御魔法を展開してくれ)」


 拓斗から念話が届いた。


「(準備はどうだ?)」


 全員で確認し、アタシとユーノは全体防御魔法を展開した。


「(拓斗! 準備できたよ!)」

「(よし、いくぞ)」


 拓斗からの念話が途切れた途端、拓斗から感じる魔力の質が変わり、強くなった。










 拓斗side

「(拓斗! 準備出来たよ!)」

「(よし、いくぞ)」


 念話を切り、海面に立って、意識を集中する。
 この魔法を使うのは何年ぶりかな。


「それは古の都 栄華誇りて 騙りし愚者の都……」


 詠唱を始めると同時に体から魔力が滲みでる。


「神の怒りを買いて 大洋に沈む」


 体から滲みでる魔力の量が増えていく。 


「今は滅べど その栄華に欠片の曇りは無く」


 そして海から、大気から、周囲から俺の前に水が集い、形を成していく

 その形は 三叉戟(トライデント)


「その誇りは今に伝えられる
               
 今こそ示せ! 大いなる力! 『海底に眠る古き都の神槍(アトランティス)!!」


 放たれたトライデントは周囲の水を取り込み、瞬間的に巨大化しながら竜巻へ突き進む。

 拓斗はそれを見ながら呟いた。


「『海底に眠る古き都の神槍(アトランティス)』は【水属性最弱にして最強の魔法】と言われている。何故ならば、この魔法は【周囲の水】によって威力が変わるからだ。よって海においてこの魔法に勝てる魔法は…………




ない」


 いまだ巨大化をしながら突き進むトライデントは巨大な竜巻に迫り、










 全てを消し去った。










 第三者side

「き、来た!」

「フェイト! しっかり掴まってるんだよ!」

「う、うん!」

「なのはもね!」

「うん!」


 やがて、凄まじい衝撃が四人を襲った。


「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」

「ぐぅっ! なんて威力だ!」

「アルフ!」

「大丈夫! フェイトはあたしが守ってみせる!」


 激しい衝撃に目をつむる四人の耳に、バリアがガラスのように割れる音と何かが凍る音が聞こえた。

 やがて目を開けた四人の目には、先ほどまでのような竜巻や雷はすべて消え失せ、穏やかな海が広がっていた


(二人とも、封印を頼む)


 この光景を作りだした張本人から念話が届き、なのはとフェイトは封印作業に入るのだった。










 拓斗side

 その後ジュエルシードも封印し終え、少し談笑していた。


「た、拓斗。ありがとう。また助けてくれて……///」


 ほほを染めながらこっちに来るフェイト。だが、


「あのな、フェイト。もう心配させるなといっただろ。だからこれは罰だ」


 そういって軽くでこピンをする。


「いたい……」

「なのはもそうだが、この時代の魔法使いは無理をするのがデフォルトなのか? なら、一から鍛え直してやろうか」


 もう溜息しか出てこない。全くユーノもアルフも心配させて早死にさせられるぞ。


「え!? わたしもなの!?」

「当たり前だ。最初よりかはあまり無茶しなくなったが、みていてハラハラするときは何度もある。お前らを見ていると心配で胃に穴が開く。この歳で胃潰瘍とかやめてくれ」

「「ごめんなさい」」 


 そういって二人ともシュンとするが、


「まぁ、無事だからよしとしよう。あとフェイト、一個は君に」


 そういってフェイトにジュエルシードを一個渡し、もう一個は、


「もう一個はなのはに」

「え、でも……」


 フェイトはやはりもらうのに後ろめたさがあるんだろう。


「俺が持っていても何も意味ないし、ちょうど二つあるんだ。分け与えた方がいいだろう」


 そしてそれぞれ封印すると、


「さて、じゃあそろそろ」


 そのままアースラに戻ろうしたら、


(魔力反応!?)


 空を見上げると、紫色の雷がフェイトめがけていた。


「なっ!? フェイト、なのは! 逃げろ!!」

「え……!?」

「うそ……レ、レイジングハート!」


 フェイトは私の声を聞き驚いたが、すぐに自分の置かれている状況に気付く。

 なのはもレイジングハートでガードしようとするがおそらく間に合わない。


(間にあえ!!)「我求むは水! 彼の者に癒しと加護を! 『守水鱗』!!」


――キィイン


 という音共に水色に染まった鱗状のシールドが展開された。間一髪でフェイトとなのはをガードする。


「ぐっ……」

「拓斗君!?」

「拓斗!」


 俺がこの場で回避したらこの二人に雷があたる。それは何が何でも防ぎきる!


「はぁああああああああああ!!!!!」


 雷をはねのけ、二人の安全を確認する。二人は無事みたいだ。


「ソウル、どうだ?」

[『守水鱗』を構えていた右側の二の腕より下が少しボロボロだな。まぁ治癒魔法かけてりゃ十分しないで完治するさ]

「分かった。ありがとな、ソウル」


 そういって私服に戻り、治癒魔法を右腕に集中する。


「そうだ、ジュエルシードは」


 さっきまでジュエルシードが浮かんでいた場所を見るが、そこにはジュエルシードは存在していなかった。


「おそらく、さっきの雷を放った人物が持って行ったんだろうな」


 俺がそう言うとフェイトがビクッとした。


「どうしたのフェイトちゃん?」

「……多分、あれは母さんがやったんだと思う」

「え?」


 プレシアか……変だな、あの雷はフェイトも襲おうと……というよりフェイトを狙っていた。プレシアの魔法だったが行使したのはおそらく……


「ゴメンね拓斗……母さんが」

「なに、俺となのはがいたんだ。敵だと思ってフェイトを護ろうとしたのじゃないか?」

「そ、そうかな?」

「自分の娘を心配するのは親として当然だしな」

「娘…親……」

「愛されてるなフェイト」

「うん!」


 嬉しそうなフェイト、今はこれでいいか。


「さて、やることも無くなったし戻るか」

「そうだね」

「それじゃあなフェイト」

「またねフェイトちゃん」

「うん、またね二人とも」

「ありがとうね拓斗、今回も助かったよ」

「どういたしまして、アルフもまたな」

「ああ、またね拓斗」

「なのは、転移の準備が完了したよ」

「わかったよユーノ君」

[拓斗、こちらも準備できたぞ]

「わかった」


 フェイト達と別れ、俺となのははアースラに戻った。  
 

 
後書き
~あとがき雑談会(という名の魔法紹介)~

作「今回は海上での出来事の回でした」

拓「そして今回は今までで一番話が長かったな」

作「一度に終わらせたいと思ったからね~」

拓「で? 『という名の魔法紹介』ってなんだ? 魔法紹介は無印が終わったら一気に載せるんじゃ?」

作「その筈なんだけどね~。あとがきもなかなか思いつかないんだよ~」

拓「だから、魔法を紹介して誤魔化そうと」

作「ときどきだけだし、もしかしたら二度と載せないかもしれないから」

拓「まぁ、いいんじゃないか? というか作者の意見に反対できないだろ」

作「まぁね、じゃあ今回はこれ!!」





【守水鱗】

 水属性の魔法。
 鱗の様な障壁を展開する。護られている者は発動中、軽い傷なら治すことができる。

 <詠唱>

 我求むは水 彼の者に癒しと加護を【守水鱗】





拓「今回出た魔法だな」

作「うん、防御魔法の中では弱い方だけど軽い治癒魔法が付いてる便利な魔法だよ」

拓「プレシアの魔法を弾いた時点でそれなりに強いと思うが?」

作「考えてる防御魔法の中にトリプルブレイカーも防ぎきるのがあるから」

拓「マジか!?」

作「マジだ。まぁ、ここらへんで予告頼むよ」

拓「分かった





  海上の一件を終え、拓斗達は少しの休みを与えられる

  久しぶりに会うアリサは拓斗となのはが驚愕する出来事を口にする

  次回 魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~『束の間の平穏』」





作「それじゃあ、次回に」

作・拓「「トリガー・オン!!」」





 で、今度の魔法紹介はいつやるんだ?

 さあ? やらないんじゃない?

 ……………集え 精霊に導かれし光の河よ 照らせ 邪なる牙を滅するために

 え? ちょっと待とうか、ね?

 問答無用! 『セイントグリッター』!!

 今日はいつもとは違う!
 それは暴君が如き術 我が真言に逆らう術無し『作者権限』!!!

 な!? 防いだ!?

 これが作者の(数週間考え抜いて作った)力だ!! 
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