魔法少女リリカルなのは~過去を捨て今を生きる者~
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ストライカーズ編!
ティーダ・ランスター
前書き
もうまえがきで約束はしないと誓った今日このごろ。
畜生・・・!
そのせいでカゲ○ロのCMタイムリーでみれなかった!
まあ前後のアニメ録画してるから問題ないけどねっ!
それではっ
六課の初出動から数日後。
オレたちは新しい任務を行うため、ヴァイスの操縦するヘリに乗っていた。
「ほんなら、ここまでの流れと任務のおさらいや。これまで謎やったガジェットドローンの製作者、及びレリックの収集者はこの男」
はやてが言うと、オレたちの前にモニターが現れ、男の顔が現れる。
「違法行為で広域指名手配されとる次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティ」
ソイツは九年前の事件でオレの従姉妹にあたる少女、春香・ヴァレスティアを誘拐した男。
前回の事件で現れた四人・・・トーヤ、ナツキ、アキラ、ハルカ。
アレにスカリエッティが絡んでいるとわかった今、ハルカと呼ばれていた人が春香である可能性が高いこともわかった。
オレが管理局で働いている理由の半分は春香・ヴァレスティアを救い、ジェイル・スカリエッティを捕まえること。
それ以外は取ってつけたようなモノばかり。
今も昔も、それだけは変わらなかった。
「コッチの捜査は主に私とアリシアが進めるんだけど、みんなも一応覚えておいてね」
「というか、見つけたらすぐフェイトかオレに連絡な。あの四人組含めて」
ついでに言ったオレの言葉にもフォワードたちは返事をする。
「で、いま向かっている任務先がホテル・アグスタですぅ」
リインがスカリエッティのモニターを消し、新たに建物を写す。
「骨董美術品オークションの人員強化と会場警備が今日のお仕事」
「取引許可の出ているロストロギアもいくつか出ているので、その反応をレリックと誤認したガジェットが出てきちゃう可能性が高い、とのことで私たちが警備に呼ばれたですぅ!」
「この手のオークションには密輸取引の隠れ蓑にもなったりするから、いろいろ油断は禁物だよ」
そんな感じで今日も出動があったのだった。
ちなみにアリシアはフェイトの書類整理に追われてやっぱりここにはいない。
「現場にはシグナム副隊長、ヴィータ副隊長のほか、数名が待機しとる」
「私たち隊長陣と陽龍くんは建物の中の警備に回るから、前線は副隊長たちの指示に従ってね」
まあ、はっきり言ってオレまで出動する意味がわからないのだが。
なのは、フェイト、はやて・・・管理局の白い魔王、金色の死神、歩くロストロギアが揃えば怖いものなしだと思う。
「漆黒の堕天使さんがなにいってんすかー」
「ヴァイス、黙らないと最近仲が良いシグナムにあることないこと吹き込むぞ☆」
「マジやめてください。最近やっと仕事以外の話もしてくれるようになったんすから」
本気で漆黒の堕天使は黒歴史。
ちゃっかり地の文読んで墓穴掘ったヴァイスはそれ以降口を固く閉ざしてしまう。
ちっ、つまらんやつめ。
もっと・・・もっと熱くなれよッ!
慎吾みたいに!!
「ところでシャマル先生」
キャロが向かい側に座っているシャマルに話しかける。
てか、いたの?シャマル。
「さっきから気になってたんですけど、横に置いてあるケースって何ですか?」
そういうキャロの目線の先には四つのケースがある。
「ああ、これ?隊長達のお仕事着♪」
十年前から一切変わらない外見で、シャマルは笑った。
ところで守護騎士って食べ過ぎたりするとやっぱり太るの?
それとも変わらないの?
「いらっしゃいませ、ようこそ」
ホテル・アグスタの受付にいる男性が言い、こちらを向く。
そしてはやてはその人に向かって名刺のようなものを見せる。
「こんにちは、機動六課です」
淡い水色のドレスを着たはやてが微笑んだ。
シャマルが言っていたお仕事着というのはこの服で、オレは真っ黒のスーツを着て髪を後ろで結ぶ簡単な格好。
フェイトは青と紫の混ざった大人っぽいドレスに、いつも通りに髪の下の方で一つ縛り。
なのははイメージカラーでもある薄いピンクのドレスに髪を下ろした状態。
さっきも言ったように淡い水色のドレスに髪を上げている。
オレからたまにトラウマシックスと呼ばれているうちの三人とは思えない程の変わりようだ。
ちなみにトラウマシックスとは、戦い方、性格によってトラウマを作り出すことのあるなのは、フェイト、はやて、アリシア、美愛、慎吾の六人のことだ。
先頭の三人は言わずもがな、ほかの三人までトラウマシックスに入っているのは・・・まあ、いつか話そう。
「会場内の警備は流石に厳重かぁ」
アグスタの中にあるオークション会場の様子を見ながらはやてが呟く。
「一般的なトラブルには十分対処できるだろうね」
「あとは六課のメンバーが固めてるし、ガジェットがここまで入ってくることはなさそうだし、安心だな」
オレも会場全体を眺めながら言う。
ま、どっちにしろオレたちが出るのは本当の緊急事態だけだろうが。
そんなことを考えながら、オレたちは他の場所を行った。
そしてオークションが開始される少し前。
会場の周辺にロストロギアに反応したガジェットの反応を感知した。
ガジェットの数は多いが、所詮は機械。
十年前にあったリアルな地球破滅の危機を防いだ守護騎士たちにとっては赤子の手をを捻るようなものだろう。
すぐにヴィータとシグナムが破壊しに向かった。
『フェイト、主催者はなんて?』
反応があってすぐ、オークションをどうするかを聞いてきたフェイトに念話をつなぐ。
『外の状況は伝えたんだけどオークションを中止する訳にもいかないからって、開始を少し遅れさせるって』
『そうか・・・』
オレはフェイトとの念話を切り、外で戦っている守護騎士と、まだまだ子供なフォワード四人を思い浮かべる。
そういえばティアナ、最近は訓練のあとに自主練とかしてるらしいな・・・変に考え込んでないといいけど。
自分を凡人だと言うティアナ。
射撃の腕は既に凡人を超えているというのに、それでも足りないのだろうか。
なぜか、ティアナと九年前のなのはの姿がかぶったように感じた。
「ではここで、鑑定をしてくれる若き考古学者にして、あの無限書庫の司書長でもある、ユーノ・スクライアさんです!」
「どうも」
そう言ってステージに立つのは、JS事件、闇の書事件で一緒に戦った仲間、淫獣ユーノだった。
「えっと、報告はここまでかな。現場検証は調査班がやってくれるけど、みんなも協力してあげてね。しばらくして何もないようなら撤退だから」
オークションも無事に終わり、オレたちは外で戦っていたフォワードたちと合流していた。
現在は副隊長たちに聞いたことを四人に説明している最中だ。
「で、ティアナは・・・」
故に、ティアナがカートリッジを四発もロードした上、スバルに攻撃を当てようとしたこともオレたちは聞いていた。
「ちょっと私と・・・」
「いや、その前にオレと散歩しよーぜ」
オレはなのはの言葉を遮り、そういった。
ホテル・アグスタの近くにある林の中、オレとティアナは歩いていた。
「さっきの任務中、ミスショットがあったんだってな」
「・・・すみません、一発、それちゃって」
俯きながら小さく言う。
「オレらは現場にいなかったし、あのロヴィータもといヴィータ副隊長にこっぴどく叱られて反省してるだろうし、改めて叱ったりはしない。けど、ティアナってさ、時々一生懸命すぎるよな。それでちょっと空回ったんだろう」
オレはそう言って足を止め、ティアナの方を向く。
「でも、お前は一人で任務を行ってるんじゃない。集団戦でなのはやティアナ、場合によっては前後左右、味方に囲まれてんだから。その言葉と理由、ちゃんと考えて今回と同じこと、二度と起こさないって言えるか?」
この機動六課に、一人で戦ってる奴なんて誰もいない。
万能にみえる隊長たちに副隊長たち、はやてやアリシア。
一人で戦うことだってできるのに、そんなことをしている人はいない。
一人で戦うことに意味なんてないから。
近くには仲間が、友がいるから。
信用して、信頼できる人たちだから。
みんな、それを知っているから背中を任せている。
フォワードたちにもそれを知ってもらうために・・・守り、守られていくことを知ってもらうためにオレやなのはという教導官がいる。
それを教えてきたと思ってたんだけど、少し遠回りすぎたらしい。
「はい」
「オレからはそんだけ。いま返事したこと、忘れんなよ?」
「・・・はい」
オレとティアナはそれだけ話して別れた。
それから現場検証が終わるまで、オレはこっそりと林の中をさまよったとさ。
そして彷徨いまくって最終的に道がわからなくなりかけた頃、ようやく検証が終わったらしく、帰り支度を始めているなのはたちを発見し、六課に戻ってきた。
「みんなお疲れ様。今日の午後の訓練はおやすみね」
「しっかりご飯食べたり、お風呂入ったりしてゆっくりしてね」
フェイトのゆっくりしてね、であの首だけの「ゆっくりしていってね♪」を思い出した。
そしてそんなオレの考えに気がつかず、その場は解散した。
「あのさ、陽龍、なのは、フェイト」
そして今日の分の書類整理が終わってなかったので六課の中を歩いていると、同じように帰ってきたヴィータに呼び止められた。
しかもシャーリーとシグナムも。
「訓練中から気になってたんだけどよ、ティアナのこと。強くなりたいなんて魔導士のほとんどが考えてることだろうし、無茶もするだろうけど・・・アイツ、時々度を超えてる。ここに来る前、なんかあったのか?」
ヴィータの言う中には訓練中だけでなく、任務中の事故も含まれているのだろう。
いつになく真剣な目つきだった。
それにしたって、ティアナかぁ・・・。
たしかティアナにはお兄さんがいたんだよな。
ティーダ・ランスター。
当時の彼は今のティアナのように管理局で働いていた。
しかし四年近く前の、ティアナが十歳だったころ。
ティーダ・ランスターは任務中に亡くなった。
違法魔導師を追い詰め、手負いにまでさせたのだが、爪が甘かったのだと。
役立たずだと、彼の上司は言った。
当時にはもう両親のいなかったティアナにとって、唯一に肉親である兄が最後に行った任務で、役立たづだと言われたのだ。
十歳の少女には辛かっただろう。
ティアナはそんなことを言った上司を見返してやるために彼の教えてくれた魔法で管理局に入隊したのだと、彼女が入ってくる前に資料を漁って知った。
いまのオレにはその気持ちはわからないが、過去のオレなら少しは分かる。
あの時にオレは家族全員を失った。
家族を殺した殺人犯を恨み、呪い、そしてなにより守りきれなかったオレ自身に嫌気がさした。
まあ殺したのは過去の慎吾だけど。
しっかり区切りもつけてるけど。
そんなこともあり、オレにはなんとなくティアナの気持ちがわかる気がした。
だから、これからティアナがどういう行動にでるかも、なんとなく予想はしていた。
後書き
そんなわけで次回、魔王様降臨です。
てか陽龍がなのはさんの邪魔しまくってるんですけどね。
それではっ
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