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優雅な謀略

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第三章

「しかしですね」
「あの方が今フランスを動かしておられます」
「しかも女性であるが故に」
「女性を蔑視するプロイセン王をお嫌いです」
 ここでも国益と個人的感情が混ざっていた、実は女帝もだ。
「ですからフランスも引き込んで、です」
「プロイセンに対しますか」
「確かにプロイセンは強くプロイセン王は戦上手です」
 このことは否定出来ない、しかしそうした相手だと認識してこそだった。
「ですが四方から攻めドイツ諸侯からも孤立させれば」
「プロイセン王を倒せますね」
「シュレージェンを奪い返すだけでなく」
 プロイセン王、そしてプロイセンを倒せるというのだ。
「必ず出来ます、ですから」
「フランスも引き込みますか」
「お任せ下さい」
 カウニッツは女帝に確かな声で答えた。
「私が見事この同盟を築いてみせます」
「わかりました、では侯爵」
 女帝はカウニッツをその爵位で呼んだ、そのうえでの言葉だった。
「このことは貴方に一任します」
「それでは」
 カウニッツも微笑みそうしてだった。
 彼の前に置かれているコーヒー、クリームと砂糖をふんだんに入れた甘いそれを飲みこう言ったのだった。
「またこのコーヒーを飲みましょう」
「そうしましょう」
 女帝も微笑みそうしてだった。
 カウニッツに総てを任せた、彼はすぐに動きだした。
 ロシアに行く、そのうえでロシアの重臣達の周りを回った、だが彼はただ回っただけではない。
 優雅な舞踏会の場でだ、彼はワインを手に彼等に囁くのだ。
「若しオーストリアと同盟を結べばです」
「プロイセンを倒せますか」
「女帝陛下がこれ以上ないまでに嫌っておられる」
「そうです、しかもです」
 尚且つだというのだ、ここで。
 彼はそっとだ、彼等に宝石を差し出し握らせてこうも囁いた。
「貴方達にもです」
「ロシアとオーストリアが同盟を結べば」
「この宝石達がですか」
「我々の手に」
「これはほんの挨拶です」
 それに過ぎないというのだ、握らせた見事な宝石が。
「如何でしょうか」
「これだけの宝石がほんの挨拶とは」
「オーストリアの富は凄いのですね」
「如何でしょう」
 カウニッツは優雅に微笑み彼等に囁き続ける。
「ロシアとオーストリアの同盟は」
「是非前向きに考えさせて頂きます」
「陛下もプロイセンがお嫌いですし」
「是非共です」
「そうさせてもらいます」
 ロシアの高官達はオーストリアの宝石を手に言う、元々プロイセンを嫌っているロシアは瞬く間にオーストリアに靡いた。
 スウェーデンもだ、三十年戦争ではハプスブルク家と戦った彼等も今はプロイセンの驚異を感じていた。カウニッツはこの国にもだった。
 接近してだ、こう囁くのだった。
「プロイセンをどう思われますか」
「貴国と同じかと」
 これがスウェーデン側の返答だった、カウニッツは今ウィーンにいるがそこで大使の側近と優雅に夕食を食べているがそこでだ。
 彼は見事なラムの料理とワインを楽しみつつその大使の側近に話した、その彼もこう答えてきたのである。
「そのことは」
「そうですか」
「しかし我が国は小国です」
 大使の側近はこうカウニッツに言った。
「人口は少ないです」
「プロイセンに対するにはですね」
「我が国だけでは」
「ではです」
 カウニッツは彼の言葉を受けて微笑みこう言った。 
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