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花天の椿

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第五章 臨時生徒総会

 
前書き
なんとか更新出来ました。 

 






第五章 臨時生徒総会






「……………ッはぁ!!」


目覚めた椿が最初に見たのは見慣れない天井だっだ。
何故自分が、知らない場所で寝ているのかを考えていると自分の視界に一人の少女が、入ってきた。


「お目覚めですか?」

「………うわぁ!?」


いきなりの事に椿は勢いよく、ベットから落ちる。


「大丈夫ですか?」


椿は立ち上がり、少女を見る。
三征西班牙の制服を身に包、両腕に義腕を付けていて顔はかり整っている。
椿はその少女に見覚えがあった。


「立花・ギン?」


Tes. と答える少女は、三征西班牙総長連合第三特務、立花・ギンだった。
そして、八代竜王の一人立花・宗茂の嫁だ。


「貴方が、俺をここに?」

「Tes. 貴方と宗茂様をここに運んだのは私です。」


少し胸を張って答える立花嫁、すると立花嫁の後ろにあるもう一つのベットから、男性の声が響く。


「怪我はもう大丈夫ですか? 椿君」


声の主立花・宗茂は、笑顔で椿に話しかける。
だがその身体には、手当ての跡が残っていた。


「あ、はい手当ありがとうございます。」


椿は立花夫婦に頭を下げる。
そして、椿は立花夫婦から現状の説明を聞く。







「………そうですか、三河は」


立花嫁から現状の説明を聞き終えた椿
三河が消滅
P-01s ホライゾンの処刑
学園の事
全てを聞き終えた椿は、悔しさが心を支配する。
自分がもっと上手くやっていれば、と
昨日、忠勝達を止めていれば、と様々な後悔が頭の中に浮かび椿は強く拳を握る。
だが、全ては終わったこと後悔しても、何も変わらない頭では理解しても、椿はまだ若い忠勝達を死なせてしまった事が椿の心を抉る。


(………旦那、俺は)


椿は、静かに深呼吸をする。


(迷うことや、後悔はいつでも出来る今は、前に進むしかない)


椿は頭を切り替える。
迷いや後悔を完全に捨てた訳ではない、それでも椿の目からは迷いが消えるのを宗茂は感じた。


(さすがですね、椿君)


心の中で椿に称賛の思いを浮かべる宗茂、すると椿は立花夫婦に話しかける。


「それで俺はこのあと、どうすれば?」


椿の問いに、立花嫁が答える。


「このあと、三征西班牙と極東警護隊、K.P .A italia、との情報交換会があります。その場で我々三征西班牙から極東警護隊総隊長、本多・二代へ神格武装、名槍、蜻蛉切り、を返却します。椿さんはその時に一緒に」


立花嫁説明にJut. と答える椿


「まだ、情報交換会には時間があります。お二人ともそれまでもう少しお休みを」


そう言うと立花嫁は部屋を後にする。
椿は、言葉に甘えもう一度眠りについた。







三年梅組の教室では、ハイディを中心として話し合いが行われていた。
その中、浅間・智は心ここにあらず、という感じだった。
今浅間は、制服の上に椿から預かった黒の羽織を着ている。
だが、返すはずの人物は今ここにはいない、浅間はその事をずっと考えていた。
これではいけない、と浅間は話し合いに集中する。
すると今はハイディが話していた。


「まぁ、仮に私達がホライゾンを助けに行くとしても、やっぱり戦力的に椿君がいないのは大きいよね」


ハイディの言葉に、ネシンバラ自分の前に表示枠を出して答える。


「一応、三征西班牙に保護されてるけど、無事かどうかはまだ解らないしね」


教室内の空気が重くなる。
すると、教室の扉を開き担任のオリオトライが入ってきた。


「な~に、暗くなってるの~」

「オリオトライ先生………!?」


オリオトライは教卓の上に、紙の束をおく


「今日の授業は作文、お題は、私がしてほしいこと。今、皆自分達が何をすべきかしか、考えてないっしょ? 頭を冷やすのにこういうの必要だわ。そしてその前に」


オリオトライは、教員用の机の近くに行くと、棚のモニターのスイッチを入れた。鳥居型の表示枠が現れ、ノイズが画像を結び始めるより早く、彼女は皆を見る。
何を見せるのだろうという皆に対し、オリオトライは笑みのままで


「今の自分にとって、私がしてほしいことって何なのか。考えるためのヒントになると思うわ。だからよくみておくのよ。この結果を」


映像が映る
見えるのは丘の上、列に並んでおるなは三種類の制服を着た者達だ。


「三征西班牙、K.P .A italia そして、三河から来た極東の警護隊。この三勢力が、顔を合わせての情報交換会。………聖連が、武蔵と三河住人に対して友好的であると見せつけようとする放送ね」


でも、と彼女は言った。


「この情報交換会で、三征西班牙から、極東側に返却されるものがあるの」


その言葉に浅間が反応する。


「…………まさか!?」


オリオトライは笑みを深くする。


「神格武装、蜻蛉切り、そして、刻風・椿よ」


その言葉にその場にいた、全員が反応する


「どうなるか、皆よく見てなさい、あのバカの事だから何かしらヤってくれるわよ」


オリオトライの言葉に、全員が表示枠を見る。







緑の丘の上。平たい土地の上に人の群れがあった。
群は三つの色の制服を着ていた。
一つは三征西班牙の。
一つはK.P .A italia の。
一つは極東の
お互いに書類や器物の交換を行っていた。


その中で三征西班牙の群れの中で、唯一極東の制服を着ていた少年、刻風・椿は、アウェイな状況にため息をつく。
椿の左隣にたっていた。両腕義腕の少女、立花・ギンの持っている槍、蜻蛉切りに自然と目がいく。


(さて、どうでる本多・二代)


椿達の前方に立っている少女、本多・二代を見て椿はニヤリと笑う。すると


「第三特務」

隣に立っている立花嫁が呼ばれる立花嫁は、頷き本多・二代を見る。


「極東、三河圏内新名古屋城教導院所属特殊予備役、本多・忠勝様から同所属三年、本多・二代様への預かりものです」


言うと立花嫁は前に進み、中間地点で足を止めると二代が、立花嫁を見る。


「………如何様に?」


問いかけに即答する立花嫁。


「多くのことを教えていただきました」


左様で御座るか、と、二代は答え、一礼した。そして彼女は一歩前へ踏む
刹那、椿と宗茂は二代が移動系の術式を展開するのを、確認する。
それを見て、椿は三日月のように口を歪ませる。
そして、隣の立花・宗茂が、加速術式を使いその場から消える。
そして椿も、瞬歩を使い宗茂の後を追う。
だが椿の狙いは宗茂とは別、宗茂は立花嫁と二代の間に割ってはいる、だが椿は迷いなく立花嫁に近づく。







「………立花・宗茂!」


本多・二代は自分の前に、割ってはいってきた立花・宗茂を見る。
宗茂は二代が、移動系の術式を使ったのを見てから動いた、それでも二代より速く動き二代と立花嫁との間に割ってはいったのだ。
これには、さすがに二代は驚きを隠せないでいた。
すると宗茂が告げる。


「………では、私の方から、蜻蛉切りをお返しさせていただきます」


そう言って宗茂は、振り返りる。するとそこには、驚いたような表情をする立花・ギンが立っていた。
どうしたのか? と思い彼女の義腕をを見る。その瞬間宗茂の表情にも驚きが広がる。
何故なら本来、立花嫁が持っている筈の蜻蛉切りが無いからだ。
瞬間、宗茂達の隣に風が通る。
そして、宗茂再び振り返る。
二代の隣に立ち、肩に蜻蛉切りを担ぐ刻風・椿がそこにいた。


「一応、昨日俺も忠勝の旦那とヤりあったんだ、俺にもこの蜻蛉切りを渡す権利はあるよな?」


椿の問いに、頷く宗茂、それを確認して椿は肩に担ぐ蜻蛉切りを二代の前に、差し出す。


「旦那から預かった神格武装、名槍、蜻蛉切り、返すよ」


二代は、少し戸惑っていたが冷静さを取り戻し、蜻蛉切りを受け取る。


「………忝ない」


受け取り、椿の目を見て二代は言う。


「本多・二代、父以上の位置を目指すことを、この蜻蛉切りに誓い申す」


さすが、と椿は心の中で思い椿は立花夫婦を見る。


「それじゃあ、俺もこれで、ありがとうございました」


椿の言葉に二人はTes.と答える。
そして、四人はそれぞれの位置に戻る。







元の位置に戻る途中、立花・ギンは隣を歩く宗茂に言う。


「………やられましたね」


静かに呟かれた。言葉に宗茂が答える。


「そうですね、これで極東には、まだ力が残っていることを世界に知らしめる結果にならました」


宗茂は、戻ろうとする椿の背中を見る。
すると、隣を歩くギンが呟く


「ちょっと、私フアナ様に連絡を取ります」


宗茂はギンの言葉に驚く


「どうしてまた?」

「あの二人を見たら少し不安になったので、私にも戦闘許可を貰います」


すると、宗茂は静かに笑う。
宗茂自身も椿と二代と戦えば、勿論勝てる自信はある。
しかし、それは絶対ではない
だが、自分の嫁であるギンが共に戦ってくれるのならば、宗茂にとっても助かる話だ。


「負けないで下さいね、宗茂様」

「負けませんよ、誰にもね」







宗茂達とは逆の方へ歩く二代と椿、すると二代は椿に謝罪の言葉を送る。


「済まないで御座る、椿殿」


二代の謝罪に、椿は少し笑う。


「別に、俺は自分の手で蜻蛉切りを君に渡したかったから、ヤっただけだよ」


その言葉に二代も笑う
そして二人は元の位置に戻る。







情報交換会が終わり、椿は今警護隊の所有する船の中にいた。
船の艦橋で、椿は二代から学園のことを聞きくと、あえてここに残る事にしたのだ。
椿は隊員から貰った椅子に座り、コーヒーを飲みながら中央に表示されている表示枠に映っている、臨時生徒総会を見ていた。

すると、隣に立っていた二代が椿に問いかける。


「本当にここにいて、良いので御座るか?」


椿はカップを作業台の上に置き、答える。


「大丈夫だって、アイツらなら」


笑みを浮かべながら表示枠を見る椿に、二代も表示枠を見る。
そこに映っているのは、巨体な重武神の姿とその前に立つ一人の少年だった。


「直政のヤツ本気だな」

「この相対、どうなると思うで御座るか?」


椿は少し考える、そしてコーヒーを一口飲んで答える。


「単純に見れば直政だろうな、だがこの状況が解っていてもシロは出てきた。なら何かしらあんだろ」


あくまで笑い続ける椿に二代は思う。


(………よめない人物で御座るな)


そう思い二代は視線を表示枠に戻す。







結果的に相対はシロジロの勝ちで終わった。
シロジロは警護隊達の力を、自分自身に集める事で武神と互角に戦い勝利したのだ。
これには、二代とその場にいた皆も驚きを隠せないでいた。


「まずは、一勝か」


椿はどこか安心したように、呟く
すると椿と二代の後方の扉が開き、一人の警護隊員が中に入ってきた。


「た、隊長!!」


少し焦っている様に見える隊員に、椿と二代は隊員を見る。


「どうした?」


二代が問いかけたその瞬間、扉から入ってくる新たな人物二人を見て、椿と二代は驚く


「二代君、おや椿君も一緒かちょうどいい」


言葉を発した人物、武蔵王ヨシナオ後ろには妻の姿も見える。


「どうしたんスか? 王様」


椿の質問にヨシナオは一度後の妻の顔を見て、答える。


「二代君、君に頼みたい事がある」







場所は変わりアリアダスト教導院の橋の上そこでは今、正純とK.P .A italia 教皇総長インノケンティウスとの相対が繰り広げられていた。
すると、インノケンティウスは静かに指を鳴らし告げる。


「ガリレオ、やれ」


瞬間、浅間は顔を左側に向け叫ぶ。


「そっちです!!」


言葉に従い、皆がその方向をみるとそこには、K.P .A italia の制服を着た巨大な魔神族の男が立っていた。


「K.P .A italia 副長、ガリレオであるよ」


瞬間動く影があった。
ガリレオと並び巨体な青と白の甲殻をもつ、ウルキアガだ。
彼は背中の飛翔翼を広げ、勢いよく飛び出す。


「拙・僧・発・進!!」


ウルキアガは真っ直ぐに、魔神ガリレオに突っ込む。


「………この異端めが!!」


叫びと同時に、ウルキアガは懐にある巨大なペンチ取り出し、ガリレオに突っ込む
ガリレオは、ほう、と呟くだが動く気配はなくただその場に立っていた。
そしてウルキアガとガリレオが当たる。
だが、響く筈の激突の音が響かなかった。







「…………!?」


ウルキアガは、巻き起こる砂煙の向こうを見る。
そこには、自分の持つペンチがガリレオの持つ鎌のような物の手前で止まっているのを、ウルキアガは見た。


「…………鎌!?」

「残念、これは、戦槌、なのだよ」


ガリレオが持つ、戦槌を見てウルキアガは気づく


「まさか、これは………」

「うむ、いいところに気づいたな」


ガリレオは深く頷き、牙を見せながら言う。


「K.P .A italia に預けられた大罪武装、淫蕩の御身、正式使用者は私ではないので貸与品だが、それでも対人レベルでは力を発せてな」


そして、ガリレオは続ける。


「その効果は、触れた力は放棄され、遊ぶ、というところか」


瞬間、ウルキアガのペンチが分解される
息を飲み後ずさるウルキアガ、しかし同時に叫んだ。


「………行け!!」


ウルキアガの叫びより、一瞬速く、その背から一つの影が飛び出した。


「ノリキ………!!」

「名を呼ばなくていい」


ノリキは、淫蕩の御身がない右側へ走り込んだ。
同時に。ノリキの右肘から拳の先端まで、緑色の鳥居型の術式紋章が展開される。


『創作術式、弥生月: 発動』


同時に、ノリキは勢いよく拳を振り抜く
それは、ノリキの全力の一撃、しかし


「おや、それだけかな、どうやら君の拳は軽いようだな」

「………何!?」


瞬間、ガリレオは爪のある三本の右手を広げ、そして


「天動説」


言葉と同時に、ノリキとウルキアガが地面に叩きつけられ、そして


「………コレは!?」


ノリキの呟きと同時に、ガリレオを中心にして円弧を描くように、校庭を吹っ飛んだのだ。
ガリレオは、吹っ飛んだノリキ達を一瞬見て、視線を別の方向に向ける。
そして正純とトーリ、を見た瞬間ガリレオはその場から消え、正純達の目の前に現れた。


「移動術!?」


誰かが叫ぶ、ガリレオは正純とトーリを見る。


「ようやく来れたよ。うむ。武蔵の代表を間近で見るのは始めてだったな」


ガリレオが喋っているが、今の正純にはそれを聞き取る余裕がない
そして、ガリレオは続ける。


「先程の問答など、なかなか面白かったよ、では、ここで授業終了といこうかな」


ガリレオが右手を上げる、皆が正純達の所に走るが距離的に間に合わない事を、正純は悟る
ノリキとウルキアガを倒した術だ、戦闘系ではない正純が受ければ重傷だ。
だが頭で理解しても、間に合わない
その時正純は感じた。
それは、正純を庇うようにタックルしてきたトーリと
二つの風だった。







アリアダスト教導院の橋の上で倒れる正純は、二つの影を見た。
一つは槍を構え、ガリレオの右腕を槍の石突きで止めている少女
もう一つはガリレオの左側に立ち、ガリレオの首もとに刀の刀身を添えている少年
二人とも、正純の顔見知りだった。
そして、少女が告げる。


「極東、警護隊総隊長、本多・二代」


そして、少年も続く。


「武蔵アリアダスト教導院所属、総長連合第零特務、刻風・椿」





 
 

 
後書き
もっと速く更新できるように頑張ります。 
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