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花天の椿

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第四章 三河最後の戦い

 
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第四章 三河最後の戦い





紡がれた椿の言葉に、その場にいた全員が言葉を失う。
沈黙が広がる中、その沈黙を破ったのは、一つのアラーム音だった。
先程から椿が、酒井に連絡を取るために右手に握っていた椿の携帯から、発せられた着信音だ。
椿は、携帯を操作し自分の前方空中に表示枠を出す。
そこには、椿の保護者である酒井忠次の顔が写っていた。


「椿、見えているな?」


忠次の声に焦りがあるのを、椿は感じた。
それもそのはず、三河が消滅するかもしれない事態、焦らない方がどうかしている。


「見えてるけど………コレって、まさか」

「あぁ、三河の地脈の暴走だ……」


舌打ちを打つ椿に酒井は言葉を続ける。


「さっき、ダっちゃんと会った……」

「オイオイ、それじゃあコレは旦那達がやったってのかよ!?」


今回の一件が忠勝達つまりは、忠次以外の松平四天王、そして松平元信がやったことならば、現状かなりマズイ事態である。
東国無双、本多・忠勝、文字通り忠勝は東国最強である武蔵において彼と戦えるのは、片手の数ほどもいないだろう。
だがその東国無双と言われている本多・忠勝、現状彼を退き地脈の暴走を止められるかもしれない人物が椿の考える限り二人だけいた。


「なぁ、忠次さん、三征西班牙とK.P.A italiaになにか動きはあるか?」


椿の言葉に、忠次は少し考える
そして、椿の言葉の意味を理解し言葉を返す。


「いや、それは解らん………だが現状この事態を止められるのは……」

「あぁ今、三征西班牙から来ている人物、八大竜王の一人にして西国無双………立花・宗茂、インノケンティウスが動かない以上、彼しかいないだろう」


三征西班牙アルカラ・デ・エナレス総長連合所属第一特務、立花・宗茂
世界に八つしかない大量破壊兵器、大罪武装を持つ者、八大竜王の一人だ。
その実力は三征西班牙でも、トップクラスであり西国無双とまで呼ばれている。
今回彼が此方に来たのも、同じ八大竜王の一人K.P.A.italiaのトップ、インノケンティウスに対する牽制の為だ。
そのため現状この事態を止められるとしたら、立花・宗茂または、インノケンティウスの二人だけだ。


「おい、椿……お前はどうするつもりだ?」


酒井の言葉に、椿は戸惑う


「どういう意味だよ?」


椿の声が少し強くなるのが、周囲の皆にも伝わっていた。


「お前の事だ、ただ見てるつもりはないんだろう?」


その瞬間、椿と酒井の口角が上がる。


「ハァ~、バレてましたか……」

「バレバレだよ、まったく」


呆れたように頭をかく酒井に、申し訳なさそうな表情になる椿
しかし椿は、真剣な表情で酒井を見直す。


「解ってますよ、俺が行ったって仕方がないって事は………でも旦那達は死ぬつもりなんでしょう?」

「あぁ、恐らくな……」


忠次の表情は険しい、今この中で一番忠勝達を止めたいと思っているのは、忠次自信であろう


「目の前で死のうとしている人がいて、俺はそれを何もせず黙って見てるだけなんて事をしてしまったら……俺は俺を許せない」


血を吐くように紡がれた言葉、そんな椿の姿を浅間は隣でただ見つめていた。


(……椿君)


椿は、母と妹を失った時から誰よりも死を恐れている、恐れているがゆえに椿は死の淵に立っている忠勝達を放っておくことができないのだ。
浅間そしてノリキは、椿の思いが解っているからこそ何も言えなかったのだ。


「解ってる、コレは俺のエゴだけど俺は「行けよ…」……え?」


標示枠の向こうから聞こえる声に、椿は驚く


「行ってこい、椿……けど条件がある」

「……条件?」


酒井はまっすぐ椿の目を見る、その表情はまるで父親のようだど浅間は思った。


「あぁ、必ず帰ってこい……俺から言えるのはそれだけだ」


優しく、だが少し厳しく、忠次の言葉はそんな風に聞こえた。
椿は自然と標示枠に、向かって頭を下げた。


「ありがとう……ございます。」

「あぁ、じゃあな」


そう言って忠次は笑い、通神は切れた。
椿は頭を上げ皆を見る。


「まぁ、つーわけでちょっと逝ってくる。」


『字が違ぇよ!?』


全員のツッコミを聞き、椿は笑った。


「椿、お前大丈夫なのかよ?」


皆を代表してトーリが、椿に問いかける。
椿は笑ったまま答えた。


「お前の告白を聞くまで、死なねぇよ大将」

「そっか………じゃあ逝けよ」

『だから、字が違ぇよ!?』


今度は椿とトーリ以外の皆がツッコミを入れた。


「じゃあな、みんな」


そして椿が歩き出そうとした時、ふと椿は何かに引っ張られる、感覚に足を止めて後ろを見る。
そこには、椿の黒い羽織の裾を握る浅間の姿があった。


「……浅間?」


椿が浅間の名前を呼ぶと、浅間は焦ったように手を離す。


「あっ、ご、ごめんなさい……えっと…その」


浅間は心配そうに、椿の顔を見る。
浅間が心配するのも無理はない、これから椿が向かうのはヘタをすれば死んでしまうような所だ
そのため、頭では解っていても自然と手が出てしまったのだ。


「わ、私、その」


すると椿は自分が着ていた羽織を脱ぎ、浅間の肩に掛けた。


「それ、浅間が持っていてくれ、必ずそれを取りに帰って来るから」


浅間は羽織を、ギュッと握る。
そして、椿を見つめ言う。


「解りました、待ってます。」


精一杯の笑顔で、浅間は椿を見つめた。
椿も笑いそして、椿は瞬歩を使い浅間の目の前から消えた。
浅間は三河の方向を見つめる、椿の羽織を握りしめて。







普通の道を使えば、恐らく三河の消滅には間に合わないと判断した椿は
山を抜け三河の新名古屋城にある、地脈統括炉を目指していた。
瞬歩で走りながら、自分の左斜め前に表示枠を一つ出していた。
そこには、三河君主、松平・元信が写っていた。
そして、元信が発した言葉を聞き椿は驚く


「P-01sって、確か青雷亭にいる自動人形だよな……アイツがホライゾン!?」


青雷亭はトーリや喜美の母親がやっている、軽食屋だ椿も何回か訪れている。
そして、ホライゾン、ホライゾンは小等部の時に後悔道りの事故で、亡くなった少女、そして葵・トーリが想いを寄せている少女の事だ。
確かにP-01sとホライゾンは似ている、椿も何回かそう思った事もあった
だが、まさかP-01s がホライゾンでしかも、大罪武装だとは誰も思わないであろう。


「………チッ、考えるのは後だ速く行かないと」


そう言うと、椿は速度を上げた。







「ならば、ここで止めます。」


新名古屋城の前にある一本の橋の上で、たった今元信の説明を聞いた立花・宗茂は叫ぶ
宗茂の言葉を聞き、元信は笑顔で答えた。


「それは、少し困るかなそこの副長、ちょっとどうにかしなさい」


宗茂は静かに振り向き、後ろで自動人形を首にぶら下げ手には神格武装名槍、蜻蛉切りを持つ男、本多・忠勝を見据える。


「本多・忠勝」

「おうよ」


その言葉と同時に、槍を構え直す忠勝、そして空気を叩くように言葉が紡がれる。


「止めるぜ学級崩壊!!」


宗茂も自分の手に持つ大罪武装、悲嘆の怠惰を構える。
そして、宗茂が動こうとしたその瞬間、忠勝の後ろから一つの影が生まれた。







刻風・椿では、はっきり言って忠勝には勝てないそのため椿は不意打ちという選択を選んだ。
タイミングは完璧、椿は右手で刀身の短い刀を抜き降り下ろす。
完璧な不意打ち、椿はこの一撃で決めるつもりだった。
しかし、東国無双、本多・忠勝の行動は速かった。
椿の刀が、自分に当たる前に忠勝は自分の持っていた、蜻蛉切りを後ろに向けるそしてその刃に椿を写しこむ。


(………マズッ!!)


椿は咄嗟に、瞬歩で刃の写らない所に逃げ、そして一瞬で立花・宗茂の隣まで退避する。


(あと一瞬、逃げるのが遅れたら活断されてた。)


椿の背中に嫌な汗が滲む


「よう、来たか椿まさか忠次に言われたから来たって、訳じゃあねぇよなぁ」


忠勝はあくまで冷静、だが椿は千載一遇のチャンスを逃したため表情に焦りが見える。


「まさか、ここに来たのは、俺の意志ですよ旦那」

「そうか、だったら殿の話は聞いたな? 我は殿のために忠、勝つ、我を止めたければ刀を抜き解放しろ、でなければ何も出来ずに終わるぞ」


忠勝の言葉に、椿は笑った。静かにだが確かにその表情から焦りは消えた。
そして椿は、隣にいる立花・宗茂を横目で見る。


「つーわけで、手を貸してくれますか宗茂さん」


宗茂もまた、笑った。


「Tes. 私としても貴方の手助けは有り難いですよ、アリアダスト最強君」


軽くジト目で宗茂を見て、お互い笑う。
そして椿は腰にあるもう一本の刀を抜くと同時に言葉を紡ぐ


「花風紊れて花神啼き天風紊れて天魔嗤う」


二本の刀で十の字を造り、刀を擦り合わせる


「花天狂骨」


言葉と同時に、二本の刀が形を変える。
先程までは、普通の刀の形をしていたが今の形は青竜刀に似ている。
二本とも刀身が少し伸び、大きくなっている。
そして、椿は静かに両手を振るう
花天狂骨は空を切る、だがその瞬間宗茂の耳に何かが斬れる音が入る。
自分達が立つ橋の上、その横に広がる川を見るとそこには、何か機械のような物が何個も落ちていた。


「アレは、我々を写していたカメラ」


そう、椿はこの橋を写していたカメラを、先程の一閃で斬ったのだ。
不精独楽
花天狂骨に纏わせた風を斬撃のように飛ばす技だもちろん、使い方を変えれば色んな事ができる椿の最も得意とする技だ。


「……今のは不精独楽か? クッ臨界まであと5分、来なヒヨッコ共」


静かにはっきりと、発せられた忠勝の言葉に椿と宗茂は自分の武器を構え直す。
今、三河の命運を賭けた戦いが始まった。







最初に動いたのは、椿だった。
椿は前方に飛び出し、宗茂が椿の後ろに回る。
椿は空中で両手に持つ花天狂骨を振るう、だが花天狂骨は忠勝には届かない
しかし二本の刀を横に振った瞬間、大きな竜巻が起こるその竜巻は忠勝を囲む
だが忠勝は鼻で笑うと、肩に担いでいた蜻蛉切りを縦に一閃振るう、その瞬間竜巻は切り開かれた。
竜巻が消え忠勝は前方を見る、するとそこには椿しかいなかった。


(上か!?)


忠勝の斜め上に、宗茂はいた。
悲嘆の怠惰で突きの構えをとる。そして腕を前へ伸ばし悲嘆の怠惰で忠勝を突き刺そうとする。
忠勝は冷静に、蜻蛉切りで悲嘆の怠惰を受け止め後方に受け流す。
勢いを殺せず、宗茂は忠勝の後方へ飛ばされる。


だがその瞬間、忠勝は椿に背中を見せる形になってしまった。
椿は瞬歩で忠勝の背後に、迫り右手の花天狂骨を忠勝の首を狙い横に振るう。
忠勝はそれを体を下げる事でかわす、頭を掠める花天狂骨
そして、体を下げたと同時に忠勝は体を捻り、椿の方に振り向くそして迫り来る椿の花天狂骨を迎え撃つ
そんな打ち合いが何回か続く


(………上手い)


椿はここまで椿と宗茂二人の攻撃を防ぎ続ける忠勝に、純粋な感想が頭の中に生まれる。
忠勝はただ二人の攻撃を、防いでいるのではない防ぎながら少しずつ、タイミングをづらし二人の同時攻撃をさせないようにしているのだ。
言葉にすれば簡単だが、刻風・椿と立花・宗茂の二人を相手にここまで出来るのは、世界でもそうは居ないだろう


すると、椿と宗茂に焦りが見え始める。
この戦い、一見二対一と椿達が優位に見えるが実際は逆である。
確かに椿と宗茂の二人は強力だ、しかし忠勝は何もこの戦いでは別に勝つ必要はないのだ。
時間が経てばそのうち、地脈が暴走する忠勝はそれまでこの二人を足止めすればいいだけなのだ。
そのため、忠勝は冷静だが椿と宗茂は逆に焦っていた。
もう時間がないその焦りが、二人を急かす。


「まだ、速度は上がるか?」


忠勝の挑発的な言葉は、冷静だからこそ出来る事だ
そして忠勝の挑発に二人は同時に叫ぶ


「上がりますとも!!」

「決まってるでしょう!!」


二人は速度を上げる。
だが忠勝は二人の攻撃のタイミングをづらし、同時攻撃をさせない
もし仮に椿と宗茂が、何十年も共に戦った戦友ならばこんな状況からでも同時攻撃が出来たであろう。
だが生憎、椿と宗茂はたった今会ったばかりなのだ、二人とも戦い慣れしている為、最低限のコンビネーションは出来るが、呼吸を合わせ尚且つ忠勝相手に同時攻撃を仕掛けるのは、現状かなり難しい


「結べ、悲嘆の怠惰!!」


このまま撃ち合っても、こちらが負けるだけだと判断した宗茂が仕掛けた。
悲嘆の怠惰による通常駆動
だが忠勝は、蜻蛉切りを悲嘆の怠惰に向ける。
その瞬間ガラスの割れる音が響く
悲嘆の怠惰の通常駆動が無効化された、音だ。


蜻蛉切りに悲嘆の怠惰を、写しこむ事で鏡のようにしたのだ。
そうすることで、悲嘆の怠惰は目標を失いその能力を止めたのだ。


(……私と椿君の二人を相手にここまで、このままではこちらの負け………賭けるしかないか)


通常駆動まで防がれ、もう二人には後がない
二人は覚悟を決め、次の一撃に必殺の思いを込める。


今椿と宗茂は、縦に忠勝を挟むようにたっていた。新名古屋城側に宗茂もう一方に椿が立っている。
椿は不精独楽で、再び忠勝の視界を塞ぐ


「芸が無いな」


忠勝は先程と同じ様に、竜巻を斬る。
そして、体を捻り後ろに振り向く。
すると、そこには忠勝に突っ込む宗茂がいた。


(……何を狙っている?)


一番最初と同じ流れ、椿が囮で本命が宗茂
忠勝は二人を、過小評価はしていない、だからこそこの流れに違和感を感じていた。


迷いなく忠勝は槍を宗茂に向かって突き刺す。
その瞬間宗茂は、空中に跳んだ。
そして蜻蛉切りの刃の上に着地する。


蜻蛉切りはその刃に写る物の名前を活断する、その為今蜻蛉切りの刃は宗茂の足が隠している。
それにより、蜻蛉切りは活断出来ないのだ。


(蜻蛉切りを足場にするか、いい判断だがそんな手が今の時代に通じるかぁ!!)


叫び忠勝は蜻蛉切りを、下げる
蜻蛉切りが下げられた事によって、宗茂は自然に空中に浮かぶそしてその瞬間蜻蛉切りが、宗茂の姿を写しこむ


「結べ、蜻蛉切り!!」


叫ぶ忠勝、その瞬間青白い光が蜻蛉切りから溢れる。
だが同時に忠勝の耳に、ある音が響くそれは宗茂の使う加速術式の音そして、椿の声だった。


「影鬼」


瞬間、忠勝の左足に鋭い痛みが走る、それは新名古屋城から輝く光の柱が生んだ忠勝の影から出た刃が忠勝の左足に刺さっていたのだ。


(完全では無いが、これで旦那の足は封じた。)

(次の攻撃が、私達の最後の攻撃)

((決める!!))


この瞬間二人の心が繋がった。


そして宗茂が動く、宗茂は空中の塵を足場にして、加速したのだ。


「一万七千倍加速!!」


加速と同時に右足が悲鳴を上げる、だが宗茂ばそれを無視し忠勝の後方に着地する。
この瞬間、忠勝と鹿角の目は宗茂を追っていた、だが次の瞬間、忠勝は前方に一つの気配を感じた。


「椿か!?」


先程椿は、忠勝の影に花天狂骨を突き刺していた。そして宗茂が椿の方へ跳んで来たと同時に、瞬歩で忠勝の前方に飛び出しのだ。


これは、忠勝も予想外だった。
既に忠勝は、石突きで宗茂に攻撃しようとしている。
こんな状態から椿の、攻撃を防ぐのは不可能だった。


そして宗茂も体を下げる事で、蜻蛉切りの石突きをかわし左足に加速術式を展開させる。
刻風・椿と立花・宗茂による同時攻撃、これを防ぐのはほぼ不可能な筈だった。
しかし、東国無双、本多・忠勝は二人の想像の遥か上を行く


「結び割れ。蜻蛉切り」

((何!?))


二人の頭に同時に疑問が生まれる。
何故ならば蜻蛉切りは、椿も宗茂も写していないからだ。
なのに、忠勝は何を活断したのか?
その答はすぐに、解った。
二人の眼前から忠勝が消えたのだ。


「!?」


何処に行った!?
と焦る二人、忠勝は椿の前方、宗茂後方に立っていた。


「蜻蛉切りによる、上位駆動だ我にとっての北側を活断した。」


蜻蛉切りの有効射程は三十メートル、己にとっての北側を活断すれば、活断分、北に十五メートル移動することになる。


(……冗談だろ)

(無茶苦茶だ)


二人にとって、恐らく最初で最後の同時攻撃、それをかわされ二人の頭が真っ白になってしまった。
そして、忠勝は蜻蛉切りを構える。


「蜻蛉切り!!」


響く忠勝の声この瞬間、椿よりも先に宗茂が動けたのは、単純な経験の差だった。
確かに椿は強い、だが
実戦経験は宗茂の方が貼るかに上だ、だからこそ椿よりも先に宗茂が動いたのは必然だった。
しかし、その経験が逆に仇となった。


宗茂は忠勝の後方へ回るために、空中に跳んだ、この瞬間宗茂は忠勝を見ていた。
激突、宗茂は空中で壁にぶつかったのだ。
見るとそこには、鹿角が重力制御によって造り出された、木材の壁があり宗茂それに激突ていた。


咄嗟に椿は、木材を斬ろうと跳ぼうとした。
この時、椿の失敗は立花・宗茂を見ていた事だ。
もし本多・忠勝を見ていれば、結果は変わっていたかもしれない


瞬間、椿の右肩に鋭い痛みが走る、見るとそこには、伸縮機構により引き伸ばされた蜻蛉切りの刃が、椿の右肩に深く突き刺さっていた。
そして、忠勝は伸縮機構で蜻蛉切りを引き戻す、右肩を深く刺された椿の体も、一緒に戻される。
忠勝は空いた方の、右手で拳を握り近づく椿の腹に自身の拳を叩き込む。
口から血を吐く椿、蜻蛉切りを右に振り椿の体が地面を転がる。


その間に鹿角は地面に着地した、宗茂を木材でつくったドームに閉じ込めた。
そして忠勝はドームに、蜻蛉切りを突き刺し叫ぶ


「結べ!!」


瞬間青白い光がドームの中から溢れた。



「すみません差し出がましい真似を」

「鎧の特殊機能だろ、気にすんな、あっちは二人で来てんだから」

「Jut. 劣った者は苦労しますね」

「この野郎」

忠勝が呟いた瞬間、宗茂を閉じ込めていたドームから突き出た物を見て、二人が驚く


「悲嘆の怠惰の仮想砲塔!?」


鹿角の驚きの声が響く
すると、倒れていた椿が忠勝達を見て言った。


「俺達の、勝ち……スね…だん……な」


そしてこれが椿が見た最後の本多・忠勝と鹿角の姿だった。




最後の最後で忠勝と鹿角によって、悲嘆の怠惰の砲撃はそらされ
結果的に三河は消滅、その責任としてP-01s ホライゾン・アリアダストの処刑が決まった。
そして刻風・椿はその場に駆けつけた、立花・ギンによって三征西班牙の船に運ばれた。



















 
 

 
後書き
花天狂骨の能力は少し変えています。
今回は忠勝さん無双回でした。
次回の更新は少し遅れます。スミマセン 
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