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万華鏡

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第五十五話 演奏その三

「あのチームはバファローズよ」
「そっちなのね」
「ローズさんも入団した時只今って言ってたし」
 ローズは近鉄にいて巨人に行って一旦帰国してオリックスに入団した、巨人に行ったことは間違いだったと言っている。
「だから多分ね」
「あそこは近鉄なのね」
「そうなると思うわ」
「何か今凄い駄目なチームだけれど」
「今のところはどうしようもないと思うわ」 
 里香はこう見ていた、今現在のそのチームについては。
「もうね」
「どうしようもないのね」
「あれではね」
 あのフロントの運営ではというのだ。
「フロントが変わらないと」
「それこそ身売りでもないと」
 バファローズは駄目だというのだ。
「フロント次第で変わるのよね、チームって」
「そうそう、現場だけじゃないから野球は」
「他のスポーツもだけれど」
「阪神もだったしな」
 美優もこう言うのだった、フロントについては。
「阪神のフロントはずっとシーズンオフに揉めたからな」
「シーズン中もでしょ」
「何かっていうとね」
 四人は美優の今の言葉にこう返した。
「もうお家騒動が常で」
「選手同士の対立をフロントを止められなくて」
「それがえらいことになってね」
「トレードとかの話になって」
 つまり選手の追い出しだ、阪神の歴史ではこうしたこともよくあった。
「小山さんとか出したり」
「江夏さんもね」
「あと田渕さんも」
「昔は綺麗に辞めたスター選手の方が少なくて」
「いつも後味の悪い去り方で」
 まさにそうしたことばかりだった、阪神はグラウンドとその外の両方で色々と話題になってきたチームだったのだ。
 美優は特にだ、このことを言った。
「監督交代なんてな」
「いつもだったわよね」
「揉めたのよね」
「本当に毎回だったよな」 
 皆まだ生まれていない頃だがそれでも話すのだった。
「野村さんまでな」
「星野さんになってから揉めなくなったわね」
「単に成績不振での交代だから」
「岡田さんも真弓さんも」
「ごく普通になったわね」
「しかも最下位じゃないからな」
 このこともだ、美優は言った。順位についてもだ。
「阪神っていったら最下位ばかりだったよな」
「うん、今よりずっと弱くて」
「万年最下位で」
「ピッチャーは抑えてくれても打線が打たなくて」
「それでね」
 負ける、それが阪神だったのだ。もっとも今もその投高打低は変わらない。
 それでもだ、今は最下位ではないからだった。琴乃もこう言うのだ。
「来年もこれからもずっとね」
「阪神が強いといいわね」
 景子もこう琴乃に返す。
「打線が打ってね」
「今年だけじゃなくてね」
「何か毎年打線もいけると思ったらだったし」
 尚何故かピッチャーは今年は大丈夫かと思っていても若手が台頭しベテランが奮起する、それで勝てているのだ。
 しかしだ、打線は。
「来年も打って欲しいわね」
「絶対にね」
「阪神は四点取ってくれたら」
 それか五点だ、精々。 
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