DQⅤ 世界を救う少女
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第一部・トラブルを解決する幼女
冒険の準備をします
ベビーパンサーのためにレヌール城へお化け退治に行くことになりました。
ビアンお兄さんもついてきてくれるそうです。優しいです。
町を出る方法も知ってるって。
でも、よくよく考えてみると。
私はただの旅装束、それ以外に防具はなし、武器は銅の剣。
ビアンお兄さんにいたっては普通の布製の洋服、後は防具なし、武器茨の鞭。ただし、使い方知らず。
…明日、日の出を拝める気がしません。
というわけで、とりあえず有り金で装備を整えることにしました。
土の地面に棒で図を書きます。
「まず、有り金が約1300ゴールドです。少なめに四捨五入しています。」
「はあ。結構あるんだな。ちなみに俺、計算は無理。」
「分かってます。私一人でやるので問題ありません。えー、この町の私の最強武器は、ブーメラン。」
「420ゴールドだったっけ。」
「あたりです。ビアンお兄さんの最強武器は茨の鞭なので、買うのはブーメランだけ。」
「薬師のおっさん、いい仕事したな。」
今になって感謝するのもどうかと思いますが、同感です。
「残りは約850ゴールド。次に防具です。まず、私の皮のドレス。380ゴールドです。」
「えー、500、490…470ゴールド。」
「意外と出来るじゃないですか。ビアンお兄さんのは、皮の鎧。残り、290ゴールド。」
「お、全部買えるんじゃないか?」
「そう思いますよね。最後に、うろこの盾を2つ。両方たすと、360。290-360、そこから導き出される答えは?せーの。」
「金が足りない。」
「ピンポン。さて、そこで私の銅の剣を売却!」
「え゛!?」
「はい、これで425-360。これで足ります!」
「よっしゃ、お前天才!」
ふう、終わった。
さて、じゃあお買い物に行きます。
私が武器屋、ビアンお兄さんが防具屋に買い物に行きます。
…5分かかりました。
たった一つブーメラン買うだけなのに…。
その点、ビアンお兄さんはあの量をものの2分で片付けました。
尊敬します。
せっかくなので、ちょっとだけ遊ぶことにしました。
ビアンお兄さんが案内してくれます。
宿屋の近くの公園、優しいおばさんの家、ちょっとした林、道具屋さん…。
と、その道具屋さんに、かわいい頭飾りがありました。
いいなぁ、ちょっと欲しいかもです。
…ガラに合わないかも知れないですが、私だって一応は女の子なんです!
その頭飾りを眺めていると、ビアンお兄さんが言いました。
「リーア、それ欲しいのか?」
え、いや、はい。え、欲しいですけど。
「欲しいですけど、お金が足りません。」
「だいじょーぶだいじょーぶ。道具屋さーん、このヘアバンド1個ー。」
ヘアバンドっていうそうです。
…って、そうじゃなくて!
「ビアンお兄さん、お金ですよ、お金!」
「大丈夫だっての。じゃあ、お話ね。昔々あるところに、とても可愛い女の子が…」
そう言って、ビアンお兄さんは可愛い女の子の話を始めました。
道具屋さんはそれを笑顔で聞いていましたが、終わったとたんお礼を言ってヘアバンドをくれました。
…何がなんだか分かりません。
あとでよくよく話を聞くと、道具屋さんには遠い町に置いてきてしまった妻と娘がいるそうです。
手紙に絵本の1つでも同封してやりたいけど、何しろ自分も安定した生活ができない。
なので、ビアンお兄さんが何か買うときにお金の代わりに自作の話を聞かせるんだそうです。
いいお話です。
とりあえず、これで冒険の準備は整いました。
さあ、夜に向けてもう寝ましょう。
ベビーパンサー、助けてあげられるかな。
早く、夜にならないかな…。
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